数十分程話すと、マイルズもようやく落ち着いてきた様子を見せる。
ちなみに炎獣は既に消えている。
マイルズ曰く、その炎獣を自分以外の者に見られると騒動が大きくなるので、出来れば消して欲しいと言われたのだ。
騒動が大きくなるというのは間違いないだろうが、それと同時に俺が魔法を使えるというのを自分のところで止めておきたいと思った……と考えるのは、俺の気のせいか?
ただ、マイルズも20歳前後くらいの若さで政庁の中でも結構な地位にある人物だ。
そのくらいの腹芸をしても、特に驚くような事はない。
「それで……一応、本当に一応聞きたいんだが、アクセルが使っている魔法というのは誰でも習得出来るのか?」
「一定程度なら、基本的には誰でも習得出来るぞ。中には呪文の詠唱が出来ないとか、そういう奴もいるけど、そういうのはかなり少ない」
高畑とか。
そう言えば高畑は同僚の女教師……あの巨乳の女教師とゴールインしたとか、そういう噂を以前聞いた事があったな。
ただ、明日菜がそれを聞いてもそこまでショックを受けていないのはちょっと驚きだったが。
「ただ、魔法は誰でも使えるようになるのは間違いないが、使えるようになるには相応の修行が必要だ」
魔力が多い魔法球の中で修行をしても、ちょっとやそっとで魔法が発動したりはしない。
ましてや、このX世界はコロニー落としの影響で自然がかなり消滅している。
マブラヴ世界程ではないにしろ、この世界で魔法を使うのはかなり難しいだろう。
とはいえ、それはつまりこの世界で魔法を使えるようになれば他の世界でも基本的に魔法を使えるということになるのだろうが。
そういう意味では、厳しく魔法の修行をする場合はX世界で修行をするのはあり……か?
本当に厳しい場所で訓練をするのなら、マブラヴ世界がある。
だが、マブラヴ世界は自然がBETAのせいで壊滅的だ。
マクロス世界のテラフォーミング技術を使って自然の回復を行ってはいるが、自然が完全に回復するのがいつになるのかは分からない。
「そのような時間を作るのは難しいな」
「色々と落ち着いて、時間が出来たら魔法を習ってみてもいいんじゃないか? もっとも、魔法はシャドウミラーの技術だ。そう簡単に習得出来るとは思えないが」
いっそ呼吸でも習得させるか?
一瞬そう思ったが、呼吸は魔法よりも更に習得が難しい。
鬼滅世界の主人公である炭治郎であっても、数年の修行をしてようやく水の呼吸を使えるようになったのだから。
主人公である炭治郎でさえ、そんな様子だったのだ。
そうなると、X世界の一般人が呼吸を使えるようになりたいと思っても、いつになる事やら。
そうした上で、呼吸は気の亜種で色々と使いにくい一面もある。
勿論、使えれば使えたで悪い話ではないのだが。
「それは……仕方がないだろう」
マイルズは残念そうにしながらも、そう言ってくる。
自分も組織に所属しているだけに、その辺については本人も十分に理解しているのだろう。
そうして話をしていると、やがて数台の車がこっちに向かって来たのに気が付く。
敵か? と思ったが、その車に乗っている者達の姿を見てすぐに警戒を解いた。
何故なら、車に乗っているのはシーマを始めとした面々や、ガロードを始めとした面々。
つまり、テンザン級とフリーデンの面々だったのだから。
「お、どうやら来たみたいだな」
「何? ……ああ、なるほど」
俺の言葉に視線を追ったマイルズは、こちらに向かってくる車を確認すると残念そうな様子を見せる。
マイルズが恋敵と認識している俺と話すのが中断されて残念がるというのは、普通に考えるとどこかおかしい。
ただし、マイルズは政府の人間だ。
そうである以上、少しでも俺からシャドウミラーについての情報を欲しがってもおかしくはない。
何しろシャドウミラーには魔法が実在し、その魔法を間近で見たのだから。
……正確には、軍艦をここまで運んできた影のゲートはともかく、炎獣は魔法でも何でもない俺の特殊能力なのだが。
「では、私はこの辺で失礼する」
「いいのか?」
「構わないよ。ただ……そうだな。テンザン級とフリーデンだったか? その2隻は港ではなくこちら側に移動して貰えると助かる」
マイルズに……というか、セインズアイランドにしてみれば、港というのは出来れば空いていた方がいいのだろう。
だからといって、誰にでも今回のようにここに陸上戦艦を運んでくるような許可を出すとは思えない。
今回の件はあくまでも特例だろう。
シャドウミラーという存在がセインズアイランドにとって大きな利益になると判断したが故の。
また、軍艦をここまで運んできて探索する場合、それがセインズアイランドにとってもいい利益になると考えてもおかしくはない。
「助かる」
「いいさ」
短く言葉を交わすと、マイルズは車に乗って去っていく。
途中でこっちにやって来る面々とすれ違ったが、特に問題らしい問題は起きない。
俺が特に何もせずに帰したので、こっちに向かってくる面々もマイルズが敵ではないと判断したのだろう。
やがてこっちにやって来た数台の車が止まると、すぐにシーマを始めとした他の面々が降りてくる。
「アクセル、どうやら無事だったようだね」
そんなシーマの言葉に、俺は手を振りながら口を開く。
「俺が海で少し待っている程度のことで、何かあると思ったのか?」
「それでも海は危険な場所だからね。それに、ローレライの海での出来事だ。何があってもおかしくはないだろう? ……それで、これがローレライの軍艦かい」
シーマが離れた場所に置かれている軍艦に視線を向けてそう言う。
他の面々も俺と短く言葉を交わしながら軍艦に向かっていった。
ローレライの海というシーバルチャーから聞いた情報は、既に多くの者が知っている。
それでも軍艦が海底に沈んでいた時はそれを見る事が出来る者はいなかった。
いやまぁ、MSとかで海に沈んでいけば軍艦を見られたかもしれないが。
それでも見られる者は限られている。
そんな中でこうして軍艦が地上にあるのだから、それに興味を持つなという方が無理だった。
「ああ、あれがローレライの海に沈んでいた軍艦。……恐らくローレライの海の原因だ。具体的にどういう風になってるのかはちょっと分からないが。何か感じるか?」
シーマから視線を逸らし、クスコとマリオンに尋ねる。
すると2人は俺の言葉を聞いて即座に頷く。
「何かがあるのは間違いないわ。ただ……ちょっと分からないわね」
「私もクスコさんと同じです。何かがあるのは間違いないですけど、それが何なのかは分かりません」
ニュータイプの2人が揃って分からないという事は、単純にこの2人のニュータイプ能力がそこまで高くないからか、それともUC世界とX世界のニュータイプの違いか。
「……います」
どうするべきか迷っていると、ガロードと一緒に車に乗ってきたティファが俺の横でそう呟く。
その右肩には炎獣のリスが乗っているが、いつものように俺を見ても恥ずかしがる様子はない。
これは数日俺と合わなかったから、俺とマリューとミナトの夜の生活を覗いた衝撃が消えたのか、今はそれどころではないから気にしていないのか。
その辺りについては生憎と分からなかったが、それでもティファがいると言う以上、何かがあの軍艦にあるのは間違いない。
「ティファ、けどあの軍艦の中に誰かが生き残っているようには見えないぜ?」
ガロードの言葉に、他の何人もが頷く。
当初白いイルカに案内された場所には、海底都市があるのではないかと思っていた。
しかし、そこにあったのはローレライの海で、この軍艦がローレライの海の原因なのは間違いない。
そういう意味ではいるというティファの言葉も分からないではないが……まさか、本当にこの軍艦にはローレライが乗ってるとか、そういう事はないよな?
「……見ていて下さい」
ガロードにそう言うと、ティファは目を閉じる。
数秒後、不意にティファの気配が変わる。
「ようやくね。全く」
変わったのはティファの気配だけではなく、その言葉遣いも……そして顔立ちまでもが変わっているように思えた。
顔立ちまでもが変わるという事は、普通考えられない。
しかし、今のティファは明らかにその顔立ちまでもが変わっていた。
それはつまり……
「お前は誰だ?」
ティファに……いや、ティファに乗り移っている相手に向けて、そう尋ねる。
普通なら人に何かが……誰かが乗り移るというのは、とてもではないが信じられないだろう。
しかし、実際にティファから感じられる雰囲気が……そして、気配は大きく違う。
「私はルチルよ。貴方ね? 私にちょっかいを掛けてきたのは」
「……ちょっかい?」
何かを確信しているかのような言葉。
だが、そう告げてくるティファの……いや、ルチルの言葉で、俺の視線は軍艦に向けられる。
「正解よ。まさか、海の中からこんな場所に引っ張り出されるとは思わなかったけど。それにしても、貴方は一体どういう存在? 何だかとても人とは思えないけど。……そう、まるで深く大きな海のような……」
俺を海と表現するのは、ルチルと名乗った女が初めてではない。
ティファもまた、同様に俺を海だと評していたし、白いイルカが俺をどのように思っていたのかはともかく、忠誠を誓っていた。
「ちょ……おい、あんた! ティファをどうしたんだよ!」
俺とルチルが話していると、不意にガロードがそう会話に割り込んでくる。
無理もないか。
ガロードにしてみれば、ティファは好きな女だ。
そんな想い人がいきなり誰かに乗っ取られる……乗り移られる? 取り憑かれる? とにかくそんな風になったのだから、ガロードとしても黙っている訳にはいかなかったといったところか。
「あら? 貴方は……安心しなさい。今はこの子の身体を借りてるだけだから。この子も承知の上で身体を貸してくれてるのよ」
「……そうなのか?」
ガロードは信じられないといった様子で言う。
ティファから前もって話を聞いていたのならともかく、この様子を見ると特に何も説明はされていなかったのだろう。
「ええ。私の用件が終われば、身体は返すわ。それに……この身体の主導権という意味では、この子の方が強いの。この子が譲ってくれているから、今こうして私はこの子の身体を使わせて貰ってるのよ」
ガロードを説得するように言うルチルだったが、実際にはその言葉には大きな説得力はない。
主導権はティファの方が強いというのはあるかもしれないが、それもあくまでもルチルが言ってるだけだ。
こう言うのもなんだが、ルチルの言葉が全て真実であるとは限らない。
それにティファは大人しいというか、そこまで我は強くない。
それは主導権争いをした場合はルチルに負けるような気がする。
……そんな風に思うのは、俺だけか?
もっとも、ガロードはそんなルチルの言葉に納得した様子を見せる。
「そっか。分かった。……けど、それはティファの身体なんだから気を付けてくれよ」
「分かってるわよ。恋人の貴方が困るような真似はしないから、安心しなさい」
「こっ、こっ、こっ、恋人ぉっ!? あ、あはははは。その、そんな風に見える?」
自分がティファの恋人と言われたのが嬉しかったのか、ガロードのテンションはかなり上がっていた。
ルチルに言われたのだが、そのルチルは現在ティファの身体を使っている。
だからこそ、ガロードは余計にテンションが上がったのだろう。
「あら? 恋人じゃないとすれば、まだ片思いなのかしら? それとも、友達以上恋人未満? とにかく、今はこっちの大いなる海と話があるから、少し遠慮してくれるかしら」
そう言うと、ガロードは何も言えなくなったらしく引き下げる。
にしても、大いなる海か。
それは当然のように俺の事を指してるんだろうが。
「それで、お前は結局誰なんだ?」
「先程も名乗ったと思うけど? 分かりやすく言えばニュータイプね」
「……だろうな」
白いイルカが案内した件で予想はしてたので、ニュータイプと名乗っても特に驚くような事はない。
ただ、何がどうなってこのような状態になっているのかが疑問だが。
「それで、ニュータイプが何でティファに取り憑いてるんだ?」
「その表現はあまり嬉しくないわね。そもそも、私が動けるようになったのは貴方のせいなのよ? いえ、この場合は貴方のおかげと言った方がいいのかもしれないけど」
「どういう意味だ?」
「そうね。分かりやすく説明すると、私は宇宙革命軍との戦争で精神を疲弊して、ニュータイプとしては使い物にならなくなったのよ。そうなったら連邦軍が私をLシステムというシステムに組み込んだの」
「Lシステム?」
「ええ。簡単に言えば周囲の電子機器を使用不可能にするといったものね。ただ……その時の私はもう精神崩壊状態で自我がなかったから、敵味方の区別もなく電子機器を使えなくしてしまったの。それで封印処置をされて運ばれていたところで、その船が沈んだのよ。そのままずっと海の中にいて……でも、そのお陰なんでしょうね。こうして自我があるのは」
軽く言ってるが、その内容はかなり厳しい。
実際、周辺で話を聞いている者達の多くが厳しい表情を浮かべている。
しかし、ルチルはそんな周囲の様子に気が付いていないのか、それとも気が付いても気にしてないのか分からないが、説明を続ける。
「そうしてアクセルが何かをしたのが影響して、私は封印処置から解放されたの」
「あ……」
その説明を聞いて俺が思い出したのは、海中で何かが聞こえたような気がした、あの時の事だった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761