「ノモア・ロングだ」
政庁にある市長室の中に入って椅子に座ると、ドーラットがそう自己紹介をしてくる。
「ドーラットだろう?」
「それは過去の名前だ。今の私はノモア・ロングなのだよ」
そう言うドーラット……いや、本人がノモアで通して欲しいと言ってるんだし、ノモアでいいか。
ともあれ、そのノモアはかなり疲れているように思えた。
自分がここまで発展させてきたフォートセバーンが俺達に奪われるのだ。
あるいはシャギアやオルバによっていいように使われたのも影響してるのかもしれないな。
「降伏勧告の前に、1つ聞かせて欲しい。シャギア達フロスト兄弟に人工ニュータイプのデータを奪われたのか?」
「……ああ」
苦々しい、本当に心の底から苦々しいといった様子でドーラットが俺の問いに答える。
やっぱりか。
ある意味で予想はしていたものの、フロスト兄弟の目的はノモアの持つ人工ニュータイプのデータだったのだろう。
シャギア達がどうやってノモアがドーラットであると知ったのかは、生憎と俺にも分からない。
シャギア達が所属しているのは連邦軍系の組織だから、戦時中のライラック作戦の件からノモアの正体に辿り着いた……という可能性もある。
とはいえ、ノモアだってその辺は十分に警戒していた筈だ。
ドーラットからノモアに名前を変えたのも、ライラック作戦から自分の正体に辿り着かないようにというのを考えてのものだろうし。
「ぬぅ」
俺とノモアの会話を聞いていたジャミルが唸る。
ニュータイプを救いたいという思いを持つジャミルにしてみれば、人工ニュータイプについては色々と思うところがあるのだろう。
「話は分かった。他にも色々と聞きたい事はあるが、今はまず降伏の件についてだな。俺の話はこれが終わってからだ。……ジャミル、カリス」
ノモアとの会話を一旦打ち切り、ジャミルとカリスに視線を向ける。
そんな中、最初に口を開いたのはカリスだった。
「ノモア市長……残念です」
「カリスか。こうなった以上、私からは今更何も言わんよ。それでフォートセバーンはこれからどうするのだね?」
「僕が市長としてやっていこうと思います」
「……カリスが? しかし、そちらのジャミル・ニートの行った降伏勧告で、君が人工ニュータイプであるのは既にフォートセバーンの住人にも知られている。今までのように行くことはないだろう」
そう言いながらも、ジャミルに向かって暗い視線を向ける。
ノモアにとって、ジャミルは色々な意味で許せる相手ではない。
今回の降伏勧告についてもそうだが、それ以外にもノモアにとっては宇宙革命軍時代の件もあるのだろう。
当時ジャミルは連邦軍のニュータイプにしてエースパイロットといったように、象徴的な存在とされていた。
それだけに露出機会も多く、ノモアも当然のようにその情報を仕入れる事が出来たのだろう。
とはいえ、戦後15年。
それだけの時間が経てば、当時の面影を見る事は難しいのかもしれないが。
「厳しいのは分かっています。ですが、それでも僕はこのフォートセバーンを守りたい。その為には、僕が象徴となるのが一番いい。そう思いました」
「……カリスに市長としての仕事は出来るのかね? 君は今までMS隊を率いるという事はやって来たが、フォートセバーンを治めるというのはそう簡単なものではない」
「分かっています。ですが、その辺はアクセルさんから……いえ、シャドウミラーから量産型Wという……人、ですか? とにかくそういう存在を借りたり、現在役人として働いている方々に引き続き協力して貰う事で何とか出来ると思っています」
「量産型W?」
エニルから俺の事は聞いていた……というか、指名手配されていたんだし、アクセルというのが俺なのは分かっているのか、ノモアはこちらに視線を向けてくる。
そう言えば、エニルはどうしたんだ?
「俺達の組織が使っている人造人間だ。……というか、その辺について話すよりも前に、1つ聞いておく必要のある事があったな。エニルはどうした?」
「彼女ならもう出ていったよ。こちらの戦力の多くが撃破され、何よりもパトゥーリアが奪われ、あの者達に好き勝手をされたのが我慢出来なかったらしい」
あの者達というのはフロスト兄弟の事だろう。
エニルの性格を考えれば、ここでどうにかして一矢報いるといったような風にしてもおかしくはないと思うんだが。
そういうのがないまま、消えてしまったか。
またどこかで出て来るのか、もう復讐は諦めたのか。
その辺はちょっと分からないが、今この場にいないのは間違いないらしい。
もしこの期に及んでノモアが嘘を口にしていれば、クスコやカリスといったニュータイプがその嘘を察知してもおかしくはないし。
ノモアもその件……クスコについてはともかく、カリスの能力については知ってるので、ここで嘘を吐くような真似をするとは思えない。
「そうか。なら、いい。また機会があればどこかで会う事もあるだろうしな」
俺がエニルの事を気にしたのが面白くなかったのか、モニクとクスコがどこか責めるような視線をこちらに向けてくるものの、取りあえずそちらの視線はスルーしておく。
別に俺はエニルにそういう思いを抱いている訳じゃないんだし。
……エニルが男を挑発するような格好をしているのは、間違いのない事実だが。
「で、量産型Wだったか。……そうだな。これはパトゥーリアを俺達が奪ったのにも関係してくる話になるが」
瞬間、ノモアの視線が強くなる。
魔法なんて存在しないこの世界において、地下からどこも破壊するようなことなくパトゥーリアを奪ったのか、気になるのは当然だろう。
実際に使ったのは空間倉庫で、魔法ではないんだが。
一応影のゲートを使えばパトゥーリアを無理矢理転移させる事が出来るので、そういう意味では魔法で奪えるというのも決して間違ってはいないのだが。
「まず最初に……そうだな。ノモアの年齢なら子供の頃に漫画やアニメとか、そういうのを見なかったか?」
「……は?」
この状況で一体何を言うのかといった様子で呟くノモア。
話の流れを考えれば、まさかここでいきなり子供の頃に漫画やアニメを見なかったとか、そんな風に聞かれるとは思ってもいなかったのだろう。
それでも俺の言葉に頷く。
「子供の頃にはそういうのを楽しんだ事もある」
「そうか。なら、分かりやすいかもしれないな。そういうアニメや漫画の中には、異世界から何か……味方だったり、敵だったり、あるいはそれ以外の何かだったりがやって来るというのがあっただろう?」
正直なところX世界の……それも宇宙で人気のあった漫画やアニメがどういうのかは分からない。
もしかしたら異世界とかは全く人気がなく、そういうのをやってなかった可能性もあったが……幸い、俺のその言葉にノモアは頷く。
「あ、ああ。そういうのはあったが……」
「ようは、それだよ。ジャミルのフリーデンはこの世界の人間だけだが、テンザン級の方に乗ってるのは異世界から来た存在だ」
「そんな非科学的な……」
科学者だけあって、俺の言葉を冗談か何かだと言うノモア。
とはいえ、実際にその判断そのものはそう間違っていない。
だが……それはあくまでもこの世界の常識で考えればの話だ。
「なら、政庁の地下にあったパトゥーリア……あれを地上を破壊せず、一瞬にして盗み出すといった真似が科学的に出来ると思うのか?」
「ぐ……それは……」
高度に発達した科学は魔法と同じ。
よく言われるが、それはある意味真実だと思う。
しかし、このX世界の技術はそこまで高い科学技術ではない。
だからこそ、ノモアは俺の言葉を否定出来なかったのだろう。
「それなら……そうだな。こうすれば分かりやすいか? フリーデンの面々は何度も見てるけど」
そう告げ、パチンと指を鳴らす。
次の瞬間、俺の右手が白炎と化して市長室に炎獣が生み出された。
フリーデンの面々にとっては、何度か見ている炎獣。
「っ!?」
だが、それでもジャミルは素早く息を呑む。
生み出された炎獣は、今までフリーデンの面々が見た、あるいはティファの護衛として一緒に行動させている小さなリスの炎獣ではなく、体長2m程もある虎だった。
白炎で生み出された巨大な虎は、周囲の様子を見回す。
いや、それは見回すのではなく睥睨するといった表現の方が正しいだろう。
「いつもとはちょっと違う炎獣を出してみたが……どうだ? これを見れば俺が魔法、少なくてもこのX世界の人間に出来る事ではないというのは理解出来ると思うが」
「X……世界……?」
虎の炎獣を前にしつつも、俺の言葉を聞き咎めたのかノモアはそう尋ねてくる。
「X世界というのは、この世界の名称だな。とにかく、この世界の人間にこんな真似は出来ないだろう? それとも……これも手品か何かだと思うか?」
白炎で構成された炎獣は、炎で構成されているにも関わらず、今この状況では熱くない。
そういう意味では、炎獣を手品の類だと思ってもおかしくはない。
パチン、と再び指を鳴らすと、虎の炎獣はノモアの方に近付いていく。
虎の炎獣は特にノモアに何かをするといった訳ではないのだが、それでも体長2mの虎がいるだけでもの凄い迫力なのは事実だ。
下手に動けば殺される。
そんな風に思ってもおかしくはない。
そして……やがて、ノモアが虎の迫力に耐えかねたように口を開く。
「分かった! 認める! お前は異世界の存在だ! 少なくてもこの世界の人間ではない!」
パチン、と。
ノモアの言葉と同時に指を鳴らすと、虎の炎獣は瞬時に消えた。
「分かって貰えたようで何よりだ。……で、俺達の国はシャドウミラーという。こっちのモニクとクスコは、俺達とは別の世界の人間だな。特にクスコはニュータイプだから、ノモアにとっては興味深いんじゃないか?」
「……何?」
その言葉の意味を理解出来たのか、出来なかったのか。
ノモアはクスコとモニクの2人に視線を向ける。
自己紹介をしている訳ではないので、どちらがモニクでどちらがクスコなのかは分からないのだろう。
「とはいえ、この世界のニュータイプとUC世界のニュータイプでは言葉こそ同じだが、意味は違うがな」
「それはどういう意味だ?」
ノモアは根っからの研究者という事なのだろう。
降伏について、あるいはノモアの代わりにカリスが市長になるという件について忘れたかのように、そう尋ねてくる。
とはいえ、俺にとってはそっちの方が好都合なのだが。
「連邦軍が使っていたガンダムに搭載されているフラッシュシステムは分かるな? この世界……正確には連邦軍ではフラッシュシステムを動かせる者がニュータイプと認識されるんだが、クスコはフラッシュシステムを動かす事は出来なかった」
「それは連邦軍の基準だろう!」
叫ぶノモア。
それに対しては同意見だったりするのが何だかな。
ベルティゴにはフラッシュシステムではなく、もっと別のシステムが搭載されてるんだろう。
「そうかもしれないな。とにかく、クスコ……そっちの桃色の髪の女はニュータイプだが、フラッシュシステムを動かせなかった」
「なるほど」
ん? フラッシュシステムについてはそこまで反応しないな。
「フラッシュシステムが使えないという事には驚かないのか?」
「フラッシュシステムというのは、所詮ニュータイプについて見識の浅い連邦軍が作ったシステムだ。連邦軍ではフラッシュシステムが使えないとニュータイプとは認めないとしているようだが、フラッシュシステムというのは実際にはニュータイプの一部に反応しているにすぎない」
ノモアの言葉に反応したのはジャミルだ。
15年前の戦争でフラッシュシステムを使っていただけに、ノモアの今の言葉には思うところがあるのだろう。
しかし、その反応は否定的なものではなく肯定的な反応だった。
こうして見ると、恐らくジャミルも戦争中にフラッシュシステムで何かあったのだろう。
「話がずれたな。ともあれ……カリスにフォートセバーンの市長をして貰い、その補佐というか実務は量産型Wにやって貰う。この量産型Wというのは人造人間。簡単に言えば人型の機械だと思って貰えばいい」
「そのような存在まで……」
「俺達シャドウミラーは、高い技術力を持っている。量産型Wもその一端だな」
実際、シャドウミラーにおいて量産型Wの存在は非常に大きい。
人員不足のあらゆる面を、量産型Wが補っている。
それも全員が一流の能力で。
「さて、そうなるとカリスがフォートセバーンの市長をやる以上、ノモアはもうここに必要がない。俺達としては、ノモアをどうするべきかかなり迷った。いっそ死刑にしてもいいのかもしれないが、それだとフォートセバーンの住人に恨みを買うしな」
「では、どうするつもりなのかね?」
「お前には生きてて貰う。ただし、フォートセバーンじゃない場所でな。サン・アンジェロ市からそう遠くない場所に、俺達の基地がある。ホワイトスター……異世界にある俺達の本拠地に繋がる転移システムが設置されている、この世界における俺達の本拠地だ。そこは地下にかなりの居住区があるから、言ってみれば小さな街みたいだな。お前にはそこの運営をして貰う」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754