「戻ったか。それで魔法というのは……?」
市長室に戻ってきた俺とノモアを見て、ジャミルがそう尋ねてくる。
ジャミルにしてみれば、先程の説明から俺がどういう魔法を使ったのかが気になるのだろう。
今まで魔法で見たのは炎獣くらいだ。
それに対して、相手の行動を規制するという魔法は全く方向性が違う。
……実際には魔法ではなく鵬法璽というマジックアイテムなんだが。
「ああ、終わった。これでノモアは俺達の基地の司令官として働いて貰う事になる。……地下空間がかなり広く作られているし、そういう意味では地下都市的な感じもあるから、フォートセバーンとはまた別の意味で大変な仕事になると思うが」
「分かっている。とはいえ、フォートセバーンのように年中雪が降っている訳ではないし、サン・アンジェロ市ともそれなりに近いのだろう? であれば、そこまで大変だとは思わない」
ノモアの言葉は、そう間違っている訳ではない。
サン・アンジェロ市が近くにあるという事は、何かあったら物資の補給はそこまで難しくないということを意味してるのだから。
そもそも物資の補給はサン・アンジェロ市までいかずとも、基地にゲートがあるのだから、ホワイトスター経由であっさりと入手出来るのだが。
「ともあれ、色々と話は決まったな。後は……引き継ぎとかそういうので、どのくらいの時間が必要なんだ?」
いつまでもここにいる訳にもいかないし、ノモアを基地に連れていく必要もある。
それ以外にも、エニルは出来れば見つけておきたい。
聞いた話だと、エニルはいつの間にかいなくなっていたらしいし。
今回の件でもうガロードに対する復讐を諦めてくれればいいのだが、また別の場所で何かを企むとか、そういうことになるとちょっと困るし。
「時間があればあるだけいいが、そのような訳にもいかないのだろう? であれば……1日。いや、2日あればどうにかなる」
そう言いつつ、ノモアはカリスに視線を向ける。
その視線にはもしカリスが弱音を言っても聞く気はないという強い思いを感じさせた。
だが、カリスもノモアからの視線を受けつつ頷く。
「それで構いません」
「だろうけど、取りあえず2日の時間という事でいいか?」
2人の会話を聞いてジャミルに尋ねると、ジャミルも頷く。
「私の方はそれで構わない」
「なら、そういう事で。……ああ、カリス。今日中に量産型Wを何人か連れてくる。お前も、そしてフォートセバーンの政庁で働いている役人達も量産型Wとどういう風に付き合えばいいのか、慣れておいた方がいい」
「分かりました。僕の方はそれで構いません」
そういう事に決まるのだった。
「ふーん、ノモアをね。まぁ、私は構わないと思うわよ? 鵬法璽を使ったのなら、裏切る心配はないでしょうし」
マリューは俺の言葉に対し、あっさりと受け入れた。
マリューにしてみれば、鵬法璽を使ったという時点でノモアがシャドウミラーを裏切るといった事を心配する必要はないのだろう。
「ミナトはどう思う?」
「私はアクセルがいいのなら問題ないと思うわよ。鵬法璽を使ったのなら、その辺は問題ないでしょうし」
ミナトも問題はないらしい。
これは俺にとっては嬉しい出来事ではあった。
「2人にそう言って貰えると助かる。それで、量産型Wを何人かフォートセバーンに置いていきたいんだが、問題ないか?」
「テンザン級の運用はそれなりに余裕があるから、問題ないわよ。それにこの後でノモアを基地に連れて行くんでしょう? なら、すぐに補給出来るから問題ないわ」
量産型Wのいいところは、自分達の記憶や経験をアップロード出来る事だろう。
疑似記憶や疑似経験を使えば、生み出された量産型Wはすぐにでも同じような能力を持つようになる。
使いやすい存在なのは間違いないんだよな。
それに量産型Wの生産設備はホワイトスターにあるので、基地から何人か量産型Wを連れ出しても、それをすぐに補充出来るというのが大きい。
これが単なる新人を補給するといったことになれば、その新人が1人前……とまではいかずとも、それなりに使えるようになるまで相応の時間が必要となる。
しかし、量産型Wの場合はすぐにベテラン並の実力を発揮するのだ。
いわゆる即戦力という奴だな。
この辺が何気にシャドウミラーにとって大きな実力の1つだったりする。
それ以外にも高い技術力や不老であったり、魔法であったり……それ以外にも数え切れない程に凄いところはあるのだが。
「そうか。なら早速行ってくる」
「あ、ちょっと待ってちょうだい」
テンザン級のブリッジから出ようとした俺をマリューが呼び止める。
マリューは俺に向かって1枚のデータディスクを渡してきた。
「それはX世界のコンピュータでも読み取れる筈よ。シャドウミラーについて、ノモアが知っても問題ない程度の情報を纏めておいたから、量産型Wと一緒に渡してきてくれるかしら。それと人工ニュータイプについてのデータが残っていたら回収をお願いね」
「……いつの間にこんな物を?」
俺がノモアを味方にするといった事は、マリューには言ってなかった。
だというのに、こうして準備を整えていたのは……一体何故そのような行動を?
そんな疑問を抱くのは当然だろう。
しかし、マリューは俺が何か聞くよりも前に笑みを浮かべて口を開く。
「何を聞きたいのかは分かるけど、その辺は乙女の秘密よ」
「乙女?」
マリューの口から出た乙女という言葉に思わず反応すると、マリューは笑みを浮かべたまま……ただし、先程までとは違い、迫力のある笑みを浮かべて俺に視線を向けてくる。
「いや、何でもない。マリューは十分乙女だよな。知ってる知ってる」
毎晩のようにあんなに乱れる乙女がいるのか?
そんな風に思ったが、取りあえずそれについては表情に出さないでおく。
今のこの状況でそんな事を口にしたら、それこそもの凄い突っ込みを受けそうだったし。
うん。取りあえずこの件は夜に頑張って有耶無耶にするとしよう。
そう思いながら、俺はブリッジを出るのだった。
「アクセル、どうしたんだ? 何だか強大な敵にあったって顔をしてるぞ?」
テンザン級の中で量産型Wを捜して通路を歩いていると、ガイアとマッシュと遭遇してガイアからそんな風に言われた。
「そうか? ……まぁ、ある意味で間違ってないかもしれないな。それはともかくとして……いや、オルテガがどこにいるのかはなんて、わざわざ聞く必要もないか」
「そうだな。いつもの場所だよ」
マッシュが口にしたいつもの場所というのが具体的にどこなのかは分からない。
分からないが、それでも誰と一緒にいるのかを想像するのは難しくはない。
マリオンと恋人同士の時間をすごしているのだろう。
「俺がこうして働いているのに羨ましいな。量産型Wを見なかったか?」
「向こうの方に何人かいたぞ」
「分かった。助かる」
ガイアとマッシュと短く言葉を交わし、量産型Wがいるという方に向かう。
今はまず量産型Wをフォートセバーンに連れていくのを優先する必要があるので、ガイア達とゆっくり話している時間はないのだ。
通路を進むと、ガイアの言葉通り数人の量産型Wが掃除をしていた。
掃除とかはコバッタとかに任せた方がいいと思うんだが。
そう思ったが、量産型Wの誰かが掃除のプロに色々と習ったのか、掃除の手筈はかなりいい。
そしてこういう経験もまた疑似記憶や疑似経験に蓄積されていき、他の量産型Wが掃除をする際に役立つのだろう。
「そっちの3人は俺と一緒に来い。これからフォートセバーンに行く。お前達はカリス……フォートセバーンの新しい市長の補佐につけ」
『了解』
3人の量産型Wは俺の言葉に素直に頷く。
その3人に近くに来るように言うと、影のゲートを展開するのだった。
「これが……量産型Wですか」
政庁にある市長室。
そこにはノモアとカリス、それ以外の何人かの人員がいた。
そんな中でいきなり影の中から俺と量産型Wが出て来たのだから、ノモアとカリス以外の面々は心の底から驚いた様子を見せている。
そっちの面々については、取りあえず無視しておく。
この場合、重要なのはあくまでもノモアとカリスの2人なのだから。
「ああ。政治とかそういうのにも問題なく使える。……とはいえ、部外者の俺がそう言っても素直に納得は出来ないだろうから、取りあえず数日は使ってみてくれ。それで何も問題がなければ、このまま置いていく」
「分かりました。アクセルさんが言うのなら、問題はないと思いますが」
そう言ってくるカリスだが、そのカリスは俺に従うという感じになっている。
カリスが俺の言葉を素直に信じても、他の面々はそれを素直に受け入れるとは限らない。
だから、俺達がここから離れる前に量産型Wが有能だというのを示してみせる必要があった。
「それと……ノモアはちょっと来てくれ。話がある」
「私に? ……では、少し休憩とする」
ノモアがそう宣言すると、カリスはすぐに量産型Wに対して色々と話しかけていた。
他の面々……恐らくノモアの側近とでも呼ぶべき者達もそんなカリスを見て。自分達も恐る恐るといった様子で量産型Wに声を掛けている。
そんな光景を見ながら、俺とノモアは市長室の近くにある部屋に向かう。
鵬法璽を使った部屋だ。
「取りあえず、これを渡しておく。シャドウミラーについて大雑把だがデータが入っている。シャドウミラーに所属……というか、X世界の支部を任される事になるんだから、知っておいた方がいい事が書かれている筈だ。一応この世界のコンピュータでも読み込めるようになっているから問題ないと思う」
「分かった。受け取って置こう。それでこれを渡す為にこの部屋に?」
「いや、それだけじゃない。人工ニュータイプの研究データはシャギア達に奪われたらしいが、予備か何か残ってないか?」
その言葉に、ノモアはニヤリとした笑みを浮かべる。
「このデータディスクを確認する必要もあるか。ついてきてくれ」
そう言い、部屋を出るノモア。
そんなノモアに対し、俺は特に何も言わずに後を追う。
向かったのは、先程の部屋から少し離れた場所にある部屋。
そこには何台ものコンピュータが並んでいた。
そんな中で、ノモアは近くにテーブルに置いてあったファイルを俺に渡してくる。
「これは……」
この状況で俺に渡したのだから、どのような内容なのかというのは容易に想像が出来る。
出来るが、そのファイルの中身を読んでも専門用語が多数並んでおり、詳細なところまでは理解出来ない。
ただし、色々と薬品の種類が書かれているのは見れば分かる。
分かるのだが……
「何でこんな重要なファイルを、隠しもせずその辺に適当に置いてあるんだ?」
その問いに、ノモアはコンピュータにデータディスクを読み込ませながら得意げに言う。
「まさか、重要なデータが隠しもせずテーブルの上に置かれているとは思わないだろう?」
「それは……まぁ」
実際、俺も意表を突かれたのは間違いない。
だからこそノモアの言葉に素直に納得してしまう。
シャギア達もまさか重要なデータがこんな風に出しっぱなしになっているとは思っていなかったのだろう。
いや、普通は思わないか。
「そう言えば、今更だがどういう理由でノモアはシャギア達と手を組んだんだ? シャギア達はガンダムを使っている。つまり、連邦軍系の組織に所属している可能性が高いのに」
そう言えばこれはまだ聞いてなかったと思って尋ねると、ノモアはデータを見つつもきちんと答えてくる。
「仕方なくといったところだな。何しろカリスは捕らえられ、MS隊は大打撃を受けていた。その上でパトゥーリアまで奪われたのだ。もう連邦軍の系統だからといったような事を考えているような余裕はなかった」
「……そうか」
改めて言われてみると、ノモアは完全に追い詰められていたんだな。
そんな状況である以上、不倶戴天の敵である連邦軍系の組織に所属する者とでも手を組むか。
連邦軍ではなく連邦軍系というのがこの場合は大きかったんだろうけど。
「勿論、もし全てが上手くいった場合、あの連中にも死んで貰うつもりだったが」
結局そうなるのか。
それだけノモアの連邦軍に対する憎悪は強いらしい。
俺達に協力する気になったのも、俺達が異世界の存在……この世界の連邦軍とは全く関係のない存在だったから、というのも大きいのかもしれないな。
「とはいえ、その辺は向こうの方が上手だった訳だ」
「うむ。人工ニュータイプについてのデータが入っているコンピュータをそのまま奪っていったからな」
データだけをディスクに保存して持ち出すのではなく、コンピュータごと奪ったってのは……いやまぁ、それが確実だし、人工ニュータイプ以外のデータで使えるのもあったりするかもしれないし。
「何だかんだで今回はシャギア達にもメリットがあった訳か」
「しかし、総合的に見れば圧倒的にアクセル達の方がメリットが大きかったのは間違いないだろう?」
そんなノモアの言葉に、俺は笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754