「さて……」
ゲイ・ボルクによって頭を貫かれた黒死牟は、その全てが塵となって消えた。
黒死牟に対しては色々と思うところがあったものの、それでも今こうして塵になって死んだのを思えば、どことなく不思議な気分となる。
知り合いらしい相手の名前を呼んでいたのも、気になったが。
黒死牟は鬼の中でも最も鬼舞辻無惨と近しい存在だったのは間違いない。
そういう意味では、その黒死牟を殺せたというのは大きな意味を持つんだろうが。
「まぁ、今はそれよりも早くやるべき事をやらないとな」
黒死牟に対しての思いは色々とあるものの、今はまずそれよりも優先するべき事があった。
鬼舞辻無惨がどこにいるのか見つかったのかどうか。
しのぶや珠世、マリュー、レモン……それ以外にも何人かの技術班の者達が作った毒によって、今の鬼舞辻無惨はまともに動けてはいない筈だ。
寧ろそんな状況であっても死んでいないという時点で素直に凄いと思うが。
ともあれ、今はまず何とかして鬼舞辻無惨を見つける方が先だった。
「取りあえず狛治のところに戻ってみるか。何か情報があるかもしれないし」
狛治の事を思えば、そこに情報が集まるとは思えない。
だが、鳴女から情報を得ようとするような者もいるかもしれないし、そのような相手と狛治が揉めたりしないようにというのを考えれば、ここは一旦戻っておいた方がいいかもしれないと判断する。
そうして空中に浮かんで移動していると、戦場となっている場所ではかなりバラバラになってはいるが、未だに鬼との戦いが続いていた。
とはいえ、鳴女は狛治が押さえ、上弦の壱の黒死牟は俺が倒した。
そうなると、この戦闘は雑魚鬼との戦いが主なのだろう。
それでも結構な数の雑魚鬼がいたのを考えると、この戦いはいつまで続くのやら。
いや、どのみち朝になればそれで鬼は死ぬんだから、もう数時間といったところか。
あるいは朝が近くなったと判断して、鬼はさっさとその場から逃げ出そうとするか。
……そのどちらを選ぶにしても、どのみち鬼舞辻無惨が死んでしまえば意味はない。
雑魚鬼が今のこの状況のどこまでを理解しているのかは、生憎と俺にも分からないが、
また、ドロも何だかんだと結構活躍している様子だ。
何機ものドロが空を飛び、地上に向かってフレイボムを放っているのが見えた。
ちなみに、そのような大規模な戦いの巻き添えを受けて、鬼舞辻無惨と交渉した屋敷は既に半壊……いや、それよりももっと壊れているか? とにかくそんな感じになっている。
元々鬼舞辻無惨を罠に掛ける為に入手したという屋敷だったが、それでも結構いい洋館である以上は購入するにも相応の値段がしたのは間違いない。
耀哉にとっても、それなりの出費だったのは間違いない。
とはいえ、耀哉……というか鬼殺隊の運営資金を稼ぎ出しているのは耀哉らしいし、そう考えれば屋敷一軒の値段はそう驚く程でもないのかもしれないが。
それに耀哉は鬼舞辻無惨の一件が終われば、正式にシャドウミラーとの間で貿易を行う事になる。
そうなれば、鬼殺隊……正確には鬼殺隊が解散して新しく作った会社が得られる利益は莫大なものになるだろう。
ただし、正式に条約が結ばれれば、当然ながら異世界間条約における兵器の売買に触れる事になるので、ドロはこちらに返して貰う事になると思うが。
ぶっちゃけ、大正時代にドロがいれば、それだけで圧倒的な戦力となるし。
もし鬼殺隊が会社になった時に政府がドロの存在を知れば、間違いなく奪っていくだろう。
大正、昭和、平成……あるいはそれよりも後の時代の他の世界であっても、政府が個人や企業の持っている技術なりなんなりを奪うというのはおかしな話ではない。
大正時代は、軍人が尊敬されていた時代だ。
いやまぁ、他の世界でも軍人が尊敬されていたりはするのだが、大正や昭和……具体的には第二次世界大戦くらいまでの軍人というのは、ちょっと驚くくらいに一般人に尊敬されてるんだよな。
そして実際に軍人になる為の士官学校とかは、もの凄い狭き門だったらしい。
あくまでもこれは俺が人から聞いた話で、それが真実なのかどうかというのは分からないが。
ただ、実際に鬼滅世界で浅草とか蜜璃の担当地域だった村とか、そういう場所に行ってみて情報を集めてみた限り、そんなに間違ってはいないように思えた。
「っと、いた」
そんな風に考えながら空を飛んでいると、やがて狛治の姿を見つける。
鳴女を狛治が押さえつけているその周囲には、何人もが集まっていた。
一瞬、鳴女はともかく狛治をどうにかしようとしてるのか? と思ったのだが、それが違うというのはすぐに分かった。
何しろ狛治の周囲にいる剣士達は、狛治に背中を向けているのだ。
それはつまり、誰かが襲撃してきたら狛治を守ろうとしているように思えた。
実際には狛治を守るというよりも、狛治が押さえ込んでいる鳴女を自由に行動させないようにしているからこそ、狛治を守っている……といった表現の方が相応しいのだろうが。
驚いたのは、そんな風に狛治を守っている者は神鳴流の剣士だけではなく、鬼殺隊の剣士も結構な数が含まれていた事だろう。
鬼殺隊の剣士のどれくらいの者達が、狛治が元鬼……それも上弦の参だった事を知ってるのかは、分からない。
しかし、あの中にいる鬼殺隊の剣士全員がそれを知らないというのは、多分ない。
それでもこうして狛治を守っているのは、俺にとっても少し意外だった。
地上に向かって降りていくと、当然ながら狛治の周囲にいた剣士達が反応する。
現状では空を飛ぶ鬼は発見されていないものの、雑魚鬼も全てが下弦並の力を与えられているのだ。
それを思えば、鬼の中には空を飛ぶといった血鬼術を得た者がいてもおかしくはない。
そういう意味では、こうして素早く俺の存在に反応したのはさすがだろう。
しかし、空から降りてきたのが俺だと知ると、すぐにまた周囲の警戒に戻る。
「悪いな、狛治。お前が黒死牟と戦いたがっていたのは知っていたが、俺が黒死牟を倒した」
ピクリ、と。
俺の言葉にそう反応したのは、狛治……ではなく、鳴女。
狛治は微かに驚いた様子を見せたものの、それ以上の反応はしなかった。
そんな狛治に比べて、鳴女の反応は大きかった。
「そんな……上弦の壱が……」
ざわり、と。
鳴女の声を聞いた、周囲の剣士達がそれぞれざわめく。
黒死牟という名前では反応した者は殆どいなかったが、上弦の壱というのにはしっかりと反応したのは、ここが戦場だけに黒死牟の名前を知っていても思い出す事が出来なかったといったところか。
そんな者達でも、上弦の壱と言われれば納得出来たといったところか。
とはいえ、鳴女の言葉は聞き流して狛治に視線を向ける。
俺の視線に、狛治は少し残念そうな様子を見せつつも頷く。
「黒死牟との戦いは俺がやりたかったのは事実だが、今の状況を思えばそれは仕方がない。俺はお前の召喚獣なのだからな」
「別に召喚獣云々というのは、この場合関係ないと思うが……まぁ、それでお前が納得するのなら、それでいい」
無限城での言葉から、狛治が黒死牟と戦いたがっていたのは間違いない。
それでもこうして納得した様子を見せるのは、自分が召喚獣であるというのを重要視しているのか。
その辺りについての狛治の感情は、生憎と今の俺には分からないが。
「ともあれ、黒死牟を倒した事によって残っているのは鬼舞辻無惨だけだ。だが、まだ鬼舞辻無惨がどこにいるのかが分からない」
その言葉で、狛治は何故俺がここに来たのかを理解したのだろう。
しかし、理解はしたものの首を横に振る。
「悪いが、鬼舞辻無惨がどこにいるのかの情報は聞き出せていない。……そもそも、鳴女がそれを知ってるかどうかも、正直なところ微妙だと思うぞ」
「そうか? けど、今の状況を考えると、知ってそうなのは鳴女しかいないんだよな」
転移の血鬼術を使う鳴女だ。
レモンによって生み出された青い彼岸花に複数の毒を注入された鬼舞辻無惨を、転移させたのも鳴女の仕業だ。
であれば、当然ながら鬼舞辻無惨をどこに転移させたのかというのは知ってるだろう。
……転移させた後で、鬼舞辻無惨がどこか別の場所に移動するといったような真似をしていれば、鳴女にもその所在は分からないかもしれないが。
「鳴女、お前ももうこの状況だと鬼舞辻無惨が終わりだというのは分かっているだろう? 死にたくないのなら、狛治と同じく俺の召喚獣にならないか? そうすれば、お前は鬼舞辻無惨が死んでも生き延びる事が出来るし、何よりも太陽の下を歩けるようになる」
そう告げるが、鳴女が召喚獣になってもその外見はある意味で狛治以上に人外の存在となっていた。
何しろ頭部には巨大な眼球が1つある。
狛治が鬼だった時は、身体中に入れ墨っぽい模様はあったものの、人前に出ても奇異の目で見られはするが、化け物だと叫ばれるような事はない。
そんな狛治と違い、鳴女は間違いなく化け物と呼ばれるだろう。
もっとも化け物なら俺の召喚獣になった狛治も負けてはいない。
竜の翼が背中から生え、額からはユニコーンの如き角が一本伸びている。
今の狛治を何も知らない者が見れば、化け物と呼ぶか……あるいは天狗と呼ぶか?
その辺りについては俺も分からないが。
鳴女も俺の召喚獣になった場合、今の外見から大きく変わる可能性がある。
具体的にどう変わるのかといったような事は分からないが、それでも今の状況を思えば、このまま鬼舞辻無惨と共に滅ぶよりはいいだろう。
それに一件して化け物という外見になっても、ホワイトスターなら特に問題なく行動する事が出来るし、最悪ネギま世界の魔法界に行けばいい。
ネギま世界の魔法界では、人外の存在も普通に暮らしている。
それどころか、悪魔とかもその辺を見れば……いや、いる事はいるけど、そんなに頻繁にはいないか?
ともあれ、鳴女の今の外見でも魔法界なら問題なく暮らせるだろう。
「どうだ? お前も死にたくはない筈だ。なら……」
「断ります」
鳴女は俺の言葉を最後まで聞かずにそう言ってきた。
その言葉は、正直なところ意外だ。
現在の状況は、当然ながら鳴女にも理解出来ている筈だ。
だというのに、ここで俺からの誘いを断るということは……鳴女にとって、死を意味するはずなのだから。
「鬼舞辻無惨を気にしてるのなら、今は気にする必要がないと思うぞ? 現在の鬼舞辻無惨は、とてもではないがまともに行動出来る状況ではない。……それどころか、場合によっては死んでいてもおかしくはない。そんな状況で、鬼舞辻無惨に義理立てする必要があるのか?」
俺が狛治から聞いた話によれば、鬼舞辻無惨はかなり傍若無人な性格をしている。
暴君……というには、ちょっと表現が大きすぎるか。
どちらかといえば、パワハラをする会社の上司といった感じか?
気分によって、下弦の鬼の大半を殺すといったような真似をする奴だ。
鳴女は転移の血鬼術という、極めて珍しい能力があったから多少大事にされていたようだが、それでも今の状況を思えば鬼舞辻無惨に対して義理立てする必要はないように思えた。
「断ります」
俺の言葉に、再度そう返してくる鳴女。
鳴女が一体何を思ってこのような事を言ってるのかは分からない。
正直なところ、この状況になれば鳴女は大人しくこちらの要求に従って、召喚獣の契約を結ぶと思っていたのだ。
勿論、召喚獣の契約を結ぶにしても、俺の血を飲まないといけない以上、鳴女の身体がそれに耐えられる器を持ってるかどうかというのは、分からない。
それこそ実際に血を飲ませてみるまで、その辺は分からないのだから。
そういう意味では、例え鳴女が俺の召喚獣になると決めても、血に耐えられなかったら結局死ぬのだが。
「断るのなら、お前を生かしておく必要はなくなる。それでもいいのか?」
「……あの御方の最期に共をする者の1人くらいはいてもいいでしょう。いえ、上弦の壱が殺されたのでしたら、供をする者は2人ですね」
「何でそこまで鬼舞辻無惨に対して忠誠を尽くせる? 俺が狛治から聞いた話によれば、鬼舞辻無惨はとてもではないが忠誠を向ける対象として相応しくない相手のように思えるんだが」
それは鬼舞辻無惨についての性格を知っている者であれば、誰でも同意するだろう。
あるいは黒死牟は鬼舞辻無惨と古い付き合いだったので、鬼舞辻無惨と一緒に死んでもいいと思ったのかもしれないが。
あ、でも黒死牟が死ぬ時は鬼舞辻無惨じゃなくて、別の名前を呼んでいたな。
そうなると、この鳴女だけが何故か鬼舞辻無惨に殉死すると言ってるのだ。
「そうですね。少し前までならそんなつもりはありませんでした。しかし……今は違います」
そう言い、狛治の方を見る鳴女。
その様子からすると、狛治の存在が心変わりした原因らしい。
そして狛治は俺に向かって首を横に振る。
どうやっても、鳴女は召喚獣にはならないと、そう示すように。
「仕方ない。なら……死んで貰うか」
そう言い、俺はゲイ・ボルクを取り出し……覚悟を決めたように目を瞑る鳴女の頭部を破壊するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1825
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1733