テンザン級とフリーデンが海の上を進む事、数日……不思議なくらい平穏な日々だった。
シーバルチャーやオルクに襲われるような事はなく、天気も曇が出たり雨が降ったりはしたが、嵐が起きたりといったことはない。
波も静かで、まさに快適な船旅と表現するのが正しい。
……いやまぁ、ホバー移動する陸上戦艦での移動を船旅と表現してもいいのかどうかは分からなかったが。
具体的にニュータイプのいる海域にいつ到着するのか分からないので、特に何をやるでもなくゆっくりとした時間を楽しめていた。
「あら、アクセル。こちらに近付いてくる船がいるわ」
ブリッジで空間倉庫から取り出した雑誌を読んでいた俺に、ミナトがそう声を掛けてくる。
ちなみに現在ブリッジにはいつものメンバーの他に、シーマを始めとした俺の仮の恋人達4人も一緒にいたりする。
食堂でゆっくりしてもよかったんだが、そうなるとマリューとミナトはブリッジにいるからという事で、現在はブリッジでゆっくりとしていたのだ。
話をしたり、俺が空間倉庫から取り出したお菓子を食べたり、雑誌や漫画を読んだり。
そんな風にまったりとしていたところで、不意にミナトが船の接近を発見したのだ。
ちなみに元々テンザン級の方がフリーデンよりも大きく、搭載されている様々な機器が高性能なのでレーダーの性能もこっちの方が高い。
もっとも、フリーデンにはティファがいる。
もし近付いてくるのが敵意や悪意のある者なら、レーダーよりも前にティファが発見するだろう。
また、クスコとマリオンというUC世界のニュータイプもいるので、こちらもまた悪意を感じたら教えてくれる筈だ。
しかし、今回はそういうのはなかった。
それはつまり、近付いてくる船は敵ではないということを意味している。
「白いイルカ達はどうした?」
「向こうの船に見えないようにこっちの後ろに隠れてるわよ。賢いわね」
「ニュータイプだしな」
ミナトの言葉に納得しながら、そう返す。
途中で取引をしたシーバルチャーとの一件で、自分達が見える場所にいると面倒な事になると判断したのだろう。
白いイルカは、シーバルチャーに見つからないように対処したようだった。
もしかしたら、最初に船が接触してくるのを察知したのは白いイルカかもしれないな。
「フリーデンの方でもあの船には気が付いてるかもしれないが、一応前もって連絡を入れておこう。通信を繋いでくれ」
俺の指示に従い、ミナトがフリーデンに通信を入れる。
そこは量産型Wでもいいんだけど。
まぁ、俺としてはミナトがやってくれるのなら、それで嬉しいが。
『アクセル、どうした?』
映像モニタに表示されたジャミルがそう尋ねてくる。
この様子を見ると、どうやらフリーデンではまだ近付いてくる船に気が付いていないらしい。
「こっちに近付いてくる船をレーダーで察知した。こうして見る限りでは、こっちに敵対する様子はないようだが」
『シーバルチャーか、漁船か。攻撃をする様子がないという事は、オルクの心配はいらないだろう』
「俺もそう思う。なら、接触するか? 物資の類は特に補充する必要もないだろうけど」
数日前に補充したばかりである以上、物資の類は特に補給しなくてもいい筈だった。
数日で多少の物資……それこそ食料とかは消費しただろうが、それも数日程度だ。
それに暇な奴は釣りとかをして、それなりに食材も追加されているし。
釣りはあくまでも趣味というか時間を潰す為のものだから、本格的に釣りで食材を用意するといった訳にはいかないだろうが。
もし本気で釣りで食材の多くを確保するのなら、それこそ釣りではなく漁をする必要があった。
『うむ。上手くいけば、情報を聞き出せるかもしれない。それが具体的にどのような情報になるのかは、正直なところ分からないが』
こっちがこの辺りの海域の情報が欲しくて、向こうも向こうで色々と自分の知らない何らかの情報……具体的にはシャドウミラーの基地とかの情報を欲している。
何しろ金を出せばMSを購入出来るのだ。
MSに関わる者にしてみれば、それは是非知っておきたい話だろう。
基本的に現在この世界でMSを入手するには、戦前からあったMSを入手して修理やメンテナンスをする事によって使えるようになるのだ。
それに対して、俺達はMSの生産工場があるので、それを使ってMSを売る。
つまり……中古のMSと新品のMSのどちらを使いたいかと言われれば、大抵は新品と答える筈だった。
もっとも、作れるMSの種類はまだそこまで多くはないのだが。
それでもMSを欲してる者にしてみれば、非常にありがたい筈だ。
それを示すように、海に来る前に基地に寄った時はバルチャーや商人、あるいは村や街からやって来たと思われる者達がかなりの数いたのだから。
一応シャドウミラーの許可……エルフ達がバルチャーとして活動している上で接触し、それで相手を問題ないと判断すれば基地に来れるのだが、それでも結構な人数がいた。
このX世界において、MSがどれだけの需要があるのかというのを示している。
「分かった。なら接触してみよう。交渉には……こっちからも人を出す」
そう言いつつ、話の成り行きを見守っていたクリスに視線を向ける。
「私!?」
まさか自分が指名されるとは思っていなかったのか、クリスの口から驚きの声が漏れた。
『分かった。では、準備をしておいてくれ』
その言葉で通信が切れる。
そして通信が切れると、すぐにクリスは俺に向かって声を掛けてきた。
「交渉をするのなら、私じゃなくてモニクの方が向いてるんじゃないの?」
「相手による。例えばこれが情報屋だったりすれば、モニクに交渉を任せたと思う。だが、今回は成り行きの接触での情報交換だ。そうなると……」
そこで言葉を切ると、モニクを見る。
俺の視線の意味を理解したのだろう。
モニクは不満そうな様子で口を開く。
「何が言いたいのかしら?」
「モニクの場合は……美人なのは間違いないが、お堅い性格をしているというのが分かりやすいだろ?」
「ちょっ……それって褒めてるの?」
頬を赤くしながら、モニクが言ってくる。
お堅い性格というのはモニクにとっては褒め言葉ではないが、美人というのは褒め言葉だ。
俺としては普通に褒め言葉のつもりだったのだが、モニクにとっては微妙に違ったのだろう。
モニクの委員長的な性格を考えれば、お堅い性格というのは昔から言われ続けていたのかもしれないな。
「一応褒めてるつもりだ。とにかく、モニクが話そうとすれば雰囲気的にも向こうが緊張する可能性が高い。だから、クリスな訳だ」
クリスは美人なのは間違いないが、接しやすい性格をしている。
そういう性格だけに、シーバルチャーの方でも色々と話しやすいのは間違いないだろう。
海に女がいるのが許容出来ないといったような、古い性格をした男にしてみればクリスと接触したくはないのかもしれないが。
それでも男ならクリスのような美人に話し掛けられれば嬉しく思う者も多いだろう。
少し心配なのは、シーバルチャーの中にはオルク程ではないにしろ傍若無人な性格をしている者もかなりいる。
そういう連中がクリスを見て妙な事を考えないとも限らない。
とはいえ、クリスも軍人として訓練を受けている。
士官学校を主席で卒業した人物だ。
もし相手が妙な真似をしても、クリスなら対処出来るだろう。
これがシャドウミラーの面々なら、シーバルチャーが妙な事をするといった真似をしても心配は全くいらないのだが。
何しろシャドウミラーの面々は普通に気や魔力で身体強化が出来るのだから。
「クリスだけだと少し心配だね。男をこっちからも1人は向かわせた方がいいんじゃないかい?」
そう言い、シーマは意味ありげな視線をこちらに向けてくる。
そんなシーマの様子を見れば、何を言いたいのかは明らかだった。
「俺もか? クリスがいいのなら、俺もそれでいいけど。どうする?」
「アクセルが一緒に来てくれるのなら、こっちとしても嬉しいから歓迎するわよ」
そういう事になるのだった。
「ローレライの海域?」
フリーデンにある会議室で、俺は相手のシーバルチャーの船長が口にした言葉を繰り返す。
シーバルチャーとの接触は、俺が予想した以上にあっさり行われる事になった。
その理由が、向こうのシーバルチャーの船長がジャミルの名前を知っていたというのが大きいだろう。
ジャミルがバルチャーの間でも名前が知られているのは知っていたが、まさかシーバルチャーにまで名前が知られているというのは予想外だったが。
そんな訳で、情報交換の場所はフリーデンの会議室で行われる事になっており、現在フリーデンからはそれなりの人数の面々がきて、シーバルチャー達と話している。
ある意味予想通りではあったが、クリスはかなり人気だ。
恐らくはシーバルチャーも男所帯なんだろう。
ただ……サラも結構話し掛けられているのを見ると、お堅い性格がどうこうって風には考えなくてもよかったな。
モニクを連れてきても問題なかったかもしれない。
とにかくそんな訳で、俺達は色々と情報交換をしていた訳だ。
「ああ、その海域に向かうと不思議な歌が聞こえてきて、船とかが沈むらしい」
「それは……まさにローレライだな」
俺が知ってるローレライというのは、海、川、湖……そんな場所で綺麗な歌声を聞かせ、それによって船に乗っている者達を溺れさせるとか、そんな感じだった。
ネギま世界やペルソナ世界で購入した漫画の知識なので、実際には色々と違うところもあるかもしれないが。
だが……ローレライってのは、いわゆるモンスターだ。
ネギま世界やペルソナ世界ならともかく、このX世界にそういうファンタジーな存在がいるとは思えない。
だとすれば、それはもっと別の何かが理由だろう。
具体的にそれがどのような理由なのかは分からないが。
……あ、でもちょっと待てよ? 白いイルカに案内されてここまでやって来たんだ。
具体的にどこまで行くのかは、まだ不明だ。
不明だが、そのローレライのいる海域に向かおうとしている可能性はないか?
「その海域の具体的な場所を教えて貰えるか?」
ジャミルも俺と同じように考えたのか、船長にそう尋ねる。
「は? それは構わないが……行くつもりなのか?」
船長にしてみれば、まさか今の話を聞いてローレライの海域に行くのは信じられないといった様子で尋ねる。
行けば船が沈む。
なのに、自分からその海域に向かうのは自殺行為でしかない。
そのように思ってもおかしくはないだろうし、俺も納得する。
……まぁ、白いイルカがそっちに向かわなければ、その海域の情報を聞いても意味はないのだが。
「どうなるのかは分からない。ただ、もしその海域に近付いたら、それが分かるようにはしておきたい」
「そういうつもりなら構わないが……本当に大丈夫なんだろうな? 俺がその海域の情報を教えた結果、お前が……いや、お前達が死んだなんて話になったら、後味が悪いぞ」
なるほど、この船長にしてみれば自分のせいでジャミル達が死んだといったようになったら、色々と思うところがあるのだろう。
「心配いらない。私も自分から死ぬ気はないし、意味もなくそのような海域に近付こうとは思わない」
この場合、意味があればその海域に行くという事になる。
例えば、白いイルカが俺達をその場所に案内するとか。
そういう意味では、わざわざローレライの海の海域の情報を聞かなくても、白いイルカに案内して貰えれば問題はない。
……もっとも、前もって心の準備をすることが出来るというのは大きいのだろうが。
「そうか? なら……」
ジャミルの事を知っていたからこそ、その言葉を信じたのだろう。ローレライの海がどの辺りにあるのかを教える。
実際には白いイルカがそちらに向かえば、間違いなく行くのだろうが。
「それにしても、ローレライってくらいなんだし綺麗な歌声なんだろうな。聞いた事はあるのか?」
ふと気になって、艦長に尋ねる。
だが、艦長は俺の言葉に即座に首を横に振った。
そこには一瞬の躊躇もない。
「とんでもない。そんな事をする訳がないだろ。もしローレライの歌を聴いたら、俺の船も沈んでしまう」
どうやらこの男はローレライの歌について信じているらしい。
あるいは、この男の知り合いがローレライの歌を聴いて沈んでしまったのかもしれないな。
にしても……本当にローレライてのは何なんだ?
やっぱりニュータイプに関係する何かなのか?
このX世界において、ファンタジー的な現象となると思い浮かぶのはニュータイプくらいしかない。
このタイミングでローレライについての情報が入ったって事は多分そういうことなんだろうと思う。
実はそんなローレライの情報がありながらも、全く違う海域に白いイルカが向かったら、それはそれで面白いんだが。
そんな風に考えつつ、俺は色々と情報交換を行うのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756