ニーズヘッグが地上に……先程まで鬼舞辻無惨との戦いが行われていた場所に戻ると、そこには当然のように多くの者が集まっていた。
そして転移フィールドである光の繭から姿を現したニーズヘッグに対し、多くの者が視線を向けてくる。
一瞬、このままホワイトスターに戻るか? と考えてしまうくらいには、熱心な視線を向けられている。
とはいえ、今のこの状況でそのような真似が出来る筈もなく、俺はニーズヘッグのコックピットから出る。
『わああああああああああああああああああああ!』
と、そんな俺の姿を見て鬼殺隊の多くの者達が歓声を上げる。
今のこの状況では、まだ鬼舞辻無惨が死んだというのは他の連中には分からないと思うんだが……そんな状況で歓声を上げるのは、一体何でだ?
そんな疑問を抱くも、皆が喜んでいるのだからいいかと思いながら地上に降りる。
「アクセルさん、鬼舞辻無惨は……?」
地上に降りた俺に真っ先に近付いて来てそう尋ねたのは、しのぶ。
何だかんだと、柱の中で俺と一番親しいのがしのぶだからだろう。
「倒した。間違いなく死んだ。砕け散った肉片とかも、太陽に向かっていったしな」
「そう、ですか。……まだ戦っていた鬼が急に全て死んだので、もしかしたらとは思ったんですが」
ああ、なるほど。そう言えば鬼舞辻無惨の支配下にある鬼は、鬼舞辻無惨が死ねば全員死んでしまうという話だったな。
だからこそ、戦っていた鬼が死んだから鬼舞辻無惨も死んだと判断したのか。
とはいえ……空を見上げると、そこには既に太陽が完全に昇っている。
実際に鬼舞辻無惨が肉の赤子になった時には、もう太陽が昇っていたのだ。
それを思えば、今この状況でまだ戦い続けていたのは……木陰とか、そういう場所か?
その辺りについては、ここで俺がどうこう考えても意味はない。
この状況が終わったという時点で問題はないと思っておこう。
「そうか。なら、改めて宣言しておくか。……鬼舞辻無惨は、死んだ! 死体も太陽に向かっていったから、もう鬼舞辻無惨が生き返るといったようなことはない! 鬼との戦いはこれで終わった!」
『わああああああああああああああああああああああああああああああああ!』
俺の宣言を聞いた者達は、再び歓声を上げるのだった。
「ありがとう、アクセル。君がいたからこそ、鬼舞辻無惨との戦いは終わった。いや、鬼舞辻無惨だけではない。鬼殺隊にいた者の多くが、アクセルのおかげで救われたんだ」
「気にするな。俺が手を貸すつもりになったのも、耀哉がここまで頑張ってたからだ。もし耀哉がやる気を失っていたり、私服を肥やしたりといったような真似をしていれば、多分俺もそれに協力するといった真似はしなかった。勿論、治療もな」
現在この屋敷には俺と耀哉の2人だけだ。
他の者達は、多くの者が無礼講で騒ぎまくっている。
自分達が倒すべき敵だった、鬼舞辻無惨。そして鬼舞辻無惨によって生み出された鬼。
それらが全て消滅したのだから、それを思えば騒ぎたくなるのも当然だろう。
俺が耀哉に呼ばれてこの部屋に来る前には、実弥が玄弥と肩を組んで笑いながらおはぎを食べていた。
あの2人、以前ちょっと聞いた限りだと、兄弟だったがその仲は決して良好って訳じゃなかったと思うんだが……まぁ、鬼舞辻無惨が倒された事で確執も消えたのだろう。
「ふふっ、そう言って貰えると私も頑張ってきた甲斐があるよ。おかげで光を取り戻す事もできたしね。……ちょっと私には必要ないかもしれないと思える力もあるけど」
この力というのは、多分レーザーだろうな。
レモンが移植した義眼から放たれるレーザーは、何気にかなりの威力を持つ。
勿論、PTとかを相手にした場合は効果が殆どないが、生身の個人……あるいはこの時代の兵器とかを相手にした場合は、上手くやれば耀哉だけで一個師団分の戦力にはなる。……いや、それはちょっと言いすぎか?
ただ、実際にかなり強力な武器なのは間違いない。
そんな武器を持っているのが、若干気になっているのだろう。
俺としては、そんな耀哉だからこそ信頼出来るのだが。
「お前の妻や子供達を守る為に必要になるかもしれないだろう。……今までは鬼殺隊として耀哉は表に出るような事はなく行動していた。けど、鬼舞辻無惨が死んだ以上、以前から話していた通り鬼殺隊は会社になる。そうなると、当然だがその会社を率いるのは耀哉だ」
鬼殺隊の場合は、実際に戦う者が前に出る必要があった。
耀哉の場合も義眼によって非常に高い攻撃力を得たが、それでも表に出るような事はなかった。
耀哉は呼吸を使える訳でもないし、レーザーだけが唯一の攻撃手段だ。
そう考えれば、ある意味固定砲台的な存在と言ってもいい。
鬼を相手にそんな耀哉が前に出るのは危険だった。
しかし、その鬼ももういない。
表社会で普通に行動する事になる会社を率いるのだから、耀哉も今度は社長か会長かは分からないが、表に出る必要があった。
「そうだね。正直なところ、前々から話はしていたし、準備も進めていた。けど……ね。こうしている今も、もしかしたらまた鬼が出たといった報告が来るんじゃないかと思ってしまうんだよ」
「その辺は仕方がないだろうな」
鬼殺隊は数百年以上もの間、鬼と戦い続けてきたのだ。
具体的にいつから鬼殺隊が存在したのかは、俺にも分からない。
鬼舞辻無惨が鬼となってすぐに鬼殺隊が結成されていたら、それこそ鬼殺隊の歴史は1000年を超える事になる。
それだけの間、鬼と戦い続けてきた鬼殺隊だ。
そんな鬼のボスが死んだと言われても、まだどこか本気で信じる事は出来ていないのだろう。
これがいわゆる、戦闘ストレス反応……シェルショックって奴か?
このシェルショックが明らかになった……研究が始まったのは、第一次世界大戦、ちょうど今くらいの筈だ。
そういう意味では、何気に流行の最先端と言ってもいいのか?
ともあれ、このシェルショックというのは、簡単に言えばいつまでも自分が戦場にいると認識してしまうようなものだ。
だからこそ、何かの音にも過敏に反応したりする。
まぁ、これはあくまでも俺の認識であり、専門家にしてみれば詳細な内容は違うのかもしれないが。
今の耀哉の状態が本当にシェルショックなのかどうかは、分からない。
しかし、多分似たような感じなのは間違いないと思う。
「とにかく、これからは今までとは全く違う行動をする必要がある。……まぁ、それでも現在の他の会社と比べればかなり楽だろうけどな」
実際、これは間違いのない事実だ。
ホワイトスターを中継地点として、様々な他の世界と取引を行う。
それを思えば、他の貿易会社よりも圧倒的に有利だろう。
……まぁ、今はともかく、昭和、平成といった時代になれば会社の経営においてどこと取引をしているのかといった事をする必要があり、そうなるまでにはどうにかする必要があるんだろうが。
「そうだね。今は……正直なところ、これからどうなるのかは分からない。しかし、それでもこれから鬼のいなくなったこの世界で私達は生きていく必要があるんだろうね」
しみじみと呟く耀哉。
取りあえず今の状況はどこかふわふわとしたといったところか。
「ともあれ、これからは耀哉が鬼殺隊をどうにかする必要があるんだろうな。鬼滅世界という名前の通りに鬼は滅びた。……いやまぁ、珠世達はまだいるけどな」
一応珠世や愈史郎はまだ鬼のままだ。
そう思えば、まだ鬼は生き残っているんだよな。
愈史郎は珠世が鬼にしたんだから、珠世は鬼を増やす事も出来る。
唯一の救いは、珠世が鬼を増やすのは積極的にやっていないという事だろう。
事実、珠世が鬼にしたのは愈史郎だけだ。
「珠世さんか。……アクセル、彼女達を預かってくれないか?」
「は? 珠世達を? ……無理だな」
数秒考えるが、すぐに決断を下す。
正直なところ、珠世だけならシャドウミラーで預かってもいいとは思っている。
だが、それはあくまでも珠世だけだ。
自分から問題を起こす可能性が高い愈史郎も一緒にというのは、ちょっと問題があった。
自分から問題を起こしそうな奴となると、それこそムラタやイザークがいる。
実際に当初はそれなりに問題を起こしたという話は何度か聞いていた。
しかし、そんなイザークやムラタも、シャドウミラーの気風に馴染んでからは、特に大きな問題を起こしたりはしなかった。
しかし、愈史郎は違う。
イザークは俺に勝ちたいと、ムラタは俺に勝ち、更にはより強さを求めた者だ。
そんな2人とはちょっと違うが、五飛もまた力を求めた存在だ。
愈史郎はそんな者達とは違う。
珠世が全てで、他の者はどうでもいい。
あるいはそれだけなら、別に人に迷惑を掛けない限り自分の中だけでやっていればいい。
だが、愈史郎はそれを表に出す。
マリューを見て即座に不細工と口にしたのを見れば、明らかだ。
そんな愈史郎がホワイトスターに来れば、間違いなく騒動の種となる。
「珠世だけならともかく、愈史郎がホワイトスターに来れば問題を起こす可能性が高い。……ちなみにホワイトスターで問題を起こした場合、その者の出身世界もペナルティ……罰を受ける事になる。この場合、愈史郎が問題を起こしたらこの鬼滅世界……もっと言えば俺達と取引をしている鬼殺隊が罰を受ける事になる。それでもいいのか?」
「止めておこう」
俺の言葉を聞いた耀哉は、一瞬にしてそう言葉を翻す。
耀哉にとっても愈史郎は信用は出来ても信頼は出来ない相手なのだろう。
そんな奴をこっちに押し付けるなという思いもあるのだが。
とはいえ、耀哉としては別に悪意があってそこまでやってる訳ではないのだろう。
単純に、珠世達にとっては鬼滅世界にいるよりもホワイトスターにいた方が暮らしやすいというのがあるのだろう。
「愈史郎はともかく、珠世の調薬技術は高い。耀哉が作る会社でも、それなりに利益になるんじゃないか?」
「……珠世さんだけならね。けど、彼女の側には……」
何だ、結局耀哉が考えていたのも俺と同じか。
珠世が有能な人物なのは間違いない。
しかし、そんな珠世の有能さ以上に、この場合問題なのは愈史郎だった。
ましてや、今までは非合法の組織だったから多少の無茶があってもどうとでもなったが、会社として表の世界に出る以上、身内以外の者が愈史郎と会うかもしれない。
そうなった時の事を考えれば、珠世を雇う事のプラスの効果よりも、愈史郎が存在する事によって起きるマイナスの効果の方が多ければ、珠世を雇ってもデメリットの方が大きい。
一応愈史郎もマリューとの一件から態度を改めようとはしているのだが、一度失った信頼というのはそう簡単に取り戻せるものではない。
特に耀哉の場合は、今までの鬼殺隊とは全く違う会社という世界で働くのだ。
そんな時にトラブルメーカーの愈史郎がいるのはマイナスでしかないだろう。
あるいは、これが鬼殺隊なら耀哉も自分の子供として面倒を見るかもしれないが、珠世と愈史郎はあくまでも鬼殺隊の協力者でしかない。
「なら、珠世と愈史郎にはどこか人のいない場所で隠遁生活をして貰うとかどうだ? 珠世ならそういう生活の方が望ましいと思うけど」
珠世の性格からして、知らない相手に次々と遭遇するといったような生活よりも、人のいない……もしくは少ない場所で生活するのを好むと思う。
とはいえ、珠世は人を食わなくてもいいが、代わりに人の血を必要としている。
そういう意味では本当に誰も人がいない場所で暮らすというのは難しいだろう。
だからこそ、珠世は鬼舞辻無惨に見つかるのを警戒しながらも、街中に拠点を構えていたのだろうし。
「そうだね。珠世さんに聞いてみるよ。あの調薬技術は惜しいと思うんだけどね。……そう言えば、しのぶがホワイトスターに行って医学だったかな? それを正式に習いたいと言っていたんだけど……どうかな?」
「どうかなと言われてもな。俺としては問題ないと思うけど」
愈史郎の一件とは裏腹に、しのぶに関してはあっさりと受け入れてもいいと告げる。
実際、しのぶは柱の中で俺が一番親しい相手だ。
蝶屋敷で何度も話しているだけに、警戒する必要もない。
また人当たりもいいし、有能なのは間違いない。
しのぶの調薬技術は、レモンですら驚くというのを聞けば、シャドウミラーの者なら……あるいはシャドウミラーの者ではなくても、レモンを知っている者なら納得するだろう。
「そうか。……しのぶの件もそうだが、私達の世界の件に巻き込んでしまい、そして助けてくれた事、本当に感謝している。アクセル、ありがとう」
そう言い、真面目な表情になった耀哉は俺に向かって頭を下げてくる。
鬼殺隊を率いる立場の耀哉だ。
そのような人物である以上、本来ならそう簡単に頭を下げるといったような真似をしてはいけない。
だがそれでも、耀哉は俺に向かってしっかりと頭を下げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1830
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1734