乗馬を十分に楽しんだ俺達が次に向かったのは、ワイバーンの騎乗。
「私も乗るの? 馬で十分満足したんだけど」
そう言ったのは、クリス。
元々クリスはワイバーンの試乗に関しては乗り気だったのが、乗馬である程度満足したのだろう。
寧ろワイバーンに乗るのはクスコが遠慮気味だったのだが、クスコの方は乗馬によってワイバーンに乗るのに興味を持ったのか、今では正反対の立場となっていた。
「乗馬とはまた違った感覚を楽しめると思うわよ。だからクリスも一緒に乗りましょう?」
そう言うクスコは、クリスも絶対にワイバーンに乗せると、そう態度で示していた。
一体何でそこまでクリスもワイバーンに乗せたいのか、生憎と俺にはその理由は分からない。
ただ、こうして見る限りでは別に悪意からそのように言ってる訳ではない。
であれば、特に口出しをする必要もないだろう。
クリスはクスコの熱心な言葉に、やがて根負けしたかのように頷いた。
「分かったわよ。そこまで言うのなら私も乗るから。……でも、何で私にそんなに乗せたいのよ?」
クリスも俺と同じ疑問を抱いたのか、クスコにそう尋ねる。
クリスにしみれば、自分がワイバーンに乗るといったような事になれば、その分だけクスコがワイバーンに乗る時間は減るのだ。
それはここまでワイバーンに乗るのを楽しみにしているクスコに悪いという思いもあるのだろう。
「うーん、何でかしら。ただ、そうした方がいいと思ったのよ」
「つまり、ニュータイプの勘?」
「そうなるわね」
ニュータイプの勘となると、それを気にしないといった事も出来ない。
ニュータイプがどれだけの力を持ってるのかは、ニュータイプに接した者……特にUC世界において最高のニュータイプであるセイラと接した者なら、誰でも理解しているのだから。
「けど、クリスがワイバーンに乗るのに一体どういう意味があるんだろうな」
「さぁ? ただ、何となくそうした方がいいと思っただけだから」
そう告げるクスコ。
俺とクリスは顔を合わせるが、その意味は理解出来ない。
うーん……これ、一体どうなってるんだろうな。
もしかして将来的に、何らかの理由でクリスがワイバーンに乗らないといけないような事態になるのか?
そう思ったが、それが一体どういう事態なのか全く想像が出来ない。
あるいはそういう事態になる訳ではなく、もっと別の理由があるのかもしれないが。
そんな風に思いつつも、俺達はワイバーンの試乗を行っている場所に行き……
「面白いわね、これ。もう一回行ってくるから、ちょっと待っててちょうだい!」
降りてきたばかりのワイバーンに、再び乗り込むのはクスコ……ではなく、クリス。
そうして再び空に上がったワイバーンを見ながら、俺は隣のクスコに視線を向ける。
「で? クスコがクリスにあそこまで執拗にワイバーンに乗るように言ったのは、これが原因なのか?」
「あはは。こうして結果だけを見ると、多分そうなると思うわ」
最初はクスコに言われたからという、一種の付き合いからワイバーンに乗ったクリスだったが、一度乗ってみるとワイバーンに乗る事の楽しさを知ったのか今の状況になった訳だ。
まぁ、そういう気持ちも分からないではない。
実際に体験するまではそこまで興味がなかった事を体験して見ると面白い。
クリスに起きたのはそのような事なのだろう。
「クリスの件はいいけど、クスコはどうなんだ? もう少しワイバーンに乗ってもいいんじゃないか?」
ワイバーンに乗るのは、別に1人ずつという訳ではない。
ワイバーンは複数いるのだから、当然ながら何人も同時にワイバーンに乗る事が出来る。
つまり、クスコも乗ろうと思えばワイバーンに乗ることが出来る。
「そうね。じゃあ、私ももう1度乗ってくるわね」
そう告げると、クスコもワイバーンに乗って空を飛ぶ。
そんなクスコとクリスの様子を見ていると、後ろから近付いてくる気配があった。
「アクセル、1人なの?」
声を掛けてきたのは、トニヤ。
元々トニヤもワイバーンに乗る為に牧場にやって来たのだから、ここにいるのはおかしな話ではない。
「クスコとクリスの2人は、現在あそこだよ」
空を指さすと、トニヤも空を見上げる。
ここはホワイトスターで、巨大な円球状のコロニー……というか、機動要塞的な感じの施設だ。
しかし、空を見上げればそこには青空があり、雲があり、太陽がある。
勿論これらは本物ではなく映像だ。
ただ、こうして空を見てもそれが映像だとは分からない。
普通にそこには太陽や雲が存在するように思えた。
「あら、そうなの? ちょっと休憩していたんだけど……遅れたわね」
「いや、別に遅れたとかそういうのはないだろう? ワイバーンは他にもいるんだし。そっちに乗ればいいんじゃないか?」
「出来れば色々なワイバーンに乗りたいのよ。ワイバーンもそれぞれ個性があるし」
その言葉に納得する。
ワイバーンはMSとかの機械ではなく、あくまでも生き物だ。
そうである以上、個体によって色々と差があってもおかしくはない。
……MSでも、それぞれ違いがあったりするが。
それこそオクト・エイプが2機あっても、その2機は全く同じという訳ではなく、それぞれに個性がある。
「つまり、クスコかクリスが乗ってるワイバーンに乗りたかった訳か」
「ええ。だから暫く地上でゆっくりと待つわ」
「なら、そうだな。ワイバーンだけじゃなくて、牧場を色々と見て回ったらどうだ? 俺もクスコやクリス達と一緒に行動している時に分かったんだが、実はこの牧場にはサイがいるんだよ」
「サイ? サイってあの……角のある?」
「そのサイだ」
X世界において、サイはどうなってるんだろうな。
俺が知ってる限りだと、サイはアフリカとかに棲息していた筈だ。
しかし、X世界では多数のコロニーが落下して自然環境は滅茶苦茶になっている。
俺が主に活動している北米でも、その影響はそれなりにあった。
フォートセバーンとかが、そのいい例だろう。
そうなると、アフリカがどうなっているのかは分からない。
ヨーロッパとかそっちの方では、それなりに人が暮らしているという噂は聞くが。
あるいは一度ヨーロッパとかアジアとかを見てみてもいいのかもしれないな。
「へぇ……サイ、ね。小さい頃に図鑑か何かで見た事があるけど、本物は見た事がないわ」
「だろう? なら、気分転換……ってのとはちょっと違うかもしれないが、見てきてもいいんじゃないか? 他にもカンガルーとかもいるし」
カンガルーはオーストラリアに棲息しているのは知っている。
UC世界においては、コロニーがオーストラリアに落下した影響もあって、カンガルーとかも結構な被害を受けただろう。
カンガルーにしてみれば、とばっちりでしかないが。
「サイやカンガルー……面白そうね。ちょっと見てこようかしら。アクセル、一緒に行く? ……と聞こうと思ったけど、デート中のアクセルを誘ったりはしない方がいいわよね」
「そうだな。ちょっと残念だが」
「あら、そういう事を言ってもいいの? 後でクスコやクリスに言いつけるわよ?」
「別にそういう意味での残念って訳じゃないんだが」
トニヤは男にモテるのは間違いない。
そういう意味では、俺に言い寄られていると思ってもおかしくはない。
……もし俺がこの世界に出た時にフリーデンのすぐ側でフリーデンと一緒に行動していたら、もしかしたらトニヤとそういう関係になっていた可能性はあっただろう。
そうなればそうなったで、X世界はどういう流れになっていたんだろうな。
フリーデンで行動するとなれば、当然ながらゲートを設置するのは難しい。
ずっとX世界の通常のMSを使っていただろう。
それもガンダムとかのような特別な機体ではなく、ドートレスとか。
「そうなの? それはそれで残念だけど」
「どっちなんだよ。……取りあえず、いつまでもこうしているのも何だし、サイとかカンガルーとかを見てきたらどうだ?」
「そうね。いつまでもこうしているのもどうかと思うし。それに……いつまでもここにいると、空を飛んでいる2人に妙な勘違いをされるかもしれないしね」
上にいる2人が俺とトニヤの様子をどのように思っているのかどうかは、正直分からない。
そもそもワイバーンがいるのは結構な高度だ。
そんな高度から、地上にいる俺やトニヤの姿を見る事が出来るのかどうか。
これが俺なら、混沌精霊なので視力も高く、あのくらいに高度からでも地上をしっかりと見る事は出来るのだろうが。
あ、でもクスコならニュータイプの力で分かったりするのか? いや、ニュータイプってそういう能力じゃないか。
「じゃあね、アクセル」
「ああ。休憩する時間はそこまで長くないんだ。ゆっくり骨休めをしてくれ」
立ち去るトニヤに声をかけると、そのトニヤは手を振って歩き出す。
そんなトニヤを見送り、また1人になって空を飛ぶワイバーンを見ていると……
「あ」
離れた場所に、見覚えのある2つの人影を見つけた。
それが誰なのかは、それこそ見れば分かる。
ガロードとティファ。
あの2人が牧場にやって来たのだろう。
とはいえ、これはそこまで意外な事ではない。
ガロードはともかく、ティファにしてみればホワイトスターの交流区画は色々と騒がしいだろうし。
そういうティファが楽しめる場所となると、それこそこの牧場だろう。
あるいは、エルフ達がいる公園とか?
ただ、エルフは人間ではない以上、ティファにしてみれば色々と思うところがあってもおかしくはない。
人間と違うので、怖がったりとか。
……これが動物なら、ティファにとってもそこまで怖くないのかもかもしれないが。
中途半端に人と意思疎通が出来る分、人間とも動物とも違うように思えたとしても不思議ではなかった。
当然だが、ガロードはともかくティファは俺の存在に気が付いている。
だが……少し恥ずかしそうにガロードに隠れてしまう。
やっぱりマリューやミナトとの夜の生活を見られてしまったのは、大きな衝撃だったのだろう。
とはいえ、それでもあの日からそれなりに時間が経っているので、少しずつ……本当に少しずつだが、またティファの態度は和らいできている。
和らいできていて今のような状況なのも、また事実だが。
それでもリスの炎獣については可愛がっているのか、緊張したり顔を赤くしたりしながらも、何度か俺に会いに来ては、リスの炎獣に魔力を込めていた。
何だかんだで、今ではフリーデンの中でもティファとリスの炎獣はセットと思われていたりする。
護衛をするという意味では、悪くない状況だろう。
とはいえ、炎獣を見せる事が出来るのは基本的に俺達の状況について知ってる者達だけだ。
つまり何も知らない相手に炎獣を見せるのは不味い。
もし魔法とかについて何も知らない者が炎獣を見たら、一体どんな騒動になるのか。
それは考えるまでもなく明らかだろう。
そうなれば、間違いなく面倒な事になる。
中にはティファから炎獣を奪おうとする者が出てもおかしくはない。
もっとも、炎獣の能力を思えばティファに危害を加えようとする奴はそれをどうにかするというのは不可能に近いのだが。
それこそ炎獣によって焼き殺される……いや、それどころか灰も残らず燃やされてもおかしくはない。
あ、でもティファの性格を考えると、目の前で人を殺すのはちょっと不味いか。
けど、炎獣だけに気絶させて捕らえるといった真似はちょっと難しいのも事実なんだよな。
そんな風に考えていると、ティファの様子からガロードも俺の姿に気が付いたのだろう。
ティファと一緒にこっちに近付いてくる。
……ティファの方はガロードの後ろに隠れたままだったが。
「アクセル、何をしてるんだ?」
「クスコとクリスを待ってるところだ」
「え? あの姉ちゃん達2人を? どこかに行ってるのか?」
そう聞いてくるガロードに、空を指さす。
俺の指の先を見たガロードは、空を飛んでいるワイバーンの姿に気が付いた。
「うお……あれってワイバーンだよな? 本当に乗れるんだな」
「トニヤ辺りから聞いたのか?」
「ああ。何でもかなり面白いって話だったし、それに……牧場を見るのも初めてだしな。本で見た事はあったんだけど」
そう言うガロードの視線は好奇心に輝いていた。
既にそこには、カリスによってボコボコにされて落ち込んでいた様子はない。
カリスと話していた時の事を考えると、いつの間にか友好的な関係になっていたんだとは思うけど。
「そうか。ワイバーンはまだ他にもいるから、気になるなら乗ってきてみたらいい。外見は怖いが、人を襲うような事はない。……勿論、ワイバーンを攻撃したりすれば話は別だが」
「そ、そんな事をする訳がねえだろ!?」
ガロードの慌てた声に、だろうなと納得する。
ワイバーンに興味津々なのは間違いないが、だからといって妙なちょっかいを出したりはしないだろう。
そのくらいには、ガロードの事を信用している。
「で、どうする? ガロードもワイバーンに乗るのか?」
「うーん……やってみたいけど……」
そう言いながら、少しだけ困った様子でガロードはティファを見るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1930
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1754