ゲイ・ボルクと血鬼術で作られたと思われる刀。
そんな武器を手にした俺と黒死牟は向き合う。
黒死牟にしてみれば、出来るだけ早く俺を倒さないと鬼舞辻無惨が殺されてしまう可能性が高い。
それはつまり、時間稼ぎをするといったような真似はせず、少しでも早く俺を倒す必要があるという事だ。
何しろ鬼舞辻無惨が殺されてしまえば、その時点で黒死牟もまた死んでしまうのだから。
だからこそ、黒死牟は様子見をせず一気に俺との間合いを詰めてくる。
へぇ、月の呼吸を使ってくるのかと思ったが、そういうのを使わず普通に剣術だけで攻撃してくるか。
とはいえ、黒死牟は鬼としてもかなり古い存在であると考えれば、その一撃は素早く、鋭い。
鬼としての高い身体能力と、長年……それこそ狛治よりも長い間、剣術の修練をしてきた積み重ね、そして狛治は殆ど人を食わなかったが、黒死牟は……どうなんだろうな。鬼として長いというのを考えれば、普通に人を食っていてもおかしくはない。
そんな風に思いつつ、ゲイ・ボルクを使って振るわれた刀の一撃を受け流す。
「ほう」
自分の攻撃が受け流されたからだろう。
黒死牟の6つある目が驚きと嬉しさの色を宿したように思えた。
本当にそう思っているのかどうかは分からない。
だが、そう思えたのは間違いない。
「ほら、今度はこっちからだ!」
攻撃を受け流したその動きのまま、俺はゲイ・ボルクを振るう。
刀の間合いである以上、当然ながら俺のいる場所から黒死牟に対して強力な一撃を放つような真似は出来ない。
だが……それはあくまでも普通に攻撃する場合の話だ。
ゲイ・ボルクの穂先ではなく、石突きの部分で黒死牟の胴体を狙うが、黒死牟は即座に俺の狙いを悟ったのだろう。
後方に跳躍することで俺の攻撃を回避する。
数百年もの間剣術の修行をしてきただけあって、黒死牟の技量は確かに高い。
元々の才能もあるのだろうが、その才能にプラスして長年の修行を積み、鬼となる事で得た高い身体能力を十分に使いこなしていた。
鬼の中には、鬼になった事で高い身体能力を得たにも関わらず、それを十分に活かせず、振り回されている者も少なくない。
雑魚鬼と俺が称している奴は、そういう奴のいる割合が多かった。
勿論十二鬼月級になれば問題なくその身体能力を使いこなしているし、そこまでいかなくても普通の鬼の中でも十分にその高い身体能力を使いこなしている者はいる。
だが……それでも、やはり黒死牟は上弦の壱という、鬼の中でも最強の地位にいる者だけあってか、他の者よりも明らかに上だった。
こう言っては何だが、鬼だった時の狛治と比べても1段……いや、数段上の実力者なのは間違いない。
「何で呼吸を使ってこないんだ? 黒死牟、お前の戦いは月の呼吸があってのものだろう? 実際、俺が来るまでは月の呼吸を使って多くの相手を倒していた筈だ」
周囲には、鬼殺隊や神鳴流の剣士達の物と思われる腕や指、足……そんな部位が幾つも転がっている。
それでも死体が転がっていないのは、柱である小芭内がいたり、日の呼吸の使い手である炭治郎がいたり、ネギま世界では多くの妖怪とかを相手にしている神鳴流の剣士がいたからだろう。
もしそれらがおらず、鬼殺隊の剣士……それも小芭内や炭治郎がいなかった場合、どうなっていたか。
恐らく……いや、恐らくではなくほぼ確実に、この周辺には鬼殺隊の剣士の死体が大量に転がっていただろう。
「貴様が一体どのような存在なのか分からないから、というのが正しい。私の目から見ても、貴様が一体どのような存在なのかが分からない。そのような相手だけに、月の呼吸を使って戦うより、少し様子を見たいと思ったのだ。もっとも……いつまでもそのような真似をするといったことは出来ないがな」
「だろうな。お前が俺に……正確には俺の内部か? そういう場所に興味を持つのはともかく、ここで俺を相手に時間を使うような真似をした場合、鬼舞辻無惨は見つかってあっという間に殺される可能性がある」
鬼舞辻無惨の身体に注入された、10種類以上の毒。
鬼舞辻無惨は何とかそれを解毒するなり、身体の外に出したりといったような真似をしてもおかしくはないのだが、そう簡単にそのような真似が出来る筈もない。
そうなると、黒死牟は少しでも早く俺を倒す必要があった。
……あるいは俺と戦わなくても逃げるといった可能性もあったが……狛治から聞いたり、こうして直接話した経験から考えると、黒死牟はこういう場所で逃げるといったような真似はまずしない。
「それが分かっているのなら……行くぞ」
「待て」
一応、本当に一応といったことが思い浮かび、黒死牟が刀を構えるのを止める。
黒死牟は俺のその言葉に一瞬訝しげな様子を見せつつも、少しだけだが気を緩める。
俺の言葉から、ただ時間稼ぎをする為にそのような事を言ってる訳ではないというのを理解したのだろう。
実際、時間稼ぎというつもりではなく、もっと別の理由で待ったを掛けたのだから。
「何だ? この期に及んでまだ何かあるのか?」
「ああ。これは狛治にも言ったんだが……一応、お前にも聞いておく。もしお前が今よりも更に強くなりたいのなら、狛治と同じく俺と召喚魔法の契約を結ばないか?」
「狛治……? ああ、猗窩座か。そのつもりはない」
童磨とはしのぶの関係もあったし、狛治もまた因縁があった。
普通に煽ってくる童磨の性格を考えると、俺としても童磨とは根本的に合わないと思った。
だからこそ童磨に対しては召喚獣としての契約をしないかと聞くような事はなかった。
だが、黒死牟はそんな童磨とは違い、強さを求めている。
ある意味では、狛治と同じようなタイプだ。
勿論全く同じといった訳ではなく、その中には微妙に違うところもあるのだろう。
それは俺にも分かってはいる。
分かってはいるものの、それでも召喚獣としての契約をしないかと聞いたのだが……まさか、ここまではっきり断られるとは思わなかった。
「鬼である今よりも、間違いなく強くなれるぞ? また、それ以外にも太陽の下を普通に歩けるようになる。勿論、デメリット……不利益な部分がない訳でもないが」
具体的には、鬼としての高い再生能力はなくなるし、血鬼術も使えなくなる。
だが、その代わりのメリットとして、召喚獣としての独自の能力を得られたりもする。
狛治の場合、ドラゴンの翼によって自由に空を飛べるようになったし、額から生えている角からは雷を放てるようになった。
……鬼だった頃は角がなくて、鬼ではなくなって俺の召喚獣となった事によって角が生えてきたってのは、少し皮肉を感じるが。
「そうかもしれん。だが、私にはそのつもりはない」
自分が強くなるのを最優先にするのなら、俺の提案を受け入れてもおかしくはない。
だが、そんな俺の提案を黒死牟は蹴った。
これは自分が強くなるだけではなく、もっと別の理由……具体的には鬼舞辻無惨を守るとか、そういうつもりなのか?
狛治から聞いた話によると、鬼舞辻無惨はとても優秀な人物だとは思えない。
それこそ、その場の感情によって下弦の鬼の大半を殺すといったような真似をするのだから。
そのような相手を守る為に俺の言葉を断る……というのは、少し疑問だ。
とはいえ、それはあくまでも俺がそんな風に感じるというだけだ。
黒死牟にしてみれば、鬼舞辻無惨は自分が守るべき相手だと思っていてもおかしくはない。
正直なところ、理解に苦しむ。
理解に苦しむものの、黒死牟が俺の言葉に反対する以上は無理に進めるといった真似は出来ない。
「そうか、分かった。こうして話が出来たのは悪くなかった。後はもうこれ以上は話をしても意味はないか」
「そうして貰おう。私もこれからは本気でいかせて貰おう」
そう言い、刀を構え……
「月の呼吸、陸ノ型、常夜孤月・無間」
その言葉と共に、黒死牟の全周囲に斬撃が放たれる。
当然ながら全方位という事は、俺のいる場所にも斬撃が放たれるが……
「白炎」
その言葉と共に、俺に向かって来た斬撃そのものが白炎によって燃やされる。
まさかそんな攻撃によって迎撃されるとは思っていなかったのだろう。
一瞬……本当に一瞬だけ動きを止め、そんな状況は俺にとっては十分だった。
瞬動を使って一気に黒死牟との間合いを詰め、その頭部に向かってゲイ・ボルクの一撃を放つ。
「月の呼吸、参ノ型、厭忌月・銷り」
そんなゲイ・ボルクの一撃を迎撃するように、黒死牟の新たな一撃が放たれる。
その攻撃は、横薙ぎの二連撃。
ただし当然のようにただの攻撃ではなく、月の呼吸で生み出された月輪が刀に付着し、それによってただの斬撃とはまた違う回避のしにくさを与えている。
「けどな!」
俺の影から伸びた影槍が、黒死牟の刀を受け止める。
「なっ!?」
影槍というのもまた、黒死牟にとっては予想外の攻撃方法だったのだろう。
あるいは狛治と俺の戦闘について鬼舞辻無惨経由で聞いていたかもしれないが、百聞は一見にしかずという奴か。
ともあれ、意表を突かれて動きが止まったそんな黒死牟の胴体に、ゲイ・ボルクの突きを放つ。
「ぐおっ!」
さすがに初見殺しの技だったのか、黒死牟はそんな一撃をまともに食らって吹き飛ぶ。
それでも鬼だけあって即座に傷を癒やそうとし……
「何っ!?」
本来なら一瞬で癒やせるだろう傷が、何故か即座に回復しない事に驚きの声を上げる黒死牟。
「言っておくが、この槍はただの槍じゃない!」
そう言い、再び瞬動で間合いを詰めて連続で突きを放つ。
ゲイ・ボルクは宝具だ。
その効果の1つに、回復阻害というのがある。
……とはいえ、この回復阻害そのものはそこまで強力な効果ではないのだが、それでも宝具であるだけに、黒死牟の持つ強力な再生能力をも上回っているのだろう。
あるいは黒死牟の持つ再生能力を行う鬼の血……鬼舞辻無惨の血がゲイ・ボルクの持つ神秘よりも濃いのなら、ゲイ・ボルクの回復阻害の効果を上回って回復する事も出来るのかもしれないが。
「貴様、その槍は一体何だ!?」
一撃でも食らえば、それは黒死牟にとって致命的な一撃になると理解している為だろう。
黒死牟は刀を使って必死に俺の一撃を回避しつつ、そう叫ぶ。
俺が一方的に突きを放ち、黒死牟は刀で何とかそれを防ぐ。
黒死牟にしてみれば、まさか鬼になって得た自分の再生能力が封じられるとは思っていなかったのだろう。
狛治もそうだったが、鬼となった者はどうしてもその高い再生能力がある為に、そちらに頼ってしまう。
それも本人の意識とは裏腹に、半ば無意識にといったような形だ。
ましてや、黒死牟は鬼となってからかなり長い年月を生きている。
既に人として生きてきたよりも、鬼として生きてきた時間の方が長いのだ。
そうである以上、当然だがどうしても鬼としての反応をしてしまう。
本人もそれが分かっているからこそ、焦っているらしい。
……まぁ、正直なところその気持ちも分からないではない。
今まで黒死牟が戦ってきた相手は、鬼殺隊の剣士が大半だろう。
鬼殺隊の剣士は呼吸こそ使うし、その呼吸によって人間とは思えない動きをするものの、言ってみればそれだけだ。
人間離れした動きはするが、本当の意味で人外の……例えば血鬼術でなければ出来ないような特殊な攻撃というのはない。
いやまぁ、もしかしたら俺が知らないだけでそういうのがある可能性は否定出来ないものの、それでもどうしてもその力が低くなるのは当然の話だった。
鬼の再生能力を封じるといったような呼吸は……どうだろうな。
「くっ! 貴様っ!?」
苛立ちと共に刀を大きく振るい、刀身から伸びている枝刃とでも呼ぶべき場所でゲイ・ボルクに接触すると……ゲイ・ボルクと刀が触れている場所から、黒死牟が一体何を狙ったのかを理解し、その動きに合わせるようにしてゲイ・ボルクを動かす。
ガィッ、と。そんな鈍い音が周囲に響き渡る。
まさか今の自分の攻撃が止められるとは思わなかったのか、黒死牟は驚きの表情を浮かべ…その右腕にゲイ・ボルクの突きを放つ。
咄嗟に回避し、致命傷……右腕が動かなくなるような一撃を回避した辺りはさすがだったが、それでも右腕にそれなりに大きなダメージを受け、当然ながらその一撃もゲイ・ボルクである以上は回復阻害によって再生は出来ない。
「甘いな。俺からそう簡単にこの武器を奪えると思ったか?」
ゲイ・ボルクの名前は一応口にしない。
大正時代の日本にクー・フーリンの伝承が伝わっているかどうかは分からないが、その伝承によってこの槍の効果を理解されるのは防ぎたい。
先程の黒死牟の一撃……枝刃でゲイ・ボルクを搦め捕り、奪うか、それとも俺の手から落とそうとしたのか。
その辺は分からなかったが、それでも向こうの意図を挫いたというのは、俺にとってはプラスだった。
「さぁ、続きだ。この調子でお前を回復させずに倒す。……それを防げるかな?」
そんな俺の言葉に、胴体と右腕に傷を負ったままではあったが、黒死牟は刀を構えるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1815
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1731