テンザン級とフリーデンが移動し続け……やがて基地に続く山の中に入ったのだが、そこには俺にとってもちょっと予想外な光景が広がっていた。
「これ程のバルチャー達が集まっているとは……」
ブリッジにおいて映像モニタに表示された光景を見て、ノモアが呟く。
そう、そこには基地に向かう者達と、基地から出て来た者達が結構な数存在していたのだ。
渋滞と呼ぶ程に動きが鈍い訳ではないが、それでも適当に移動していると前を進んでいる相手にぶつかったり、後ろの相手にぶつけられたりといった具合に。
ちなみにノモアはバルチャー達と言っているが、見た感じではバルチャーだけではない。
それこそ、商人といったような者もいるし、農民と思しき者達もいる。
……商人が来るのは、まだ理解出来る。
MSの売買や、それ以外にも基地には色々と魅力的な物があるのだから。
だが、農民達は一体何をしに……いや、農民達の様子を見れば、何となく理解出来てしまった。
何しろ馬車で移動してるのだから。
この時代に馬車? と思わないでもなかったが、考えてみればそう難しい話ではない。
そもそも戦後であるこの世界において、車というのはかなり貴重な代物だ。
フリーのMS乗りをやってる時は盗賊のバルチャーとかが結構普通に乗っていたものの、そういうのを入手出来ない者は多い。
そういう連中がどうするのかと言われると、その答えが映像モニタに表示されているように、馬車だった。
そして馬車の荷台にあるのは、農民達の荷物だろう。
「ノモア、あれを見ろ」
「え? ……あれは……移住希望者?」
俺が指さす場所、映像モニタに表示されている馬車を見たノモアの口から、そんな言葉が漏れる。
その言葉には驚きの色が強い。
ノモアにしてみれば、この時代にそう簡単に移住をするというのは理解出来なかったのだろう。
X世界において、現在国というのは存在しない。
それだけではなく、ファンタジー世界よろしく領主の類もいない。
いやまぁ、そういうのがいる場所もあるのかもしれないが、北米で俺が行動していた範囲内にはそういうのはいなかった。
そうである以上、人が集まって行動するのは当然の事だ。
人の多さは、この時代労働力に匹敵する。
また、人が多いという事は色々とアイディアが浮かぶ可能性が高いという事も意味していた。
だからこそ、ああいう風に移住を希望する農民というのは珍しいのだろう。
「アクセル、あのような者達を受け入れる余裕はあるのか?」
これから自分が治める場所だからだろう。
ノモアが真剣な表情でそう聞いてくる。
「基地は地下に広がっている感じだし、シャドウミラーの方で調査や補強もしているから、移住に関しては問題ないと思う」
15年前にはもうあった基地で、その後は全く補修や整備がされていなかったのだ。
これが地上ならその辺はある程度余裕があるだろうが、地下ともなれば……そういうのをしっかりしないと、下手をすると崩落したりといったような事にもなりかねなかった。
だからこそ、俺がここを確保したところで量産型Wやコバッタを使って補強や整備をしっかりとしている。
「そうか。なら、そこまで問題はないのか」
安堵した様子を見せているノモア。
そんな様子を見ていると、ミナトが疑問を口にする。
「でも、無断で来る相手には自動迎撃装置が発動するんじゃなかった? バルチャーはともかく、移住を希望する農民はその辺がどうなってるのかしら?」
「馬車とかだったら、自動迎撃装置は起動しないようにしているのかもしれないな」
あるいはそれを狙って移住希望者は馬車で移動しているのかもしれないな。
「ふーん。……まぁ、量産型Wやコバッタがいるし、メギロートもいる。それにバルチャーもそれなり以上に数がいるのを思えば、盗賊のバルチャーが襲ってきても対処するのは難しい話じゃないでしょうね」
マリューがそう言ってくる。
そんなマリューの言葉に、ノモアは戸惑ったような表情を浮かべていた。
ノモアもフォートセバーンでカリスの補佐をする為の量産型Wと接しているので、量産型Wが具体的にどれくらいの能力を持っているのかは知っている筈だ。
だからこそ、そんな量産型Wが大量にいるというのは……色々と思うところがあるのだろう。
ノモアの件はその辺にしておくとして、それなり以上に混んでいる状況を見ると、基地に続く道はもっと広げた方がいいのかもしれないな。
一応テンザン級の横を他の陸上戦艦も問題ないといった様子で移動しているものの、テンザン級2隻がすれ違えるかと言われると、正直微妙だろう。
物理的にすれ違う事が出来る幅があるのなら、こっちのテンザン級はミナトが操縦しているので心配はない。
ただし、相手が接触するのに驚いて妙な真似をしたりすれば……テンザン級が大きいだけに、物理的に回避行動は出来ないかもしれない。
これでテンザン級が空を飛べるのなら、空中を自由に移動する事によって敵の攻撃を回避したりも出来るんだろうが。
いっそ今回の改修でホバー移動を強化して空を飛べるようにしてみるのもありか?
もしくはホバー移動の強化ではなく、テスラ・ドライブを搭載するとか。
量産型Wとかなら、テスラ・ドライブの扱いにも慣れているし。
強力なビーム砲は搭載する予定だから……あるいはテスラ・ドライブではなく動力炉を強化して、ホバー移動をしながらも一時的にかなりの高度まで上がる事が出来るのか。
その辺は後で技術班の面々に聞いてみるか。
そんな風に考えていると、やがて道は終わる。
「あれがシャドウミラーの基地か。……こうしてみると、地下に広がっているという話だったが、地上も大分広いな」
「ああ。俺も驚いている」
「驚いている? 何故アクセルが驚くんだ?」
俺の言葉を聞いて疑問の表情を浮かべたノモア。
だが、俺が驚きの表情を浮かべたのは、以前来た時に比べて地上部分がかなり拡張されていたからだ。
最後にここに来たのは、フォートセバーンに行く前だ。
少し前といった程度なのに、何故ここまで広がっているのか。
……誰がこれをやったのかというのは、考えるまでもない。
実際に作業をしたのは、メギロートやバッタ、コバッタ、量産型Wといったところだろう。
無人機や人造人間だけに、この程度を広げるのはそう難しくはないといったところか。
実際に無人機達の能力を考えれば、納得は出来る。
また、実際にこういう風に拡張工事をしなければならない理由は、俺にも納得出来た。
広くなったのは間違いないが、それでも集まっている者達がかなりの数いるし。
それでも騒動になっていないのは、この場所で騒動を起こした場合は出入り禁止になってもおかしくはないからだろう。
「俺達がフォートセバーンに行く前はここまで広くなかったからな。ただ……こうして見る限りだと、この拡張工事は悪い話じゃないな。ノモアから見て、どんな感じだ?」
「拡張工事を気楽に出来るのなら、もう少し拡張した方がいいだろう。見たところ、ここに来る者はまだまだ増えるだろうし。そうなれば、狭くなって問題が起きる可能性も高い」
ノモアの目から見ても、まだ拡張した方がいいという意見らしい。
それは俺も同意するが……
「問題なのは、あまり拡張工事をすると自動迎撃装置の方に問題が出て来るということだろうな」
盗賊のバルチャーが来た時、迎撃に穴が開いたり、あるいはその隙間から敵が侵入してきて基地に被害が出るといったような事になれば、ちょっと洒落にならない。
もっとも、この基地の厳重さはそれなりに知られているし、こっちの戦力として多くのバルチャーもいる。
その大半は客だが。
「今のこの基地の状況を考えると、自動迎撃装置はそこまでいらないと思うが?」
俺と同じ結論にいたったのか、映像モニタに表示されているバルチャー達の姿を見つつ、ノモアが呟く。
実際、その言葉は間違っていない。
自動迎撃装置の代わりにイルメヤやバッタを配置しておけば、相応の効果を発揮するのは間違いないのだから。
「とにかく、その辺はノモアが基地の指令として活動するようになってから決めてくれ。今この場では特に問題ないと思っても、実際にそうしようとすれば色々と問題がある可能性もあるだろうし」
もし問題がないようなら、ノモアがやりたいようにやればいいだろう。
だが、もし問題があった場合は量産型Wが止めるだろうからノモアも強硬は出来ない。
損して得取れ、時には無謀な真似をしなければならない可能性もあるが、量産型Wが判断出来なければホワイトスターの方に連絡してくるだろうし。
「うむ。こうして見ると……この基地はかなり興味深いところではある。ここを運営していくのは、それなりに楽しそうなのは間違いない」
どうやらノモアのお眼鏡に適ったらしい。
お眼鏡に適わなくても、ノモアにはしっかりとこの基地で司令をやって貰うのは変わりないが。
「その辺の話は実際に基地に入ってからだな。ノモアも外から見ているだけじゃなくて、実際に基地の中を見てからどうするべきかを判断する必要もあるだろうし」
「ふむ。基地の中か。移住を希望する者も結構な人数がいるようだし、その辺についても確認する必要があるだろう」
フォートセバーンを作ったノモアにしてみれば、移住を希望する者を集めるのは得意らしい。
基地の司令官をする以上、この基地を栄えさせる為には人が多ければ多い程いい。
もっとも、農民とかをどういう風に使うのかは分からない。
まさかこの場所で農業をするような真似は出来ないだろうし。
あるいは地下空間にLEDとかを使って農業……というか、農業工場を作るのはありかもしれないな。
X世界の農民がそのような真似を出来るのかどうかは分からないのだが。
やがてテンザン級が基地の中に入っていく。
そんなテンザン級を追うようにフリーデンもやって来た。
基地の中に入るのを待っている他のバルチャーや商人にしてみれば、不満を抱くかもしれないが。
まぁ、そういう連中が不満を露わにしたところで、取り仕切っている者達は聞き流すか、あるいは俺達の正体を口にするかといったところか?
そんな風に考えつつ、俺達は基地の中に入っていくのだった。
「じゃあ、そういう訳で取りあえず暫くは休日だ。ウィッツとロアビィが戻ってきたらこっちに来るだろうし、ジャミル達もゆっくりとしていてくれ」
「うむ。MSの整備工場や人員を貸してくれる事には感謝する。キッドが言うには、これだけの人員と設備があれば、かなり早くGXの改修は終わるらしい」
カリスのベルティゴに負けて中破したGXだったが、そのGXは現在改修中だった。
サテライトキャノンは強力だが、使える場所が限られる。
だからこそ、それをどうにかする為にキッドが色々と考え、それにガロードも納得したらしい。
ちなみにただ改修するだけではなく、サテライトキャノンの修理も行っているらしい。
サテライトキャノンは、GXにとっても奥の手だ。
いざという時に使えるようにしておきたいと思うのは当然だろう。
「気にするな。ガロードの機体が強化されれば、それはこっちにとっても悪い話じゃない。そっちのデータで俺達が製造するGXも強化されるだろうし」
「……考えておこう」
俺の言葉にそう言うジャミル。
ジャミルにしてみれば、GXへの思い入れとかそういうのもあるだろうし、同時に俺に……というか、シャドウミラーに対して思うところもあるのだろう。
「そうしてくれ。ああ、それと休憩中の話についてだが、フリーデンのメンバーならホワイトスターに行っても構わないぞ」
「いいのか?」
まさかホワイトスターに行ってもいいという許可が出るとは思わなかったのだろう。
サングラス越しでも分かるくらいに、ジャミルは驚いていた。
「ああ。ただし、フリーデンの面々に限るぞ。他の連中をゲートに連れていくのは禁止だ。もっとも、ゲートに連れていっても量産型Wによって止められるだろうが」
ゲートは基地の内部ではなく外にある。
ただ、当然ながらゲートには護衛をしている者が多い。
MSを使っても量産型Wが操縦しているオクト・エイプに、あるいはバッタやメギロート、イルメヤに撃破されるだろう。
……というか、基地に入る前にちょっと確認したが、ゲートのある施設の周辺には焦げた痕があった。
何故そんなのがそこにあるのかは、それこそ考えるまでもなく明らかだろう。
一応、この基地に来る事が出来るのはロッキー級に乗ったバルチャー達が活動している上で、招待してもいいと思われた連中だけなんだけどな。
そういう奴でも、ゲートは気になるのだろう。
まぁ、基地の外にあってこれ見よがしに守られている場所だ。
それを気にするなという方が無理だろう。
「分かっている。アクセルからの信頼は失いたくないしな。そのような真似をするつもりはない」
そう言うジャミルに、俺は頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754