チャポン、と俺は海の中に入る。
ちなみに着ているのは……というか、履いているのは竜の形をした岩の場所で行われた海水浴の時の海水パンツだ。
競泳用とかではなく、あくまでもレジャー用なので深い場所に潜るには水の抵抗とかがあるんだが……呼吸を必要としない俺にしてみれば、この程度の水の抵抗は特に気にするような事ではない。
「アクセル、大丈夫?」
テンザン級の格納庫。
本来ならMSが出撃する場所にいるクリスが、そう尋ねてくる。
「ああ、問題ない。水の温度も……まぁ、そこまで気にする程じゃないし」
「海面付近はそうでも、海底に向かえば水温は低くなるから気を付けるんだよ。……アクセルの場合はそんなのは関係ないと思うけど」
シーマのその言葉は事実だ。
そもそも水圧とかそっちの方でも特に問題はないのに、普通に行動するだけで俺がこの程度でどうにかなる筈もない。
「心配するな。取りあえず海底に何があるのかは分からないが、様子を見てくる。いざとなれば転移で逃げる事も出来るから、問題はない」
そう言い、最後にシーマの気を付けるんだよといった言葉に軽く手を振ると、そのまま海底に潜っていく。
基本的に水面付近なら太陽の光が届くので、水温は温かいし、日光も届くのでしっかりと見る事が出来る。
しかし、海底に向かえばそれらもなく、水温も下がり日の光も届かなくなる。
だが……水温も暗さも、混沌精霊である俺にとっては特に問題はない。
そんな訳で、特に気にした様子もなく海底に向かって潜っていく。
海底には一体何があるのか。
ジャミルに言ったように、海底都市があるのか……それともパトゥーリアのような、ニュータイプを生体部品にするようなのがあるのか。
その辺りについては全く理解出来ないが、それも自分の目で直接確認すればすぐに分かる。
お、魚か。
名前は分からないが、結構魚はいる。
X世界はコロニー落としで環境的にはかなり酷い筈なんだが、魚は結構いるよな。
そんな風に思っていると、白いイルカがやって来て俺の側に並ぶ。
海中なので何を言いたいのかは分からない。
分からないが、それでもこの白いイルカが俺に従っているのは今までの経験から明らかだ。
ティファが言うには、この白いイルカは人間を嫌っている……それこそ憎悪すらしているって話だったんだが。
もしかして、俺を人間だと思ってないのか?
混沌精霊なんだから、それも間違ってはいないのだが。
そんな風に考えながら海中を潜っていくと、不意に白いイルカが俺の身体を押してくる。
その行動には敵意の類はない。
一体何をしている?
数秒そんな風に迷ったが、すぐに予想出来た。
この白いイルカはニュータイプで、この海域に別のニュータイプがいると理解している。
つまり、この海域の具体的にどこにニュータイプが……恐らくローレライだと思うんだが、それがいるのかを分かっている。
だからこそ、俺が移動する先にニュータイプがいないと分かっており、進行方向を修正しているのではないか。
もっとも、イルカが具体的にどこまで潜れるのかは俺にも分からないが、それでもこんな海のど真ん中にある場所で海底まで潜れるとは思えない。
白いイルカはニュータイプなので、普通のイルカよりも深く潜れるかもしれないが……それでも海底までは難しいだろう。
そもそもX世界のニュータイプは決して身体能力に優れている訳ではない。
それはティファを見れば明らかだろう。
トニヤから、ジャミルがガロードの乗るGXに生身で取り付いて助けたと聞いた事があったが、ジャミルは軍人だ。
そうである以上、ニュータイプ云々よりも前に、身体は鍛えていたのでこの場合は関係がない。
これでニュータイプのティファがオリンピック級の……あるいはそれ以上に身体能力を持っていれば、ニュータイプが凄い身体能力を持ってると認識してもいいだろうが。
あ、でも白いイルカは人じゃなくてイルカのニュータイプだ。
ニュータイプという意味では同じであっても、実はその能力は人のニュータイプと違う可能性もある。
そんな風に思っていたが、その予想は残念ながら外れらしい。
白いイルカはある程度の深さまで落ちると、俺に向かって頭を下げると海面に向かって浮き上がっていった。
恐らくここが白いイルカの潜れる限界範囲なのだろう。
既に普通の人間なら周囲を見る事も出来ないだろうし、寒さに震えてもおかしくはない、そのくらいの深さまで降りてきたが、それでもまだ海底には到着しない。
こうなると、後の問題はこうして降下している間に白いイルカの教えてくれた場所からどれだけ動かずに移動出来るかだよな。
海の中でも、普通に流れはある。
この流れが何気に厄介で、自分では真っ直ぐ下に降りているつもりでも、実際には移動しているという事が普通にあるんだよな。
出来るだけ動かないようにしながら降下していき……そのままある程度の時間が経過すると、ようやく海底に到着した。
到着はしたが、特に何かあるようには見えない。
予想はしていたものの、どうやらここまで移動するのに結構流されてしまったらしい。
こうなると問題なのは、どうやって目的地を探すかだろう。
適当に海底を歩き回って探す。
いや、スライムを……それはそれで難しいな。
いっそここが宇宙空間とか、他に何も触れるような物がない時なら問題ないんだが。
海底だけに、スライムが触れるのは幾らでもある。
そうなると歩いて探すのが一番手っ取り早いか。
こういう時、混沌精霊でよかったとつくづく思う。
海底を歩きながら目的の場所を探す。
とはいえ、海底都市ならともかく、パトゥーリアとかなら海底の砂とかに埋まっていてもおかしくはないんだよな。
何しろ戦後15年。
結構な年月が経っているのだから。
その間ずっと海底にMAがあれば、砂やら何やらに埋まっていてもおかしくはない。
そうなると、見つけるのはかなり難しいと思っていたのだが……
ん? あれは……
海底を歩いている中で、ふと目に入ってきた光景があった。
それは軍艦。
宇宙戦艦や地上戦艦ではなく、普通に海を移動する船だ。
もしかして、あれか?
一瞬そう思ったが、すぐにそれを否定する。
これが海底都市ならともかく、軍艦。
それも潜水艦とかそういうのではなく、普通の船だ。
いやまぁ、潜水艦だろうと15年もの間潜り続けるといった事は出来ないのだから、これが潜水艦でも変わらなかっただろうが。
とにかくこの軍艦が何かの意味を持ってるのは間違いないのか?
ニュータイプがいるのがここなのかどうか。
それは分からないが、それでも今の状況を思えばこれが怪しいのは間違いない。
具体的にどうやってニュータイプがこの軍艦の中で生き残っているのかは、分からない。
分からないものの、それでもこれが一番怪しい以上はこれを調べない訳にもいかないだろう。
もしかしたら、この軍艦以外の場所で何か他にもニュータイプがいるような……海底都市とかそういうのがある可能性も否定は出来ない。
出来ないが、それでも今こうして目の前に軍艦がある以上は、それを優先する必要があった。
問題なのは、これをどうやって調べるかだが……まぁ、別にここで俺だけが調べる必要がない。
この軍艦を空間倉庫に収納し、地上で調べればいい。
そうなれば、俺だけが調べるのではなくフリーデンやテンザン級の面々で調べられるだろう。
そう判断し、軍艦に近付いていく。
こうして見る限り……あれ? 別に何かそれっぽいダメージの類はない。
軍艦が沈んだとなると、普通なら敵の軍艦のミサイル攻撃であったり、MSのビームライフルとかであったりで沈んでもおかしくはないと思うんだが。
ただ、俺が軍艦に近付いて確認した限りでは特に損傷らしい損傷はないように思える。
だとすれば、これは一体どういう理由でこうなってるんだ?
まぁ、いい。この軍艦を調べれば何らかの手掛かりの類はあるだろうし。
軍艦を外から眺めた後、空間倉庫に収納するべく手を触れ……手を触れ……あれ?
何だ? 何でこの軍艦を収納出来ないんだ?
普通なら、この軍艦は空間倉庫に収納出来る筈だ。
そして海上に戻り、テンザン級やフリーデンと合流してから一旦陸に戻り、そこで軍艦を空間倉庫から取り出して中を調べるつもりだった。
しかし、肝心の軍艦を空間倉庫に収納出来ない。
一体何故収納出来ないんだ?
再度試すも、やはり収納出来ない。
……もしかして、空間倉庫がいつの間にか使えなくなっているとか、そういう事はないよな?
最悪の予想をしながら、海底に落ちている岩に触れると、次の瞬間には岩がなくなっていた。
空間倉庫を確認すると、たった今収納した岩は普通に空間倉庫の中に入っている。
つまり、空間倉庫が壊れたとか、そういう訳ではない。
なら……何で空間倉庫に軍艦を収納出来ない?
実は空間倉庫にはもうこれ以上入らないとか?
いや、ホワイトスターを入れていた時も普通に問題なく収納出来ていたんだ。
今この状況で、空間倉庫にこれ以上何も入らないという事は考えられない。
だとすると……とある可能性に思い当たり、改めて俺は軍艦を見る。
空間倉庫の中に収納出来ないのは、生物。
つまり、この軍艦の中にはまだ生きている誰かがいるのでは?
そして一番可能性が高いのは、この場合やはりニュータイプだろう。
ただし、それはそれで疑問が残る。
この軍艦の中でニュータイプが生きているのなら、その人物は15年以上もこの軍艦の中にいた事になる。
食料や水、空気はどうした?
それともコールドスリープした状態なのか?
ただ、こうして生きているとなると……どうするかだな。
もし本当に軍艦の中で誰かが生きてる場合、この軍艦の中に入るといったような真似は相手にとって致命的な事態になりかえない。
戻るか。
俺だけで判断出来ない以上、ジャミルを始めとした面々にも調べて貰う必要がある。
このままここにいても出来る事は何もないと判断し、俺は海上に戻るのだった。
「……何だと?」
俺の説明を聞いたジャミルは、信じられないといった様子で呟く。
実際に言葉に出したのはジャミルだけだったが、他にも会議室に集まった面々も俺が何を言ってるのか理解出来ないといった様子だった。
うん。まぁ、当然だろう。
俺だって自分が経験した訳ではなく、誰か他の奴からこういう話を聞けばそんな風に思ってもおかしくはないのだから。
「では、その軍艦にニュータイプが生き残っていると?」
「確認した訳じゃないけど、恐らくはな。さっき説明した時にも言ったが、もしニュータイプが15年もの間軍艦で生き延びていた場合、軍艦の内部がどんな状況になっているのかは分からない。そうである以上、下手に軍艦の中に入るのは難しい」
もし下手に軍艦の中に入った場合、例えば軍艦の中が奇跡的な可能性でどうにか人が生きる事ができていた環境だったのに、俺がそれを壊してしまうという可能性もある。
軍艦がまだ生きていれば通信でその辺りの話が出来るのだが……今の状況を考えると、ちょっとそんな真似は出来そうにない。
「ふむ、そうなると接触するのが難しいな。海底のかなり深い場所にあるのだろう?」
「そうなるな。生きていなければ、俺が空間倉庫に収納する事でどうとでもなったんだが」
「おい、アクセル。それって本当なのかよ? とてもじゃないけど信じられねえぜ? 15年だ、15年もの間海底で生きていたってのは、考えられねえ」
ウィッツにしてみれば、俺の言葉は到底信じられないらしい。
とはいえ、空間倉庫の能力は間違いない。
実際に海底にあった岩を収納して、特に問題がないというのは確認してみたし。
「ちょっと、ウィッツ。あんた……アクセルの言葉を疑うのかい? それはちょっと許せないねぇ」
「え? あ、いや……そんなつもりじゃないんだよ」
シーマの迫力に、ウィッツは何も言い返せなくなる。
こうして見ると、何気にウィッツはシーマに弱いよな。
ただ、この弱いというのはロアビィがモニクに弱いのとはちょっと違う。
なんというか、こう……肉親的な意味で弱いのか?
あくまでも俺がそういう風に思えたというだけで、実際にどうなのかは分からない。
見ている感じではそう違いはないと思うが。
もしかしたら、ウィッツにはシーマと同じくらいの姉がいるのかもしれないな。
「それで、アクセル。その沈んでいる軍艦はどうするのだ?」
「どうするのかと言われてもな。……空間倉庫に収納出来ない以上……転移魔法で移動させるか?」
「出来るのか?」
「出来るかどうかと言えば出来る。俺が転移魔法を使えるのは知ってるだろう?」
体験しただけに、転移魔法があるのはジャミルも知っている。
そうである以上、そこまで心配するような事はないと思うんだが。
「それは分かっている。だが、以前は地上だった。今回は海底だぞ」
「魔力を結構消費するだろうけど、テンザン級を転移させるよりは楽だと思うぞ。ただ、前もってどこに転移するのかを決めておかないとどうしようもない。それに、転移は距離によっても消費魔力が変わるし。……そうだな。セインズアイランドなんかはどうだ?」
竜の形をした岩に戻るよりは、セインズアイランドの方が近い。
ジャミルもそれには異論がなく、話はこれで決まったのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756