ノモアから人工ニュータイプに対するデータ……正確にはそれを印刷したファイルを受け取ると、ノモアと共に市長室に戻ってくる。
俺が持ってきたシャドウミラーについてのデータは全て見た訳ではないのだろうが、そのデータは後で見ておくとノモアは言っていた。
実際、俺達がここから旅立つには2日の余裕があるのだ。
そうである以上、そこまで急いで見る必要はないのだろう。
勿論、そのデータを見て気になった事があったら聞くといった真似も出来るので、出来るだけ早めにデータを見た方がいいのだろうが。
市長室に戻ってくると、そこではカリスや他の役人達が量産型Wと話をしているのが見て取れる。
「どうだ?」
「アクセルさん。……凄いですね。少し書類整理や計算をさせてみたんですが、一流です」
「だろうな。その辺の能力はかなり育っている筈だ」
育っているという表現に、カリスや役人達が少し不思議そうな表情を浮かべる。
政治班やシャドウミラーの運営において、量産型Wはかなりの書類整理をしているのだ。
それらの経験が蓄積し、他の量産型Wが疑似経験や疑似記憶で技術を習得している。
シャドウミラーにおける書類整理はかなり忙しい。
異世界とのやり取りにおいて、どうしても書類が増える。
そうである以上、その辺りの書類整理は量産型Wが頑張る事になる訳だ。
「即戦力になるのは間違いないですね。ただ……外見が外見なので、何も知らない人は少し怪しむと思いますけど」
役人の1人が困った表情で言ってくる。
それについては、正直なところどうしようもない。
「さっきも言ったように、量産型Wは人造人間だ。その頭部は……まぁ、気にしないか、慣れるしかないだろうな」
これがエキドナのようなWナンバーズであれば、きちんと顔とかも人間らしく作られる。
しかし、量産型Wはその名の通りあくまでも量産型だ。
それこそ色々な世界で働いている数も合わせると、数千、数万、あるいはそれ以上の数がいる。
そんな量産型Wに全て独自の顔を作るというのは、労力的にかなり大きくなってしまう。
あるいは何パターンか顔を用意するというのもあるが……そうなると同じ顔が大量に出来てしまう。
もしくはランダムで顔が決まるようにするという手段もあるが、それはそれで量産型Wであると判断しにくい。
結局のところ、量産型Wはヘルメットを被っているのが一番分かりやすいのだ。
「そうです。人前に出すのが難しいのなら、人前に出さないようにすればいいのです。量産型Wが有能なのは、試してみて明らかでしたし」
カリスが俺の言葉に同意するようにそう告げる。
ただ、カリスの場合は俺がどういう風に言っても、結局はそれを受け入れそうだしな。
出来れば単純なイエスマンではなく、間違ってる時は間違ってるといったようにしてくれると助かるんだが、それは将来的に期待するしかないか。
「ともあれ、量産型W達は置いていく。それと物資の類は俺の基地から持ってこさせるし、追加の量産型Wもそれで補充する」
「ありがとうございます」
頭を下げるカリスに頷き、俺はその場を後にするのだった。
「なるほど。……基本的には投薬と暗示といったところね。てっきりちょっとした手術の類もあると思ってたけど、そういうのはないみたい」
ノモアから貰ったファイルを流し読みしたマリューの口から出たのがそれだった。
「手術の類がないのは、せめてもの救いか」
「そうね。でも……この世界の宇宙革命軍……いえ、ノモアかしら? この手の技術はかなり高いようね」
言葉では褒めているマリューだが、その表情には悲しみがあった。
薬や暗示の技術がそこまで高いという事は、それだけ臨床試験をしてきた……つまり、犠牲になった者が多いということを意味してるのだ。
それが一体どれくらいの人数なのかは、マリューも考えたくはないのだろう。
ただでさえ、戦争においてはその手の人権が無視されるのは珍しい話ではないのだから。
「その辺については色々と思うところはあるが、取りあえずもうノモアがシャドウミラーに対して不利益な真似は出来なくなったから、それで納得してくれ」
例えば人を強引に連れ去って人体実験をするといったような真似は、これからはまず出来ない。
とはいえ、死刑囚とか重犯罪者とかそういう連中を使った人体実験なら許可されるかもしれないが。
それに……ぶっちゃけ、これからのノモアはそういう実験をしているような余裕があるかどうか。
基地を発展させていく必要がある以上、最低でも数年……場合によっては10年くらいの時間はその辺の仕事に集中する必要が出てくるだろうし。
「そうね。そうさせて貰うわ。それに……このデータも、純粋に人工ニュータイプのデータとして考えれば悪い話ではないし。ただ、この手のデータだけが増えて、その手の技術的な蓄積が増えていくのはどうかと思うけど」
そう告げるマリューの言葉には納得するしかない。
スティング達を助けた時の研究所から得たデータ。
UC世界のフラナガン機関を襲撃した時に得たデータ。
そして今回のノモアから得たデータ。
マリューの言うように、この手のデータが増えており、それによって技術的な蓄積が出来てきているのも事実だ。
レモンを始めとした技術班にそのつもりはないが、これらのデータによってシャドウミラーがその気になれば、人工ニュータイプをより完成度の高い状態に仕上げる事が出来るだろう。
「シナップス・シンドロームとかいう最悪の副作用がなければ、そういうのを実用化してもいいのかもしれないが」
「あまりお勧めはしないわね。……そう言えばシナップス・シンドロームだけど、これはレモンなら完全になくすといった事は出来ないけど、苦しみを和らげる事は出来るかもしれないわね」
「レモンでもシナップス・シンドロームを消すような真似は出来ないのか?」
レモンなら何でも出来るというイメージが俺にはあった。
それだけに、レモンがシナップス・シンドロームを消す事が出来ないというのは俺にとって意外だった。
「無理……とは言わないけど、かなり難しいわね。このデータを見る限りだと、シナップス・シンドロームというのは人工ニュータイプとして活動する上でどうしようもない部分に存在するのが原因のようよ」
「つまり、もしシナップス・シンドロームを出さないようにしたら……?」
「人工ニュータイプとしての能力が消えるかもしれないわね」
マリューのきっぱりとした言葉に、そうかと納得する。
カリスは自分の能力に自信を持っている。
それに何より、これからフォートセバーンを治めていく上でニュータイプ能力は必要だろう。
UC世界において、セイラがルナ・ジオンを統治してるのを見れば、カリスもニュータイプ能力を使う事によって、フォートセバーンを無事に治められる可能性が高い。
もっとも、ニュータイプという言葉は同じでも、UC世界とX世界では意味が違う。
それだけではなく、セイラは非常に高いニュータイプ能力を持っているが、カリスはニュータイプ能力を持っているものの、そこまで高い訳ではない。
少なくてもティファよりは劣っているのは事実だ。
「そうなるとカリスはそれを受け入れないだろうな。……シナップス・シンドロームがなくなるとニュータイプ能力が消えるのなら、シナップス・シンドロームを弱めた場合はニュータイプ能力も弱くなったりするのか?」
「うーん……そうね。この資料を見る限りだと幾らかは能力が劣ると思うわ」
幾らか、か。
その辺は正直なところ、ちょっと分からないな。
カリスが市長という事になっても、MSパイロットを止めるとは思えない。
実際、MSパイロットという点では間違いなくカリスはフォートセバーンでトップなのだから。
それにガンダムに匹敵するMSであるベルティゴを動かせるのも、カリスしかいないし。
まぁ、今はまだ予備部品から新しいベルティゴを組み立てているところで、実際に完成するのはもう少し時間が掛かるらしいけど。
ただ、量産型Wをフォートセバーンに派遣した場合、オクト・エイプを使って戦う事になるんだろうが……量産型Wはパイロット技術が非常に高い。
そうなれば、カリスが前線に出るような必要はなくなるかもしれないな。
普通に考えて、その勢力のトップが実際に戦うというのは有り得ないのだから。
いやまぁ、そういう意味では俺はどうなのかといった突っ込みが入りそうだが。
ただ、俺の場合はとても普通じゃないしな。
多くの戦場で戦い抜いたり、あるいはPPを使って高くなったステータスのおかげでそう簡単に撃墜されるような事はないし、あるいは撃墜されても俺の場合は混沌精霊なのでその辺は全く問題がなかったりする。
「ああ、そう言えば……アクセルがいない時にフリーデンから連絡があったんだけど」
「フリーデンから? 一体どんな連絡が?」
「アクセルにとっては悪くない話よ。……GXのデータを渡してくれるって。以前貰ったデータよりも更に詳細なデータよ」
「……は?」
一瞬、マリューの言ってる意味が分からなかった。
そうして俺が何かを言い掛けたところで……
「お待たせ、食堂から紅茶とお菓子を貰ってきたよ。お茶にしましょう。……どうかした?」
ミナトがその言葉通り、紅茶とお菓子を手に部屋に入ってきた。
ちなみに今は夜という事で、シーマを始めとした仮の恋人達はそれぞれ自分の部屋に戻っている。
今頃はゆっくりとした時間を楽しんでいる事だろう。
「ああ、悪い。貰うよ。……フリーデンからGXのデータを渡すという話を聞いて驚いただけだ。いや、以前にもデータは貰ったんだが、それよりも更に詳細なデータらしい」
「ああ、それね。私もブリッジで話していたわ。驚きよね」
「驚きというか、俺にとっては疑問でしかないんだが。何だって急にそんな事をするつもりになったんだ?」
「今回の件のお礼……いえ、それ以外にもアルタネイティブ社の一件とか、サン・アンジェロ市の近くの一件とかあったから、それらも含めてじゃない?」
マリューのその言葉は、納得出来るものがある。
アルタネイティブ社やサン・アンジェロ市近くの件では、俺達がいなければフリーデンはどうしようもなかった……とまでは言わない。
ガロードがこの世界の主人公であった以上、俺達が助けた時よりもピンチにはなったんだろうが、それでも実際にはやられるといったことはなかった筈だ。
そういう意味では、もしかしたら余計なお世話だったのかもしれないが。
ただ、だからといって向こうからデータを渡すというのにそれを受け取らないという選択肢はない。
「そうなると、基地にある生産ラインでGXを量産出来るか?」
「うーん……正直なところ難しいと想うわ。出来たとしてもフリーデンのGXよりも少し性能が下がると思うわ」
「何でだ?」
「まず第1に、この世界のガンダムの装甲は、ルナチタニウム合金を使ってるの。ああ、言っておくけど名前は同じだけどUC世界のとは違うからね」
この辺はニュータイプという同じ単語があっても、その意味は違うのと同じといったところか。
「他にもフラッシュシステムね」
「技術班なら何とかならないか?」
「無理ね。恐らくだけど、X世界特有の物質が使われてるわ」
「……なるほど。それは無理だ」
基本的にどのような存在であっても生み出す事が出来るキブツだが、唯一の欠点……というか、制約がある。
それがその世界特有の物質を作れないという事だった。
例えば、SEED世界にあるNジャマーキャンセラーを作るのに必要な希少鉱石とか、ギアス世界のサクラダイトとか。他に色々と。
そのような制約がある以上、フラッシュシステムを作れないというのは理解出来た。
ルナチタニウム合金についても、言うに及ばずだ。
不幸中の幸いと言うべきか、GXのフラッシュシステムはサテライトキャノンの登録に使われているだけだ。
しかも最初の1回だけで、次からはニュータイプがいなくても普通にサテライトキャノンが使えるというのはガロードが証明している。
つまりGXは作る事が出来るが、装甲はX世界のルナチタニウム合金を用意する事が出来ず、またサテライトキャノンを使えないGXになる訳だ。
最大の武器であるサテライトキャノンが使えないのはどうかと思うが、それでも純粋にMSの性能としてGXは高性能機だ。
汎用機として考えれば、現在俺達が使っているオクト・エイプよりも上なのは間違いない。
ヴァサーゴの量産についても考えたのだが、それは止めておく。
メガソニック砲があるのでサテライトキャノンが使えないGXよりも攻撃力は上だが、ゲテモノガンダムと呼ばれるようなガンダムだ。
そういうのが大量に存在していると、イメージ的なものがちょっと悪い。
外見というのは、どうしても第一印象に強く影響する。
また、ヴァサーゴは戦後に作られたガンダムだが、GXは実際に戦争で使われたガンダムだ。
それに……こう表現するのもなんだが、エアマスターやレオパルドよりもガンダムらしいガンダムという印象が強い。
そんな風に思いつつ、俺はマリューやミナトと恋人同士の甘い時間をすごすのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754