「よくやった!」
万世極楽教を襲撃し、上弦の弐である童磨を殺したという報告を聞いた耀哉はそう叫ぶ。
いつもは物静かな耀哉なのだが、そんな耀哉をして叫ぶ程の快挙という事なのだろう。
快哉と呼ぶに相応しい声。
十二鬼月の中でも、上弦の鬼はここ100年程は全く倒せなかったのだ。
それを思えば、俺達が協力したとはいえ、この短期間で上弦の陸から肆を倒し、参の狛治は今は俺の召喚獣となり、残りの上弦の鬼は壱と弐だけだった。
そんな中で上弦の弐の童磨を倒し、これで鬼舞辻無惨に残る戦力は上弦の壱だけ。
貿易商に対する青い彼岸花を使った罠については、着々と進んでいる。
そんな中で、鬼舞辻無惨の持つ戦力を出来るだけ削るというのは非常に大きい。
ましてや、上弦の壱は呼吸を使う鬼……つまり、剣士だ。
それに対して童磨は血鬼術を得意とする鬼……いわば、魔法使い。
エヴァ風に言えば、童磨は自分で動いて近接戦闘もこなす戦闘方法なので、魔法剣士といったところか。……血鬼術だけど。
とにかく、血鬼術が得意な童磨である以上、いざ全面戦争ということになったら童磨の血鬼術によって、鬼殺隊の剣士の中でも一定以下の実力しかない者は、即座に全滅してもおかしくはない。
……もっとも、そんな程度の実力しかない奴が上弦の壱や鬼舞辻無惨と戦う事になれば死ぬのは確定なのだが。
「それで、お館様。これからの事ですが……どうなるのでしょう?」
しのぶの問いに、耀哉は笑みを浮かべて口を開く。
「現在鬼舞辻無惨を罠に仕掛ける準備は着々と進んでいる。だが……実際にその時が来るまでは、まだ少し時間がある。それで考えたのだが、鬼殺隊の全員を強化する為の稽古……柱稽古をするというのはどうだろう?」
「柱稽古? その名前からすると、柱が強くなる為に稽古をする訳じゃなくて、鬼殺隊の剣士を全体的にレベルアップ……強化する為に、柱が剣士を稽古するのか?」
「アクセルの言う通りだよ。痣の出る条件……39度を超える体温と、200以上の心拍数。これを超えるという意味も含めている。ただ、柱稽古だけで痣が発現するのか分からない以上、柱にももっと厳しい訓練を行いたい。そこで……アクセル、エヴァに訓練を頼めるかい?」
「エヴァに? どうだろうな」
エヴァにとって、鬼滅世界で行われている炭治郎達の訓練は、鬼滅世界で観光をする為の交換条件によるものだ。
炭治郎達との訓練だけでもかなり面倒そうにやっているのに、そこに柱の訓練も任せるとなれば、エヴァがそれを受け入れるかどうかは微妙なところだろう。
「どうにかしてお願い出来ないかな? エヴァの指導能力が非常に高いのは知っている。炭治郎達も、短時間で驚く程に強くなっていると報告があるしね」
「その厳しさについてこられる奴限定の効果だけどな」
エヴァの訓練は、まさにスパルタという表現が相応しい。
幸いなことに、炭治郎、善逸、伊之助、カナヲはその訓練についていけるだけの実力があった。
だからこそ短時間で炭治郎達は実力を上げたのだ。
……いやあまぁ、炭治郎はこの世界の主人公である以上、主人公補正とかそういうのもあるのかもしれないが。
「柱の訓練をするんだ。柱がその訓練についていけないということはないと思うけどね」
「そう言われるとそうか。けど……柱の方には柱の方で問題があるんじゃないか?」
しのぶや蜜璃を始めとして、シャドウミラーに……そして吸血鬼のエヴァに友好的な柱は増えている。
だが、そんな中でも実弥と小芭内の2人は、圧倒的なまでに鬼を嫌っていた。
そうである以上、エヴァから訓練を受けるかと言われれば……正直、微妙だろう。
「その辺は私が説得するから、気にしなくてもいい。あの2人も、何だかんだとシャドウミラーの存在には慣れてきている筈だ。そうである以上、エヴァの訓練も普通に受けるかもしれないだろう? それに……エヴァの訓練を受ければ、間違いなく強くなる。鬼を嫌っているあの2人が、自分が強くなるのとエヴァの存在のどちらを受け入れるのか……かなり葛藤するだろうけど、最終的には訓練を受けるのを受け入れると思うけどね」
そうか? と俺は疑問なのだが、耀哉は俺よりも当然だが実弥や小芭内についてよく知っている。
そんな耀哉が断言をするのなら、それは当然のようにその通りになってもおかしくはないのかもしれない。
「それと……そうだね。以前アクセルがエヴァが一般人を保護して欲しいみたいな事を言っている、というのがあっただろう?」
「保護? ……ああ、そう言えばあったな」
本来の歴史なら、大正時代に技術が途絶えたとか何とか。
その技術を持っている人物をシャドウミラーで保護したいという話が政治班に出ていた。
政治班の方でも一般人を……それも大正時代の者を連れて来てもいいのかという事で結構な議論になったとか何とか。
「エヴァが柱の特訓を引き受けたのなら、その人物の保護は私達で引き受けてもいいけど、どうする?」
「それは……なるほど」
耀哉の交換条件は、決して悪いものではない。
エヴァが保護しようとしていた人物は、生活環境が全く違うホワイトスターで生活出来るかどうかは分からない。
しかし、それが鬼殺隊ならどうだ?
勿論、現在保護したい人物が住んでいる場所と比べると、鬼殺隊の隠れ里は生活環境が違うだろうから、戸惑うことがあってもおかしくはない。
しかし、それでもホワイトスターと鬼殺隊の隠れ里となれば、同じ大正時代というだけあって、悪い話ではない。
問題なのは、その技術を継承していけるかどうかという事だが……鬼殺隊に所属している者は結構な人数がいる。
それを思えば、中には技術の継承に興味を持つ者や、才能を持つ者がいておかしくはない。
「考えたな」
「そうだね。何しろ柱に痣が発現するかどうかというのは、鬼舞辻無惨と戦う時に大きな意味を持つ。また、痣を抜きにしても単純に鍛えるだけで強くなるのだから、エヴァに頼まない方がおかしい」
そう言い切る辺り、耀哉としても完全に呪いの件を吹っ切ってるな。
完全に呪いを吹っ切る為には、それこそ鬼舞辻無惨を殺す必要があるのだろうが。
「話は分かった。エヴァが引き受けるかどうかは別として、その件をエヴァに伝えるのはやってもいい。ただ……しのぶは見た事があるから分かると思うが、エヴァの訓練は厳しいぞ。それこそ相手が柱であっても……いや、柱であれば余計に炭治郎達よりも厳しい訓練になると思う。それでもいいんだな?」
「構わないよ。しかし……そんなに厳しいのかい?」
耀哉の視線はしのぶに向けられる。
そんな耀哉に対し、しのぶは即座に頷いた。
「はい、お館様。私もカナヲが訓練しているところを見た事が何度かありますか、かなり厳しい訓練でした。ですが、訓練をしている者の限界を見極める辺りに才能を感じます」
しのぶが褒めるが、実際にエヴァは教育者としての才能があるのは間違いない。
スパルタなので、あくまでもエヴァの訓練についてこられる者限定での話だが。
「ふむ。では……そうだな。希望者だけがエヴァの訓練を受けられるということでどうだろう? 柱稽古を行うとなれば、そちらで精一杯の者もいるかもしれない。そのような者がいる事や、どうしてもエヴァと訓練をしたくないのなら、私からも無理にとは言えないからね」
「耀哉がそれでいいのなら、俺は構わない。エヴァの方も……さっきの条件なら、引き受けてくれる可能性が高いし」
自分が確保しようとしていた職人を確保し、鬼殺隊の中から後継者を用意出来るかもしれないのだ。
エヴァにしてみれば、柱に稽古をつけるのは面倒だという思いが強いのかもしれないが、それでも条件を考えると引き受ける可能性が高いと思える。
「では、話は決まったね。……本来なら、上弦の弐を倒したのだから盛大に祝ってやりたいところなのだが、今の状況を思えばそう簡単にそのような真似は出来ないんだ。悪いけど、今はまず鬼を倒すことに専念して欲しい」
そう言われ、童磨の討伐についての報告とこれからの件についての話は終わるのだった。
耀哉との話が終わると、俺は狛治と一緒に鬼殺隊の隠れ里の中にある草原にきて話をしていた。
「なるほどな。鬼殺隊もなかなかやる。確かに今の鬼舞辻無惨であれば、青い彼岸花を見つけたという報告があれば、何としてもそれを手に入れようとするだろう。また、鬼舞辻無惨は基本的に部下は信じていないし、人は餌という認識だ。そうである以上、青い彼岸花が見つかったという知らせがあれば、間違いなく自分で確認するだろう」
狛治は耀哉の計画を聞いてそんな風に言う。
鬼殺隊の中で、鬼舞辻無惨について一番詳しいのは当然ながら狛治だ。
実際に鬼舞辻無惨に仕えていたのだから、そのようになるのは当然の話だろう。
だからこそ、鬼舞辻無惨なら青い彼岸花が見つかれば必ず自分で取りに来ると断言出来たのだろう。
「鬼舞辻無惨の願いは、太陽の克服だ。その為に鬼を増やしていたという一面もあるのだから。そうである以上、もし太陽を克服出来た鬼が出て来たら、青い彼岸花を放っておいてその鬼を吸収する事で太陽を克服するといった手段に出たかもしれないが」
「そんな鬼はいない、と」
そう告げる俺の言葉に、狛治は頷く。
そんな狛治を見て、ふと思いついた事があった。
この世界の主人公は、炭治郎。
そして炭治郎の妹の禰豆子は鬼。
しかもただの鬼ではなく、鬼舞辻無惨の支配から逃れている特殊な鬼だ。
もしかして……本当にもしかしてだが、実は禰豆子って太陽を克服した鬼になっていた可能性がないか?
これはあくまでも俺の予想だが、可能性としては決してない訳ではないと思う。
とはいえ、既に今の禰豆子は薬によって人間に戻っており、鬼の能力は失っている。
だとすれば、そんな事を考えても今更か。
……鬼舞辻無惨がこの世界の原作について知ったら、烈火の如く、それこそ怒髪天を突くといった形で怒り狂ってもおかしくはないような気がするが。
とはいえ、今の状況でそんなことを考えても意味はないか。
「アクセル、どうした? もしかして太陽を克服した鬼を知ってるのか?」
「いや、太陽を克服したのなら、狛治もそうだなと思っただけだ」
そう視線を向けると、狛治は首を横に振る。
「確かに俺は太陽を克服したし、額から角が生えているが、鬼ではない。それはアクセルが一番理解しているだろう?」
「だろうな。今のは戯れ言だよ」
そう言って地面に見ると、草原に俺の影があった。
そんな影を見て、ふと気が付く。
「そう言えば、今まですっかりと忘れていたんだが……狛治は俺の召喚獣になった以上、お前の先輩に当たる召喚獣とも会っておいた方がいいよな」
「先輩……? そのような存在がいるのか? アクセルの血に耐えられるような存在が?」
まさか自分以外にあの血に耐えられる存在がいるとは思っていなかったのか、狛治の口からはそんな驚きの声が漏れる。
その血の持ち主である俺が言うのも何だけど、俺の血って一体どういう感じなんだろうな。
「ああ。2匹……いや、1人と1匹か? ただ、1匹の方はちょっと大きすぎて目立つから、ここで召喚するような真似は出来ない」
グリはその大きさもそうだが、グリフォンとドラゴンが混ざってるという時点でかなり目立つ。
ここは鬼殺隊の隠れ里だから、警察に知らせがいったりといったようなことはないと思うが、それでもグリを出すと色々と面倒なことになりかねない。
そうならないようにする為には、グリではなくもう1人の方を見せた方がいいだろう。
幸い、刈り取る者は俺の影の中に潜んでいるのですぐに呼び出せるし、何よりも大きさそのものは人とそう変わらないので、騒ぎになりにくい。
……もっとも、それはあくまでも小さいからであって、外見は色々な意味で強烈な印象を残すし、何より実際に戦闘をするといったような事になったら、グリ以上に目立ってもおかしくはないんだが。
「そんな訳で……出て来い」
まだ狛治がしっかりと返事はしていなかったものの、俺は影を軽く蹴って刈り取る者呼び出す。
すると次の瞬間、俺の影から刈り取る者が姿を現した。
「っ!?」
刈り取る者を見た瞬間、狛治は後ろに大きく跳び、半ば反射的に構える。
その行動は、まさしく武術家と呼ぶに相応しいものだった。
「落ち着け。見ろ、刈り取る者も攻撃をする様子はないだろ?」
そんな俺の言葉に従うように、刈り取る者は何も攻撃せず、黙って狛治を見る。
その視線の中に、不思議と親近感のようなものを感じたのは、俺の気のせい……ではないと思う。
もっともそれを感じることが出来たのは、あくまでも俺だからであって、狛治は未だに刈り取る者に対して警戒心を抱いているようだったが。
「落ち着け。これは刈り取る者。お前と同じ俺の召喚獣だ。さっきも言っただろう? 先輩だ」
「先輩……」
狛治はそんな風に言いながら、ようやく警戒を解いて刈り取る者に歩み寄るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1815
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1731