リムルとの話し合いが終わってから、数時間。
いよいよ夜となった。
そう、シルキーの力によって、地上人を召喚する時がやってきたのだ。
「ねぇ、アクセル。本当にこのままでいいの?」
少しだけ不安そうな様子を見せるマーベル。
まぁ、自分の身に起きた事を考えれば、マーベルがそのように思ってもおかしくはないのだろう。
「俺が何を言っても、ドレイクは地上人の召喚を止めないだろうな。それこそ、もし本気でこの召喚を止めるつもりなら、ドレイクを殺すといったような真似が必要となる」
俺が何を言ったところで、ドレイクはその言葉を聞くような事はまずしない。
それだけドレイクの意思は硬いのだ。
そうである以上、本当の意味でドレイクを止めるとすれば、殺すといったような手段しかない。
そしてドレイクを殺してしまった場合、このルフト領はどうなるか。
妻のルーザや娘のリムルにこのルフト領の運営を任せるか?
もしそのような事になった場合、ルフト領は間違いなく荒れる。
それこそ、ドレイクがドロを開発して折角追い払ったガロウ・ランの盗賊達も、それをいい機会だとして戻ってくる可能性があった。
現在のルフト領は、ドレイクの手腕によってアの国の中でも……いや、バイストン・ウェル全体で見ても、トップクラスに栄えている。
そうである以上、ガロウ・ランの盗賊達にしてみれば、これ以上ない程に美味しい獲物なのだ。
そのような場所が混乱してまともに統治出来ていないのだから、ガロウ・ラン達が遠慮する必要はない。
これらはあくまでも俺の予想でしかないが、それでもかなり確率が高い予想だろう。
「そうすると、誰かは分からないけど地上人を巻き込む事になるの?」
「なるだろうな。ただ、それが決して悪いって訳じゃない」
「……何故?」
俺の口から出た言葉が意外だったのか、マーベルは信じられないといった様子でこっちを見てくる。
「マーベルの場合は幸せな家庭だったし、大学生活も順調だった。そういう意味では運が悪かったんだろうけど、世の中には現状ではどうしようもない、今いる場所から逃げたいと、そんな風に思ってる奴も多い」
いや、寧ろ異世界に召喚されて聖戦士と呼ばれる特殊な存在になると知れば、それこそ全てを捨ててでも来たいと思う者は多いだろう。
もっとも、シルキーの力で召喚されるのはあくまでもオーラ力の高い者達だ。
地上人はオーラ力の高い者が多いが、全員が全員そのような者ではない。
「俺はこの世界に転移してきた時に真っ直ぐバイストン・ウェルに来たから、この世界の地上……地球がどのような状況にあるのかは分からない。だが、マーベル、ショット、ゼット達から話を聞いた限りでは、俺が知ってる世界とそう変わらない」
マブラヴ世界とかと比べれば、それこそ天と地程の違いがあるだろう。
勿論、この場合はこの世界が天でマブラヴ世界が地だが。
そう言えば、最近夕呼に会ってないな。
ホワイトスターに戻ったら、一度マブラヴ世界に顔を出してみるのもいいか。
霞もそれなりに成長している筈だし。
恭子とも会ってないしな。
「アクセル?」
「ああ、悪い。ちょっと考え事をな」
「……ふーん」
何故かマーベルが面白くなさそうな雰囲気を出す。
まぁ、マーベルにしてみれば表向きは俺の女という事になってるのに、そんな中で自分以外の女について考えているのは面白くないと思ったのだろう。
何故他の女について考えていたのかに気が付いたかというのは、女の勘でしかないんだろうが。
「あー……そう言えば、結局リムルの件は黙っていたままだったけど、ドレイクに言った方がよかったと思うか?」
「どうかしらね。ドレイクはリムルを可愛がっていたでしょう。だとすれば、娘から悪しきオーラ力を持ってると思われるのは、ショックなんじゃない? それ以前に、ミュージィがその辺を報告してる可能性もあるし」
マーベルの言葉は、納得出来るものがあった。
リムルの家庭教師のミュージィだが、その主はリムルではなくドレイクなのだから。
「アクセル」
と、不意に声を掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこにいたのはゼットとガラリアの2人。
デートのつもりか? と突っ込もうとしたが、それを言うのなら俺とマーベルもこうして2人で召喚を見にやって来ているのだから、何も言えない。
「ショットはどうしたんだ? てっきりショットも興味があると思ったんだが」
「ショットは……その、少し遅れてくるらしい」
ゼットの様子を見て、何となく理解した。
多分、ミュージィと会っているのだろうと。
何だかんだと、最近は恋愛が流行ってるように思えるな。
俺とマーベルの件が最初だった気がするけど。
「そうか。……それで、召喚された時ってどんな感じだったんだ? マーベルの場合はバイストン・ウェルに来た時、気絶してたけど」
「俺やショットも同じだよ。多分、オーラロードを越える途中に気絶するんだろうな」
「だとすると、今日転移してくる奴も気絶してるんだろうな。だとすれば、いきなり起きて騒動を起こすとか、そんな風にはならないか?」
「その辺はどうだろうな。起きた時に召喚された件で怒る可能性もあるが」
そう告げるゼットの様子を見ると、多分ゼットも怒ったんだろうなと思える。
とはいえ、ゼットが地上でどのような暮らしをしていたのかは分からないが、バイストン・ウェルではガラリアといい関係になっており、オーラバトラーを開発した技術者という事で、重用されて下からは尊敬されている。
「なら……」
そう言おうとしたところで、バーンがこちらに近付いてくるのに気が付く。
俺達の前にやって来ると、ガラリアを一瞥してから口を開く。
「アクセル王。そろそろ時間になりますが……本当にここでよろしいのですか? お館様のように上から見ていても構いませんが」
その視線に、俺はドレイクとルーザ、リムルのいる場所に視線を向ける。
ここは中庭……というか、広場? 的な存在で、その広場のすぐ側には建物があり、その2階……いや、3階だな。そのベランダにはドレイク達がいる。
バーンにしてみれば、気にくわない俺という存在は自分の近くにいて欲しくはないといったところか。
だが、ドレイクと対等の同盟者という扱いになっている俺に、側近であっても結局はただのドレイクの部下でしかないバーンにはとてもではないがそんな事は言えない。
だからこそ、こうして遠回りに言ってきたのだろう。
「いや、気にしなくてもいい。俺もここで見させて貰うよ。どういう奴が召喚されるのか分からない以上、何かあったらすぐに対処出来るようにしておいた方がいいだろ?」
ショットやゼットはどんな感じでバイストン・ウェルに召喚されたのかは分からないので参考にならないとしても、マーベルの場合は冷静だった。
いやまぁ、目が覚めたらいきなり俺が間近にいたという事で警戒されたが、それでもすぐに冷静になって現状を確認した。
あれは、もしかしたら禅の効果なのかもしれないな。
ともあれ、俺と一緒にバイストン・ウェルに来たのがマーベルだったからよかったが、シルキーに召喚された相手が血の気の多い奴であれば、場合によっては暴れるといった事にもなりかねない。
いやまぁ、それでも普通に考えて血の気の多い奴が暴れたところでどうにかなるとは思えないんだが。
それこそ軍の特殊部隊出身とか、そういう奴ならともかく、その辺の一般人だったり、ヤクザとかギャングとかその辺だったりしても、バイストン・ウェルの人間とは鍛え方が違う。
それこそバイストン・ウェルの騎士や兵士は、銃火器の類がない為に地上世界の軍人とかと戦っても、銃火器がない状態ではバーン達が勝つだろう。
逆に、銃器とかと一緒に転移してきたりすれば、バーン達であっても勝ち目はないと思うが。
オーラ力があったところで、それでどうにか出来る訳ではないのだから。
「分かりました。では、そのように」
不承不承……本当に不承不承といった形ではあったが、バーンは俺の言葉に頷く。
結局無理を言って俺をどうにかするような真似をするよりも、今はまず地上人の召喚を最優先させたのだろう。
実際にそれは正しい判断だと言ってもいい。
ここで俺を無理に排除しようとした場合、それこそ面倒な事になっていたのは間違いないのだから。
そうならないようにする為には、やはりここで妥協しておくのが正しい筈だった。
「ああ、何かあったらこっちで対処するから、バーンはまずは地上人を召喚する事だけを考えてくれ」
「くっ! ……了解しました」
一瞬不機嫌そうな様子を見せたバーンだったが、すぐにいつも通りの表情になると、俺の言葉に頷いてその場から去っていく。
「ねぇ、怒らせてしまったわよ?」
「いや、そんなつもりはなかったんだが」
「そうか? 俺から見ると、普通にバーンに喧嘩を売ってるように見えたぞ?」
俺とマーベルの話を聞いていたゼットが、呆れと共にそう言ってくる。
喧嘩を売ったつもりは全くなかったんだが。
まぁ、バーンはドレイクの側近として高いプライドを持ってるので、そんな風に思う事があってもおかしくはない。
「俺にはそのつもりはなかったんだけどな。……っと、それよりもそろそろのようだぞ」
水牢から出されたシルキーが、兵士と共に歩いてくる。
「へぇ」
「どうしたんだ?」
何故かそんなシルキーを見て感心したように呟くゼットに疑問を覚え、そう尋ねる。
特に何か感心するようなところがあるとは思えないんだが。
「いや、聞いた話によると、以前は水牢から出した後も檻に入れて運んでいたらしいんだが。こうして見た感じだと違うと思ってな」
「そうなのか? まぁ、ドレイクにも色々とあったんだろ」
そう言いながらも、何故シルキーの扱いが改善しているのかは、何となく予想出来る。
俺とマーベルがシルキーと会ったからだろう。
特にマーベルはシルキーが水牢の中にいるのを不愉快に思っていた。
そんな中で、もしゼットの言う通り檻に入れてシルキーを運ぶといったような真似をした場合、間違いなくマーベルはそんなシルキーの扱いを許容出来なかっただろう。
今は俺の仲間――対外的には俺の女という扱いだが――としてドレイクに協力しているマーベルだが、そんな事になった場合は、最悪マーベルはドレイクと敵対するといった選択をしかねない。
そして敵対の方法としてもっとも分かりやすいのは、ギブン家に協力する事だろう。
曲がりなりにも、ゲド以上の性能を持つダーナ・オシーというオーラバトラーを開発出来るようになっているのだから、ギブン家はドレイクと戦えるだけの実力は十分にある。
クの国に行くという選択肢もあるが、ビショットはドレイクと友好的な関係を築いているしな。
ともあれ、現在マーベルはバイストン・ウェルにおいて唯一の聖戦士だ。
今回の召喚でドレイクの下にも聖戦士が所属する事になるのかもしれないが、それでもオーラバトラーの搭乗時間という事で考えれば圧倒的にマーベルが上だろう。
そういう意味で、ドレイクとしては可能な限りマーベルを敵にしたいとは思わない。
その危険を減らす意味で、シルキーに対する扱いを変えたといったところか。
「シルキー、始めよ」
ここまでやって来たシルキーに向け、建物の上からドレイクが命じる。
そんなドレイクの指示に、シルキーは反論するような事もなく頷くと、目を閉じて意識を集中した。
「さて、どうなるんだろうな。マーベルとしては、やっぱ気が進まないか?」
「そうね。出来れば止めて欲しいという思いは変わってないわ。けど……」
そうしてマーベルが何かを言おうとしたところで、俺から見ても分かるくらいに強力な力がシルキーに集まっていき……次の瞬間、天に向かって光の柱とも言うべき存在が伸びていった。
なるほど。恐らくあの光が地上とバイストン・ウェルを繋ぐオーラロードって奴なんだろう。
そう思ったのだが、シルキーから発せられていた光の柱は10秒くらいすると消失する。
「失敗か?」
光の柱が消えて数秒、何も起きないことに疑問を抱いてそう呟く。
そんな俺の言葉に、心なしか安堵している様子を見せるマーベル。
だが、ゼットはそんな俺の言葉に対して首を横に振る。
「いや、違う。聞いた話が本当なら……来るぞ」
来る?
その言葉に一瞬疑問を抱いたが、次の瞬間には今度は空から光の柱が振ってくる。
なるほど。シルキーが生み出したあの光の柱は呼び水的な感じだったのか。
それによってオーラロードが開き、このバイストン・ウェルと地上界が一瞬ではあるが通じた。
であれば……
期待を込めて光が降り注いでいる場所に視線を向ける。
やがて、眩い光の柱は消えて光が降り注いでいた場所がしっかりと見えるようになった。
光の柱が降り注いでいた場所にいたのは、3人の男達だった。
それと、バイクが一台。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650