海底都市の話を聞いて首を横に振るジャミル。
最初何故首を横に振ったのかが分からず、疑問の視線を向ける。
「海底都市については知らないのか?」
「私が知らないというよりも、そのような場所は存在しない」
ジャミルがきっぱりと言い切る。
それは単純にジャミルが知らないだけなのでは?
そう思ったが、俺が聞くよりも前にジャミルが口を開く。
「自分で言うのもなんだが、私は15年前の戦争において英雄と呼ばれていた。そうである以上、もし海底都市を作るという大きな話があったら私が知っていてもおかしくはない」
「そう言われると……うん。そうかもしれないな。ただ、英雄のジャミルに対しても情報を出さないようにしていたとか、そういう可能性はないか? ……ないな」
「絶対にないとは言わないが、まずないと言ってもいいだろう」
ジャミルの言葉は、俺にも十分に納得出来た。
何しろ海底都市。……そう、都市なのだ。
これが小規模な実験施設の類なら、ジャミルがその情報を入手出来なくてもおかしくはない。
しかし、海底都市という規模である以上、そこに関わっている者の数は膨大だろう。
普通の都市を作るにも、結構な人数が必要になるのは間違いない。
その上で海底に都市を作るとなると、そこには普通に都市を作るよりも多くの人手が必要となる。
そこまでの大規模な工事となると、連邦軍のエースとして活躍していたジャミルの耳に入らない筈がない。
「そうなると、海底に存在するニュータイプというのは何だと思う?」
「分からん。私が言うのもなんだが、それはニュータイプの死体があるという事ではないか? ……あまりいい気分ではないが、連邦軍には私以外にもそれなりの数のニュータイプがいた」
「だろうな」
ヴァサーゴやアシュタロンといったような戦後に作られたガンダムは別として、GXやエアマスター、レオパルドはフラッシュシステム搭載機だ。
それを操縦していた以上、ジャミル以外にも複数のニュータイプがいたのは当然の事だった。
もっともウィッツやロアビィがエアマスターやレオパルドを操縦しているように、ベルフェゴールとは違って機体制御にフラッシュシステムは使われていない。
ニュータイプではなくても、エースパイロットにガンダムを任せるといった真似をすれば十分戦力になったのだろうが。
「そんなニュータイプが死んで……けど、死体になっている以上、そこにはもうニュータイプの意思はないだろう? 白いイルカがそれを感じる事は出来ないと思うんだが」
この世界のニュータイプも、死者の念を感じる事が出来るというのは知っている。
そもそもアルタネイティブ社への襲撃を行う事になった理由も、ガロードが使ったサテライトキャノンによって死んだ者の衝撃を、一緒にGXに乗っていたティファが受けて限界を超えたのが原因だったらしいし。
その影響かどうかは分からないが、急激に体調が悪化したのが直接的な理由らしいが。
理由はともあれ、ティファの例を見れば分かるようにX世界のニュータイプも死んだ者を感じる能力はある。
だが……それでも恐らくは15年前の戦争が原因となると違うと思えた。
そもそもの話、もし15年前の戦争の死者の念を感じるといった事が出来る場合、人口の99%が死んだのだ。
今の時点でティファが普通にしていられるのは、色々とおかしい。
「つまり、そのニュータイプは15年も海中で生きていたと?」
ジャミルの言葉は、自分で言っておきながら信じている様子はない。
いやまぁ、俺もそれは同感だが。
例えば、俺のように混沌精霊で酸素や食べ物を必要としない存在なら、海中で15年いるといった事は出来る。
それはあくまでも出来る能力があるというだけで、実際に出来るかと言われれば微妙なところだが。
「まずないだろ。……で、そうなるとどうする? 白いイルカの言ってることが事実かどうか分からない訳だが。あるいは、ティファが通訳を失敗したという可能性もあるけど」
海底ではなく、どこかの島にニュータイプがいるのを、ティファが通訳の失敗で海底と口にした可能性はある。
あるのだが……すぐにそれを否定した。
俺は白いイルカの言葉を理解出来ないが、白いイルカは俺達の言葉を理解している。
そうである以上、もしティファが通訳を間違っていた場合、白いイルカから待ったが掛けられるだろう。
そのような事がなかった以上、海底にニュータイプが存在するという白いイルカの言葉は間違いではない。
間違いではないのだが……それでも、今のこの状況において疑問なのは間違いない。
「ふむ。結局のところその海域に行ってみるしかないのか。具体的にどこなのかは分からないのか?」
「そこまでは俺に聞かれてもな。それにイルカが泳ぐ速度と陸上戦艦が移動する速度も違う以上は、比較出来ない」
この様子を見る限り、ジャミルも白いイルカの案内に従って移動するというのを決めたらしい。
ティファの描いた絵でここまでやって来て、それで白いイルカに遭遇したのだ。
そう考えると、ティファの絵はこの白いイルカに案内して貰うというのを示していたとしてもおかしくはない。
「ふむ。しかし、そうなると……物資が足りるかどうか分からんな。勿論海に来る前に相応の補給はしてあるが」
「知ってるよ。その補給をやったのはシャドウミラーなんだからな」
正確には、ノモアが司令となった基地で行われた補給だ。
俺に連絡がくるのも当然だろうし、同時にテンザン級にも相応の補給は行われている。
「そうだったな。だが、海は広い。どれだけの期間となるか分からない以上、相応の準備は必要となる」
「一応、ある程度は俺の空間倉庫に入ってるぞ?」
「パトゥーリアの奴か……」
パトゥーリアという巨大なMAを収納出来るのだから、当然ながら最低でも同じくらいの物資を収納出来るとジャミルは考えたのだろう。
実際にはパトゥーリアどころか、ホワイトスターすら収納出来るのだが。
「そういう訳だ。物資の件は心配しなくてもいいぞ。食料もたっぷりとあるし、海である以上は魚を釣ったりも出来る」
コロニー落としによって海の魚に何らかの悪影響があるのでは?
自分で言っていてそう思ったが、白いイルカの群れとかが普通に生活している以上、そんな心配はいらないだろう。
「いや、そこまでアクセルに頼りたくはない。途中でシーバルチャーと遭遇出来れば、そこから物資の類を補給出来るだろう。もしシーバルチャーと遭遇出来なかったり、こちらが望む物資がなかった場合はアクセルに頼みたい。それでいいか?」
「俺は別にそれで構わない」
ジャミルにしてみれば、これ以上俺に借りは作りたくないといったところなのだろう。
今更という気もするが。
ああ、でもこの世界の原作について考えれば、もしかしたらシーバルチャーとかと何らかの騒動があったりするのか?
それ以前に白いイルカがニュータイプがいるという海域まで連れていくのかというのも疑問だが。
今回白いイルカが俺達をニュータイプがいるという海域まで連れていくのは、あくまでも白いイルカが俺に対して従っているからだ。
ティファが言うには、あの白いイルカは人間に対して憎悪すら抱いていたのだが、何故か俺には従っている。
……俺が人間じゃなくて混沌精霊だから、そんな風に認識してるのかもしれないが。
そう考えると、原作で白いイルカがニュータイプのいる海域まで案内するといった事はしない筈だ。
そうなると、これから向かう場所はこの世界の原作とは全く関係のない事なのかもしれないな。
もっとも、原作云々というのは今更の話だろう。
俺がこの世界の原作について覚えていたら、その辺を考えてどうにかしてもよかったのだが、今の俺にはペルソナ世界の一件で原作知識はない。
そうである以上、原作の流れを気にしても意味はない。
それに俺が……そしてテンザン級が関わっている時点で原作の流れとは全く違うのだから。
「じゃあ、そういう事で……出発するか? 向こうは俺達を待ってるみたいだが」
そう言った瞬間、タイミングよく白いイルカがジャンプした。
俺達を待っているようにも、急かしているようにも見える。
……いや、あの白いイルカは俺に従ってるんだし、急かすというのはないか。
恐らくだが、自分はいつでもいいですよと、そんな風に示しているのだろう。
「そうだな。では、すぐにでも出発しよう。……出来れば今日1日くらいは休暇を与えたかったのだが」
「それは仕方がないだろ。それに、ここに来る前に休暇は楽しんだんだ。そういう意味では、ここでの休暇はそこまで惜しむ必要ないと思う」
ロアビィ辺りは、残念に思ってるのかもしれないが。
実際、ロアビィは女達全員に水着をプレゼントしているので、その水着姿を思う存分見る事が出来なかったと残念に思ってもおかしくはない。
正直、俺も残念に思ってるのは間違いないしな。
今日は色々と……本当に色々な意味で刺激的だったので、今夜はマリューとミナトが凄い事になりそうな気がする。
疲れ果てて明日のテンザン級の運行に支障が出ないようにしないとな。
「出発する!」
ジャミルがそう叫ぶと、皆が撤収の準備を整える。
ティファが飛び出した時点で既にこのまま海水浴を楽しむような余裕はなくなると理解していたのだろう。
既に撤収準備はかなり進んでいた。
それはフリーデンの面々だけではなく、テンザン級の方でも同様だ。
「こっちも出るぞ!」
それでも一応そう言い……出発の準備が始まるのだった。
「白いイルカを追ってくれ。追い抜かないように気を付けろよ。……まぁ、ミナトに言うような事でもないと思うけど」
「気を付けるわ」
テンザン級のブリッジで、俺は舵を握っているミナトにそう声を掛ける。
ブリッジの窓からは、白いイルカの率いる群れがテンザン級やフリーデンを先導しているのが見える。
イルカの泳ぐ速度は結構速いが、それでも陸上戦艦と比べるとどうしても遅い。
あるいは泳ぎ続けると体力を消耗するのに対し、陸上戦艦は基本的に疲れるといったことはない。
そういう意味では、イルカの群れの速度が遅くなったら休憩した方がいいんだろう。
「それにしても……アクセルはどう思うの?」
艦長席に座っているマリューからの質問に、視線を向ける。
「どう思うって、海底にいるニュータイプの事か?」
「ええ。色々とおかしいのは間違いないでしょう?」
「そうだな。実はジャミルが知らなかっただけで、海底都市が普通に存在していて、そこにニュータイプがいるというのなら、まだ納得出来たんだが」
しかし、ジャミルは海底都市の類については知らないと言っていた。
そうなると、やっぱり疑問なのは間違いない。
だからこそ、その疑問に対処するべく白いイルカに案内されてニュータイプが存在する海域に向かっているのだが。
「この世界の事を思えば、幽霊というのは間違ってないかもしれないんじゃない?」
テンザン級を操舵しながら、ミナトがそう言ってくる。
15年前の戦争で人口の99%が死んだのだ。
その中で思い残す事のある奴がニュータイプとして姿を現しても、おかしくないと言いたいのだろう。
「もし幽霊が出て来るのなら、それこそ大量に出てくるだろ。……あ、でもニュータイプだからこそ、特別な幽霊になったとかいう可能性もあるのか?」
特別な力を持っているので、特別な幽霊になる。
そう考えれば、それなりに納得出来るような、出来ないような……微妙なところではある。
「そもそも、まさか人間以外にニュータイプがいるというのが私は驚きだったけどね」
マリューの言葉に、俺とミナトはそれぞれ頷く。
マリューとミナトは、UC世界にはあまり関わっていない。
セイラを始めとして、ホワイトスターに来た時に色々と接触はあったが、それだけだ。
UC世界に直接出向いて交渉をしたりといったようなことはない。
そういうのは政治班の仕事だし。
そんな2人と比べると、俺は思い切りUC世界に関わっている。
だが、それでも人間以外のニュータイプというのは見た事がないのだ。
まぁ、ニュータイプというのはUC世界でも最近周知されてきた存在であり、それを示すかのようにニュータイプの数は多くない。
もっとも、セイラのように強大な力を持つニュータイプは存在するが。
そのようなUC世界だが、今はまだそのような状況であっても、もっと時間が流れてニュータイプの存在が普通になれば、将来的にはシロイルカみたいな人間以外のニュータイプが出てくる可能性もあるだろう。
そういう意味では、このX世界だとニュータイプが確認されてから最低でも15年以上……それどころか、それ以前にニュータイプが発見されていれば、もしかしたら15年どころではなく、20年、場合によっては30年前にニュータイプが確認されていた可能性がある。
ニュータイプが発見されてからそれだけの時間が経っているのなら、人間以外のニュータイプがいてもおかしくはない。
そんな風に思いながら、俺はテンザン級とフリーデンを先導するイルカの群れを眺めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756