俺が……正確には炎獣が小屋を守り始めると、玉壺は苦戦するようになる。
当然だろう。柱の無一郎に、五飛、獪岳の3人を相手にしているのだから。
ましてや、そんな中で無一郎は痣が出たせいか、赫刀を使えるようになっている。
鬼にとって、赫刀というのは非常に厄介な武器らしい。
通常の日輪刀は、身体を斬られても痛みは感じるものの、首を切断されない限りは日輪刀でも死なない。
しかし、赫刀は違う。
身体を斬られただけで、かなりの痛みを伴う。
また、日輪刀と違って再生する速度もかなり劣ると聞いている。
そういう意味では、やはり赫刀は日輪刀の上位互換なのだろう。
……尚、当然だが五飛も気により身体強化を行っているので、その手に握られているのは赫刀となっている。
つまり、獪岳だけが普通の日輪刀を使っている事になる訳だ。
そんな3人を相手にして玉壺が有利に戦いを進められていたのは、小屋を攻撃していたからだ。
小屋を……正確には小屋の中で日輪刀を研いでいる鋼鐵塚を守る為に、3人は小屋を守る必要があった。
いや、鋼鐵塚だけじゃないな。他にも2人が小屋の中にいるのが気配で分かる。
恐らくは日輪刀の研磨を手伝っているとか、そんな感じだろう。
ともあれ、小屋の中に人がいる以上は、玉壺が攻撃をしても守る必要がある。
それによって、3人のうちの何人かを小屋の守りに集中させていたのが、玉壺が有利に戦えていた理由だった。
だが……そんな中で俺が小屋を守る為に動いた。
それにより、玉壺は3人を……それも赫刀持ちが2人もいる相手と戦わなければならなくなり、それによって厄介な状況になっているのは事実だった。
そして……そんな状況の中で、狛治が翼を羽ばたかせながら姿を現す。
「おおっ! 猗窩座殿! 援軍に来てくれたのか!」
最初にそんな狛治に反応したのは、当然のように玉壺。
既に身体を何ヶ所も赫刀で斬られており、その痛みによって苦戦をしていたところに狛治が現れたのだから、そんな風に反応するのも当然だろう。
ましてや、狛治は翼と角が生えている以外は、鬼だった頃と外見的な違いは大きくない。
だからこそ、玉壺にしてみれば狛治は上弦の参として何らかの奥の手を使って今のような姿になった……と、そう考えたのだろう。
鬼は相手が鬼であると気配とかから察知出来る筈なんだが、五飛達に追い詰められている今の状況では、気配を察知するよりも視覚の情報で判断してもおかしくはない。
そうして姿を現した狛治に真っ先に反応したのは、獪岳。
獪岳は堕姫や妓夫太郎との戦いにも参戦していた……どころか、最終的に堕姫の首を獲ったのは獪岳だ。
あの戦いに参加していた以上、敵の援軍としてやって来て、俺と戦っていた狛治の顔を覚えていてもおかしくはない。
そして獪岳が狛治に反応したのを見て、無一郎と五飛の2人も狛治に反応するが……そんな中で無一郎だけが、少しだけ不思議そうな表情を浮かべる。
「猗窩座殿、協力してこの者達を……猗窩座殿?」
無一郎達から一旦距離を取り、喜色満面といった様子で狛治に声を掛けていた玉壺。
しかし、狛治はその玉壺の言葉を無視し、翼を羽ばたかせながら俺の横に降り立った。
そして俺に攻撃をするでもなく、当然ながら無一郎達に攻撃をするでもなく……ただ黙って俺の横に立っている狛治。
そんな狛治に、玉壺は一体何が起きたのか全く理解出来ないといった様子を見せる。
……この隙に無一郎達も攻撃をすればいいと思うんだが、上弦の参と思しき鬼が姿を現し、更には俺の横に黙ったまま立っているというのは、玉壺だけではなく無一郎達にも疑問を抱かせるには十分だったのだろう。
とはいえ、いつまでもこのままにしておく訳にもいかないが。
そう判断し、俺は隣に立つ狛治に話し掛ける。
「ここまで来るのが大分遅かったな。翼はまだ使いこなせないのか?」
俺のその言葉に、狛治は少し悔しそうにしながら頷く。
「翼が生えたばかりだしな。もう少し時間があれば、もう少し使いこなせると思うのだが」
「童磨との戦いではそれなりに上手く使っていたように思うけどな」
「あの時は、翼を使うのは少しだけだっただろう」
そう言われると、確かにそこまで翼を大きく使っていなかったような気がする。
とはいえ、それでもある程度使えていたのは間違いない。
「あ、猗窩座殿……? 一体何を……?」
俺と話している狛治を見て、玉壺は恐る恐るといった様子で尋ねる。
理由はどうあれ、今は一体どういう状況になっているのかは理解しているのだろう。
だが、それでも狛治が自分の敵に回ったというのは、納得出来ないといったところか。
「今の俺は上弦の参の猗窩座ではない。アクセル・アルマーの召喚獣、狛治だ」
その言葉に、玉壺は……そして玉壺だけではなく、五飛を含めた面々にとっても十分な驚きだった。
「あの御方を裏切るというのですか!」
玉壺が怒りと理解不能といった様子で叫ぶ。
……ここで鬼舞辻無惨の名前を口にすれば、呪いによって玉壺が死んでいたんだが、さすがにそれを口にしたりはしなかったらしい。
「今の俺は鬼舞辻無惨に仕える鬼ではない」
鬼舞辻無惨の名前を口にしたのだが、今の狛治が鬼ではない証拠だった。
もっとも、額から角が生えているので、ぶっちゃけ玉壺と今の狛治のどちらが鬼らしいのかと言われれば、まず殆どが狛治の方が鬼らしいと言うだろう。
「そんな訳で、無一郎、獪岳、五飛。この狛治は元は鬼かもしれないが、今は俺の召喚獣だ。敵じゃない」
「納得出来ないけど、今は納得しておくよ」
無一郎にしてみれば、狛治が鬼であったという事実がある以上、それがすぐ味方になったと言われてもすぐには納得出来ないのだろう。
あるいはこれが禰豆子のように、人を食った事がない……もしくは、珠世のように人を食べなくても血を飲めばいいのに対して、狛治は鬼だった時に相応に人を食っている。
聞いた話だと狛治が人を食っているのは最低限で、鍛錬をして強くなっていたらしい。
それでも、人を食ってるのは間違いなく、無一郎にしてみればその辺りが許容出来ないのだろう。
まぁ、その辺はしょうがない。
俺も狛治が人を食ってるのを承知の上で召喚獣の契約を結んだのだから。
とはいえ、その件を考えると他の者から受け入れられるかとなると、微妙だろう。
少なくても、俺の召喚獣になったからといって鬼滅世界にいるというのは難しいと思う。
最終的にはホワイトスターで暮らす事になりそうだな。
この場合問題なのは、狛治が江戸時代の生まれだという事だろう。
明治、大正時代も経験してるのだが、基本的に鬼は日中に動くことは出来ない。
また、狛治は夜になっても街中で活動したりといったような真似をせず、修行に専念していた。
そうである以上、技術の発展を理解することは難しい。
そんな江戸時代で頭の中が止まっている狛治が、ホワイトスターで無事に生活出来るのかと言われると、ちょっと疑問だ。
それでもある程度時間が経過すれば、慣れるとは思うが。
ともあれ、無一郎は狛治の存在に取りあえず納得する。
これは狛治から鬼としての気配がなくなっているのも、影響してるのだろう。
五飛は元々この世界に来てからそこまで経っていないので、鬼に対する嫌悪感はそこまで強くはない。
それでも人を喰い殺す鬼に対しては、許せないと思っているみたいだが。
……ただ、狛治の性格を考えると、淡々と訓練を積み重ねるという点で五飛と友好的にやれると思うんだが。
この辺は五飛と狛治が交流をしてからはっきりするだろう。
そして獪岳は……こいつが一番複雑な表情を浮かべていた。
とはいえ、獪岳がそんな表情を浮かべている理由は俺にも理解出来る。
獪岳は行冥との約束で十二鬼月や鬼舞辻無惨を殺さなければならない。
しかし、そんな約束をしたにも関わらず、今のところ殺した十二鬼月は堕姫だけだ。
その堕姫にしろ、獪岳1人で倒したという訳ではなく、善逸や伊之助を始めとした面々と協力し、それでようやく倒せたのだ。
倒せたというか、最終的に堕姫の首を切断することが出来たのが獪岳であるというだけでしかない。
それを示すかのように、上弦の鬼を倒したのに獪岳は柱になっていなかった。
下弦の鬼を倒せば、それだけで柱になるのだが。
この辺が、鬼殺隊の方でも獪岳だけの力で堕姫を倒したという風に認識されていない証だろう。
そんな獪岳にしてみれば、自分が倒すべき相手である十二鬼月の1人が俺の召喚獣……分かりやすく言えば部下になったというのは、思うところがあって当然だろう。
これでまた、獪岳が倒すべき相手が1人減ってしまったということなのだから。
「ぐぬぬ……あの御方を裏切るとは、許せん!」
玉壺が苛立ちと共に鋭く叫ぶ。
「血鬼術、一万滑空粘魚!」
その言葉と共に、玉壺の持つ壺から無数の魚が飛び出してくる。
鋭い牙を持つその魚は、見るからに攻撃的な性格を持っているのは間違いなかった。
そして……当然だが、その魚の群れが突っ込んだのは、狛治。
だが、狛治がいるのは俺の隣である以上、牙を持つ魚の攻撃は俺にも向かってくる。
「面倒な血鬼術を使う」
そう言いながら、腕を大きく振るう。
すると空間に突然白炎による壁が形成され、牙を持つ魚は次から次に白炎の壁に突っ込んでは、燃えつきていく。
「何ぃっ!?」
まさかこの展開は予想していなかったのか、玉壺の叫びが周囲に響き……だが、すぐに慌てた様子でその場から退避する。
一瞬にして玉壺のすぐ側まで近づいていた五飛の振るう日輪刀が、玉壺の殻を僅かに傷付ける。
しかし、五飛の振るう日輪刀は赫刀で、鬼に対して与える痛みは普通の日輪刀とは比べものにならない。
その痛みに悲鳴を上げ、再び退避しようしたところに、炎獣の群れが突っ込む。
当然ながら、玉壺は炎獣が強力な相手だと知っているので、再度その場から退避するが、無一郎や獪岳も次々と攻撃を仕掛けていく。
元々、玉壺の血鬼術は数によって相手を蹂躙するというものだ。
雑魚を相手にする分には、かなりの戦力となるだろう。
だが……その長所を殺すような、自分よりも上位に位置するような広域破壊攻撃を可能とする俺を相手にした場合、どうなるか。
それが現在俺の視線の先に存在していた。
自分の得意とする広範囲攻撃は俺に迎撃されるので、新たな血鬼術を使って壺から蛸の足に似たのを出す。
……個人的には蛸ってかなり好きな食材なんだが、玉壺の出した蛸は食べたいとは思わないな。
明らかに毒を持ってそうだし、もし毒がなくても身体に悪い何らかの物質はもってそうだ。
「く……なら、これで! 血鬼術、陣殺魚鱗!」
そう叫んだ瞬間、玉壺は素早く移動する。
するのだが……
「甘いよ」
速度そのものにはついていけない無一郎だったが、痣を出したことによって赫刀を使えるだけの力を手に入れただけではなく、身体能力全般が上がっているのか、玉壺の攻撃を読んだかのように動いて回避し、それどころか玉壺が自分の横を通った時に日輪刀を振るってダメージを与える。
「がああああああっ!」
赫刀の一撃を受け、痛みに悲鳴を上げる玉壺。
そうして痛みに悲鳴を上げると、当然ながら動きは鈍る。
五飛と獪岳の2人がその隙を逃す筈もなく、玉壺に向かって突っ込んでいく。
しかし、玉壺もこの状況では危険だと判断したのか、痛がったままではなく、素早くその場から退避しようとし……
「させると思う?」
「……え……」
まるで瞬動でも使ったかのように玉壺の真後ろにやって来た無一郎が赫刀を振るう。
「霞の呼吸、肆ノ型、移流斬り」
流れるような動きで振るわれた赫刀は、次の瞬間には玉壺の首を切断していた。
その一撃によって、勝負はついた。
とはいえ、さすが上弦の鬼。
首だけになってもすぐに死ぬような事はなく、色々と喚いているのだが……勝負がついたのだから、俺がこれ以上ここにいる必要はない。
白炎の壁を消し、炎獣も同様に消すと、その場にいる者達に向かって声を掛ける。
「玉壺が倒された以上、俺は次に行く。刀鍛冶の里の中央付近で半天狗とかいう上弦の鬼が暴れているらしい。あっちには炭治郎達がいるけど、上弦の肆を相手にするのは、まだちょっと厳しいと思うからな」
炭治郎達も、必死になって訓練を行っている以上は以前と比べても明らかに強くなっている。
しかし、だからといって上弦の鬼と互角に渡り合えるかと言われれば、俺は素直にその言葉に頷くような真似は出来ない。
だからこそ、今は少しでも早く炭治郎達のいる場所に……半天狗のいる場所に行く必要があった。
この場にいる誰もが、俺の言葉に反対はない。
……無一郎だけは、狛治に対してまだ納得したとは言えないような視線を向けていたが、それでもここでいきなり攻撃を仕掛けて来るといったようなことはない。
「よし、狛治。行くぞ」
そんな俺の言葉に、狛治は無言で頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1810
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1730