『じゃあ、また今度な。ここまで連れてきてくれて、感謝してるよ』
『俺も色々と用事があるから、こうして距離を稼いでくれたのは助かるよ』
そう言いつつ、ウィッツのエアマスターとロアビィのレオパルドがフリーデンから出撃していく。
フォートセバーンから少し離れた場所で影のゲートを使って転移し、サン・アンジェロ市からそれなりに近い場所まで出て来た事から、ウィッツとロアビィはテンザン級のブリッジにいる俺にそんな通信を送ってきたのだ。
そうしてウィッツとロアビィがいなくなると、テンザン級とフリーデンは基地に向かって進み始めた。
再度影のゲートを使ってもいいんだが、たまには何も起こらずゆっくりと移動するというのも悪くない。
「これは……これが……魔法……?」
そんな中、テンザン級のブリッジにいたノモアは一瞬にして周囲の景色が変わった事に驚き、まだ現在の状況を完全に理解した訳ではないらしい。
これはフォートセバーンから……というか、周囲が完全な雪景色だった場所から、気が付けばサン・アンジェロ市の近くにある場所で周囲には雪が全くない状況になったというのが、ノモアを驚かせるには十分だったのだろう。
「ふぅ……」
そんな光景を眺め、俺はブリッジにある椅子に座って大きく息を吐く。
俺の持つ魔力は莫大だが、それでもX世界においてこれだけの魔力を消耗するとやっぱり疲れる。
それでもこうしてゆっくりしていると、次第に魔力が回復してくるのが分かる。
「魔法というのは……ここまで出来るものなのか」
「残念ながら、こういう真似が出来るのは本当に一部だけよ」
ノモアの呟きにマリューがそう返す。
ノモアとマリューは同じ研究者、技術者であるだけに、それなりに気が合うのだろう。
もっとも、それはあくまでも技術的な事だけの話で、マリューにしてみればノモアにあまり好意的な感情を抱いていない。
人工ニュータイプの為に多くの者を犠牲にし、それを悔いる事のない性格。
そうしてようやく完成したカリスに対しても、自分の部下ではなく道具という認識しか持っていなかった。
それこそ最後にはパトゥーリアの生体部品として使おうとしていたように。
その辺はマリューとは正反対だ。
だからこそ、マリューにとってノモアとはあまり好ましい相手ではない。
とはいえ、今のノモアは鵬法璽によってシャドウミラーに危害を加えるような真似は出来なくなっている。
ノモアに対してそれなりに普通に対応出来るのは、その辺の事情もあるのだろう。
「本当に一部……一部ということは、アクセル以外にも同じような真似を出来る者がいるのかね?」
「ええ。エヴァという子がいるわ。……本人は子って表現すると怒るけど」
「それはそうでしょ。600歳以上なんだから子供扱いされると怒るわよ。もっとも、精神年齢とかも外見に引っ張られてるみたいだけど」
「……は? 600歳、だと?」
マリューとミナトの会話に、ノモアは信じられないといった様子で呟く。
無理もない。
このX世界は色々な意味で終末に近い世界だが、それでもまさか吸血鬼がいたりはしないだろうし。
「俺達が色々な世界とやり取りしているのは知っているだろう? そんな世界の中には、魔法のある世界もある。……炎獣や影のゲートを体験したんだから、それは言わなくても分かると思うが。そして魔法の存在する世界という事は、ファンタジー世界でもある訳で……だとすれば、吸血鬼とかがいてもおかしくはないだろう?」
「それは……いや、だが……」
俺の言葉に納得しようと思っても納得出来ないといった様子のノモア。
ちなみに吸血鬼とかについては、しっかりと知っていたんだな。
ノモアは15年前の戦争に普通に参加していた。
だからこそ、戦後生まれの者ではそう簡単に知る事が出来なくなった吸血鬼とか、そういうのについてもそれなりに知っているらしい。
「ノモアが納得出来るかどうかは別として、そういう存在がいるのは間違いのない事実だ。……ちなみに、そういう意味ではノモアはラッキーだったと思うぞ」
「理由を聞いても?」
何故この状況でラッキーと評されたのか分からなかったらしいノモアに、魔力が回復してきた俺は椅子に座り直しながら口を開く。
「簡単に言えば、ノモアが任されたのはこのX世界の拠点となる基地だ。つまり、ホワイトスターには行かなくてもいいからだ」
「ホワイトスターに行かなくてもいいのが、何故ラッキーなのだ?」
「ホワイトスターにいる技術者達は、いざという時に備えて最低限自分の身を守るだけの実力を身につける為に、生身での戦闘訓練を行うからな。さっき話題に出たエヴァと」
「……は?」
理解出来ないといった様子のノモア。
いやまぁ、技術班に生身での戦闘訓練をするのは、シャドウミラーくらいだし。
正確には、どこの世界でも最低限の運動とかはさせるだろうし、軍に所属する技術者なら相応の戦闘力を求められるだろう。
しかし、その普通とシャドウミラーの普通は違う。
何しろ技術者が普通に虚空瞬動とかを使えるレベルなのだから。
「端的に言えば、軍の特殊部隊と生身で戦っても圧勝する。それこそ数十人の特殊部隊を相手に技術者が生身で1人でも、俺達の場合は技術者の勝利だろうな」
「そう考えると、やっぱりシャドウミラーって少し不思議なところよね」
「何を今更」
マリューの言葉にそう突っ込む。
今のように言ったマリューこそが、技術班のNo.2なのだ。
生身での実力も非常に高い。
それこそ実働班の面々と戦っても普通に勝利出来るだけの実力を持っている。
見た目だけだと、優しそうな、穏やかな性格が表に出ているものの、美しい薔薇には棘があるというのを示しているような、そんな女だ。
それでいて純粋な技術者としてもレモンに次ぐだけの実力を持っているのを見れば、まさに才色兼備という言葉はマリューの為にあるのではないかと思えてしまう。
モニクやクリスのように、UC世界の人間で多方面に様々な才能を発揮する人物というのは、少ないがそれなりにいる。
しかし、そのような才色兼備の中でも突出した才能を持つのがマリューなのだ。
正直なところ、マリューはある意味チートキャラと言われてもおかしくはない。
……いやまぁ、それを言うのなら俺はどうなんだって話になるが。
「とにかく、ノモアは研究者や市長としては有能であっても、今から身体を鍛えて第一線で戦えるだけの実力を持てというのは難しいだろう?」
「当然だ」
ノモアも俺の言葉を聞いて即座に頷く。
この状況でもし自分がシャドウミラーの者達のように訓練をする事になるのは絶対に嫌だと、そう言いたげな様子だった。
ノモアの年齢を考えれば、そうなっても無理はないのかもしれないが。
「だろう? だからホワイトスターに来なくて、X世界の基地の司令官という形でよかったと思った訳だ。……最後に確認するけど、本当にいいんだよな?」
「ああ。それでいい」
そう頷くノモア。
ただし、ホワイトスターで働かないという事は、基本的にその恩恵もそこまで大きく受けられないという事を意味してるんだが。
その辺は……まぁ、本人の様子を見る限りでは問題ないのだろう。
「なら、そういう訳で。……ああ、それと基地にいったら受信機を渡すから、そのつもりでいてくれ。カリスにも渡しておいた方がいいか。まぁ、カリスの場合は使うかどうかは分からないけど」
今のカリスは15歳。
カリスにしてみれば、それこそもっと大きくなってから受信機を使った方がいいだろう。
カリスも、自分では大きくなりたいと考えている可能性が高いだろうし。
「受信機? 一体何の受信機だ?」
「ん? 渡したデータに入ってなかったか?」
「受信機については書いてないわよ。もし政庁にいる中で、ノモア以外の人が知ったら間違いなく騒動になるでしょ」
マリューの言葉に納得する。
実際、ノモアはカリスや量産型W、あるいは役人達に対しての引き継ぎで忙しく、マリューが渡したデータから目を離すといった事もあっただろう。
その時、故意かどうかは別として、ノモアに渡されたデータを見た者が自分も受信機を欲しいと思えば、妙な行動をしかねない。
そういうのを考えると、マリューが用意したデータに受信機の件が入ってなかったのは当然なのだろう。
だとすれば、俺はノモアに渡したデータは確認していないが、その中には結構隠されていた情報が多かった可能性が高い。
「それで、受信機とは?」
俺とマリューの会話を聞いていたノモアが、耐えきれなくなったように尋ねてくる。
会話の内容から、それは間違いなく何か大きな秘密であると理解したのだろう。
「単純に言えば、その受信機を使えば限定的な不老になれる」
「……何……?」
今日だけで一体どれくらい驚いたんだろうな。
とはいえ、ノモアにしてみればいきなり不老などという言葉が出て来たのだから、それも分からないではない。
ただでさえノモアは年齢的にそろそろ自分の体力とかに老いを感じてもおかしくはない頃合いなのだから。
「不老だ、不老。ゲート……ホワイトスターに繋がっているシステムがある世界においては、その受信機を持っていれば不老になれる。言っておくが、不老ではあっても不死ではない。あくまでも歳を取らないというだけで、例えば銃で撃たれたりしたら普通に死ぬからな」
世の中には不老と不死を勘違いしているような奴も多い。
ノモアのような科学者ならそんな間違いはしないんだろうが……しかし、それだけにノモアにとって今の話の内容は大きかったのだろう。
「それは……本当の話か?」
「そうなるな。ただ、勿論不老というのは強制じゃない。受信機は渡すが、それを使うかどうかはノモア次第だ。受信機を使わなければ、普通に歳を重ねていく事になる」
その言葉にノモアは改めて俺の方を見てくる。
目にあるのは疑惑の色。
人間にとって遙か昔から求めて来た夢が、いきなりぽんと与えられるというのだから、そんな風に思ってもおかしくはない。
もっとも俺が与えるのは、さっきもノモアに言ったが不老であって不老不死ではない。
誰かに襲われたりすれば普通に死ぬ。
技術班が生身での戦闘訓練をしているのは、そういう時に対処する為というのもあるのだが。
……実際にはエキドナや茶々丸、セシルといった面々から逃げる為という可能性の方が大きそうだったが。
その点、ノモアは受信機を使うにしても、戦闘訓練を行わないという事でそれなりに危険だったりする。
一応護衛として量産型Wやコバッタがいるから、そうそう心配はないだろうけど。
「分かった。それは受け取らせて貰う。……それにしても、不老か。もしこの件を知れば、それを求めて襲ってくる奴もいるんじゃないか?」
「それはいるだろうな。ただ、襲ってきたからといって、それに対処出来るかどうかは全く別の話だが」
もし襲ってきても、シャドウミラーの戦力を相手にどうにか出来るのか。
正直なところ、難しいだろう。
量産型Wは軍人を相手にしても、結構な数を相手に対処出来る。
魔術や魔法を使えば、それこそ数十人単位の軍人であっても対処出来るだろう。
俺みたいに、MSを相手にして生身でどうにか出来る程の実力はないと思うが。
ただ、それはあくまでも生身で正面から戦ってどうにかする事は出来ないというものであって、正面から戦うのではないのならどうとでもなりそうだが。
「とにかく、不老になるかどうかはノモアの判断に任せる。シャドウミラーの中でも、不老になるのは嫌だと思う者はいるから、絶対に受信機を付けろという訳じゃない」
そう言いつつも、何となくノモアは不老になるのを受け入れるような気がしていた。
ノモアにしてみれば、研究をする為の時間は幾らあっても足りないだろうし。
もっとも、鵬法璽を使った事もあってフォートセバーンにいた時のように自分の好き勝手に研究をするような事は出来なくなっていたが。
「分かった。よく考えてから、どうするか決めよう。私にとって、今回の件は興味深いことになりそうだ」
「だろうな。……ああ、そうそう。それと恐らくだが基地にあるMSの生産設備でGXを生産する事になると思うから、そのつもりでいてくれ」
「……ガンダムを量産……? しかも、GXだと?」
GXという言葉に、嫌悪感があったのは……うん。元宇宙革命軍の者であれば、仕方がないのだろう。
ジャミルのGXのおかげで……あるいはせいでと表現すべきか、とにかくそれによって15年前の戦争は終わったのだから。
「ああ。知っての通りフリーデンにはGXがあるからな。そのデータを貰った。とはいえ、フラッシュシステムを搭載するのは無理だし、それに関係するサテライトキャノンについても取り外すから、決戦兵器ではなくて普通の……高性能の汎用機という事になると思うが」
そんな俺の言葉に、ノモアは複雑な表情で頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754