フォートセバーンの件については、俺の予想通りモニクが十分に役に立ってくれた。
ギレン直轄の組織にいたエリートという能力が存分に発揮された形だ。
とはいえ……そんなモニクであっても、解決出来ない問題がある。
「フォートセバーンを誰に任せるか、か」
改めて難題について口にすると、それを聞いたモニクが頷く。
「ええ、そうなるわ。ドーラットは勿論駄目。でもそうなると、他にこれといった人材がいないのよ」
「ドーラットの部下に市長を任せられる奴はいないのか? フォートセバーンの規模を考えると、ドーラットだけで治めるのは不可能な筈だ。相応に有能な人材がいてもおかしくないと思うが」
「なるほど。……どうなのだ? アクセルの言う通りなら、こちらも助かるが」
ジャミルが俺の言葉に一縷の希望を込めてモニクに視線を向けるが……
「難しいでしょうね」
モニクは首を横に振ってその言葉を否定する。
「私もフォートセバーンについてそこまで詳しく知ってる訳ではないけど、こっちに集まっている情報ではドーラットの部下に市長を任せる訳にはいかないわ。もっとも、この場合の市長というのはあくまでもフォートセバーンの市長だけど」
モニクのその言葉に、トニヤとシンゴ……そしてサラもまた同様に不思議そうな表情を浮かべる。
そんな中でジャミルだけがモニクの様子について納得して様子を見せていた。
この辺は戦前について知ってる者がどうかというのが大きい。
フォートセバーンは自分達で市と名乗っているが、その規模は市というよりは都市に近い。
一般的な市を纏める事は出来ても、フォートセバーンを纏められるかというと難しい。
「それに私が知ってる限りの情報だと、フォートセバーンにいる役人達は有能ではあっても、それはあくまでも誰かの下で自分の能力を使うのでは有能だけど、自分で動かすのは難しいでしょうね」
そういう情報を一体どこから入手したのか、と疑問に思う。
この辺りがモニクの有能さが出ているのだろう。
「そうなると……」
そこで一旦言葉を切り、ジャミルに視線を向ける。
俺の視線に気が付いたのだろう。そして俺が何を言いたいのかも理解したジャミルは、慌てて首を横に振る。
「私が市長になるということはない」
「そうか? そもそもフォートセバーンに降伏勧告をしたのはジャミルなんだから、そういう意味ではジャミルが市長をするというのも悪い選択肢ではないと思うが?」
「えーっ!」
俺がジャミルを見ていた理由を理解したトニヤが、驚きから大声を出す。
「ちょっと、トニヤ」
「だってサラ……今のアクセルの話、聞いてたでしょ? もしかしたら艦長がフォートセバーンの市長になるかもしれないのよ!? ……あら? でも、その場合フリーデンはどうなるの?」
「あのねぇ……もしそうなったらフリーデンは解散するに決まってるでしょ」
「えっ!? じゃあ反対!」
そんなやり取りが聞こえてくる中、ジャミルもまたトニヤの言葉に頷いてから口を開く。
「私もフォートセバーンの市長になるつもりはない。そもそも、私はニュータイプの保護をするつもりでバルチャーとして活動しているのだ。そうである以上、市長になるような真似は出来ない」
「ニュータイプを保護しても、それをフリーデンで連れ回すよりは、どこかに拠点を作った方がいいと思うけどな」
「ぐ……それは……」
これについては、ジャミルも図星だったのだろう。
ジャミルがニュータイプを保護しているのは、ニュータイプが虐げられたり戦闘に利用されたりといった事を避ける為だ。
だが、保護したニュータイプをフリーデンに乗せておけば、自然と戦いに巻き込まれてしまう。
……とはいえ、拠点を作ってもその拠点をフリーデンが維持出来るのかといった問題もある。
1つの拠点……それが具体的にどのくらいの規模になるのかは、実際に試してみないと何とも言えないが、相応に物資とかが必要となる。
他にもニュータイプだけで生活させる訳にはいかない以上、それをフォローする人材も必要となるだろう。
また、アルタネイティブ社やフォートセバーンのようにニュータイプを求めている者が多い以上、防衛戦力も必要となる。
……こう考えると、戦闘に巻き込まれる形になるとしても実はフリーデンにいた方がいいのかもしれないな。
最初とは完全に意見が変わってるけど。
「それに……私は政治を勉強した訳ではない。とてもではないが、フォートセバーンを治めるような真似は出来ないだろう」
「その辺は役人達に任せればいいんじゃないか? さっきモニクも言っていただろう? フォートセバーンの役人は、能力はある連中だって。それに……何なら量産型Wを貸してもいいし」
「それなら、最初から量産型Wを市長にしたらどうだ?」
「あのな……俺が言うのもなんだけど、量産型Wだぞ? 人前でもヘルメットを被ったままの奴が市長としてフォートセバーンの住人に支持されると思うか?」
その第一関門さえ突破すれば、実は量産型Wを市長にするというのはそう悪い話ではないのかもしれないが。
何しろ汚職は全くしないし。
縁故採用とかは……その辺はどうか分からないが、ただ、シャドウミラーを最優先にすると思うが。
それでも量産型Wを市長にするという事は、実質的にシャドウミラーに従属するのだから仕方がないだろう。
その辺を抜きにしても、量産型Wには疑似経験や疑似記憶がある。
それがあれば、市長として十分に働けるのは間違いない。
間違いないんだが……やっぱりフォートセバーンの住人が量産型Wを認めようとはしないだろう。
「ドーラットの部下も駄目、ジャミルも駄目、量産型Wも駄目。そうなると……どうする?」
「むぅ」
俺の言葉に迷う様子を見せるジャミル。
フォートセバーンを降伏させたのだから、その辺についてもしっかりと考えてないといけないのだろう。
真面目なジャミルらしい。
「一番無難なのは、ドーラットの部下の役人を市長にして、その補佐として量産型Wをつけるとか、そんな感じか。とはいえ、そのような真似をすると市長となった者との関係が大きな意味を持つ。言ってみれば、自分が量産型Wの操り人形になるようなものなんだから、それを許容出来るかどうかだな」
その言葉に何かを言おうとしたジャミルだったが、その前にブリッジに誰かが入ってきた。
「なぁ、ちょっといいか? カリスが話したい事があるって言ってるんだけど」
そう言ったのはガロード。
そんなガロードの後ろには炎獣のリスを右肩に乗せたティファもいる。
カリスに会いに行っていたんだが、そこでカリスから話をしたいと言われたのか?
ちなみにティファは俺と視線が合うとすぐにガロードの後ろに隠れる。
隠れるが、それでもこっちが気になるのか、何度も視線を向けてきていた。
「ジャミル?」
「……話を聞こう」
ジャミルがこうして話を聞くつもりになったのは、ドーラットの正体が明らかになり、カリスがこちらに対して素直になったというのが大きいだろう。
いやまぁ、以前俺と会ったときの件が関係しているのも間違いないだろうが。
そんな訳で、フリーデンのクルーによってカリスはブリッジまで連れて来られる事になるのだった。
ブリッジに入ってきたカリスは、そこに俺がいるのを見ても驚いた様子はない。
あるいはガロードからその辺についての話を聞いていたのかもしれないが。
ただ、俺に向かって丁重に一礼する。
……何だか俺はカリスにとって上位者という扱いになってないか?
いやまぁ、ティファを連れ去ろうとしたり、フリーデンで破壊工作を行われたりするよりは大分いいのだが。
そしてジャミルは俺に視線を向けてくる。
今のカリスの様子から、俺を前に出せばスムーズに話が進むと思ったのだろう。
「それで、話というのは何だ?」
「フォートセバーンの市長を継ぐのは、私に任せて貰えないでしょうか?」
ざわり、と。
ブリッジの中にざわめきが広がる。
まるで俺達が話していたのを理解しているかのような言葉。
ガロード達が話したのか? と思ったが、考えてみればガロードはブリッジにやって来てカリスが会いたいと言っていると告げただけだ。
その後はフリーデンのクルーと一緒にカリスを連れてきたが、ブリッジでの話は聞いていない。
そうなると考えられる可能性はそう多くはない。
最初に思い浮かぶのは、ニュータイプ能力。
ただ、カリスのいた場所からブリッジで話していた内容をニュータイプ能力で知る事が出来るのか? と言われれば、微妙だろう。
次に単純に予想した。
今までのジャミルやガロード、ティファ、そして俺といったような面々とやり取りをしていれば、俺達にとってドーラットが好ましい存在ではないというのは予想出来る。
そこに降伏勧告だ。
カリスにしてみれば、ドーラットが排除された後で誰が市長を引き継ぐのかといった風に思ってもおかしくはない。
そしてフォートセバーンの状況については、俺達よりも詳しいカリスだ。
ドーラットの後を引き継げる相手がいないというのは、当然のように分かっているだろう。
あるいは純粋に権勢欲とかそういうので市長になりたいと思う者はいるかもしれないが、能力が足りないとか。
……多分、ガロードもその件については知らなかったのだろう。
驚いた様子を見せている。
ティファは……こっちは表情が変わっていないので、分からない。
あ、俺と視線が合うと顔を赤くして視線を逸らした。
今の俺とティファの状況についても、そろそろどうにかした方がいいと思うんだけどな。
折角距離が縮まってきたところで、ティファが俺とマリューとミナトの夜の光景を見てしまったのが痛かった。
元々感情をあまり表に出さないティファだが、あの時は顔が真っ赤になったし。
それはともかく……
「本気か?」
「はい」
俺の問いに、カリスは一瞬の躊躇もなくそう答える。
カリスにしてみれば、冗談でも何でもなく本気で言ってるのだろう。
それはカリスの様子を見れば、はっきりと理解出来た。
「ジャミル」
どうする? と、ジャミルに視線を向ける。
ジャミルにしてみれば、カリスのこの提案は嬉しいのと困ったの半々といったところか。
嬉しいのは、誰をフォートセバーンの市長にするのか迷っていたところで、それに立候補してくれる人物が出て来た事。
困ったのは、その立候補したのがカリスだという事か。
カリスは人工ニュータイプではあるものの、年齢としてはまだガロード達と同じくらいだ。
そんな子供が、市というには規模が大きすぎるフォートセバーンの市長を出来るかというのが大きい。
まぁ、正直なところルナ・ジオンという国の女王のセイラも、純粋に年齢という点では実はカリスと数歳くらいしか違いがない。
そう考えると、フォートセバーンの市長をやりたいと言うカリスよりルナ・ジオンという国の女王をしているセイラの方が余程おかしい。
セイラの場合は頼りになる部下が多数いるし、量産型Wやコバッタがいるというのも大きいのだが。
「カリス、君は本気でそのようなことを言ってるのか? 降伏勧告を行った私が言うのもなんだが、君が人工ニュータイプであるという事は、既にフォートセバーンの住人も知っている。恐らくだが、君は今までと違う目で見られることになるだろう」
以前人工ニュータイプを養殖、自然発生したニュータイプを天然ものの魚として例えたことがあったが、人というのはどうしても養殖よりも天然の方をありがたがる。
それはこの世界でも同じで、人工ニュータイプであると公表されたカリスは、ジャミルが言うように今までと同じ目で見られることはないだろう。
中には自分達を騙していたなと、そんな風に騒ぐ者もいるかもしれない。
ある意味で騙していたのは事実だが、それでもフォートセバーンをカリスが守ってきたのも事実。
……もっとも、俺達が問答無用で襲われた件を考えれば、普通に商取引にやってきたバルチャー達を襲っていた可能性もあるのだが。
「分かっています。しかし、今の状況を思えば僕が市長として相応しいでしょう。……勿論、それはあくまでも名目だけのものになるでしょうし、実際にフォートセバーンを治める行為は役人達に任せる事になるとは思いますが。ですが、今はとにかく誰かを市長にしない事にはフォートセバーンの騒動は収まらないと思います」
そうカリスが言うが、実際にそれは間違っていないだろう。
カリスにしてみれば、ドーラットがこのまま市長を続けるというのはまず有り得ないといったところか。
ドーラットの裏の顔を見て、もう完全に信頼出来なくなったのだろう。
「そうなると……カリスを市長にして、量産型Wを補佐に付けるというのはどうだ?」
「アクセル?」
ジャミルの問いにカリスが答える前に俺がそう言うと、ジャミルは驚きの声を上げる。
カリスは俺の方を見て……最初は量産型Wが何なのかというのが分からない様子だったが、それでも量産型Wというのが自分にとって大きな意味を持つと理解したのか、頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754