カリスとの話が終わり、外に出る。
カリスの部屋の前には量産型Wが見張り兼護衛として立っているが、俺達を見ても特に何も言わない。
話し掛ければ答えは返すのだろうが、この辺は人造人間の特徴だよな。
そんな風に思いつつ、俺はジャミルに視線を向ける。
ちなみにカリスの部屋から出たのは、俺とジャミルの2人だけだ。
ティファとガロードの2人は、まだカリスに話があるという事で部屋に残っている。
カリスがティファを奪ってフォートセバーンに逃げるのでは? という心配もあったが、窓もない部屋から脱出するには扉を通るしかない。
そして扉の前には量産型Wがいる以上、逃げる事は不可能だろう。
あるいはティファやガロードを人質にして……といった可能性もあったが、それでも量産型Wなら相手の不意を突いてどうとでもする事は可能だ。
それにカリスは何故か妙に大人しかった。
いや、従順だったと言ってもいい。
そんなカリスがティファやガロードに危害を加えるとは思えない。
「カリス、何で素直にこっちに従ったと思う?」
カリス以外の人工ニュータイプがいないという話を始めとして、それ以外にも色々とフォートセバーン側の事情をカリスは話した。
例えば、俺達がジュラッグと呼称していたMSだが、実際には違うらしい。
いや、正確にはジュラッグで間違いないのだが、そのジュラッグを寒冷地仕様にしたMSで、名称もジュラッグからポーラ・ベアーに変わっているとか、俺達がスノーボードと呼んでいたSFSは正式にはスレッジという名前だとか。
他にもフォートセバーンにある軍事基地の場所や大体の構造なんかもしっかり話した。
普通なら捕虜になったとはいえ、そう簡単に話したりはしないと思う。
「やはり、ノモアがカリスを裏切っていたのが大きいのではないか?」
「そうなるか」
カリスにとって、ノモアというのは信頼出来る大人だった筈だ。
そんなカリスをノモアは裏切った。
……いや、正確には裏切ったといった訳ではなく、ノモアは最初からカリスを仲間とは思っておらず、道具としか認識してなかったのだろう。
単純にそれをカリスの前では出していなかっただけで。
「けど、カリスはニュータイプなんだろう? なら、相手の心を読んだり、何を考えているのかを理解出来たりとか、そういう事も出来るんじゃないか?」
UC世界とX世界のニュータイプは、その名称や持っている能力は同じようなものだが……なんというか、根本的な何かが違う。
それでも同じような能力がある以上、カリスがニュータイプ能力を使ってノモアの心の中を読むといったような真似は出来た筈だ。
セイラとかは、そんなニュータイプ能力を政治で十分に活用してるし。
いやまぁ、UC世界最高のニュータイプのセイラとカリスを比べるのは、そもそも間違ってるとは思うが。
「ニュータイプであっても、相手の心を読むというのはそれなりに集中する必要があるのと、精神的な消耗もある。それ以外にもカリスはノモアを信じていたのだろう。それこそ心を読むような真似をしようとは思わないくらいにはな」
「その辺はノモアが上手い事やったといったところか。もしかしたら、カリスを人工ニュータイプにした時にノモアの心だけは読めないようにしてるとか、そういう細工をしてるのかと思ったんだが」
自分が道具としか思っていない相手がいて、その対象は心を読む能力を持っている。
そう考えると、前もって何らかの処置をしてもおかしくはない。
「私は人工ニュータイプについてそこまで詳しくないので何とも言えないが、戦争中に聞いた噂ではかなり繊細なものらしい」
「だろうな。それは予想出来る」
人工ニュータイプというのが具体的にどういう風に作るのかは分からない。
だが、ニュータイプ能力であるというのを考えると、少し失敗すれば被検者の命がなくなってもおかしくはないような、そんな危険な行為であってもおかしくはない。
ノモアとしては、そんな危険な行為をするのに自分だけ心を読めないようにするといった真似は出来ないといったところか。
人工ニュータイプの技術がもっと上がれば、もしかしたらそういう真似も出来るようになるかもしれないけど。
……そう言えばマブラヴ世界でも霞が似たような能力があって、BETA由来の素材を使って心を読ませないようにしているとかあったな。
もしかしてそれをX世界に持ってくれば……いや、駄目か。
そもそもマブラヴ世界そのものが、下手をすればX世界よりも厳しい状況にある。
生き残った人口という意味では、マブラヴ世界の方が上なんだが。
今は自然環境を回復している状況なんだが、そんな中でBETA由来の素材を輸出するのは難しい筈だ。
……あ、でもBETA由来の物資という事なら、マブラヴ世界の火星のハイヴから何度も奪っている分、ホワイトスターにかなり在庫があったりするな。
とはいえ、それをわざわざこの世界に持ってきてノモアに渡すなんて真似をするつもりはないし。
「だからこそ、ノモアはそうしたくても出来なかったというのが正確なところなのだろう」
「かもしれないな。そうなると、言葉でカリスを信頼させて、自分を疑わないようにした訳か。そう考えると、ノモアは口も上手い訳だ」
考えてみれば、ノモアはフォートセバーンという街を作り、そこに戦争の生き残りを引っ張ってきて曲がりなりにもきちんと生活させ、ポーラ・ベアーを始めとしたMSを確保し、人工ニュータイプのカリスを生み出す研究もしている。
かなり多才な人物なのは間違いない。
これで性格的な問題がなければ、ホワイトスターに引っ張ってきてもおかしくないだけの能力の持ち主ではあるんだよな。
「厄介な相手なのは間違いない。だが……今のカリスは、アクセルの言う事を素直に聞いている。それこそ従っているといった風に表現しても間違ってはないと思うが?」
「それは幾らなんでも言いすぎ……いや、そうでもないのか?」
カリスは信じていたノモアに裏切られ、ショックを受けていた。
そこに丁度俺が……ティファ曰く、大きな海と表現するような俺がカリスの前に現れたのだ。
ノモアに裏切られたカリスが俺に従うようになってもおかしくはない……のか?
それに実際俺の質問にはしっかりと答えていた。
軍事機密であっても、普通に話してきたのだ。
「そうなると、俺がカリスと接触するのは少し避けた方がいいか」
「いいのか?」
ジャミルの言葉は、俺がカリスという人工ニュータイプを戦力として欲しているのではないかといった事からの疑問だろう。
だが、俺はそんなジャミルの言葉に頷く。
「構わない。この状況でこっちに引き込んでも、あまりいい事だとは思えないしな」
俺に依存をするような形で味方にするというのは、正直なところあまり好みではない。
……精霊の卵のエルフ達も、ある意味では似たようなものなのかもしれないが、エルフ達の場合は依存とは少し違う。
俺を崇めるといった形なので、ある意味依存よりも大袈裟なのだが。
それでもカリスの依存よりは健康的な感じなのは間違いない。
「そうか、助かる。……カリスは、ガロードやティファ達と上手くいけばいいのだが」
なるほど。ジャミルがガロード達を残してきたのは、そういう理由もあったのか。
それは間違いという訳でもない。
具体的にどういう風になるのかは、それこそ時間が経ってみないと分からないのだが。
「けど、ティファはともかくガロードは大丈夫なのか?」
カリスにボコボコにされたガロードだ。
ガロードの明るい……というか、ポジティブな性格を考えると、それを恨みに思っているといった事はないと思う。
だが、恨みに思っていないからといって、それで大丈夫なのかと言われると、それは少し疑問だ。
「大丈夫だ。ガロードは強い。時々考え込む事はあるが、それでも自分の中にある敗北を飲み込み、それを糧にしてより前に進めるだけの実力を持つ」
へぇ……
ジャミルのその言葉は少し意外だった。
どうやら俺が思っていたよりも、ジャミルはガロードの存在を買っているらしい。
俺もガロードなら何とかなるだろうと思ってはいるが、それはガロードの性格を考えてだけの話ではない。
ガロードがこの世界の主人公だから、というのが大きかった。
いやまぁ、まだ完全にガロードをこの世界の主人公として認識した訳ではないんだが。
まだジャミルも主人公の可能性も否定は出来ない。
それでも割合としては、7割……いや、8割くらいはガロードが主人公の可能性が高いと思う。
「とにかく、今はフォートセバーンの件をどうにかするのが先決か。フォートセバーンに対する降伏勧告の準備は終わってるのか?」
「む……ああ。苦労はしたが、降伏勧告の準備は大体終わっている」
そう言いつつも、ジャミルは少しやりにくそうな様子を見せていた。
ジャミルにしてみれば、こういう風に表舞台に大々的に立つというのは、あまり好みではないのだろう。
とはいえ、ジャミルがこの世界の主人公ではなくても、フリーデンの艦長であるのは変わらない。
……原作でこのフォートセバーンの件はどうしていたんだろうな。
今回は俺がいたから攻めて来たカリスを捕虜にする事が出来たし、ポーラ・ベアーもその大多数が撃破されるなり、鹵獲されるなりしている。
ちなみに捕虜になったパイロットは現在テンザン級の方の牢屋に入っている。
カリスの部下だけに、カリスと同じフリーデンに収容するのは不味いと判断した為だ。
特に尋問の類はしておらず、ただ牢屋の中で食っちゃ寝してる。
これがUC世界の月なら、強制的に農業をさせるとか出来るんだが。
X世界で、しかもバルチャーの陸上戦艦では捕虜に特にやらせるような仕事もないんだよな。
料理は、場合によっては毒……とまではいかなくても、洗剤とかそういうのを入れられたりしてもおかしくはないし、洗濯とかか?
ただ、量産型Wやコバッタがいるから、その辺はどうにも出来る。
寧ろ捕虜を下手に働かせるような真似をしない方がいい。
「そうか。じゃあ、俺はジャミルの降伏勧告を楽しみにしてるよ」
そう言いつつ、俺はジャミルと会話を切り上げてテンザン級に戻るのだった。
「さて、フォートセバーンはどうなると思う?」
テンザン級のブリッジで、マリューに尋ねる。
ブリッジにいるのは俺とマリュー、ミナトの3人。それとブリッジクルーの量産型Wだけだ。
シーマを始めとしたMSパイロット達は、現在格納庫で待機中だ。
映像モニタに表示されているフォートセバーンには、これからフリーデンが降伏勧告を行う。
それでフォートセバーンが大人しく降伏すればいいが、もしこれで降伏ではなく反撃をするといった選択をした場合、本格的な戦いになる。
……フォートセバーンにMSがどのくらい残っているのかは分からないが。
カリスから聞いた話によると、もうフォートセバーンにMSはそこまで残っていない。
勿論ポーラ・ベアーを全機破壊したり鹵獲したりした訳ではないが、それでも完全に残ってはいないのだろうが、数はそこまでない筈だ。
その認識はマリューやミナトも同じだったのか、あっさりと口を開く。
「対抗しようにも、戦力がないでしょう?」
「そうね。実はカリスにも秘密にしていたMSとかあったら、分からないけど」
「こんな事もあろうかとって奴か? ウリバタケならそういうのが好きそうだな」
ナデシコ世界において、ナデシコのメカニックを纏めていたウリバタケ。
何だかんだで、そういうお約束が好きな奴だった。
今頃どうしてるんだろうな。
聞いた話だと、ウリバタケの嫁さんはウリバタケに似合わないくらい美人だって話だったが……ウリバタケが夫って事は、もの凄い苦労してそうだよな。
まぁ、俺も人の事は言えないんだろうが。
「あら、そういうのはメカニックなら誰でも好きな事よ?」
技術班の人間らしい意見を口にするマリューだが、シャドウミラーの技術班が『こんな事もあろうかと』ってのをやったら、一体どういう秘密兵器が出て来るのか心配だな。
シャドウミラーの技術班は、色々な世界の技術を習得している。
例えば、マリュー。
最初はPS装甲を開発したりと、装甲材を中心とした技術が得意だったのだが、技術班の中で生活しているうちに自然と他の技術も習得していった。
鬼滅世界と接触した時には、藤の花の毒を強化し、それを弾丸に込めるといったような真似までしているのだから。
そういうのが普通に出来る連中が揃っている技術班だ。
いざという時は、一体どういう兵器を出してくるのやら。
それこそニヴルヘイムの量産型とか出してきてもおかしくはない。
機動要塞の量産型……うん、何だか技術班なら普通にやりそうで怖いんだよな。
「取りあえず、技術班の面々は多少自重してくれると俺としては助かる」
そんな俺の言葉に、マリューは意味ありげに笑う。
その笑みがどんな意味を持っているのか……知りたいような、知りたくないような、そんな感じで眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754