「ま、こんなものだろ」
エニルを狙っていた――攻撃するという意味ではなく――チンピラ達を倒すと、その懐から財布を取り出して紙幣を奪う。
それ以外にも拳銃やナイフを持ってる連中からはそれも没収し、その場を後にする。
俺がいなくなれば、そこに残っているのは気絶した面々だけだ。
大半が骨の1本や2本折れているのだが、全員が気絶している今となっては、その痛みに泣き喚く事もないだろう。
セインズアイランドは常夏の島……というのはちょっと大袈裟だが、フォートセバーンのように寒冷地ではない。
このまま数時間気絶していても、凍死したりといった心配はいらないだろう。
起きた時には地獄の痛みが待ってるが、その辺は俺に喧嘩を売ったのが悪い。
自業自得として諦めて貰おう。
正直なところ、俺と戦って骨の1本や2本折れた程度ですんだのは、幸運なのは間違いなかった。
にしても、こういう連中から金を奪えるのなら、無理にエニルに宝石を売ったりといった事をする必要はなかったな。
まさかこうなるとは思ってなかったから、仕方がないか。
金が余ったら、ルマークに支払う金額の一部をセインズアイランドの現金でという風にしてもいいのかもしれない。
そんな風に考えつつ、俺はルマークが拠点としている建物に向かうのだった。
「あら、いらっしゃい。随分とゆっくりだったわね。以前の話からすると、もう少し早く来ると思ってたんだけど」
ルマークの部下に案内されてその部屋に入ると、ルマークは笑みを浮かべてそう言ってくる。
その視線には俺を歓迎する色があるが、同時に疑惑の色もある。
さて、この疑惑は一体何なんだろうな。
考えられるとすれば、俺が転移でセインズアイランドにやって来たのを見られていた……というのは、気配の問題からまずない。
あるいは望遠鏡とかそういうので離れた場所から俺を見ていた……というのも、俺なら視線を感じられる。
だとすれば、やっぱり前回のMSの件だろうな。
ドーシートを始めとするMSを購入して倉庫に運び込んで貰った。
それはいいのだが、その際に俺は倉庫に運び込まれたMSの類を全て空間倉庫に収納した。
本来ならセインズアイランドにやってくる船で運ぶと言っておきながらだ。
もしルマークが俺を見張っていたり、直接的には見張らずとも港に入ってきた船を調べたりすれば、俺の言葉が嘘だったというのはすぐに分かる。
そこまで怪しまれるような真似をしたつもりはなかったんだが、ルマークの場合はオカマの勘とかそういうので何かを察知してもおかしくはなかった。
「悪いな。ちょっと色々とあって忙しかったんだよ」
「具体的には?」
これについては隠しておいても意味はないし、ルマークはエニルとも知り合いだという話だったので、特に隠しもせずに話す。
「今の俺はフリーのMS乗りじゃなくて、テンザン級の陸上戦艦に乗っているバルチャーだ」
「そうなの? でも、私が知ってる限りだと、今のセインズアイランドにテンザン級は入港していなかった筈だけど」
へぇ、俺がここに来るまでは、セインズアイランドにいるというのは分からなかった筈だ。
それがこの短時間でテンザン級の有無を調べたのか。
……いや、それとも単純にテンザン級は目立つから、もし入港していれば普通に情報が入っていたのかもしれないな。
陸上戦艦の中でも最大級の大きさを誇るのがテンザン級だ。
それだけに性能も高い。
実際、何の改造もしていない素の状態でも機動力という点ではフリーデンよりも上だし。
加速性能とか運動性という点では負けるが。
バルチャーの中には、テンザン級を手に入れたいと願っている者も多い。
実際にはそれだけの巨大陸上戦艦なので、運用費……いわゆるランニングコストと呼ばれるのも相応に必要になるのだが。
しかし俺の場合は基地を拠点としているし、いざとなればホワイトスターで部品を作る事も出来る。
実際、ホワイトスターに持っていった結果、ヴァサーゴのメガソニック砲を解析してそれと同じのを作りテンザン級に搭載するといった真似も出来ているのだから。
そんな目立つテンザン級だけに、フォートセバーンに入っていればシーバルチャーとしてルマークがチェックしておいてもおかしくはない。
「そうだな。今はテンザン級はちょっと他の場所にある。理由があって、俺だけがこうしてやって来た訳だ」
「あら、じゃあ私に会いに来たのはついでなの? いけずね」
「ルマークに会うのも、セインズアイランドに来た目的のうち、大きな理由の1つなのは間違いないけどな」
実際、これは決して嘘という訳ではない。
以前ルマークが言っていたMAには興味があったのだ。
1からMAを作るのではなく、サルベージして入手した部品を使って製造した……いわば、リメイクMAとでも呼ぶべき機体。
UC世界のザクタンクとか、そういう系統になる……のか?
いや、でもMAである以上はああいう作業用とかの機体にはならないと思う。
正確には、ならないで欲しいと願っている。
「そうなの? なら、その目的はMAよね?」
「ああ。以前購入するって話をしただろう? あれからそれなりに時間は掛かったけど
どうなった?」
そう尋ねると、ルマークは自信に満ちた笑みを浮かべる。
「完成したわ。正確には2機製造していたんだけど、そのうちの1機はもう完成して既にテストも終わってるから、乗ろうと思えばすぐに乗れるわよ?」
「なるほど、それでもう1機は? 俺が前に聞いた話だと、2機作るって話は聞かなかったと思うけど」
「そうね。でも、アクセルが私からMSを買ったでしょう?」
「なるほど。それで資金的な余裕が出来た訳か」
俺の言葉を聞いたルマークは満面の笑みを浮かべる。
「ええ、そうよ。そのお陰でもう1機MAを……エスペランサを作る事が出来るようになったの」
「エスペランサか。どういうMAだ?」
「見る? こっちよ?」
自信に満ちた様子のルマークに連れられて、俺はMS用の倉庫に向かうのだった。
「へぇ、これが……」
倉庫の中にあったのは、確かにMSではなくMAだった。
流線型をしており、機動力を少しでも上げようとしているのが分かる。
ビグロ……いや、ヴァル・ヴァロに近いイメージだな。
「どう? これがMAエスペランサよ」
自慢げに言うルマークだったが、そうするだけの事はある。
MSとかを使ったリメイクMAという事で、ザクタンクとかそういうのを予想していたのだが、いい意味で外れた形だ。
MSの部品を流用したMAとなると、アプサラスとかもあったな。
「これは素直に凄いな。……ちなみに特徴としてはどういう感じなんだ?」
「最大の特徴は、機動力の高さよ。運動性もかなり自慢出来るわね。ただ……言ってみれば機動力に特化したという事で、武器の威力はそこまで高くないから一撃離脱を得意としている機体かしら」
「攻撃力が弱いのか? MAなのに?」
俺の印象では、基本的にMAというのは非常に攻撃力が高い。
アプサラスなんかはその典型だろう。
X世界においても、パトゥーリアとか攻撃力はかなり高いし。
……いやまぁ、パトゥーリアは攻撃力は高いけど、機動力という点では圧倒的に劣ってるんだが。
「ええ。とはいえ、普通にMSを撃破するだけの攻撃力はあるわ。具体的には機体下部にビーム砲が2門。これがメインの武器で、その辺のMSなら普通に撃破する事が出来るわ。そして機首にマシンキャノンが2門。こちらは……そうね。装甲の薄いMSなら撃破出来るでしょうけど、どちらかと言えばミサイルを迎撃したり、車や船といった装甲の薄い敵を撃破する時に使う武器ね」
「なるほど。確かに武器の威力という点は弱いみたいだな。……MAとなると、武器の威力が高いというイメージがあったんだけどな。このエスペランサにも、強力なビーム砲を搭載とか出来なかったのか?」
「そうすると機体のバランスが崩れるのよ。機動力を重視している機体なんだから、攻撃力を高める為に機動性が下がってしまえば意味がないでしょう?」
機体バランスか。
この辺になると、実際に設計していく必要があるんだよな。
あるいは何もない状態からMAを作るのなら、最初から強力なビーム砲を搭載するのを前提として考えてもいいのかもしれないが、このエスペランサは違う。
サルベージしたMSとか入手したMSの部品とかを集めて作ったMAである以上、どうしても使える部品は決まってしまうのだ。
あるいはルマーク達がもっと高い技術力を持っていれば、MSの部品とかにもっと本格的に手を入れて高性能なMAを作るといったことも出来るかもしれないが、生憎と今の状況ではそのような真似は出来ない。
「買った」
「あら、随分と判断が早いのね。ただ、分かってると思うけど、この機体は高性能な分、値段も高くなるわよ?」
「だろうな。それでも買う価値があると思ったんだよ」
「……実際に動かしている場所を見てからでもいいと思うけど」
「そういう風に言うルマークの開発した機体だから、安心出来るんだけどな」
もしルマークが俺を騙そうとしている……具体的にはこのエスペランサが俺に話した内容よりも低い性能なら、俺が買うと言えば即座に売るだろう。
実際に動いている部分を見てみたいとか、そんな風には言わないだろう。
「もう、アクセルったら……私を感動させるのが上手ね!」
いやん、と身体をくねらせるルマーク。
エスペランサであったり、以前購入したMSだったりと、扱っている品には文句がないんだが、この性格はどうにかして欲しいと思ってしまう。
ただ……ここからテンザン級やフリーデンがいる場所まで移動するのに、悪くない足だ。
転移魔法で沈んでいる軍艦のある場所に直接転移してもいいかと思ったんだが、折角エスペランサがあるのだから、これを使わない手はない。
高機動型のMAだという話だから、移動をするのにも十分使えそうだし。
「それはいいから、明日か明後日……場合によってはもっと早く出発するかもしれないから、すぐに動かせるように準備はしておいてくれ。報酬は……これでいいか?」
そう言い、懐から出したように見せ掛けて、宝石の入った袋をルマークに渡す。
エニルに渡した時は宝石1個だけだったが、MAを……それもエスペランサという、新型……いや、リメイクMAというか、ハンドメイドMAというかちょっと微妙なところだが、とにかくこのX世界ではこれと現在製造中の2機しかいないという代物だ。
それを考えると、多少大金を出してでも購入する価値は十分にあった。
「あら、随分とあるわね。……これ、2機分かしら?」
「いや、1機分だ。このエスペランサにはそれだけの価値があると思ったからな。ただ……実際に乗ってみて、もしルマークから聞いた話より性能が低かった場合はこっちも相応の対応を取らせて貰うぞ?」
ルマークの性格を考えれば、こんな事で俺を騙すといったような真似はまずしないだろう。
しかし、それでも何かあった時の為に十分そういう風に言っておく必要があった。
「ええ、勿論。もしアクセルがエスペランサの性能に満足出来なかったら、この宝石は返すわよ。ただ……言っておくけど、アクセルもこの宝石が偽物だった場合、どうなるか分かってるわよね?」
「ああ、その辺は問題ない。お前の部下にはそういう鑑定が出来る奴もいただろう? 今ここで調べて貰ってもいい」
そう言いつつも、実は俺がこの宝石を盗んだ相手が偽物だったと知らずにこの宝石を持っていた可能性もあるが。
何しろ俺は宝石の鑑定とかそういうのは出来ない。
とはいえ、空間倉庫に入れた時のリストを見る限りは普通に宝石と表示されているので、問題はないと思うのだが。
ルマークはすぐに部下を呼んで宝石を確認させる。
「全部本物です。中には結構な上物もありますね」
「そう。……アクセル、こんなに貰ってもいいのかしら?」
「エスペランサはそれだけ出す価値があるからな」
そもそも、今はこうして俺の空間倉庫に入っていた宝石……テロリストとかギャングとかヤクザとか、そういう連中から奪った物を使ったが、その気になればキブツで容易に生み出す事も出来るのだ。
寧ろ俺としては、この程度の宝石でエスペランサを売って貰ってもいいのかとすら思ってしまう。
ルマークは俺がキブツを持っていて、宝石を幾らでも入手出来るとは知らないからこそ、ここまで嬉しがっているのだろうが。
後は単純にルマーク個人が宝石を好むとか?
……うん。自分で考えておいて何だが、何気にそれが一番可能性が高いような気がする。
「貰いすぎだと思ったら……そうだな。予備部品とか、そういうのをある程度用意しておいてくれ。残り1機のエスペランサが完成して2機を使うようになっても、故障したりダメージを受けたりした場合、交換する部品がないと困るし」
実際には部品がなくなればホワイトスターやX世界の基地で作れるのだろうが、疑われないようにそう言っておく事にした。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1940
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1756