セインズアイランドについての話をする上で、必ず話しておく事が1つだけあった。
「ガロードには色々と思うところがあるだろうが、セインズアイランドでエニルに会った」
「えぇっ!? エニルって、エニル・エルかよ! 何でエニルがセインズアイランドにいるんだ!?」
予想通りガロードが驚愕の声を上げる。
そうしながらも、ガロードの視線は一瞬ティファの方に向けられた。
エニルとの間にあった事を、ティファに知られたくないのだろう。
……もっとも、ニュータイプのティファだ。
ガロードが何を考えているのか、そしてエニルとどのような事をしたのかを読み取るのは難しくないとは思うが。
「別に俺達を待ち伏せしていたとか、そういう事じゃない。フォートセバーンの一件から流れに流れてセインズアイランドに流れ着いたみたいな感じだったな。今はバルチャーやMSとかとは関係なく、酒場をやってるし」
「……アクセル?」
俺の言葉を聞いたミナトは、あからさまに怪しむ視線を向けてくる。
無理もない。俺がナデシコ世界でミナトとエリナと結ばれたのは、俺が酒を飲んだ結果として酔っ払ってそういう関係になったのだ。
俺がミナトやエリナに好意を持っていたのは間違いないが、それでも最初に一緒にすごした夜が酒の酔いに任せてというのは決して理想的なものではない。
なし崩しといった表現は決して間違っていないだろう。
それだけに、俺が酒場に行くのはミナトにとって怪しむには十分だったらしい。
「安心しろ。酒場だが、別に酒は飲んでない」
「何だ、アクセルは酒が弱いのか? へっ、アクセルにも弱点があるんだな」
ウィッツが得意満面な笑みを浮かべてそう言ってくる。
この様子からすると、恐らくウィッツは酒に強いのだろう。
「違うわ」
しかし、そんなウィッツにマリューが即座に否定する。
普段のマリューとは違う、鋭い言葉。
まさかマリューがそんな言葉を口にするとは思わなかったのか、周囲にいる者達の視線がマリューに向けられる。
「もしアクセルが酒を飲んだ場合、下手をしたら酒場が……いえ、セインズアイランドそのものが消滅しているかもしれないわね」
「……冗談って訳じゃないみたいだね」
マリューの言葉を聞いたロアビィが、恐る恐るといった様子でそう言ってくる。
この中で特にロアビィが怖がっているのは、フリーデンにロアビィが自費で作った遊戯室には結構な量の酒が置いてあるからだろう。
そして俺はあの遊戯室に顔を出すのは珍しくない。
もしマリューの言ってる事が事実で、俺が遊戯室で酒を飲んでいた場合、フリーデンが消滅してもおかしくはないと、そのように思ったのだろう。
「その辺は自分でも理解しているから、酒は飲まないようにしている。安心しろ。ともあれ、エニルがセインズアイランドで酒場をやっていたのは間違いない。そして酒場の客には政庁で働いている奴もいて、エニルから紹介して貰ってその男と交渉が出来た」
実際にはその男……マイルズがエニルに言い寄っているというのもあったのだが、今はその件に触れなくてもいいだろう。
その辺について話をすれば、俺がマイルズから恋敵として認識されたとか、そっちの方向に話が逸れる事になるし。
現在この会議室には女の割合が高い。
それだけに恋愛話について興味津々な者も多かった。
ただし、シーマ、モニク、クスコ、クリスの4人は、まだ仮とはいえ恋人の俺がエニルとそういう関係になったと考えると、思うところがあるだろう。
実際にはそういう事はなかったのだが……うん。女関係で俺の言葉に説得力があるとは思えない。
「とにかくその男……マイルズと言うんだが、そのマイルズと交渉した事によって何とか土地を借りられた。急ぎの仕事だったから、ちょっと高くなったけどな」
「すまない。その件については後で支払いをしよう」
ジャミルが俺に向かってそう言ってくる。
ジャミルにしてみれば、ニュータイプを見つけるという目的でティファや白いイルカに従う形でここにやって来たのはいいものの、沈んでいる軍艦をどうにかすることは出来なかっただろう。
その辺を俺が解決し、更には土地を借りる代金まで支払ったと言うのだ。
真面目な性格のジャミルにしてみれば、その土地を借りる代金を支払うといった風に言ってもおかしくはない。
「じゃあ、ディバイダーの詳細なデータをくれ。あの武器は高機動型GXが使うのにかなり相性がいい」
「……分かった」
もしここにキッドがいれば、反対したかもしれない。
いや、それとも自分の考えた兵器が量産されるという事で、寧ろ喜ぶか?
ただ、そのキッドは現在エスペランサを見ている。
データを渡すとかそういう訳じゃなくて、純粋に新型――ハンドメイドを新型と評してもいいのかどうかは分からないが――のMAを見て、興奮してるのだろう。
もしくは、ドートレスの後継機について調べているか。
「だ、そうだ。問題ないよな?」
マリューに視線を向けると、笑みを浮かべて頷く。
シャドウミラーの技術班の中でも、レモンに次ぐ地位と実力を持つマリューだ。
ディバイダーにも興味を持っていたし、ディバイダーと同じようなのを作れと言えば、実際に作れるだろう。
だが、どうせならガロードが使ってるディバイダーそのままの方がかなり便利なのは間違いない。
魔法球がないから、時間を有効に使うといった真似が出来ないのも痛い。
データの類があれば、基地にあるMSの生産設備で同じのが作れるだろう。
「そうね。問題はないと思うわ。じゃあ、データの件は後で話すとして、今は話を戻しましょう。それで、エニルという人のおかげで無事に土地を借りられたのよね?」
「そうだ。だから、これから俺は海底に潜って軍艦と一緒にセインズアイランドまで転移する。テンザン級とフリーデンは、セインズアイランドまで行ってくれ。ちなみに、ルマーク……エスペランサを開発したシーバルチャーが軍艦の探索には手を貸してくれる事になってる」
地上に軍艦を引き上げ――転移をそう表現してもいいのかは微妙だが――ても、俺達には陸上の基地を探索するノウハウはあっても、軍艦を探索するノウハウはない。
そうである以上、軍艦を適当に探索するのではなくしっかりと探索をするのなら、シーバルチャーの協力は必須だった。
「下手に探索して、ニュータイプに関係する何かが壊れたりとか、そういう風になったら困るだろ?」
「けど、そのアクセルの知り合いだっていうルマークとかいうシーバルチャーは信用出来るのか? もしかしたら、ニュータイプの何かを奪うとかしないか?」
ガロードがそう言うのは、ドーザの一件やフロスト兄弟の襲撃とか、そういうのがあったからだろう。
勿論、ローレライの海について教えてくれたシーバルチャーのように、真っ当な奴もいる。
しかし割合として考えた場合、やはり襲撃された方が大きいのだ。
とはいえ、バルチャーにだって盗賊のバルチャーがいるのだが。
「心配するな。ルマークはシーバルチャーとしては善良な奴だ。……ちょっと癖が強いけどな」
オカマのルマークは、ガロードにとっては衝撃が大きいだろう。
色々な世界を行き来している俺の場合は、同じような相手をそれなりに知っている。
マクロス世界のボビーとかな。
そんな訳でそこまで忌避感の類はなかったものの、それはあくまでも俺だからだ。
戦後世界で生きてきたガロードにしてみれば、そういう奴と会うというのは恐らく初めてだろう。
実はガロードが過去にそのような相手と接触した可能性があった場合は、その辺がどうなるのかは分からないが。
「ふーん。まぁ、アクセルがそう言うのなら取りあえず信じるよ」
「そう言って貰えると俺としては嬉しい。……で、後は何かあるか?」
「アクセルは私達がセインズアイランドに向かったら、すぐに軍艦と一緒に転移するの?」
マリューのその問いに、俺は特に気にせず頷く。
「そうなるな。転移した後は、セインズアイランドで待ってるつもりだ」
「それは少し不味いかもしれないわね」
「不味い? 具体的に何がだ?」
「この辺りの海域はローレライの海と呼ばれているのは知ってるわよね? その理由も」
「ああ。船が沈没したり座礁したりするんだろう?」
「そうよ。それを行っている可能性が高いのは、軍艦にいる……いえ、存在するニュータイプ関係の何かの可能性が高いわ」
いるではなく存在すると言い直したのは、マリューにとっても軍艦の中にニュータイプがいた場合、既にそのニュータイプは生きていないと判断してるからだろう。
もっとも、そうなったらそうなったでちょっと疑問があるのは間違いないが。
死んでいるのなら、それこそニュータイプの幽霊とかそんな感じになるだろうし。
可能性として高いのは、やっぱりコールドスリープなんだろうな。
「そうなるだろうな」
「つまり、もし軍艦をセインズアイランドに持っていった場合……私達がテンザン級やフリーデンで到着するまで、この軍艦は置きっぱなしになるわ。具体的に何日くらい掛かるのかは分からないけど、その間軍艦がセインズアイランドにあったら、セインズアイランドに近付く船が沈没したり座礁したりするんじゃない?」
「それは……」
マリューに言われて言葉に詰まる。
実際、その辺については俺もそれなりに考えていたのだ。
しかし、恐らくは大丈夫だろうと思っていたのだが……もし本当にそうなった場合、色々と不味いのは事実なんだよな。
「話は分かった。そうなると、俺は暫くこの海域にいて、何日か経ったらセインズアイランドに転移するといったようにした方がいいのか?」
普通ならそれは死ねと言われているに等しい。
ここがどこかの無人島とかなら、数日は問題ないだろうが。
……いや、そもそも無人島があったら別にセインズアイランドに転移するようなまねをしなくても、その無人島で軍艦を調査すればいいだけか。
シーバルチャーのルマークがいないので、手間取る事はあるかもしれないが。
「アクセルには悪いけど、そうなるわね」
「いや、けどよ……フリーデンもテンザン級もないのに、アクセル1人でここに残らせるなんて真似をしたら、どうするんだよ」
ウィッツが心配そうに言ってくる。
ガイア達の方は、特に心配そうな様子を口にする様子はない。
俺が生身で宇宙空間に出ても全く問題ないと理解しているからこその言葉なんだろうな。
これが俺を信頼しているからと見るべきか、それとも俺ならどこにいても問題ないと考えているからと見るべきか。
その辺の正確なところは俺にも分からないが、今は気にしないでおこう。
「そこまで心配はしなくてもいいぞ。空中に浮かんでいてもいいし、MSの中で待機していてもいい。いっそ他の場所で休憩して……いや、それは止めた方がいいか」
フロスト兄弟が所属する組織が襲撃してきたのは、軍艦を目当てにしての事だろう。
そうである以上、もし俺がここからいなくなるようなことになったら、またフロスト兄弟達がやって来る可能性もある。
先程の襲撃の時はテンザン級とフリーデンがいたから、軍艦を欲してやって来ても迎撃出来た。
だが、もしここでテンザン級とフリーデンがいなくなり、そして俺の姿もいなくなったら……その場合、それこそまた戻ってきても対処のしようがない。
もっとも軍艦のサルベージはやろうと思ってすぐに出来るような事ではない。
相応の準備や時間が必要となる。
そう考えると、今更だがフロスト兄弟との戦いの時に撃破したという潜水艦は、もしかしたら沈んだ軍艦をサルベージする為の要員だったのかもしれないな。
実際、軍艦が沈んでいたのはかなり深い場所だ。
そうである以上、その辺のシーバルチャーでは難しいからこそ、潜水艦のオルクかシーバルチャーかは分からないが、とにかく確保したと。
「本当かよ? 海の上にいるんだぜ?」
「俺が普通の人間なら、海に漂い続けるとかそんな真似は難しい。それは分かる。だが……知っての通り、俺は普通の人間じゃない。魔法を使えば、その辺りはどうとでもなる。それに……白いイルカ達とも多分ここでお別れだ。その前にゆっくりとしておきたい」
俺に白いイルカの言葉は分からない。
白いイルカと意思疎通が出来るのは、ティファだけだ。
だがそれでも、白いイルカが俺に対して服従というか忠誠を誓っているのは分かる。
だからといって、まさか白いイルカをセインズアイランドに連れていく訳にもいかない。
いや、来いと言えば多分来るだろう。
しかし、ここまで案内して貰っただけでも十分という思いの方が強い。
それに白いイルカはともかく、それに従っている普通のイルカ達までこっちに付き合わせる訳にはいかないし。
いっそ召喚の契約でも結ぶか?
そうも思ったが、白いイルカが俺の血に耐えられるとは到底思えない。
ニュータイプのイルカだけに、もしかしたらとも思わないでもなかったが。
しかし万が一に賭けるのはちょっと厳しすぎる。
そんな訳で、俺はこの海域で白いイルカと別れると決めたのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761