技術班謹製のハッキングツールの性能は凄まじく、すぐにコンピュータの中身のコピーは終わった。
ただし、ネットワークで繋がっていなかったので、あくまでも抜き取る事が出来たのはこのコンピュータのデータだけだ。
パトゥーリアのある場所に置かれていたコンピュータだとすれば、恐らくそのデータの多くはパトゥーリアのデータで間違いないだろう。
出来れば人工ニュータイプについてとかのデータもあってくれればいいんだが。
その辺はテンザン級に戻って、マリューに確認して貰った方がいい。
技術班謹製だけに、このハッキングツールを一番上手く使いこなせるのは、やっぱりマリューだろうし。
そんな風に考えつつ、次に今回の目玉に視線を向ける。
巨大MAパトゥーリア。
本来なら、今回の目玉はニュータイプ研究のデータとかだった。
しかし、このパトゥーリアを見れば放っておく訳にもいかない。
そもそも……このパトゥーリアのある地下空間の上には政庁がある。
いや、パトゥーリアの大きさを考えると、政庁どころかフォートセバーンの街並みに被ってしまっている場所も多いだろう。
そうなると、もしこのパトゥーリアを動かすとなると……どうするんだろうな。
あるいは政庁とか周辺の建物もパトゥーリアが動く時は移動して地上に出られるようになってるのかもしれないが……こうして上を見た限りでは、特にそういうのがあるようにも思えない。
だとすれば、やはりこのパトゥーリアが出る時は天上を破壊して……フォートセバーンに被害を出しながら出撃するといった形になるんじゃないか?
だとすれば、やっぱりこのパトゥーリアは俺が確保しておくのがいいだろう。
フォートセバーンの住人の安全の為にも。
ただ、パトゥーリアは様々なケーブルが繋がっている。
このケーブルが接続されている状況だと、俺が一個の存在として認識出来ないので、空間倉庫に収納するような真似も不可能だ。
なら、どうするか。
それは簡単な話で、ケーブルが繋がっているから空間倉庫に収納出来ない以上、そのケーブルを切断してしまえばいい。
普通に俺が空を飛びながら破壊してもいいのだが、そうなるとどうしても目立つ。
今は気配遮断で俺の姿は認識出来ないものの、攻撃しようとするとすぐに気配遮断の効果は切れる。
そうなると、俺が空を飛んでいる光景がすぐにでも他の者達に見つかってしまう。
それは出来れば避けたいので、ここはスライムに頑張って貰うとしよう。
幸い、スライムは目に見えないくらいの細さにもなれる。
それでケーブルを切断してしまえば、問題なくパトゥーリアを収納出来る。そんな訳で……
「スライム」
呟き、空間倉庫からスライムを出す。
ただし、いつものように銀色の流体金属そのままといった形ではなく、細く、細く……カメラの向こうにいる者達は勿論、この地下空間にいる者達の目にも見えない程に細くだ。
細いスライムは枝分かれしていき、パトゥーリアに繋がっているケーブルに次々と巻き付いていく。
本来ならケーブルに何らかの負荷……それこそ上から落ちてきた石がぶつかったりしたら警告が出てもおかしくはない。
おかしくはないのだが、目に見えない程に細いスライムだけに、その重さは1gにも満たない。
そんなスライムが次々とパトゥーリアから伸びているケーブルに巻き付いていき……そして全てのケーブルに巻き付いたところで、スライムでケーブルを切断する。
ヴィー、ヴィー、ヴィーという警報音が地下空間の中に響き渡った。
「ちょっ、おい、この警報は一体なんだ!? まさか、バルチャーが攻めて来たのか!?」
「違う! 見ろ、パトゥーリアに繋がっているケーブルが全て切断されている!」
「くそっ! 一体何があった!?」
「知るか! とにかくケーブルを何とかしないと……」
多くの者達が混乱している状況を見て、そちらに近付いていく。
ちなみにスライムでケーブルを攻撃した以上、当然ながら気配遮断は既に切れていた。
周囲にいる者達も、俺の姿を見る事は出来る。
もっとも今の状況を思えば、皆が混乱して俺の存在に注意する奴はいないだろうが。
そんな周囲の様子を気にせず、俺はパトゥーリアのある方に向かって歩き出す。
「おい、お前! 迂闊に近付くな! 危ないぞ!」
近くにいた研究者の1人が、俺を見てそう叫ぶ。
その言葉は間違っていない。
スライムによって切断されたケーブルは、その先端から放電をしている物もある。
素人が迂闊に近寄るような真似をすれば、大怪我どころか死んでもおかしくはない。
だが、それはあくまでも素人ならではの話だ。
俺は素人ではないし、何より混沌精霊の俺は放電している場所に触れても問題はない。
「俺は大丈夫だから、お前は早く避難しろ」
「だが……ん? ちょっと待て。お前は見た事がないな、新人か?」
顔を見て、自分の顔見知りではないと判断したのか、その研究者は不思議そうに尋ねてくる。
面倒な。
だが、フォートセバーンという限られた場所……そして何より、この地下空間で働く者は当然のように顔見知りが多いのだろう。
そのような場所だからこそ、俺の存在に疑問を抱くのは当然だった。
男に対し何かを答えるような真似はしない。
声が聞こえなかった振りをして、パトゥーリアに近付いていく。
幸いなことに、先程の男は俺に向かってこれ以上声を掛けるよりも避難した方がいいと判断したのだろう。
こっちに近付いてくるようなことはなかった。
運がいいな。
もしあのまま俺について追及してきていたら、恐らく……いや、間違いなく俺は気絶させてその場に放置していただろう。
あるいはこの危険な状況で俺に声を掛けてきたということもあるし、気絶させた後はどこか安全そうな場所に置いておいたか?
どのようにしたのかはともかく、結局自分から避難してくれたので俺に文句はない。
混乱している中をパトゥーリアの側まで進む。
そうしてパトゥーリアに十分近付いたところで……パトゥーリアを空間倉庫に収納する。
次の瞬間、パトゥーリアは空間倉庫に収納された。
ホワイトスターですら空間倉庫に収納出来たのを考えると、パトゥーリア程度は収納出来るのは当然だろう。
まだ混乱している者が多いのか、パトゥーリアが消えた事に気が付いた者はいない。
いきなりの警報で、とにかく自分が生き残るのに精一杯だからだろう。
とはいえ、あの巨大なパトゥーリアがいきなり消えたのだから、それを見て騒動になるなという方が無理だった。
だからこそ、俺は騒動になる前にとっとと逃げる。
素早くその場から移動し、誰にも見つからないようにクスコの待っている場所に向かう。
岩の陰からこっちの様子を見ていたクスコは、俺が近付いて来たのを見て笑みを浮かべる。
「待たせたか?」
「今来たところよ……とでも言えばいいの?」
パトゥーリアが消えた光景というのは、クスコにとっても十分な驚きがあった筈だ。
にも関わらず、このような言葉が出て来るのは肝が据わっていると言うべきか。
「そうだな、今度デートした時に言って貰えると嬉しいよ。……さて、とにかくもうここでの用事はすんだ。敵の奥の手だろうパトゥーリアも奪ったし、カリスもいない。フォートセバーンの連中が何を考えていたのかは分からないが、それでもこれ以上何かを出来るとは思えないな」
「あああああああああああああああああ!」
と、俺の言葉と前後するように、背後から絶叫が聞こえてきた。
そちらの方に視線を向けると、そこでは予想通り研究者の1人がパトゥーリアのあった方を指さして絶叫していた。
少し前まであったパトゥーリアがいつの間にか消えていたのだから、そんな風に叫ぶのは当然か。
「よし、行くぞ」
「ええ。このままここに残っていると、面倒な事になるでしょうし」
クスコが俺の方に近付くのを確認してから、影のゲートを展開させ……そこから出ると、既に俺とクスコの姿は街中にあった。
「ここは静かだな」
「今頃、地下では間違いなく阿鼻叫喚といった様子だと思うけど? ……誰かさんのせいでね」
そう言いながら、笑みを浮かべつつ腕を組んでくるクスコ。
こうしていれば、俺とクスコは恋人同士にしか見えないだろう。
……いやまぁ、実際に仮の恋人同士ではあるのだが。
「サラ達に合流するぞ。とっととフォートセバーンから離れた方がいい。俺は間違いなく、そしてクスコも多分指名手配されるだろうし」
「そうね。本来ならもう少しロマンチックなデートをしたかったんだけど。残念だわ」
喫茶店で休憩したのが、唯一それらしい行動か?
ただ、その喫茶店にも兵士達が乗り込んできたが。
とにかく俺とクスコはいつまでもフォートセバーンにいる訳にはいかないだろう。
エニルならパトゥーリアがなくなったのも、俺の仕業だと結びつけるかもしれないし。
具体的にどうやってパトゥーリアを奪ったのかは、X世界の住人であればまず分からないだろう。
いや、魔法のある世界であっても、パトゥーリアのような巨大なMAを一瞬で消すといった真似は出来ないと思う。
エヴァ辺りなら、文字通りの意味で消滅させるといった真似が出来るかもしれないが。
影のゲートを使ってどこかに移動させるといった方法や、文字通りの意味で消滅……破壊するといった方法もあるだろう。
その辺は実際にやってみないと何とも言えないな。
「また今度どこかに行ったらな」
「約束よ?」
そうして言葉を交わしながら歩いているが、どうやらまだ地下での騒動は地上にまで広がってはいないらしい。
とはいえ、政庁の者達はいつまでもこうして地上でも穏やかなままではいられない。
恐らく近いうちにフォートセバーンの外に続いている門は封鎖されて、何が何でもパトゥーリアを奪った相手を見つけようとするだろう。
何しろフォートセバーンにとっての最大の切り札なのだから。
どうやってパトゥーリアが奪われたのかは、政庁の面々にも分からないだろう。
しかし、それでもどうにかして逃がさないようにするだろう。
何をどうすればいいのかはともかく、逃がしてはいけないとそう思うのは間違いない。
急いで脱出すれば、封鎖されるよりも前に逃げ出せるかもしれない。
しかし、そのような真似をすれば急いで逃げたというのを他の者達に印象深く残してしまう。
まぁ、フォートセバーンで本格的に指名手配されても特に困る事はない。
そういう意味では、寧ろここは大人しくしていた方がいいだろう。
……影のゲートがあるのだから、急いで逃げるような真似をしなくてもいい。
「あ、ほら。サラとトニヤがいたわよ」
街中を歩いていると、クスコがそんな風に言ってくる。
クスコの見ている方を見ると、そこには道を歩いているサラとトニヤの姿があった。
「どうやら向こうは捕まったりとか、そういう風にはならなかったみたいだな」
特に周囲の様子を警戒もせずに歩いている2人の姿を見ると、安堵する。
何で俺達に限って騒動に巻き込まれるんだ? と。
いやまぁ、政庁に忍び込んだり、フォートセバーンの秘密兵器を奪ったりといった真似を進んでしてるんだから、騒動になるのは当然の話か。
後はエニルの一件もあったな。
「そうね。……向こうも気が付いたみたいよ」
クスコの言う通り、サラとトニヤの2人はこっちの方に向かってくる。
そうして道路で向かい合うと、最初に口を開いたのはクスコ。
「そっちはどうだったの? 何か情報が入手出来た?」
「大事な情報という訳じゃないけど、噂とかそういうのなら。それとアクセルさんが捕虜にしたカリスという子は、このフォートセバーンでは象徴みたいな存在になっているみたいね」
「ああ、それは私達も感じたわ。ただ、こっちはかなり色々とあったけど」
「え? 何? どういうのがあったの?」
クスコの説明に、トニヤが興味を惹かれたのだろう。
早く話を聞きたいといった様子で告げるが……それを制するように言う
「その辺りについて色々と話したいのは分かるが、まずはフォートセバーンを脱出するぞ。門が閉鎖されたら、次は街中を虱潰しにする筈だ」
「……何をやったんです?」
俺の言葉から、余程の事があったと理解したのだろう。
サラが呆れた様子で尋ねてくる。
「ちょっとフォートセバーンの地下研究所にあった秘密兵器の巨大なMAを盗んだだけだよ」
「……は?」
生真面目なサラの口から漏れたとは思えない、そんな間の抜けた声。
今の俺の言葉を聞けば、サラがそんな声を出してもおかしくはないが。
「ぷ……あ、あははははは! そんな、嘘でしょ!? 本当にそんな真似をしたの!?」
間の抜けた声を出したサラとは裏腹に、トニヤの方は思い切り笑い出す。
トニヤにとっては、それだけ今の俺の言葉は面白かったのだろう。
とはいえ、人通りの多い場所でトニヤを笑わせておく訳にはいかない。
喫茶店の件もあって、俺は間違いなく指名手配されてるのだから。
「あまり大声で笑うな。目立つと面倒だ。取りあえず、人目のない場所まで行くぞ」
そう告げ、俺達は路地裏まで移動するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1915
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1751