俺が触れた事によって、ルチルの封印が解除された
そう言われて納得しそうになるが、少し疑問に思う。
「そもそも封印が解けたって言うけど、その封印というのは別に魔法的な封印とかそういう訳じゃなくて、物理的な封印だろう?」
「そうね。……それにしても魔法? この子とも関係あるの?」
そう言うと、ティファに憑依したルチルは自分の右肩にいるリスの炎獣に視線を向ける。
その炎獣は、自分に視線が向けられた事に首を傾げるだけだ。
炎獣にはティファを守るように言ってあるんだが、ルチルがティファに憑依しても大人しいままというのは……ルチルがティファに危害を加えないというのが分かっていたり、もしくはティファが自分からルチルを受け入れたからか?
それ以外にもまた何か別の理由があるのかもしれないが。
「そうだな。その炎獣は俺が生み出した存在だ。ティファの護衛をさせている」
ティファはニュータイプだが、本人は特に戦闘能力の類はない。
そうである以上、何らかの理由でティファが連れ去られる可能性は十分にあった。
ジャミルがそれを易々と許すとは思えないが、それでも世の中には予想外の事というのはある。
そういう時にティファを守るのが炎獣だ。
相手がMSで襲ってきたりした場合は炎獣であっても1匹では対処するのが難しいが、それ以外の場合……それこそ人が直接襲ってきたのなら、リスの炎獣でも十分に対処出来る筈だった。
「そうなの。まぁ、この子の事を考えれば、そうした方がいいと思うけど」
ルチルは納得した様子で呟く。
ルチルも現在自分の使っているティファの身体が全く鍛えられていないというのは理解しているのだろう。
「その炎獣がルチルを警戒してないのは、ティファが受け入れているからなのかどうかは分からないけどな。それで、封印についてだが」
「ええ、勿論魔法とかそういうのじゃないわ。物理的な封印よ」
「その封印が解けたのか? 俺のせいで?」
「正確には違うわね。封印そのものは今も行われているけど、それでもこうして私は自由に……という表現はどうかと思うけど、とにかくこうして動けるようになったの」
「それはまた……」
自分で言うのもなんだが、混沌精霊の俺は色々と普通と違うところがある。
だからこそ、ルチルの言うような事……俺の影響で封印されたままでもルチルの意識が戻るといったような事があっても納得出来る。
「まさか、ニュータイプがこういう形で見つかるとはな。ジャミルが知ったらどう思うのやら」
ジャミルは自分がニュータイプとしての力を失い、また何よりも15年前の戦争でコロニー落としの引き金を引いてしまった後悔から、ニュータイプを助けようと行動している。
現在のところ、その最大の成果がティファだし、フォートセバーンのカリスも一応その中に入っているだろう。
しかし、今度はニュータイプはニュータイプであっても、ルチルのような状態だとどう思うのやら。
「ちょっと待ってちょうだい」
俺の言葉を聞いたルチルは、ティファがするとは到底思えない程の驚愕の表情を浮かべていた。
そんなルチルの様子には、周囲にいる他の面々も驚きの視線を向けている。
そこにいるのはティファではなくルチルであるのは間違いない。
しかし、それでも外見はティファなのだ。
そのティファがそこまでの驚きを露わにしているのだから、それを見た者達がそのように思うのは当然だった。
しかし、ルチルは自分のそんな様子が周囲に与えた影響に全く気が付いた様子もなく、口を開く。
「今、ジャミルって言った? もしかしてそれはジャミル・ニートの事?」
「……知ってるのか? いや、知っていても当然か」
ルチルは連邦軍に所属するニュータイプだった。
そしてジャミルもまたニュータイプである以上、数少ないニュータイプ同士という事で、お互いに顔見知りであってもおかしくはない。
「ええ、私はジャミルの教育係というか、上官というか……そんな感じだったの」
「それはちょっと予想外だったな」
同じニュータイプ同士である以上、お互いに顔見知りであるのは予想出来たが、実際にはルチルとジャミルの関係は俺が思っていたよりも大分親しかったらしい。
「けど、それなら遠慮する必要はないな。俺達はジャミルと一緒に行動している。ルチルがジャミルと知り合いなら、それを知らせても構わないか?」
「それは……いえ、そうね。いつまでもこのままという訳にはいかないでしょうし。お願いするわ」
一瞬躊躇した様子だったが、それでもやがてそう言ってくる。
その気持ちは多少分からないでもない。
ルチルにしてみれば、まさかジャミルと再び会う事があるとは思っていなかったのだろう。
それもティファに乗り移った状態で。
「ガロード、通信機で連絡をしてくれ。……いや、俺が事情を話した方がいいか。通信機を貸してくれ」
「え? 持ってきてないぞ?」
「……は?」
ガロードから通信機を借りて連絡をしようと思ったところで、まさかの通信機を持ってきていないという発言。
「いや、だってさ。まだアクセルがここにいるかどうか分からなかったし。取りあえず様子を見に来たってだけだから」
「……シーマ」
「はいよ」
シーマに尋ねると、こちらは普通に通信機を渡してくる。
その通信機を受け取り、ガロードに呆れの視線を向けた。
「いや、ちょ……これって俺が悪いのかよ!?」
そう叫ぶガロードをそのままにテンザン級に通信を入れる。
ぶっちゃけテンザン級に通信を送るだけなら、別にシーマから通信機を借りたりしなくても、シャドウミラーの通信機を使えば問題ないんだが。
それでもシーマから借りた以上、こっちの通信機を使うとしよう。
「テンザン級、聞こえるか? 俺だ、アクセルだ」
これはシャドウミラーの通信機ではないので、空中に映像モニタが表示されたりするといった事はない。
純粋に音声のみでの通信となる。
『アクセル? どうやらもうセインズアイランドに来ていたみたいね。心配はいらないと思ったけど、それでも無事で安心したわ』
マリューのそんな声が聞こえてくる。
近くではミナトも同じような事を言っていた。
「ああ、問題ない。それで、至急の用件だ。この通信を付けたままフリーデンの方に繋いでくれないか? ジャミルに報告したい事がある」
『ジャミルに? ちょっと待ってちょうだい』
そう言い、数秒が経過し……
『アクセルか? どうした?』
通信機からテンザン級を経由してジャミルの声が聞こえてくる。
少し慌てた様子があるのは、こうして変則的な方法を使ってでもジャミルと連絡を取りたいと思ったからだろう。
「ジャミルか。無事にセインズアイランドに到着したようで何よりだ。それで、俺は軍艦と一緒にセインズアイランドに来たんだが……落ち着けよ? 決して慌てないで聞けよ?」
『……何があった?』
「軍艦の中にはニュータイプというよりも、ニュータイプを使ったLシステムってのがあるらしい」
『らしい? 何故アクセルがそれを知っている? 軍艦の中に入ったのか?』
「いや、どうやら俺が触れた影響で封印が解けたらしくて、Lシステムに使われているニュータイプが目覚めて、ティファに憑依している。ああ、安心しろ。その憑依というのは無理矢理って訳じゃなくて、ティファが受け入れたからそういう形になってるらしい。身体の主導権についても、ティファの方が強いらしい」
『つまり、ティファがその気になれば、いつでも身体の主導権を取り戻せると?』
「恐らくはだがな。……で、ここからが本題だ」
『何? これが本題ではなかったのか?』
少し戸惑った様子のジャミル。
今の話を聞いて、それでも実はまだそれが本題ではなかったのかと、そんな風に思ったのだろう。
「ああ。いいか? 落ち着いて聞けよ? ティファに憑依したニュータイプ、Lシステムに使われているニュータイプ。……その名前は。ルチル・リリアントだ」
『な……』
ルチルの名前を聞くと、ジャミルからは何の反応もなくなる。
恐らくそれだけここでルチルの名前が出て来るのは予想外だったのだろう。
「変わろうか?」
ルチルがそう言ってくるが、首を横に振る。
今でさえジャミルは混乱してるのだ。
そんな中でルチルが直接ジャミルと話すといったような事になれば、ジャミルがどんな反応をするのか予想も出来ない。
そしてたっぷり数分が経過したところで、再びジャミルが口を開く。
『アクセル。ルチルの件は……本当なのか?』
ジャミルらしくはなく、恐る恐るといった様子で尋ねてくる。
それだけ俺の口から出たルチルというのは、ジャミルにとって予想外だったのだろう。
「ああ、本当だ。ルチルはお前の上官だったんだろう? 本人に聞いた。……どうする? 今ルチルと話したいのなら、ここで変わってもいいが」
『いや、今すぐそちらに行く』
そう告げ、通信が切れる。
今の様子からすると、ジャミルはすぐにでもこちらに向かってくるのだろう。
とはいえ、港からここまではそれなりに距離がある。
MSとかなら空を飛んでこっちにやって来るといった真似も出来るが、基本的にセインズアイランドにおいてはMSを自由に使う事は出来ない。
そのような真似をするには、政庁からの許可が必要となる。
『アクセル、今の話しを聞いていたけど……本当なのよね?』
ジャミルに変わり、マリューが聞いてくる。
元々がこの通信がテンザン級を通して行われた代物だ。
そうである以上、ジャミルとの……フリーデンとの通信が切れても、当然だがテンザン級との通信は繋がったままとなる。
「ああ、本当だ。ルチルがティファの身体に憑依してここにいる。……話してみるか?」
『止めておくわ。話を聞いた限りだと、そのルチルという人はジャミルにとって重要な人なんでしょう? だとすれば、ジャミルが話すよりも前に私が話すのはちょっとね』
「いや、それを言うのならジャミルが話すよりも前に俺が喋ってしまってるんだが」
そう返すが、あの状況でまさかルチルがジャミルと縁の深い相手だとは、普通思わない。
多分ないと思うが、もしジャミルがその件で不満を言うのなら、不可抗力だったと言い返すだろう。
『そう? まぁ、そっちの事情は大体分かったけど……あまり無理はしないでね』
「そうするよ。取りあえず今日はテンザン級に戻るから、そのつもりでいてくれ」
そう言い、通信が切れる。
通信機をシーマに返すと、俺はルチルに視線を向ける。
「そんな訳で、これからジャミルがここに来る。会った時にどういう話をするのか、今のうちから考えておいた方がいいぞ」
「そうね。ジャミルがどういう風に成長したのか、少し楽しみだけど。ただ、さっきのアクセルの通信から聞こえてきた限りだと、私が最後に見てから随分と時間が経ったみたいね」
「だろうな。封印されていたのなら知らないかもしれないが、ルチルやジャミルが戦った戦争が終わって、既に15年が経っている。当時はジャミルの方がルチルよりも年下だったかもしれないが、今となってはジャミルの方が年上だな」
ジャミルとルチルが当時どのような関係だったのかは、俺にも分からない。
ルチルが言うには、上司で教育係といった話だったが、それだけが真実とも限らない。
そうなると、ジャミルと会うルチルが何を考えているのかはちょっと分からなかった。
もしかして恋人同士……あるいはその1歩手前だったとか?
だとすれば、サラにとっては強力な恋敵になりそうだな。
もっとも、ルチルの身体はLシステムとやらに使われているらしいので、そういう意味では恋敵といった心配はいらないのかもしれないが。
「ジャミルが年上ね。……少し楽しみなような、それでいて不安なような。不思議な感覚ね」
「そういうものか?」
ルチルのような体験はした事がないので、具体的にルチルがどういう風に思っているのかというのは俺にも分からない。
ただ、こうして見た感じだとルチルにとっては本当に楽しみで、それでいて不安なのだろう。
普段のティファならしないような、不安を現すかのように身体を動かしていた。
「ええ、そういうものよ。アクセルも私と同じような経験をしてみれば分かると思うけど」
「ある意味、そういう経験はこれから増えそうだけどな」
俺の言葉にルチルは訝しげな表情を浮かべる。
シャドウミラーに所属する者の特徴として、本人が望むのなら時の指輪の受信機を与えて不老になれるというものがある。
注意点としては、あくまでも不老であって不老不死ではない。
戦場で致命傷を負ったりした場合は、死んでしまってもおかしくはない。
しかし、これはあくまでもシャドウミラーとしての特徴だ。
他の世界の者には受信機を渡す事は基本的にない。
……UC世界のように、多少の例外はあるが。
そんな訳で、今はいいがこれが10年、20年といったように時間が経過すれば、俺よりも年下だった者達が外見上ではあるが俺達よりも年上になったり、場合によっては老衰で死ぬといった事もあるだろう。
そんな風に思いながらも、俺はそれを教えるような事はせずにルチルと会話を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761