「貴方が珠世さんですか。……初めましてですね。私は鬼殺隊を率いている、産屋敷耀哉といいます」
そう言い、耀哉は珠世に向かって頭を下げる。
頭を下げた耀哉の様子に、驚きの表情を浮かべる珠世。
珠世にしてみれば、自分を呼んだ張本人ではあっても、まさか鬼殺隊を率いてる人物が自分に頭を下げるなどといったような事をするとは思っていなかったのだろう。
実際、その考えは間違っていない。
それを示すかのように、耀哉の後ろで待機している杏寿郎と天元は驚きの表情を浮かべていたのだから。
杏寿郎と天元は、以前はともかく今は鬼……より正確には禰豆子に好意的だ。
しかし、それでも鬼に対して耀哉が頭を下げるというのは驚いたのだろう。
……この2人だったからこそ驚いただけですんだのだが、もしここに鬼に対して強硬派の実弥や小芭内、そしてお館様第一の無一郎とかがいたら、一体どうなっていた事やら。
最悪、珠世をここで殺そうとしていてもおかしくはない。
そうなれば、恐らく珠世と愈史郎がいても死の運命からは逃れられないだろう。
勿論、そうなった時は俺が止めるが。
「いえ、そのような真似をしないで下さい。私も、鬼舞辻無惨を憎むという意味では鬼殺隊の皆さんと同じ気持ちです。……いえ、こう言っては何ですが、耀哉様でしたか。産屋敷家の貴方の方が、鬼舞辻無惨を憎む気持ちは強かったと思います。それは、呪いがなくなった今でも変わっていないのでは?」
「……呪いの事をご存じでしたか。そうですね。確かに私の身を蝕んでいた呪いは、アクセル率いるシャドウミラーのおかげで解呪されました。ですが、解呪されたからといって鬼舞辻無惨に対する憎悪は消えた訳ではありません。それに……」
そこまで言って言葉を濁す耀哉だったが、その言葉の意味は俺にも何となく理解出来た。
耀哉は解呪によって呪いはなくなった。
だが、輝利哉は? あるいはそれ以外の娘達は? そして、子供達に呪いがなくても、鬼舞辻無惨を生きたままにしていれば、自分の子孫が呪いに蝕まれるのでは?
そんな風に考えてもおかしくはない。
産屋敷家に伝わる伝承によれば、その呪いは鬼舞辻無惨という存在を生み出した産屋敷家に対して、世界が呪ったというもの。
つまり、今は解呪されているからいいのだが、鬼舞辻無惨を殺さない場合、子孫が再び呪われるという可能性は否定出来ない。
耀哉にしてみれば、そんな可能性は完全に潰しておきたいと思うのは当然の話だった。
珠世が耀哉のそんな気持ちの全てを理解している訳でもないのだろうが、それでも何かがあるというのは理解したのだろう。
そんな風に会話を交わす2人だったが、その会話が一段落したところで、俺は口を開く。
「耀哉、珠世が大きな情報を持っていたぞ」
「うん? それはどういう事かな?」
「青い彼岸花。あれの秘密を珠世が知っていた」
その言葉に、耀哉は珠世に視線を向け、それから改めて俺の方を見る。
天元もまた、一緒に貿易商の建物に侵入した事もあってか、興味深そうな視線をこちらに向けていた。
「それは本当かい?」
「ああ。……言ってもいいんだよな?」
「はい。この件は鬼殺隊にとっても重要な情報になると思われますので」
珠世の許可を貰うと、俺は改めて口を開く。
「端的に言えば、鬼舞辻無惨が鬼になる時に使われたのが青い彼岸花らしい。そして鬼舞辻無惨は太陽を克服する為に、青い彼岸花を探している」
「……鬼に……」
「ああ。貿易商という規模の大きさから、十二鬼月……あるいは鬼舞辻無惨と考えてはいたが、その予想が当たった形になるな」
そんな俺の言葉に、耀哉は笑みを浮かべる。
恐らく鬼舞辻無惨だろうと予想はしていたものの、その予想も絶対という訳ではなかった。
そうである以上、今この状況でその情報を聞く事が出来たのは耀哉にとって大きな意味を持つのは間違いないだろう。
問題なのは、これからどうするかといった事だが……
「貿易商の一件は進んでるんだよな?」
「ああ。今すぐにという訳にはいかないが、それでも1年、2年必要といった感じでもない。ただ、あまり急すぎると向こうを……鬼舞辻無惨を警戒させてしまう。それにしても、太陽を克服か。もしそのような事になったら、非常に厄介だろうね」
「鬼に対する最大の武器が効かなくなるしな。というか、太陽を克服した場合は日輪刀もまた効果がなくなるんじゃないか?」
日輪刀は、猩々緋鉱石といったような太陽が大きな意味を持つ鉱石を素材として打たれた刀だ。
そうである以上、もし鬼舞辻無惨が太陽を克服した場合、その効果がなくなるといった可能性は十分にあった。
まぁ、日輪刀がなければないで、他にも色々と対抗手段はあるんだが。
とはいえ、その時は鬼舞辻無惨を殺すのは鬼殺隊ではなく、シャドウミラーか……あるいは神鳴流の剣士という事になると思うが。
「そのような事になるよりも前に、鬼舞辻無惨は倒してみせる」
決意を込めた耀哉の言葉。
その言葉の意味は、それこそ考えるまでもなく明らかだろう。
耀哉にとって貿易商の一件は鬼舞辻無惨を殺す千載一遇のチャンスなのだから。
「まぁ、そんな訳で頑張ってくれ。青い彼岸花の方は、レモンに言えばすぐにでも準備出来ると思うから。あるいは、その青い彼岸花に対してレモンが何らかの罠を仕掛ける可能性も否定は出来ないが」
「それは……相手に見つからなければいいんだけど、その辺はどうなんだい?」
「大丈夫だとは思うけどな。そもそも珠世から聞いた話によれば、鬼舞辻無惨は青い彼岸花の実物を見た事はないらしい。だとすれば、何らかの罠があってもそういう植物だと認識する可能性が高い」
鬼舞辻無惨がもし本物の青い彼岸花を知っていれば、レモンが用意した青い彼岸花に違和感を覚える可能性は十分にあった。
しかし今の状況を考えると、その心配はない。それに……
「青い彼岸花は、あくまでも鬼舞辻無惨を誘き寄せる為だろう? 鬼舞辻無惨が誘き寄せられたら、その場で殺すんだ。だとすれば、青い彼岸花に罠があろうがなんだろうが、あまり気にする必要はないだろう?」
その言葉に、耀哉は納得したように頷く。
鬼舞辻無惨を誘き寄せる事の利点は、他の鬼……具体的には十二鬼月のうち、上弦と下弦で生き残っている鬼が護衛としてやって来ないという事だろう。
猗窩座を見れば分かるように、鬼の中には一見すると人外の姿をしている者はそれなりに多い。
だからこそ、もし鬼舞辻無惨が青い彼岸花の件でやって来る場合、そのような部下……あるいは護衛を連れてくるといった可能性は低い。
とはいえ、俺が知ってるのはあくまでも十二鬼月のうちの少数だ。
中には人と外見が変わないといった鬼や、擬態や変装が上手い鬼がいる可能性も否定は出来なかった。
その辺の事情を考えると、やはり今回の一件においては鬼舞辻無惨を誘き寄せるというのが、色々と面倒がないのは間違いない。
「そうだね。鬼舞辻無惨の件はそれでいいとして……次に聞きたいのは、鬼を人に戻す薬の件だ。禰豆子は出来るだけ早く人に戻してあげたいからね」
そう言い、笑みを浮かべる耀哉。
珠世もそんな耀哉の言葉に思うところがあったのか、こちらも笑みを浮かべて口を開く。……珠世が笑みを浮かべたという事で愈史郎が微かに反応したものの、それでも特に何か口を開くようなことはなかった。
以前、俺と騒動を起こす前の愈史郎なら、珠世が笑みを向けた相手というだけで攻撃をした可能性もあったが……取りあえず、そういう感じで問題は起きていない。
愈史郎も成長したな。
「はい。炭治郎さん経由で鬼舞辻無惨の血を入手出来たので、そちらの方は順調です。また、その血を使って鬼舞辻無惨に対して効果のある毒も現在作っています」
「そうか。しのぶが戻ってきたら、協力出来るだろう。あるいは……アクセル達に協力を頼んでもいいかもしれないね」
そう言うと、耀哉の視線がこちらに向けられる。
耀哉にしてみれば、俺達から協力して貰えば一番手っ取り早いと思っているのだろう。
実際、それは間違いではない。
シャドウミラーの技術班は天才揃いだし、何よりも魔法球が存在しているのが大きいだろう。
そうである以上、俺としては受け入れてもいいとは思うんだが。
ここには来ておらず、蝶屋敷の方でアオイと話をしているが、マリューがこの話を聞いても無事に受け入れるのは間違いないだろう。
「俺達はそれでも構わないが?」
「いえ、出来れば毒を作るのは私の手で行いたいのです」
耀哉の言葉に反対したのは、予想外なことに珠世だった。
とはいえ、珠世の気持ちも分からないではない。
珠世は鬼舞辻無惨を殺す事だけを願い、何百年も行動してきたのだ。
そうである以上、出来れば自分の手で鬼舞辻無惨を殺す毒を作りたいと思うのは当然だった。
「そういう事らしい。まぁ、鬼舞辻無惨の血があるんだから、開発も進むだろうし……どうしても駄目ならこっちからも手を出すが、珠世のやる気を見る限りではそんな心配はしなくてもよさそうだし」
やる気だけで結果を出せる訳ではないのだろうが、それでもやる気が結果に対して大きな影響を与えるのも事実。
実際、珠世はかなりやる気に満ちているので、鬼舞辻無惨を殺す為の毒の製作は上手くいくと思う。
「ふむ。アクセルがそう言うのなら、取りあえず珠世さんに任せるとしよう。……そう言えば、アクセル。しのぶはいつくらいに戻ってくるんだろう?」
「あー……そう言えばどうだったかな。今日ホワイトスターに戻ったら、レモンに聞いてみる。ただ、毒を……それも普通の毒じゃなくて、藤の花の毒で身体を侵させるなんて真似をしたんだ。それなりに治療の時間は掛かるかもしれないな」
「……それは……本当にそのような真似を?」
俺と耀哉の会話を聞いていた珠世が、信じられないといった様子でそう言ってくる。
鬼の珠世にしてみれば、藤の花の毒を意図的に自分の身体に投与するというのは、とてもではないが想像出来ないのだろう。
だが、それをやったのがしのぶだ。
もっとも、それでしのぶが死ぬのはどうかと思うので、今はホワイトスターで解毒の治療をしてるのだが。
「それだけ殺したい鬼がいたんだよ。……姉の仇討ちの為にもな。それ以外は鬼との共存を考えているような女だし、薬とかに関しても高い知識を持ってるから頼れる相手なんだが」
実際、しのぶの持つ薬の知識や技術というのは、天才の域に達している。
俺が最初にこの鬼滅世界に来た時に鬼殺隊の面々が戦っていた鬼。
その鬼の部下によって身体が蜘蛛のような形態に無理矢理変えられてしまった鬼であっても、人間の姿に戻せたのだから。
善逸もまた、俺が初めて会った時は手足が短くなっていた。
それを戻したのも、またしのぶの薬だった。
……とはいえ、手足が短くなっていただけの善逸と違い、完全に蜘蛛型になっていた者達は、姿こそ人間に戻れたらしいが、鬼殺隊の剣士としては戦えなかったらしいが。
そういう意味では、しのぶにも薬で出来ない事はあると考えてもいいのかもしれないな。
「そう、ですか。……そのような人と、会うのが楽しみですね」
珠世がそう言う。
珠世としのぶ……この2人が会ったらどうなるんだろうな。
お互いに医者であり研究者という共通点はあるので、上手い具合に意気投合するのか、それとも反発するのか。
個人的には上手くいって欲しいと思うんだが。
「恐らく、仲良く出来るとは思うよ」
耀哉の目から見ると、2人の相性は悪くないように思えるのだろう。
とはいえ、今の状況を考えればそうであって欲しいという思いからの言葉……いや、洞察力に優れている耀哉の能力を考えれば、やっぱり普通に友好的にやれそうだと思っているのだろう。
実際、姉から引き継いだ考えとはいえ、鬼との共存を願っているしのぶだ。
人を食わなくても、血だけで生きていける珠世とは友好的な関係を築けてもおかしくはない。
問題なのは、しのぶと愈史郎の関係だろうな。
珠世と長時間一緒にいるといういう事は、当然ながら愈史郎とも長時間一緒にいる事になる。
そうなれば、愈史郎の攻撃的な性格でしのぶに喧嘩を売るといったような感じになりかねない。
もっとも、しのぶは柱だ。
愈史郎がどうこうしようと思っても、そう簡単にどうにか出来る相手ではない。
今の状況を考えれば、寧ろ愈史郎が死んでしまう可能性の方が高かった。
しのぶと愈史郎……もし戦いが起きた場合、負けるのは愈史郎だろう。
とはいえ、珠世にとって愈史郎は身内。
そうである以上、愈史郎がしのぶに殺されるようなことがあった場合、その時は珠世と鬼殺隊の協力というのは恐らくなくなるだろうが。
あるいは、愈史郎が殺されても憎悪の方が勝り、鬼舞辻無惨を殺すまでは協力をするといったような事にもなりかねないが、出来ればそういう風にはならないでくれると助かると思う。
「そう言えば、アクセル。近いうちに刀鍛冶の里に行ってみる気はないかい?」
ふと、耀哉はそんな風に尋ねてくるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730