フリーデンとテンザン級は、フォートセバーンのすぐ近くまでやって来た。
それこそ街を覆っている防壁――敵に対するよりも吹雪を防ぐ為の物なのだが――の側までやって来たのだが、フォートセバーン側では特に動く様子はない。
MSによる攻撃をしてくるかも? と思わないでもなかったが、大人しいままだ。
やっぱりMSの数が減ったのが理由か?
そんな風に思っている中……不意に映像モニタにジャミルの顔が映し出される。
当然ながら、これはテンザン級の映像モニタに表示されている訳ではなく、フォートセバーンにある映像モニタにも表示されている筈だった。
『私はフリーデンの艦長ジャミル・ニート。フォートセバーンには降伏を勧告する』
単刀直入にそう告げるジャミル。
サングラスを付けたままなのだが、降伏勧告をするのならサングラスは取った方がいいと思うのは俺だけか?
フォートセバーンの住人にとって、今のジャミルを見てどう思っているのやら。
『フォートセバーンの市長であるノモア。この人物の正体をフォートセバーンの住人は知ってるだろうか? このノモアというのが偽名で、真実の名前はドーラット。その正体は宇宙革命軍の人工ニュータイプ研究をしていた研究者だ。そしてドーラットが生み出したのが、フォートセバーンのニュータイプとして希望の象徴となっているカリスだ』
そう言い、ジャミルは次々とドーラットのやって来た事を説明していく。
そんな中でもやはり大きかったのは、政庁の地下にニュータイプ用MAを開発していた事だろう。
このMAを地上に出すのは天上を……つまりフォートセバーンの地面を破壊して出撃する必要があったり、ニュータイプのカリスを生体部品として使ったりといったように。
『つまり、ドーラットは市民の為を思って行動している訳ではない。また、私達には人工ニュータイプではなく、自然発生したニュータイプのクルーがいるのだが、そのニュータイプを狙って襲撃してきた』
これもまた、ドーラットに対しては大きな意味を持つ。
フリーデンとテンザン級は、バルチャーだ。
そういう意味では攻撃をしてもおかしくないという理屈もあるのだが……フォートセバーンも完全に自給自足出来ていない以上、バルチャーによって必要な物資を運んできて貰ってる筈だ。
もしバルチャーが誰もフォートセバーンに近付かないといった事になれば、それこそフォートセバーンは大きなダメージを受けるだろう。
もしくは、フォートセバーンから必要な物資を買い付ける部隊が出撃するか。
ともあれ、俺達が襲撃された時点ではまだフォートセバーンと敵対はしていなかった。
だというのに問答無用で襲ってきたという説明は、フォートセバーンの住人にとってとても信じられるものではないだろう。
あるいはこの放送の内容がデタラメだとして、信じないか。
『そして既にフォートセバーンにはMS戦力は殆ど残っていないだろう。ドーラット……いや、ここは敢えてノモア市長と呼ばせて貰うが、ノモア市長には早急に降伏をして欲しい。そうすれば、こちらも悪いようにはしない。1時間待つので、賢明な判断を期待する。また、1時間後に降伏の返答がない場合は、フォートセバーンに対し攻撃を行うことになるが、基本的に攻撃する場所は政庁や軍事施設のような場所だけになるので市民の皆様は家から出ないようにしておいて貰いたい』
そう言い、通信が……ジャミルの降伏勧告が終わる。
「ドーラットはともかく、市民はどうなると思う?」
『殆どは自分の家に籠もってるんじゃないかい? 今の降伏勧告を聞けば、自分達が目立って反抗をしなければ被害は受けないと思うだろうし』
ヴァサーゴのコックピットにシーマの声が響く。
いつ何が起きてもいいように、現在俺を含めてMS隊の面々はMSの中で待機中だ。
『だが、そもそも先程のジャミルの説明をフォートセバーンの住人が信じるのか? 例えノモアというのが偽名だとしても、フォートセバーンを上手く治めてきたんだろう? なら、実績がある筈だ』
ガイアのその言葉に、なるほどと納得したような声を出している者達が何人かいる。
実際、ガイアのその言葉は決して間違ってはいないと思う。
これまで……フォートセバーンが街としてきちんと機能し始めたのが具体的にいつくらいなのかは、生憎と俺にも分からない。
分からないが、それでも恐らく10年前後は市長としてフォートセバーンを治めてきたのだろうから、その実績はかなり大きいだろう。
「けど、実績があるからといって非道な実験を許容するかと言えば……どうだ?」
カリスから聞いた話だし、ジャミルもドーラットの悪事を公開する時に言っていたが、人工ニュータイプというのはかなり繊細な代物で、被検体として人工ニュータイプの実験に失敗し、そのまま死んだ者もそれなりにいるらしい。
ドーラットにしてみれば、自分の研究が最大限活かす事が出来れば、それでいいと思っていたのかもしれないが。
『実績があるからこそ、信じない。……いえ、信じたくないというのが正直なところでしょうね』
モニクの言葉には納得出来るところがある。
自分達を今まで導いてきたドーラットが、非道な人物であるとは思いたくない者は多いだろう。
「なら……」
そうして俺が言葉を続けようとした瞬間、マリューから通信が入る。
『MS隊、出撃してちょうだい! フォートセバーンから、MS隊が出撃してきたわ』
「……は?」
一瞬マリューが何を言ってるのか、分からなかった。
カリスから話を聞いた限り、フォートセバーンにはもうポーラ・ベアーはそこまで残っていない筈だ。
勿論ある程度の数はあるが、それは防衛戦をやるのに精一杯といったところで、とてもではないが攻撃をする余裕はない筈だ。
にも関わらず、何故攻撃をしてくる?
『敵はポーラ・ベアーではなく、ドートレスで構成されているわ。それに……ヴァサーゴとアシュタロンの存在を確認!』
マリューからの追加の情報。
だが、その内容は俺にとって完全に予想外だった。
そもそもの話、何故ヴァサーゴとアシュタロン……シャギアとオルバがいる?
あるいはヴァサーゴとアシュタロンを使っていても、シャギアとオルバではない可能性も……いや、どうだろうな。
ヴァサーゴとアシュタロンは、戦後に開発されたガンダムだ。
そうである以上、そう簡単に量産が出来る訳がない。
あるいはシャギア達が所属している組織がヴァサーゴとアシュタロンを量産し、別のMSパイロットに渡している……といった可能性もある。
だとすれば、俺が奪ったヴァサーゴと同じヴァサーゴそのものが量産されていてもおかしくはない。
ヴァサーゴやアシュタロンにもフラッシュシステムが採用されている以上、人工ニュータイプの技術を持つドーラットは是非とも欲しい人材だろう。
しかし、ドーラットは宇宙革命軍の人間だ。
そしてシャギア達が所属しているのはガンダムを使っている以上、恐らく連邦軍系の組織。
普通に考えれば、ドーラットが連邦軍系の組織と手を組むとは思えない。
思えないが、それはあくまでも普通の場合だ。
今のフォートセバーンはMS戦力の大部分を失い、カリスを失い、パトゥーリアもまた失っている。
そんな状況のフォートセバーンが、普通だとはとても言えないだろう。
ドーラットが俺達に対抗する為に連邦軍系の組織と手を組んだとしてもおかしくはない。
おかしくはないし……それにこれは俺にとってチャンスでもある。
ヴァサーゴの予備機、あるいはアシュタロンという新型機を確保出来るかもしれないのだから。
「分かった。とにかく出撃する。フォートセバーンが最後の手段として選んだのが、今回の戦いだろうし、これを潰せばどうとでも対処出来る筈だ。……アクセル・アルマー、ヴァサーゴ、出るぞ!」
そう叫び、テンザン級の格納庫からヴァサーゴを出撃させる。
外に出て分かったが、雪が全く降っていない。
まぁ、吹雪の中で戦うよりも、こうして雪が降ってない状況で戦う方が俺達にとっては便利だろう。
「ヴァサーゴは俺が相手をする」
『おや、アシュタロンの方じゃなくてもいいのかい?』
シーマのからかうような言葉。
実際、その選択も考えないではなかった。
ヴァサーゴはこうして俺が乗ってるが、アシュタロンはデータもない。
……アトミックシザーズの一部は入手したが、言ってみればそれだけだ。
だからこそ、ヴァサーゴよりもアシュタロンを確保した方がいいというシーマの言葉は理解出来る。だが……
「ヴァサーゴのメガソニック砲の威力を考えると、好きに行動はさせておけないだろう」
ヴァサーゴの胴体から発射するメガソニック砲は、多分だがUC世界においてルナ・ジオンが地上で運用しているアプサラスの使う大型メガ粒子砲級の威力を持っている。
そんな攻撃を行える戦力を自由に動かすというのは得策ではない。
それを抜きにしても、俺がヴァサーゴを使っている以上は敵のヴァサーゴもメガソニック砲を警戒して俺を中心に狙ってくるかもしれないが。
ただ、このメガソニック砲……発射する時はストライククローを地面に突き刺して機体を固定する必要がある。
実際には機体を固定しなくても発射出来るのだが、その場合は狙いがかなり甘くなるし、メガソニック砲の威力に機体が動かされる可能性もあった。
そういう意味では、アプサラスの方は巨大な為かメガ粒子砲を撃っても空中でバランスを取る事が可能だ。
この辺りの技術力は、ギニアスの技術力の本領発揮といったところか。
ともあれ、ヴァサーゴのメガソニック砲は命中すればフリーデンは勿論、テンザン級でも一撃で沈めることが出来るだけの威力を持っている。
そんなメガソニック砲を使える相手を野放しには出来ない。
『仕方がないねぇ。なら、アシュタロンの方はあたしが相手をしてあげるよ』
普通なら、シーマのこの言葉は自殺行為だと思われてもおかしくはない。
シーマが乗っているオクト・エイプは、量産機としては最高峰の性能を持っている機体だ。
だが、それはあくまでも量産型MSとしての話でしかない。
それに比べて、アシュタロンはガンダムだ。
しかもただのガンダムではなく、戦後に開発されたベルフェゴールの後継機だ。
つまり戦争中に使われていたエアマスターやレオパルドよりも性能は上なのは間違いない。
……まぁ、同じ戦争中に使われていたガンダムでも、サテライトキャノンを使うGXとは攻撃力という点で劣っているが。
そんなガンダムを相手にするシーマだが、MSの性能差を技量で補えるだけの腕を持っている。
UC世界において宇宙の蜉蝣の異名を持つのは伊達ではない。
1年戦争開始時に騙されてG2ガスを使わされ、その口封じと言わんばかりに危険な場所にばかり投入されたのを、シーマはその技量と指揮能力で生き残ってきたのだ。
その経験値は、シャギアやオルバとは比べものにならないだろう。
オルバやシャギアはまだ20歳前後。この世界で15年前に起きた戦争には当然参加していない。
その戦いの経験値というのは、非常に大きな意味を持つ。
アムロのように強いニュータイプの素質を持っていれば、その経験を引っ繰り返したり出来るんだが。
「任せる」
『任されたよ。じゃあ、また戦闘後に』
そう言い、シーマの通信が切れる。
戦闘後に一体何があるのかを少し楽しみにしつつ、俺はヴァサーゴのいる方に向かう。
何故かヴァサーゴは俺が近付いてくるまで動く様子はない。
ヴァサーゴの隣にいるアシュタロンが先にこっちに攻撃をしようとしてきたが……そうはさせじと、シーマのオクト・エイプから放たれたビームライフルがアシュタロンに命中する。
それを咄嗟にアトミックシザーズで受け止めるアシュタロン。
俺が破壊したアトミックシザーズの部分も直ってるのを考えると、やっぱりシャギアやオルバではない別の奴か?
そうして考えている間にも次々とビームライフルがアシュタロンだけに命中していく。
シーマ以外の面々も既にドートレスと戦いを始めていたが、何人かはシーマ同様、アシュタロンに向かってビームを放っていた。
そうされるうちに、鬱陶しいと判断したのだろう。
アシュタロンはシーマ達に向かって突っ込んで行く。
それを見ながらヴァサーゴの方に近付いていくと……
『久しぶりだな』
オープンチャンネルで通信が入ってきた。
映像モニタに表示されているのは、やはりと言うべきかシャギア。
もしかしてという気持ちはあったが、どうやらその予想は正解だったらしい。
「意外だな……とは言わないぞ? ヴァサーゴに乗ってる時点でもしかしたらとは思っていたし。それにしても……まさかヴァサーゴを量産してるとか、そういう事はないよな?」
『ふ。どうだろうな。だが、こうしてヴァサーゴがもう1機あるのは間違いない』
「わざわざ俺にヴァサーゴの予備機を持ってきてくれるとは、感謝しかないな」
『生憎と、今度は私がそのヴァサーゴを返して貰うよ』
そう言い……俺とシャギアは同時に自分のヴァサーゴを前に進めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754