シェリルのライブが終わると、俺とクスコとクリスの3人は予定通り牧場に向かった。
本来ならシェリルとちょっと話をしてもいいのでは? と思ったのだが、シェリルは俺と一緒にいるのがクスコとクリスだと知ると、デートの邪魔をするつもりはないと、さっさと消えたのだ。
とはいえ、意味ありげな視線を向けていたとなると、今夜はシェリルを重点的に可愛がることになるのだろう。
「アクセル、何か妙なことを考えていなかった?」
隣を歩いていたクスコが、ジト目を向けてくる。
ニュータイプの勘なのか、もしくは女の勘なのか。
クリスも俺に疑惑の視線を向けているのを見ると、恐らく女の勘なのだろう。
とはいえ、ニュータイプは感染するという説もあるらしいので、クスコと一緒に活動する事のあるクリスがニュータイプ能力に目覚めていてもおかしくはないのだが。
「いや、特に何も考えてないぞ。ただ、牧場でクスコやクリスがワイバーンに乗る光景を想像していただけだ」
「あのね、何で私がワイバーンに乗る事になってるのかしら?」
「あら、クスコは乗らないの? 私はちょっと楽しみにしてたんだけど」
俺とクスコの会話に待ったを掛けてきたクリスが、クスコにそう告げる。
この様子を見ると、どうやらクリスはワイバーンに乗るのを楽しみにしていたらしい。
何気に好奇心が高いんだよな。
「だって……ワイバーンでしょう? 馬とかならちょっと乗ってみたいとは思うけど」
「乗れるぞ」
クスコの言葉にそう告げる。
これは嘘でも何でもない。
牧場における最大の目玉はワイバーンの騎乗体験だが、それ以外に馬も普通に飼育されており、乗馬体験は出来る。
乗馬の趣味をもつあやかは、時々牧場で馬にのって走らせている。
政治班として忙しい時間の合間を縫って乗馬をしているのを見れば、あやかがどれだけ乗馬を好んでいるのかを示しているのだろう。
あやか以外にも、それなりに乗馬を楽しむ者はいる。
そうである以上、クスコが乗馬をしてみたいというのも分からないではない。
そもそもの話、UC世界におけるコロニーは特別なコロニー以外の普通のコロニーにおいて、馬というのはいない。
そういう意味では、牧場で馬に乗るというのはクスコにとって珍しいのだろう。
クレイドルの場合は、そういうコロニーと違って広い事もあって馬もいる筈なんだが。
何しろクレイドルは北海道と同じくらいの大きさを持っており、自然もかなり豊富なのが特徴なのだから。
「あら、そうなの? 乗馬をやってみてもいいのなら、少し楽しみね」
ワイバーンに乗るのは嫌でも、馬に乗るのは許容範囲なのだろう。
クスコにしてみれば、自分の常識の範囲内なら……といったところか。
「クスコが試してみたいのなら、やってみたらいいんじゃないか?」
実際問題、ワイバーンと馬では馬に乗る方が安全なのは間違いない。
もしワイバーンに乗っている時に落ちたら、最悪の未来が待っているのだから。
そのようなことにならないように、細心の注意を払ってはいるのだが。
そんな会話をしながら、牧場に到着すると……
「あら、アクセル? それにクスコとクリスも。……ふふっ、デートかしら?」
そう声を掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこにいるのはトニヤ。
「あら、トニヤ。トニヤこそ今日は1人?」
クスコのその言葉に、トニヤは素直に頷く。
「ええ。サラはフリーデンの方に残ってるわ。……ふふ、このチャンスを活かせればいいんだけど」
「そうね。こういう時に頑張る必要があるんだし」
「2人とも、あまりサラの恋愛事情を楽しんだりしないようにしなさいよ」
そんな会話を聞いて、何となく状況を納得する。
「で、トニヤはそんな訳で1人で牧場に来てたのか? ワイバーンに乗りに」
若干の呆れと共に、そう尋ねる。
前回サラと一緒に牧場に来ていた時、トニヤはワイバーンに乗るのを楽しんでいた。
そう考えると、今日また牧場に来ている理由は考えなくても明らかだろう。
「う……だって面白そうだったんだもの。別にいいでしょう」
いいかどうかと言われれば、別に構わないというのが正直なところだ。
ただ、1人で牧場に来るのがトニヤらしくないとは思ったが。
とはいえ、フリーデンに乗っている女は少ない。
俺が知ってる限りでは、目の前にいるトニヤ、フリーデンに残っているサラ、そして恐らくガロードと一緒に交流区画でデートをしているティファの3人か。
あくまでも俺が知ってる限りの話で、もしかしたら他のクルーにも女がいるかもしれないが。
というか、もし女が実は3人……子供のティファを抜かすと2人となると、サラとトニヤはぶっちゃけ色々と危ないと思うんだが。
男にはどうしても性欲というのがあり、そんな中でフリーデンという多数の男がいる中に2人。
しかもサラは理知的な美貌を持ち、トニヤにいたっては露出度の多い格好を好んでいる。
そう考えると……うん。いつ間違いがあってもおかしくはない。
ジャミルもその辺を考えて、街とかに寄るようにはしてるんだろうが。
そう考えると、X世界にある基地にも売春宿とか作った方がいいのかもしれないな。
後でノモアに話をしてみるか。
「なら、どうだ? 俺達と一緒に見て……いや、トニヤもせっかくなんだし、1人でワイバーンに思う存分乗りたいか」
言葉の途中でクスコとクリスに抓られ、内容を変える。
そんな俺達の様子を見て、トニヤはニンマリとした笑みを浮かべた。
「そうね。アクセルと一緒に牧場を見て回るのも面白そうだけど、そういう真似をしたらワイバーン……じゃなくて馬に蹴られてしまいそうだし、止めておくわ。それにアクセルが言ったように思う存分ワイバーンに乗りたいのも事実だし」
そう言い、トニヤは軽く手を振って俺達から離れていく。
「全く、私達とデートをしてるのに、何で他の女の事を考えるのかしら。シェリルはまだアクセルの恋人だからいいけど、トニヤにまでちょっかいを出すつもり?」
クリスが拗ねた様子でそう言ってくる。
そんなクリスの言葉に、クスコも同意するように頷いていた。
「いや、別にそういうつもりはなかったんだけどな。……ただまぁ、そうだな。確かに配慮に欠けていた。ほら、まずは乗馬でもしに行くか。クスコもワイバーンに乗るよりも前に、馬に乗ってみないか?」
ここで真っ直ぐワイバーンに乗りに行ったりすれば、恐らくそこにはトニヤがいる。
そうなると、またクスコやクリスが不満に思うかもしれないので、まずは乗馬をする為に行こうとしたのだ……
「ねぇ、アクセル。あれ……もし私の見間違いじゃなければ、サイなんだけど……」
馬のいる場所まで向かおうとしている中で、クリスが不意にそんな風に言ってきた。
サイ? とクリスの視線を追うと、少し離れた場所には実際にサイがいるのが見えた。
「サイ……だな。けど……何でサイ?」
「アクセルが知らないのに、私が知ってる訳がないでしょ」
クリスがそう言うも、俺だって別にホワイトスターの全てを完全に理解している訳ではない。
だがそれでも、何故サイが? という疑問はあった。
ここはあくまでも牧場であって、動物園ではない。
基本的にここで飼育されている動物は、最終的には食用になるのだ。
それはワイバーンでも変わらない。
実際に売店ではワイバーンの肉や、それを使った料理のレトルトや缶詰の類を売っている。
ちょっと変わったところだと、以前サラと一緒に来た時に買ったモッツァレラチーズを作る為の水牛や、ダチョウ、カンガルーもいる。
これらの肉も普通に売られているのだが……サイ?
牧場で育てられている以上、その肉も食用にする予定ではあると思うんだが。
ただ、以前ペルソナ世界で学校に通っていた時、サイと一口に言っても数種類いて、それらは絶滅危惧種に分類されていたり、もう少しでそういう分類になったりといった風に聞いた覚えがある。
もっとも、それらはあくまでもペルソナ世界での話だ。
この辺がホワイトスターにとって有利な場所なのだが、どこか他の世界では絶滅危惧種であっても、他の世界では普通に繁殖していたりもしている。
実際、異世界間貿易においても自分の世界では絶滅危惧種……いや、それどころか絶滅している動物を輸入するとか、そういうのがあるというのも聞いている。
クリスが見つけたサイもまた、恐らく絶滅危惧種とかになっていない世界から輸入したのだろう。
問題なのは、牧場にいるサイの肉が食用に出来るかどうかだろう。
いやまぁ、量産型Wの持つ技術の中には料理の技能もある。
そう考えると、サイの肉であっても普通に食べられるのだろう。
他には……ワイバーンの餌になるとか?
「ちょっと見ていかない?」
興味を持ったクスコの言葉に、俺達はサイの近くに向かう。
サイの飼育がされている場所は水場もしっかりと作られており、他にもサイが暮らしやすい環境を作っている。
気温とかそういうのもサイには影響するのだろうが……その辺は技術班の作った機械、あるいは魔法やマジックアイテムによってどうにかしてるのだろう。
「思ったよりも大人しいな」
サイのいる場所に近付く……勿論フェンスを挟んでだが、それでもサイは特に何かをする様子もなく、ゆっくりとしていた。
何かで聞いたが、サイというのはそれが棲息しているところで一番人を殺している動物だとか。
ん? いや、それはサイじゃなくてカバだったか?
ともあれ、サイも一見穏やかそうに見えるが、実際にはそれなりに獰猛な性格をしているのは間違いない。
ただし、こうして見ている限りだとそんな風には見えないが。
「もしかして、アクセルに怯えてるとかじゃない?」
「……あれでか?」
悪戯っぽく言うクリスだったが、俺が見る限りではサイはゆっくり、のんびりとしているようにしか見えない。
とてもではないが、俺を見て怯えているというのはないだろう。
「ああいう風に見せて、早くアクセルにはどこかに行って欲しいとか、そんな風に考えてるんじゃない?」
それは……可能性としてはあるのか?
動物だけに、野生の本能で俺には絶対に勝てないと判断していてもおかしくはない。
「なら、行くか」
もしクリスの言葉が真実だった場合、それはサイに無駄なストレスを与えているということを意味してる。
ストレスというのは、当然だが身体によくない。
サイの肉がどういう扱いになるのかは、俺にも生憎と分からない。
分からないが、それでも肉質ということを考えると間違いなくマイナスだろう。
「そうね。サイを見る事が出来たのは嬉しかったけど、馬に乗るのは楽しみだったのよ。……そう言えば、アルテイシア様が子供の頃に暮らしていたコロニーには馬がいて、それに乗る訓練をしていたらしいわよ」
「そうなのか?」
セイラが馬に乗れる……というのは、そこまで驚く事ではない。
だが、コロニーの中に馬がいるというのは、一般的なものではない。
つまり、セイラは一般的なコロニーではなく特殊なコロニー……例えば牧畜が盛んなコロニーや、あるいは観光用のコロニーとかで育ったのだろう。
今度セイラに会ったら、その辺についてちょっと聞いてみてもいいかもしれないな。
そんな風に思いつつ牧場を移動し、やがて馬を扱っている場所に到着する。
するとすぐに量産型Wがやって来たので、クスコとクリスに乗馬をさせるように言う。
その言葉に即座に従う量産型Wだが……俺が言うのもなんだが、この牧場の目玉はワイバーンの試乗だ。
わざわざ馬に乗りたいと思うような奴は、そういないだろう。
それでもこうして乗馬用に量産型Wが待機してるのは……いやまぁ、量産型Wの数を考えれば、それでも問題ないんだろうが。
それにもし量産型Wが足りなくなったら、新たに製造すればいいのだから。
そういう意味では量産型Wって便利だよな。
俺が言うのもなんだけど。
「アクセル!」
馬……それもポニーとかの小さな馬ではなく、いわゆる競走馬に乗ったクリスが嬉しそうにしながら声を掛けてくる。
競馬で使われている馬というのは、寿命が短い。
老衰とかそういう意味ではなく、勝てなくなったり怪我をしたりした場合に処分される事が多いそうだ。
とはいえ、その処分の中でも動物園とか牧場とかに買われるというのは幸福らしい。
そういうのがないと、殺処分となるとか。
ちなみに殺処分された馬の肉が馬肉として売りに出されたりするのかどうかは、生憎と俺にも分からない。
ただ、自分の好きだった馬の肉は欲しいと思う者がいてもおかしくはないと思う。
とはいえ、それはあくまでもそれぞれの世界の話であって、ホワイトスターの牧場は普通に肉となる運命ではある。
ただ、そうだな。いずれどこかの世界で競馬に出すような競走馬を作ってみてもいいかもしれないな。
シャドウミラーの技術班には出来るだけ関わらせないようにするけど。
でないと、走ってる最中に他の馬に対して魔法の矢とかガンドを撃ったり、あるいは馬が虚空瞬動したりするかもしれないし。
そんな風に思いながら、俺は乗馬を楽しむ2人を眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754