「え? エニルもルマークを知ってるのか?」
エニルに言い寄っている行政府の男を紹介して貰う事になったのだが、今は日中だ。
それこそバルチャーとかならともかく、行政府で働いている者が日中からこういう……俗に言うクラブやバーといった場所に酒を飲みに来たりはしない。
いやまぁ、もし今やって来てもこの店の開店は夜からなので、入る事は出来ないんだが。
そういう意味で、俺は特別だったらしい。
考えようによってはエニルにとって俺が特別なのは当然なのかもしれないが。
ともあれ、夜になるまでは暇なので、これからどうするべきかと考えていたところ、ルマークに会いに行くかと言った俺の言葉にエニルが反応したのだ。
「ええ。でも不思議じゃないでしょう? 私は元バルチャー。そしてルマークはシーバルチャー。同じような仕事なんだから、話をしたりするのはおかしくないと思うけど?」
「そうだな。それは否定しない」
あるいはこれでルマークがもっと嫌な性格をしていて、話すのもあまり好みではないというのなら、エニルもルマークとの付き合いはなかっただろう。
だが、ルマークは性格に若干の問題はあったものの、それでも嫌悪感があるような相手ではない。
エニルにとっては付き合いやすい相手だったのだろう。
「でしょう? それに……ルマークからはMSを買わないかと言われているのよ」
「ルマークにしてみれば、エニルはいい客って訳か。けど、エニルはもうバルチャーやMS乗りを止めたんだろう?」
「そうね」
俺の言葉に頷くエニルだったが、多分MS乗りやバルチャーに未練のようなものはあるんだろうな。
もしその手のものに何も未練がないのなら、そもそもシーバルチャーのルマークに接触しなければいいだけの話だし。
「なら、その辺はエニルが自分で考えるべきだろうな。ちなみに、もしMS乗りとして復帰するつもりがあるのなら、俺のテンザン級で雇ってもいいぞ」
エニルはこのX世界においては、かなり腕利きのMS乗りだ。
純粋な技量だけなら、それこそウィッツとロアビィと肩を並べるだろう。
とはいえ、ウィッツとロアビィがガンダム系のMSに乗っているのを考えると、MS戦闘で勝利出来るとは思えないが。
もっとも、テンザン級にくれば今は無理でもいずれ高機動型GXでMSは揃えられる筈だ。
そうなれば、ウィッツとロアビィとも互角に渡り合えるだろう。
ちなみにテンザン級ではなくフリーデンに雇われるというのは……ガロードとの関係を思えば、ちょっと難しいので言わないでおく。
サラやトニヤ辺りとはそれなりに友好的になりそうなんだが。
「そう……ね。少し考えてみるわ」
俺の誘いの言葉にこうして言ってくるという事は、やっぱりまだMSやバルチャーに色々と思うところはあるのだろう。
実際に俺達の仲間になるかどうかは、エニルが自分で決める事だ。
俺がここでどうこうと言っても、それはあまり意味がない。
「そうしてくれ。じゃあ、俺はルマークに会いに行くけど……エニルはどうする? ルマークと知り合いなら、俺と一緒に行くか?」
「ううん、止めておくわ。店の準備もしないといけないし」
エニルは俺と一緒に来るつもりはないらしい。
それが本当に店の準備の為なのか、それとも俺と一緒に行動してMS乗りやバルチャーに未練が強くなるのを警戒しているのか。
……あるいは大穴として、俺と一緒に行動しているのを自分に言い寄っている男達に見られるのが面倒だからか。
そう、男達。
俺が紹介して貰う行政府の男だけじゃなく、この店に来る男の多くはエニルに会う為という一面があるのは間違いない。
客観的に見て、エニルは美人と呼ぶに相応しい。
そんなエニルは、男達にとって一種の高嶺の花といったところだろう。
勿論中には行政府の男のように、本気でエニルを口説こうとしている者がいたり、あるいはエニルと一晩の思い出をと考えている者もいたり、高嶺の花なので少し話せるだけでも十分満足だといったような者がいてもおかしくはない。
そういう諸々を考えると、やはりエニルが男と2人だけでデートするように出掛けるというのは、あまりよくないだろう。
……ルマークも性別上は男なのだが、それはそれらしい。
ルマークはそういう系統の奴だしな。
「分かった。なら……ああ、そうだ。その前にちょっと頼みがあるんだが」
「あら、何?」
「俺がセインズアイランドに入ってきたのは正式な手続きじゃないし、両替とかの店に行って顔を覚えられるのも面倒だ。これを買い取ってくれないか?」
そう言い、ポケットの中から出したように見せ掛けてルビーを取り出す。
この宝石は……どこかのギャングとかヤクザとかテロリストとか、そういう連中を倒して奪った物だったと思う。
そこまで大きな宝石という訳ではないが、それでもかなりの値段で一般人が気軽に購入するような真似は出来ない。
空間倉庫の中にはもっと大きな宝石もある。
それ以外にも、キブツを使えば巨大な……人間くらいの大きさの宝石を作り出すのも難しくはない。
勿論それは原石ではなく、きちんとした宝石でだ。
しかし、この状況でエニルにそんな宝石を渡しても困るだろう。
この場合はそこそこの宝石をエニルから買い取ってもらい、その代金をセインズアイランドの紙幣とかで支払って貰うのが最善だった。
「これ……結構いい宝石ね」
「だろう? だから買い取ってくれ」
「ちょっとこの宝石を買うだけの金額はすぐに用意出来ないわよ? 何日かあればいいけど、今すぐ欲しいんでしょう?」
「そうだな。だから現在出せるだけでいい。残りは開店祝いって事でエニルにやるよ」
ぶっちゃけ、今日を含めて数日セインズアイランドで生活出来るだけの金額があれば、それでいいのだ。
そうである以上、現在エニルが支払えるだけの金額があれば、それで十分だった。
エニルも俺の話を聞いてそれを理解したのか、すぐに頷く。
「分かったわ。じゃあ、ちょっと待っててちょうだい」
そう言い、金を取りにか店の奥に向かう。
エニルにしてみれば、このルビーをきちんとした宝石商か何かに売れば、それだけで十分な儲けが出るのだ。
そうである以上、宝石を買い取らないという選択肢はない。
あるいは開店祝いという事にしたので、取っておくのかもしれないが。
店の中を改めて見回す。
俺は酒を飲まない……飲めないのではなく飲まないが、それでも店の雰囲気が悪くないのは分かる。
今はまだ開店前なので、店の状態も完璧という訳でないのだろう。
だがそれでも、こうして見る限りでは十分に雰囲気がいいように思える。
エニルのセンスがいいんだろうな、これは。
「お待たせ。はい、これ」
そう言い、エニルが俺に紙幣を渡してくる。
結構な金額なのは間違いない。
額にして……十万円くらいといったところか?
勿論物価とかそういうので色々と違ってくるが、恐らく値段的にはそんなに間違っていないと思う。
「助かる」
「いいのよ。寧ろ助かったのは私の方だから。この値段でこういう宝石を買えたんだもの」
しみじみと呟くエニル。
だが、それも無理はない。
15年前の戦争によって人口の99%が死んだのだ。
そうして死んだ中には、宝石のカットとかが出来る腕利きの技師とか、カットする機械を作る技術者とかもいた筈だ。
そうである以上、今となっては宝石のカットとかはそう簡単に出来ないのだろう。
もっとも、宝石である以上は15年前の物も大量に残っている筈で、それを考えるとそこまで貴重ではないのかもしれないが。
「そうか? ならまた今度機会があったら宝石を贈ってみるか」
「あら、私をその気にさせると、ちょっと怖いわよ?」
冗談っぽく言うエニルだったが、実際にガロードとの一件を思えば、そう間違いって訳じゃない。
これでもしガロードがもう少し女慣れしていれば、エニルとティファと一緒にそういう関係になる……いや、ガロードの性格を考えると、とても出来そうにはないな。
ガロードの年齢を考えると、そういうのに興味があるのは間違いない。
間違いないんだが、それでも女慣れしていないガロードがそういう真似は出来ないのだろう。
これがロアビィ辺りなら、エニルを暴走させないようにするといった事も出来るかもしれないが。
「そうだな。エニルとそういう関係になるのはもっといい奴がいるかもしれないし。俺は遠慮しておくよ」
そう言い、俺は座っていた椅子から立ち上がる。
そんな俺に対し、エニルは微妙な表情を浮かべるも、それ以上は特に何も言う様子はなかった。
エニルの店を出た俺は、ルマークが拠点として使っている場所に向かう。
影のゲートを使って転移してもよかったのだが、ここはやはり普通に移動した方がいいと判断したのだ。
今は別に急いで移動する必要もないし。
どのみち夜にエニルの店が開くまでは、特にやるべき事はないのだ。
以前ルマークが言っていたMAの開発についてどうなったのか、気になる。
出来れば完成していて欲しい。
そんな風に考えながら歩いていると、ふと俺を尾行している奴がいるのに気が付く。
何だ? 俺は怪しくない……とは言わないが、それでも現在セインズアイランドで怪しい動きはしていないんだが。
俺が転移してきたところを見られていた?
いや、それはない。
誰も近くにいないのを、気配でしっかりと確認していた。
このX世界においては、生身での戦いというのはあまり重視されない。
いや、全くない訳ではないし、元軍人のバルチャーが生身で戦ったりといった事はあるのだが、その戦いの技術には相手の気配を察知したりといった要素がない。
中には本能的に気配を消す事が出来るといったような者もいるかもしれないが、それが一体どれだけの人数なのかは、それこそ考えるまでもないだろう。
少なくても、俺が転移してきた時に気配を殺して俺を見ていたといった可能性はまず考えられない。
だとすれば、この連中はもっと別の理由で俺を尾行しているという事になる。
……エニルか?
勿論この場合はエニルが俺の事を誰かに喋ったというものではなく、エニルと一緒にいた俺を見て、エニルに好意を持ってる連中が誰だといった具合に尾行しているという意味だ。
もしかしたら、それ以外にもっと別の理由で俺を尾行しているのかもしれないが、具体的にどういうつもりでそのような真似をしてるのかは、実際に聞いてみないと分からない。
そうなると、まずは相手が襲いたくなるような場所に誘導するか。
このまま逃げるという手段もない訳ではない。
ルマーク本人は人当たりのいい性格をしているものの、それでもシーバルチャーだ。
ルマークの部下には荒事が得意な者もいるだろう。
それこそルマークもその気になれば平気な顔で人を殺す。
その辺については、X世界が戦後であるというのも影響してるのだろうが。
何しろガロードもMSでは普通に相手のパイロットを殺したりするような世界だ。
……ティファとかなら、その辺を気にしたりするだろうが。
とにかくルマークのところに逃げ込めば、俺を尾行している連中も諦めるだろう。
それでも諦めなければ、ルマークの部下達が出てくるかもしれないし。
とはいえ、ルマークは取引相手だ。
俺がどうしようもないのならともかく、この程度の相手は俺ならどうとでも出来る。
そうである以上、別にルマークのいる場所まで行く必要もないか。
そう判断し……俺は裏道に向かう。
いかにも人通りの少ないような場所。
そんな場所に入ると、向こうもこれがチャンスだと思ったのだろう。
すぐに動き出す。
「おい、ちょっと待て!」
掛かった。
そう思いながら視線を向けると、そこには5人の男達がいる。
手には拳銃であったり、ナイフであったりと持っていた。
「何か用か?」
「何か用か……じゃねえ! お前、エニルとどういう関係だ!」
ああ、やっぱりそっちか。
予想はしていたものの、少しがっかりする。
俺とエニルが会った場所は、それなりに人通りがあった。
そんな場所で見つめ合っていたのだから、それを見た者が俺とエニルに何らかの関係があると考えてもおかしくはないだろう。
そしてエニルが俺を自分の店に連れて行ったのだから尚更。
見た感じ、俺に向かって喋っているのがチンピラのリーダー格で、それ以外は手下って感じだな。
で、そのリーダーがエニルに言い寄っていて、明らかにエニルと何らかの関係がある俺を許せなかった。
おそらくはそんなところだろう。
「どういう? そうだな。一夜を共にした……かもしれない関係だ」
「てめえっ!」
エニルと身体の関係があると匂わせるだけで、男は額に血管を浮かび上がらせる。
事実無根の話なのだが、挑発をするという意味ではこれ以上ないくらいに正解だったらしい。
拳銃を手にした男は、銃口を向けてくるが……
「馬鹿」
その呟きと共に瞬動で一気に距離を詰め、拳銃を構えている腕の肘を蹴る。
グシャリという嫌な音が周囲に響き、拳銃が地面に落ちた。
「取りあえずお前達みたいなのがエニルに言い寄ってると危険だし……もう妙な真似は出来ないようにさせて貰うか」
まだ何が起きたのか理解出来ておらず、腕の痛みにも気が付いていない男に向かってそう告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756