「んー……そろそろか?」
空中に浮かびながら焼き魚を食べつつ、呟く。
ちなみにこの焼き魚は当然のように海で泳いでいるのを獲った。
そして炎は混沌精霊としての俺の能力でどうとでもなる。
味付けは空間倉庫の中に入っていたミックススパイスを使えば問題ない。
普通に塩焼きにするよりも、色々なハーブが混ざっているミックススパイスを使うだけで素人が作る料理よりも一段階上の料理となる。
最悪、海水を鍋か何かに汲んで蒸発させるといった手段もあったのだが、空間倉庫の中には何気に様々なミックススパイスが入っている。
ネギま世界やペルソナ世界で購入したそれらは、塩以外にも多数のハーブや香辛料が入っており、料理に一振りするだけでプロの味に近付くとか言われる事も多い。
そんなミックススパイスで味付けされた焼き魚は、俺の舌を楽しませるには十分なくらいに美味い。
俺がローレライの海に1人で残ってから数日。
今の俺は特に何もやるべき事がないので、こうして海鮮バーベキューを楽しんでいた。
……焼き魚を海鮮バーベキューと表現してもいいのかどうかは分からないが。
そのような時間を楽しんでいたのだが、テンザン級とフリーデンが移動を始めてから既に数日。
そのくらいの時間が経っているのを考えると、既にセインズアイランドに到着してもおかしくはない。
そんな訳で、1人でこうしているのも暇だし……そろそろセインズアイランドに向かうとしよう。
そう判断すると、魚の骨を海に捨てる。
ゴミを海に捨てるなと怒られるかもしれないが、魚の骨なら何か他の魚に食べられるか、自然に分解して海の栄養となるだろう。
準備を終えると海に潜る。
真っ直ぐに海底に向かうと、ここ数日で何度も見慣れた軍艦が見えてくる。
初日に聞こえてきたような気がした声は、結局あれから1度も聞こえてこない。
スライムで軍艦を調べて見ても中に誰かがいる様子はないし、コールドスリープのような機械が動いている作動音の類もない。
正直なところ、この軍艦には本当に何かがあるのかと思ってしまう。
今はもうどこかに旅立った白いイルカが案内してきた以上、この軍艦に何かがあるのは間違いない。
間違いないとは思うのだが、それでもスライムで調べた限りでは特に何かそれらしいのはなかったんだよな。
この軍艦をセインズアイランドまで持っていっても、本当に中に何かがあるのかと疑問に思ってしまう。
まぁ、それでも既にセインズアイランドに土地を借りて、更にはテンザン級とフリーデンが向こうに到着する頃である以上、幾ら怪しいからといって軍艦を放り投げるような真似は出来ない。
軍艦に触れつつ、影のゲートを展開する。
海底に広がる影に、俺と軍艦は沈んでいくのだった。
「ふぅ」
影に沈んだかと思えば、次の瞬間には俺の姿はセインズアイランドにあった。
結構な距離があった関係や、軍艦も一緒に転移させた事、そして何より、X世界はコロニー落としの影響で自然がかなりダメージを受けている。
結果として、俺が魔法を使う際には他の世界と比べてもかなり魔力を消費する。
……まぁ、マブラヴ世界とかに比べれば随分とマシだが。
「で、えーっと……うん? まだ誰もいないのか」
俺がセインズアイランドから借りた土地は、海の近くだ。
もしセインズアイランドにテンザン級やフリーデンが到着していれば、その人員がここにいてもおかしくはない。
だが、現在ここにいるのは俺と……急いで走っていく数人だけ。
その数人が誰なのかは、容易に想像出来る。
俺がこの土地を借りたというのを知ってるのは少数だ。
それこそ政庁の面々くらいだろう。
あるいはそこから情報が流れてという事もあるかもしれないが。
そう考えると、あの連中は政庁から……というか、マイルズやその上司の手の者と考えた方がいい。
マイルズ達は何故俺がこの場所を借りたのか、その理由を知りたかったのだろう。
マイルズが言い寄っているエニルに変な迷惑が掛からないようにとか、結構な量の宝石をあっさり渡したから気にするようになったとか。
他にも色々と理由はあるのかもしれないが、とにかく俺が借りた土地で何をするのか気になっていた。
だからこそ、人を張り込ませて何か動きがあったら報告するように言われていた……という可能性が高い。
もしくは、この近辺はあまり人がいないから、マイルズとは全く関係なくここで何かをしていた者達がいたという可能性も否定は出来ないが。
とにかく今はテンザン級やフリーデンがやって来るまで待つしかない。
ローレライの海からセインズアイランドまで、特に何もなければもう到着するか、今日くらいに到着してもいいと思うんだが。
もう少しゆっくりしてきた方がよかったな。
そもそも俺がローレライの海でゆっくりとしていたのは、早い内に軍艦をセインズアイランドまで転移して運んだ場合、かなり目立つからというのが大きい。
……あ、そう考えるとさっきの数人を逃がしたのは間違いだったか?
とはいえ、基本的にこのX世界においてはネットとかそういうのは全滅してるし、情報の行き来についても基本的には人によるものだ。
そうである以上、俺がちょっとした魔法を使えるとはいえ、それを知る事が出来るのは多くない。
勿論、人の口に戸は立てられぬと言うので、魔法については次第に広まる可能性は否定出来ない。
出来ないが、そもそもX世界の人口を考えるとそこまで気にする必要はない。
あ、でもフロスト兄弟が所属している組織は新型のガンダムやドーラットの後継機を開発するくらいの人材や技術が揃ってるんだよな。
そんな連中が魔法について知ったら、こっちに接触してくる可能性は否定出来ない。
とはいえ、フロスト兄弟の組織と俺達はもう完全に敵対している。
そうである以上、ちょっとやそっとの事では向こうと友好的に接するといった事はまずないだろう。
「さて、また少し暇になってしまったな。とはいえ、陸地がある分だけ楽だけど」
ローレライの海で待っている間は、基本的に空中に浮かんでいた。
海中にいてもよかったのだが、その場合は流されていつの間にか場所が移動していただろう。
何しろ海のど真ん中だ。
目印になる物が何もない以上、波に流されても把握するのは難しい。
そんな海に比べると、ここは陸なので波に流される心配とかしなくてもいい。
とはいえ、今はやるべき事がないから結局暇なんだが。
海にいる時に暇潰しで結構な量の魚を獲ったし、それでも焼いて食べているか?
それとも……ルマークを呼んで来るか。
この軍艦の調査をするには、シーバルチャーの手を借りるのが手っ取り早い。
そしてルマークにはその辺の話を前もってしてある。
なら、今から呼んできても構わない……と思う。
ただし、ニュータイプの件に関わってくる以上、出来ればジャミルからの許可を貰ってからにしたい。
ジャミル辺りはルマークを呼んできても特に怒らないだろうが。
「どう思う?」
そう言い、軍艦を軽く叩く。
軍艦の表面には海藻や貝の類がかなり付着している。
最低でも15年も海に沈んでいたと考えれば、そこまで不思議な事ではない。
こういう風に付着している貝も、きちんと調理すれば美味く食えるんだよな。
海藻とかも、中には普通に食える海藻もあるし。
あ。でも海藻を消化出来る人種って決まってるんだったか。
何かでそんな風に見た覚えがある。
そんな風に考えながら暇潰しをしていると、やがて車がこっちに走ってくるのが見えた。
誰だ? 一瞬そう考えたものの、それが具体的に誰なのかというのは考えるまでもないだろう。
俺が転移してきた時に逃げ出した連中から報告を貰って、政庁から確認をしに来たといったところか。
そうなると、やって来るのは当然俺と顔見知りの……
「アクセル!」
「やっぱりマイルズか」
車から降りてきたのは、予想通りマイルズだった。
その顔に浮かぶのは、驚愕。
マイルズの視線の先にあるのは、当然ながら俺と一緒に転移してきた軍艦だ。
「あれはいったい何だ!?」
「何って、見て分かるだろう? 軍艦だ。そもそもこの土地を借りる時にその辺は説明したと思うが」
「そうじゃない! 報告によれば、この軍艦はいきなりここに姿を現したと報告があった! 一体何がどうやった!」
「簡単に言えば、魔法だ」
「……は?」
まさか俺の口から魔法という言葉が出て来るとは思わなかったのか、間の抜けた声を上げる。
この世界において、魔法というのは想像上の存在だ。
マイルズの年齢を考えれば、15年前の戦争の時にはお伽噺とか漫画、ゲームといったもので魔法を知っていてもおかしくはない。
しかし、それはあくまでも想像上の話であって、まさかそれが実在しているとは思えないのだろう。
「アクセル……冗談も程々にして欲しい。これは一体どうやったんだ?」
「どうやったと言っても、今も言ったように魔法だ。逆に聞くが、魔法を使わないでこの軍艦をどうやってここに持ってくる事が出来たと思う? 見ての通り、軍艦はまだ海水で濡れている。ついさっきまで海底にあったんだからな」
そう言い、軍艦を示す。
実際に軍艦は俺が言ったように、まだ海水で濡れている。
今日は天気もいいので、暫くこのまま軍艦を地上に置いておけば、濡れている海水も乾くだろう。
しかし、それはいずれの話だ。
今こうして海水に濡れているのは間違いなく、それを説明するのは非常に難しい。
「それは……」
マイルズも軍艦を見て、海水で濡れているのを確認すると何も言えなくなる。
実際に今の状況では、魔法で持ってきたとでも言わなければ説明は出来ない。
勿論、多数のシーバルチャーが協力をすれば、短時間で沈んでいた軍艦を引き上げたりも出来るかもしれない。
しかしそんな真似をすれば当然だがセインズアイランド側に気取られない筈がない。
セインズアイランド側でも、オルクとかを警戒している以上は近付いてくる存在には注意している筈なのだから。
しかし、この軍艦が姿を現した時、この近くにシーバルチャーやオルクはいなかった。
……それ以前に、俺と一緒に転移してきたのを直接その目で見ている奴から報告があったのだ。
「普通に考えて、今回の一件は魔法でもないと理解出来ないと思うが?」
「……普通に考えたからこそ、魔法という選択肢はないのだが」
マイルズの口から出たのは、この世界での常識。
常識ではあったが、それでも現在目の前にある出来事がその常識で把握出来ない以上は、もっと別の方法で考える必要があるのは間違いなかった。
「この世界の常識では考えられないから、それ以外の事を考えた方がいいと思うけどな」
「それがつまり魔法だと?」
「否定はしない」
「シャドウミラーというのは、つまり魔法使いの集団だというのか?」
「正解で間違いだな」
シャドウミラーに所属する者の多くは魔法を使う。
魔法以外にも気を使う者がいるが……気と魔力は実際には違うものの、知識のない者にしてみれば同じようなものだと思ってもおかしくはない。
とにかく、シャドウミラーが魔法使いの集団かと言われれば、それは正解だ。
だが、一般的に考えられるような魔法使いの集団という訳ではない。
正確には魔法使いも所属する集団と表現した方がいい。
魔法や気にリソースを全て振るのではなく、あくまでも魔法や気も技術の1つであると認識してる。
実際に実働班は魔力や気による身体強化により、対G能力は非常に高くなっている。
その上でマクロス世界で入手したISCが組み込まれていたりするのだから。
言ってみれば、魔法や気と科学技術の融合というのがこの場合は一番正しいのか?
「何だそれは。誤魔化すつもりか?」
「いや、そんなつもりはない。魔法使いがいるのは間違いないが、それはあくまでもシャドウミラーの持つ技術の1つでしかないという事だな。信じられないのならサン・アンジェロ市の近くにある基地に来てみろ。そこでは魔法とかはなく、普通に科学技術で発展してるから」
まぁ、量産型Wとかメギロートとかバッタとか、そういうのはこの世界から見ても信じられない科学技術なのだろうが。
「それを信じろと?」
訝しげ……というか、怪しさ9割といった視線を向けてくるマイルズ。
マイルズにしてみれば、常識を持っているだけに素直に俺の言葉を信じる訳にはいかないのだろう。
「今は半信半疑でもいい。ただ、この土地を借りる時の約束通り俺達と取引をする事になったら、実際に一度基地に来ればいい。そうすれば俺の言ってる話が真実かどうかが分かる筈だ」
そう言い、そう言えばエニルには魔法を見せたんだよなと思い、指を鳴らす。
瞬間、俺の右手が白炎となり、狼の炎獣が生み出された。
「っ!?」
予想外の光景だったのだろう。
息を呑むマイルズに、俺は笑みを浮かべて声を掛ける。
「どうだ? これが手品の類だと思うか?」
その問いに、黙って首を横に振るマイルズ。
こうして目の前で魔法を見せられれば、普通なら魔法を信じるよな。
手品と言い張る奴もいるかもしれないが、右手は白炎になってるし。
これをどうやって手品で表現するか。
いや、世の中には凄い手品の達人もいるし、もしかしたらもしかするかもしれないが。
そんな風に思いながら、俺はマイルズと話をするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761