俺の手に口の先端を触れさせた白いイルカ。
それは見ようによってはまるで忠誠を誓っているようにすら見える。
……というか、忠誠を誓っているのだろう。
こうして白いイルカに触れて分かった。
この白いイルカは、ティファやカリスと同じニュータイプだ。
ただし、カリスのような人工ニュータイプではなく、ティファのような天然のニュータイプ。
「まさかとは思っていたけど、本当にまさかだな。人間じゃなくて動物にニュータイプが存在するとは思わなかった」
今回の一件で戯れにそんな風に考えたのは事実だ。
しかし、それはあくまでも戯れ。
一種の冗談というか、言葉遊び。
そんなつもりで白いイルカがニュータイプではないかと思っていたのだ。
しかし、実際にこうして触れてみれば……それだけで、ニュータイプだと理解出来てしまう。
とはいえ、その感触はニュータイプであるとは理解出来るが、ティファと微妙に違う。
カリスとの接触で違ったのは、天然のニュータイプと人工のニュータイプである差だったのだろう。
そうなると、この白いイルカとティファの違いはイルカと人間の違いか?
「キュウ」
俺の言葉に鳴き声を発する白いイルカ。
ただし、白いイルカが鳴いているのは分かるが具体的にそれが何を言いたいのかは生憎と俺には分からない。
今のこの状況を考えると、俺の言葉に同意したといったところなんだろうが。
白いイルカはこっちの言葉を理解しているのに、こっちが白いイルカの言葉を理解出来ないってのはちょっとな。
「それで、お前はこれからどうするんだ?」
「キュウ……キュキュキュ」
うん、俺の言葉を理解している白いイルカは何かを話しているのは理解出来るものの、やっぱりそれを俺には理解出来ない。
「ちょっと待っててくれ。俺にはお前が何を言ってるのか分からない。お前の言葉を理解出来るティファを連れてくる」
「キュウ……」
白いイルカは残念そうな様子で鳴き声を発する。
白いイルカにしてみれば、自分の言葉が俺に通じないのは悲しいのだろう。
レモンがいれば、俺には理解出来ない技術を使ってこのイルカの言葉を理解出来るようになるかもしれないが。
ともあれ、今のままでは白いイルカの言葉が分からない以上、このまま俺が白いイルカの言葉を理解出来ないままでは困る。
白いイルカをその場に残し、海岸に向かう。
そこでは当然のことだが、フリーデンとテンザン級のクルー達が俺を興味深い視線で見ている。
見ているとはいえ、まだ白いイルカと何の意思疎通も出来ない以上、俺は何も言えないのだが。
「ティファ、悪いがちょっと来てくれ。お前にはあの白いイルカが何を言ってるのか分かるのかもしれないが、俺はただ鳴いているようにしか聞こえない」
そう言うと、近くで様子を窺っていた者達は呆れの視線を俺に向けてくる。
そんな視線を向けてくるという事は、お前達は白いイルカの言葉が分かるのか?
そう突っ込みたくなったものの、今のこの状況ではそのような真似をしても意味はない。
寧ろ、白いイルカの言葉を理解出来るティファが特別な存在なのだから。
「分かりました」
そう言い、そのまま海に入るティファ。
まぁ、水着だから別に海に入るのは問題ないだろうし、白いイルカ達がいるのは海岸からそんなに離れていない。
それこそ10mもないくらいだ。
見るからに体力がなく運動が苦手なティファであっても、そのくらいは楽に泳げるだろう。
そんな俺の予想は見事に当たる。
それだけではなく、白いイルカの指示によるものか普通のイルカが自分が泳げる限界の場所までやってくると、背中にティファを乗せて移動する。
イルカに乗るティファに、海岸の方から羨ましがる声が聞こえてきた。
イルカに乗るというのが羨ましいと思える者もいるのだろう。
水族館でよくあるイルカショーで、イルカの背に乗ったり、水中に浮かんでいる奴を下から泳いで突き上げてかなりジャンプさせるとか、そういうのを見た事がある。
羨ましがってる奴は、そういうのをやってみたいのだろう。
白いイルカと友好的な関係になれば、もしかしたら他のイルカに命じてそういうのをやってくれるかもしれないが。
……あれ? もしかしてそれって、これから行われる交渉……と言っていいのかどうかは分からないが、とにかくそういうのも関係してくるのか?
「キュウ!」
白いイルカは近付いて来た俺とティファを見て鳴き声を上げる。
その鳴き声が少し嬉しそうに聞こえたのは、俺の気のせいではないだろう。
ようやく自分の言葉を俺に聞いて貰えるといったところか。
イルカ特有の円らな瞳を持つ白いイルカだが、そこに俺に対する忠誠心が存在している。
カリスの時もそうだったが、別に何かをした訳ではないのに何故こうなるのか。
いや、カリスの時はベルティゴに乗っていたカリスを一方的にボコボコにしたから、そう考えれば一応まだ理解出来る。
だが、この白いイルカは一体何故こうなったのかが全く理解出来なかった。
「自分や同胞を助けてくれて感謝していると、そう言っています」
白いイルカの言葉を通訳するティファ。
ああ、なるほど。この白いイルカが俺に忠誠心を抱いたのは、その辺が理由なのかもしれないな。
「ドーザとの戦いは、別にお前達を助ける為じゃなくて、ティファを助ける為だったんだけどな。それに……正直なところ、もしドーザがこっちに攻撃をしてこなかったら、俺がドーザと戦う事はなかった」
ドーザが俺達に攻撃をしてきたのは、イルカを獲る邪魔をされたから……という訳ではなく、俺達が持つガンダムを欲しての事だ。
普通に考えれば、多数のガンダムを有する俺達に戦いを挑んでも、勝てる筈がないと理解出来てもおかしくはない。
それでもドーザが攻撃を決断したのは、それだけガンダムが魅力的だったのだろう。
あるいは、自分達は水中用MSを持ってるので、この状況でならどうにかなると思ったのか。
その判断そのものは、そう間違ってはいない。
ただ、ドーザの予想以上にこっちの技量が高かったという事だ。
もしドーザがガンダム欲しさに欲を出さなかったら、イルカ漁を邪魔する事はなかったと思う。
そういう意味では、この白いイルカが俺に感謝する必要はないんだが。
「キュウ、キュウキュウ」
「それでも同胞を助けて貰ったのは事実で、だからこそ大いなる存在には感謝したいと」
「大いなる存在……?」
白いイルカの言う大いなる存在というのは、間違いなく俺の事だろう。
それは分かるが、何故大いなる存在?
あ、でもカリスやティファも似たような事を言っていたな。
そう考えると、ニュータイプにしてみれば俺は大いなる存在といったように感じられてもおかしくはない、のか?
「感謝してるのは分かった。なら、その感謝はありがたく受け取ろう。後はもう、お前は沖に戻った方がいい」
正直なところ、人間以外のニュータイプという事でこの白いイルカには興味がある。
基地司令となったノモアがこの白いイルカを見たらどう思うか。
あるいはUC世界のルナ・ジオンのニュータイプ研究機関のアルテミスにいる研究者達が白いイルカを見たらどうなるか。
あ、でもUC世界とX世界のニュータイプというのは、言葉は同じであっても意味は違う。
そう考えるとアルテミスの研究者達がこの白いイルカを見ても……いやまぁ、それでも興味深いと思うのは間違いないだろうが。
ただ、この白いイルカがそこまで珍しい存在ではあっても、まさか連れていく訳にもいかない。
この白いイルカも群れのリーダーとして活動しているんだし。
それに自然の海ではない場所にいれば、それは白いイルカの生活環境としても決してよくはない。
「キュウ……キュウ……」
「恩返しをしたいと、そう言っています」
「いや、恩返しと言われてもな」
俺にしてみれば、恩返しと言われても白いイルカから何かをやって貰うような事は……そう考え、ふと思いつくことがあった。
具体的には、15年前の戦争で沈んだ船、それも連邦軍や宇宙革命軍の軍艦の中にニュータイプに関係する何かがあるかもしれないと。
15年前の戦争で、連邦軍の……そして宇宙革命軍の船が具体的にどのくらい沈んだのかは、生憎と俺にも分からない。
分からないが、それでもシーバルチャーやオルクが15年もの間活動しているのを考えると、結構な数が沈んでいると思われる。
つまり、双方共にニュータイプに関係する何かが沈んでいる可能性は十分にあった。
これが普通の者なら、どこにニュータイプに関係する何かが沈んでいるのかどうかは分からないが、ニュータイプである白いイルカであればニュータイプ能力でそれが分かるのではないか。
「ニュータイプに関係する何かを積んで沈んでいる船があるかどうかは分からないか?」
まさかそんな言葉が出て来るとは思わなかったのか、ティファは驚く。
だが、白いイルカはそんな俺の言葉に1分程考え……やがて鳴き声を上げる。
「キュウ、キュキュキュ、キュキュウ」
「え? 本当に?」
白いイルカの言葉に驚きの声を発するティファ。
この様子を考えると、恐らく何かがあるのだろう。
ティファにとって驚きの出来事である以上、そういう風に理解出来た。
「それで、ティファ。どうだ?」
「ニュータイプの人が海にいるそうです」
「……えっと、それは具体的にどういう意味だ? 海で生活をしている漁師にニュータイプがいるという事なのか?」
「いえ。海底だと」
「海底にニュータイプ? ああ、もしかしたら海底都市とか、そういうのがあるのか」
考えてみれば、そうおかしな話ではない。
15年前の戦争では大量のコロニーが落下してきたのだ。
そんな被害を避ける為にも、海底都市を建設するのはおかしな話ではない。
15年前のX世界は、かなり高い技術力を持っている。
そうである以上、海底都市を用意するというのはそうおかしな話ではない。
「えっと……それは分かりません。ただ、海底にそのような存在がいるのは間違いないらしいです」
白いイルカもその辺についての詳しい状況は分からないのだろう。
「なら、群れを助けた恩を返すのなら、その海域まで案内してくれないか?」
「キュウ!」
こちらの頼みに即座に反応する白いイルカ。
相変わらず俺には白いイルカの言葉は理解出来ないが、それでも今の様子を見れば何を言いたいのかはすぐに理解出来た。
「一応聞くけど、そのニュータイプがいる海底都市まで案内してくれるって事でいいんだよな?」
「はい」
ティファが俺の言葉に素直に頷く。
どうやら白いイルカの返事は予想通りだったらしい。
「そんな訳で、白いイルカに案内して貰う事になった。もっとも、これはあくまでも俺が受けた約束だ。ティファが……というか、ジャミルが行くかどうか分からない以上、フリーデンがどうするのかは分からないが」
そう言いつつも、ニュータイプの保護を目的にしているジャミルの行動指針を考えれば、恐らく俺達と一緒に行くというのは間違いないだろう。
多分だが、ティファがこの場所を見つけたのは白いイルカの件もそうだが、それ以上に海底都市にいるニュータイプを見つける為だったのかもしれないな。
「じゃあ、すぐに出発するのか、それとも明日出発するのかは分からないが、取りあえず出発するまではこの辺で待っていて欲しい。問題はないか?」
「キュウ」
その返事にティファを見ると小さく頷く。
どうやら交渉は纏まったらしい。
「じゃあ、少しの間だがよろしくな。……ティファ、戻るぞ。ジャミルに海底都市の件について話す必要がある」
俺の言葉にティファは頷く。
するとティファをここまで乗せてきたイルカが海岸に向かう。
それを追い越し、俺は真っ直ぐにジャミルのいる場所に向かった。
ジャミルもこの状況がどういう事なのかというのを聞きたいんだろうし、X世界について詳しいのはジャミルだ。
それ以外の面々は基本的に若いので、15年前の戦争の時はまだ子供だった。
海底都市がどうとか、そういう話をしてもきっと分からないだろう。
「アクセル、一体どうなった?」
ジャミルもまた、俺から詳しい説明を聞きたかったのだろう。
すぐにそう尋ねてくる。
「あの白いイルカはニュータイプだ」
「な……」
絶句するジャミル。
いや、絶句しているのはジャミルだけではない。俺とジャミルの話を聞いていた全員だ。
人間ではなく白いイルカがニュータイプだと言われたんだから、そんな風に思うのも当然だろう。
「で、俺達が倒したオルク、ドーザ・バロイって奴はイルカの脳みそを使ったレーダーを作って売っていたらしい」
「……それで?」
「で、俺が助けたというのもあるけど、どうやらカリスみたいに俺の存在に何かを感じたらしい。それで俺に協力すると言ってきた。で、あの白いイルカの話によると海中からニュータイプらしい力を感じられるって話で、その海域まで案内して貰うことになった」
「海底だと?」
「そうだ。恐らく15年前の戦争以前に作られた海底都市か何かだと思うんだが、何か知らないか?」
そう尋ねる俺に、ジャミルは首を横に振るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756