『アクセル、倉庫の中にはジェニスが数機あるぞ』
倉庫の中を探索していたガイアから、そんな通信が入る。
「は? ジェニスが? ドートレスじゃなくてか?」
この基地は、当然ながら連邦軍の基地だ。
そうである以上、倉庫に置かれているのは当然ながらドートレスが精々だろうと思っていた。
取りあえずガンダムが置かれているということは、まずないだろうと。
そんな風に思っていたのだが、ジェニスがあるというのは完全に予想外だった。
『ああ、間違いない。映像を送るから確認してくれ』
そう言われ、ガイアのオクト・エイプから映像が送られてくる。
確認すると、それは確かにジェニスだった。
それは間違いないのだが、何故ジェニスが連邦軍の基地にある?
考えられるとすれば、連邦軍が宇宙革命軍から鹵獲したといった感じだろう。
とはいえ、鹵獲したMSにしては随分と綺麗だが。
映像で見る限りでは、戦ってダメージを受けたといった様子はどこにもない。
そうなると、戦って鹵獲したのではなく何らかの裏取引で新品のジェニスを入手したとか?
何故連邦軍が新品のジェニスを? と思うが、少し考えればそれに対する理由は幾らでも思い浮かぶ。
例えば、宇宙革命軍の仲間の振りをして奇襲するとか。
あるいは連邦軍の中にも派閥というのは当然ある筈だ。
そんな敵対している派閥に、宇宙革命軍の振りをして攻撃を仕掛けるとか。
宇宙革命軍の振りをしてどこかの街を襲い、それを宇宙革命軍の仕業として情報に流せば連邦軍の士気は間違いなく上がり、同時に宇宙革命軍は士気が下がるだろう。
それ以外にも、使い道は色々とある。
裏取引の件についても、宇宙革命軍の中でそれなりの地位にいて、金に汚い奴に接触すれば可能だろう。
宇宙革命軍の中には理想に燃えている奴もいるだろうが、自分の利益になるような事しか考えていない子悪党も当然いた筈だ。
量産型Wのような存在ならともかく、人が集まった軍隊で本当の意味で全員が一致団結しているというのは……ないとは言わないが、かなり難易度が高いのは間違いない。
「取りあえずジェニスは確保しておくから、運び出す必要があるな。テンザン級からMS運搬用のトレーラーを持ってきて運んでくれ」
ジェニスはドートレスと並んで製造数の多いMSだ。
実際、バルチャーの中でも使っている者が多い。
純粋に性能として考えれば、現在使われているMSの中でもかなり性能の低いMSなのだが……それでもパイロットの技量次第では相応の戦力になるし、MSと戦うのではなく村とかを襲撃するのなら問題はない。
また、数が多いという事は、機体がダメージを受けた時に修理する為の部品取り用としても使い勝手はいい。
ロッソなんかはそれが理由でジェニスを使っているくらいだからな。
『トレーラー? アクセルの力を使えば、そういうのは関係ないだろ?』
トレーラーを持ってくるという俺の言葉に、面倒そうな様子でそう告げるガイア。
だが、俺はそんなガイアに対して首を横に振る。
「駄目だ。忘れたのか? この基地の探索は、あくまでもバルチャーとして活動する上での訓練という意味合いが強い」
俺がいるのなら、空間倉庫を使えば問題なくMSを確保出来るだろう。
しかし、それはあくまでも俺がいる時だけだ。
俺がいなければ、MSを運ぶのは運搬用のトレーラーを使う必要がある。
勿論、トレーラーを使わずMSで運ぶといったような真似も、やろうと思えば出来るだろう。
だが、そうなれば当然ながらジェニスに傷が付く。
傷が付けば、売る時にその分だけ安くなってしまう。
修理をすればいいだけだが、本来なら傷付ける必要がないのに傷を付けて、それで修理をするというのも……正直、どうかと思わないでもない。
X世界のMSを修理するという経験を得ることが出来るのは大きいのかもしれないが、今はまずそれよりもバルチャーとして慣れる方が先だろう。
『分かった。ならそうしよう』
ガイアも俺の言葉に異論はなかったのか、素直にそう言う。
『アクセル、ちょっといいかい? 建物の中をちょっと調べてみたんだけど……特に重要そうなデータはないね。一応15年前の缶詰はあったけど、いるかい?』
「いらない」
シーマが建物の中を探索して得た物は、15年前の缶詰だったらしい。
軍の携帯食というのは、かなり長い賞味期限を持っている筈だが、それでも15年前の缶詰を食べたいとは、とてもではないが思えない。
シーマも本気で缶詰をどうにかするといったような事を考えているのではなく、冗談だったのだろう。
それは分かるが、だからといってもし本当にそんな物を持ってこられても困る。
『そうかい、残念だね。……ただ、この基地は放棄される時に重要書類の類は処分したようだね。コンピュータの方も殆どは動かないし、動く奴もろくなデータは残ってなかったよ』
そうか、やっぱり……そう納得しようとしたものの、すぐに疑問を感じる。
基地を放棄する時に、重要書類や重要なデータの類を処分していくのは当然だ。
そしてそのような真似をすることが出来たということは、それなりに規律正しく基地は放棄されたのだろう。
例えば、どうしようもなくなって必死に逃げ出したといったような感じではなく。
だとすれば、何故ジェニスは置いていかれたんだ?
「ガイア、ジェニスはどうした?」
『は? 今、トレーラーを持ってくるように連絡をして待ってるところだが』
「そうか。なら、ジェニスから十分に距離を取れ。もしかしたらそのジェニスは罠かもしれない」
『何? ……分かった』
そう言い、ガイアは一緒に行動している者達にジェニスから離れるように指示を出す。
『倉庫から出たぞ。だが、罠とはどういう事だ? 何故そのように思った?』
「シーマが調べている基地の内部では、重要書類や重要データは全部処理されていたらしい。つまり、この基地を放棄する時はそれなりに余裕があった可能性が高い。なのに、ジェニスを置いていったというのは気になる」
『……なるほど。そう考えるとアクセルの言ってる内容には理解出来るな。そうなると、いわゆるブービートラップの類か。だが、どうする? それを確認する為にも、実際に動かしてみないとどうしようもないぞ?』
「分かっている。その辺は量産型Wとコバッタにやらせてみるつもりだ。……本来なら、バルチャーとしての経験を積んで貰いたかったんだけどな」
それが一番の目的だったのは間違いないものの、だからといって何らかのブービートラップ……恐らくだが、爆発する可能性がある。
もっとも、問題なのは15年前に仕掛けた爆弾があったとして、それが普通に使えるかどうかという事だろうが。
普通に考えれば、もしジェニスに爆弾が仕掛けられている場合、何らかの衝撃で既に爆発していてもおかしくはない。
あるいはガイア達が倉庫の扉を開けた時の衝撃が、まさにそんな感じになるのは間違いないだろう。
しかし、実際には倉庫の扉を開けた衝撃で爆発していない。
だとすれば、爆弾の類が仕掛けられてない可能性もあるが……そこに賭けるのは、少し分が悪い。
どこぞの誰かと違って、俺は分の悪い賭けは嫌いなのだ。
その賭けが俺の力でどうにかなるようなものなら、また話は別だろうが。
『分かった。では、テンザン級から量産型Wやコバッタが来るまで待っていればいいのだな?』
「そうしてくれ」
ガイア達もクレイドルで生活をしている以上、量産型Wやコバッタと接する事は多いので、今更それらを見ても特に驚いたりはしない。
そういう意味では、やりやすいのは間違いなかった。
慣れていない者によっては、量産型Wやコバッタを見て驚き、騒ぐといったような事をしないとも限らないのだから。
UC世界から選んでよかった……いや、シャドウミラーから選んでいれば、それこそ量産型Wやコバッタにはもっと慣れているか。
それでも他の世界よりはUC世界の人間は量産型Wやコバッタに慣れているのは間違いない。
俺の指示に従って、倉庫の外で待つガイア達。
少しするとテンザン級からMS用のトレーラーがやって来る。
そこにいるのは、予定通り量産型Wやコバッタ。
「量産型W、倉庫の中にあるジェニスをトレーラーに積み込め。ただし、何か危険を感じたらその場から退避しても構わない」
その言葉に、量産型Wは頷くと倉庫の中に入っていく。
『アクセル、どうなると思う?』
ガイア……ではなく、オルテガからの通信。
オルテガにしてみれば、この状況で罠があると思えないのだろう。
正直なところ、俺もこの行動は少し大袈裟だと思わないでもない。
だが、シーマが見つけた重要書類やデータがないというのを考えれば、やはり罠の可能性が高いと思う。
「恐らくは罠だな。ただ……もし罠じゃないとしても、それは別に問題ないだろ。そうなったら、ただMSをテンザン級に……」
運ぶだけだ。
そう言おうとした俺の言葉を遮るように、どん、という爆発音が聞こえてきた。
「……運ぶ必要はなかったみたいだな」
『あ、ああ……』
格納庫で起きた爆発により、素早く周囲に火が広がる。
そんな中、格納庫の扉からトレーラーが姿を現す。
トレーラーの荷物を載せる部分にはそれなりに大きなダメージがあるものの、操縦をしていた量産型Wやコバッタの方は無傷らしい。
『まさか本当にアクセルの言うとおりだったとはな』
驚きで動きが止まっているオルテガの代わりに、ガイアが再び通信を送ってくる。
念動力が危険を察知した……訳ではない。
念動力は基本的に危険を察知すれば教えてくれるが、それはあくまでも俺が危険になるようなレベルでの話だ。
混沌精霊の俺は、気や魔力といったような攻撃ではない限りダメージを受けない。
それこそ、俺がジェニスのコックピットに乗っていた状態で爆発しても、ジェニスは壊れるかもしれないが俺は無傷だ。
そういう意味では、念動力が危険を察知するといったことはない。
しかし……それでも、今までの経験を考えると何となくそんな風になるのだろうというのは予想出来た。
その結果が、今のこの状況となる。
勘が働いたという感じか。
「問題はないと思うが、一応聞いておくぞ。怪我をしている奴はいるか?」
言葉通り一応という意味で尋ねるが、それに反応する者はいない。
ガイア達は俺の指示に従って格納庫から離れていたので、当然だが。
『怪我については問題ないとして……あの格納庫はどうするんだ? このままだと、他の場所にも燃え移るぞ』
「そうだな。なら。燃え移らないように建物を破壊するか」
燃え移る場所がないようにして、その場所だけを燃やす。
非常に初歩的な鎮火方法だが、今の状況ではそれが一番手っ取り早い。
スライムを使えばどうにかなると思うが、せっかくバルチャーとしての訓練をしてるのだから、スライムは使いたくなかった。
『分かった。延焼しそうな場所を壊せばいいんだな? シーマ、聞こえているか?』
『聞こえていたよ。全く、爆弾くらい上手く解除出来なかったのかい? 黒い三連星の名前が泣くよ?』
『ふんっ、もし爆弾を解除しても、15年も前の代物だろ? 一体どうなっていたか』
そういうガイアに、シーマもそれ以上は何も言い返さない。
代わりに、自分と一緒に行動していた面々に声を掛ける。
『ほら、モニクとマリオン。そろそろ行くよ。小さい基地だけあって、ろくな物がありゃしない。重要書類の類もないし』
『あっても、私達の役に立つとは思えないけどね。……うん? マリオン、それは何?』
『机の中にあったんですけど……何でしょう?』
そう言うマリオンが持ってるのは、何らかの機械なのは間違いない。
問題なのは、それが具体的に何かという事だ。
生憎と、この世界でフリーのMS乗りとして活動していた俺もマリオンが持っている機械は見た事がない。
「取りあえず壊れてなさそうだったら持ち帰ってくれ。最悪、俺達には分からなくてもフリーデンと合流してから聞けばいい」
俺がこの世界でフリーのMS乗りとして活動した期間は、そこまで長くはない。
だが、フリーデンは本格的にこの世界でバルチャーとして活動していたのだ。
であれば、マリオンが見つけた何かも知っている可能性が高い。
……もしフリーデンに見せて、それでも分からなかったらどうしようもないが。
ただ、重要書類や重要データの類は処理して、MSにも爆弾を仕掛けていった者達だ。
そこまで重要そうな物を忘れていくとは思えないが。
それでももしかしたら、万が一ということがあるのを考えれば、持っていった方がいい。
こうして行動したのに、何の収穫もないままというのはちょっと不満があるし。
あるいは金銭的な価値の類がなくても、初めてバルチャーとして活動した記念品として考えれば、そんなに悪い話ではないと思う。
そんな風に考えつつ、黒い三連星が倉庫の近くにある建物を破壊するのを眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750