「来たな」
ルチルがシーマ達と話しているのを見ていたが、こちらにもの凄い速度で走ってくる車に気が付き、そう呟く。
その車に乗ってるのがジャミルであるのは間違いなく、一体どれだけの速度でここまで来たのやらと疑問に思う。
そう言えば俺はここでは車に乗らなかったので特に気にしてなかったが、セインズアイランドにも道路交通法の類はあるんだろうか。
もし……というか、多分ある場合、それはそれで色々と不味い事になりそうな気がする。
フリーデンとの間の通信が終わってから、ジャミルがここに到着するまでの時間を考えれば、かなりの速度で走っていたのは間違いない。
速度違反とかそういうので罰金とかになる可能性は十分にあった。
さすがに捕まるといったような事はない……と思うが、そうなった場合はマイルズの方から手を回して貰う必要が出てくるだろう。
マイルズにしても、シャドウミラーとの関係が悪くなるような出来事は避けたいだろうし。
実際にはジャミルは別にシャドウミラーに所属している訳ではなく、あくまでも独自の勢力なのだが。
この世界の主人公であるガロードが所属している部隊で、本人も元ニュータイプというのもあって、友好的な関係を築いてはいるが。
「あれが……ジャミル? 確かに以前の面影はあるけど」
ティファに憑依しているルチルが、車を降りて歩いてくるジャミルを見て呟く。
俺は15年前の戦争の時にジャミルがどんな外見だったのかは分からない。
もしかしたら雑誌とか新聞とかが残っていた場合、そこに写真とかが載っている可能性はあるが……その辺の事情について知ったのは最近だったし、知ってからは色々と忙しかった。
そうなると、その当時の雑誌や新聞を集めるといった事は後回しになり、今のジャミルと昔のジャミルの差異は俺には分からなかった。
まぁ、サングラスをしているという点で、以前と随分と違う……あれ? もしかして15年前もサングラスをしたりしたのか?
いや、ルチルの様子を見る限りでは、そんな風には思えない。
そういう風に考えていると、やがてジャミルがティファの前に立つ。
『……』
しかし、どちらも声を出すような事はせず、ただ黙って見つめ合っていた。
客観的に見た場合、ガロードが嫉妬してもおかしくはない。
おかしくはないんだが、ガロードも現在ティファの身体にルチルが憑依していると理解しており、その結果として若干複雑な表情を浮かべているが、声に出すような事はない。
たっぷりと3分程が経過し……やがて意を決したかのように、ジャミルが口を開く。
「ルチル……なのか?」
「そうよ、ジャミル。久しぶりね。私が知ってるジャミルと比べると、随分と大きくなったみたいで驚いたわ」
「ルチル……」
ティファの姿をしてはいるが、その口から発された言葉は絶対にティファのものではない。
そう理解し、改めてジャミルは衝撃を受けたように身体の動きを止め……恐る恐るといった様子で手を伸ばす。
その手がティファの頬に触れる。
「ええ、私はルチルよ。色々とあってこういう状況になっているけど……」
そう言い、ルチルは自分がどのような状況にあるのか、そしてLシステムについても説明する。
それを聞いたジャミルはサングラス越しであっても怒っているのが分かるような、そんな状況だった。
周囲で話を聞いていた者達も、2度目であるにも関わらず思うところがあるようで、何人もがそれぞれの表情を浮かべている。
特にシーマは自分達も1年戦争で騙され、卑怯者といった扱いを受けていただけに、ルチルに対して思うところがあるのだろう。
厳しい表情を浮かべている。
「……話は分かった。それで、これから……」
「ちょっと待った」
何かを言おうとしたジャミルだったが、そこで話に割り込む。
ジャミルは自分の言葉を遮られた事に疑問を持ちつつ、こちらに視線を向けてくる。
ルチルもまた、俺の方に視線を向けてきた。
「アクセル? どうしたの?」
「俺から提案だ。ただ、前提条件として、これが成功するかどうかは分からない。だが、もし成功すれば、ルチルもLシステムから解放される筈だ」
「何? アクセル、それは本当なのか!?」
ジャミルにしてみれば、俺のその言葉は完全に予想外だったのだろう。
まぁ、その思いも理解出来る。
ルチルが言うには精神的に崩壊した影響でLシステムに組み込まれるといった形となっているらしい。
例えるのなら、オレンジジュースとリンゴジュースを混ぜた上で、それを再びオレンジジュースとリンゴジュースに分けるといった感じだろう。
不可能ではないのかもしれないが、その難易度は恐ろしく高い。
高いが、俺はそのような真似が出来る当てがある。
「シャドウミラーの技術班は、非常に高い実力を持っている。また、ルチルのような状況は分からないが、薬や手術で強化された者や、不治の病だった者達を治療した実績がある」
これは嘘偽りのない真実だ。
これまでレモンは多くの者達を治療してきた。
そんなレモンの技術があれば、ルチルを回復させる事も出来るかもしれない。
私見になるが、ルチルの場合は精神崩壊が一番問題だったのだろう。
しかしその精神崩壊も、15年もの間海底にある軍艦で封印されていた影響か、回復しているように思える。
なら、重要なのはルチルの身体を治療して元に戻せばいいだけだ。
Lシステムに組み込まれているというのが、実際にどのような状況なのかは俺にも分からない。
だからこそ、実際に一度その光景を見てみないと本当に出来るかどうかは分からない。
「幸いなことにテンザン級には技術班の中でもレモン……技術班を率いている女だが、それに次ぐ実力を持つマリューがいる。もしその気があるのなら、マリューに見て貰う事も出来るだろう」
もっとも、マリューがレモンに次ぐ実力を持ってるのは間違いないのだが、それはあくまでもレモンに及ばないという事を意味している。
ぶっちゃけ、レモンは俺が知ってる限りは天才の中の天才……更にその上の天才とでも呼ぶべき人物だ。
マリュー本人も認めてる事だが、そんな1位と2位の間には大きな差がある。
少なくても、マリュー本人はその辺りについて承知していた。
もっとも、その辺りを承知してはいるが、だからといって諦めている訳ではない。
2位で納得するようでは駄目だと、2位じゃ駄目なんだと、そう自分に言っているのだろう。
2位で我慢するような者は、決して1位にはなれない。
マリューもそれを知ってるからこそ、日々頑張っている。
そんなマリューだけに、現在のルチルの状況を見ればそれなりに納得出来るところがあるかもしれない。
「ルチル!」
俺の説明に、ジャミルは嬉しそうにルチルの名前を呼ぶ。
だが……気のせいか、ルチルはそんなジャミルの言葉を聞いても嬉しそうにしているようには思えない。
いや、嬉しそうにしているかどうかと言われると、間違いなく嬉しそうにしているのだ。
だが、心の底から嬉しそうにしているかと言われると、それは微妙なところだろう。
「とにかくルチルについての話はともかくとして、まずはこの軍艦を探索する必要があるだろうな。ジャミル、ルマークというシーバルチャーに協力を仰ぎたいと思うんだが、どう思う?」
「それは……」
俺の言葉に、必ずしも納得したといった様子を見せないジャミル。
あるいはこれが、ルチルではなく他のニュータイプがコールドスリープをしてるとか、そんな状況であったのなら、ジャミルも俺の言葉にすぐ頷いたかもしれない。
しかし、この軍艦にいるのがルチルであると知ってしまった以上、素直にシーバルチャーに頼むといったような事はしたくないのだろう。
ルチルの件もあるが、同時にLシステムについても危険視しているといったところか。
実際、その気持ちは分からないでもない。
このX世界において、電子機器を使わせないようにするといったシステムは今までなかったのだから。
とはいえ、俺にしてみればそこまで珍しい話ではない。
SEED世界のNジャマーや、UC世界のミノフスキー粒子があるし、マクロス世界のバジュラにもその手の能力がある筈だった。
しかし、それはあくまでも色々な世界を経験してきた俺だからこそ言える事だ。
この世界についてしか知らないジャミルにしてみれば、Lシステムというのは非常に危険な存在と思えるだろう。
それでも15年前の戦争中よりは、今の方がLシステムの効果は少ない。
何しろ電子機器を備えている機械が、15年前と比べると驚く程に少なくなっているのだから。
しかし、だからこそLシステムが実際に使われた場合、起きる被害は大きいだろう。
例えばこのセインズアイランドにてLシステムが使われた場合、その被害がとてつもないものになる筈だ。
場合によっては、再度復興するのは難しくなるのではないかと思うくらいに。
そんな危険なLシステムを、俺が信用しているとはいえシーバルチャーに見せてもいいものか。
ジャミルが考えているのは、そういう事だろう。
「ルマークなら、取りあえず問題ないと思う。ただ、ジャミルがどうしても嫌だというなら、ルマークに協力を求めないで、俺達だけで軍艦の探索を行ってもいい。ただ、その時は万が一何かが起きた時に対処するのは難しくなるというのだけは覚えておいてくれ」
これは脅しでも何でもなく、実際にその危険があるからこその言葉だ。
俺は生憎とサルベージ作業とかそういうのは殆どした事がないし、陸バルチャーのジャミルも同様だろう。
そうである以上、この軍艦の探索をする上で何らかの不測の事態があった場合、最悪軍艦が爆発するといった可能性も否定は出来ない。
軍艦だけに、何らかの特殊な信号を送らないと自爆装置が入ったりとか、そういうのが普通にありそうだし。
ましてや、この軍艦はルチルを組み込んだLシステムという、場合によっては戦局を一変させかねない装置を積み込んでいたのだ。
何かあった時の為に、万が一の為に備えていても不思議な事はない。
「ぬぅ……」
ジャミルも俺の言葉でもしかしたらと思ったのか、迷うように声を上げる。
シーバルチャーには出来ればLシステムは見せたくない。
だが、シーバルチャーでなければ解決出来ない何かがある可能性は十分にある。
ルチルの身の安全を考えれば、シーバルチャーのルマークに協力を求めるのは悪い話ではない。
「その辺をどうするのかは、ジャミルとルチルで話し合って決めてくれ」
ジャミルは俺達の中でもどう行動するのかを決めている人物だ。
そしてルチルは、今回探索をする軍艦の中にLシステムとして存在している。
そうである以上、ジャミルとルチルが話をしてどうするのかを決めた方がいいと思う。
「うむ、そうさせて貰おう」
「そうね。そうした方がいいでしょうね」
詳しく会話をするまでもなく、それこそ目と目で視線を合わせただけでお互いの意見を一致させて、そう言ってくる。
「こうして俺が聞くのもなんだけど、本当にいいんだな?」
「ええ、それで構わないわ。ジャミルを信頼していない訳じゃないけど、もし下手にあの軍艦に衝撃を与えて、それがLシステムにも影響した場合……この周辺も電子機器が使えなくなる可能性があるわ」
なるほど。ルチルがあっさりとシーバルチャーの関与を許容したのは、それが原因か。
「だが、そのルマークというシーバルチャーがアクセルの知り合いだとしても、完全に信用するような真似は出来ん。そのルマークという人物が軍艦の探索をする場合は、こちらかも人を出すのを条件としたい。どうだろう?」
「ルマークなら問題ないと思うけどな」
これが気性の荒いシーバルチャーなら、自分を信じられないのかと憤ったり、自分を見張るような存在が気にくわないと逆上して攻撃してきてもおかしくはない。
しかし、幸いにも……本当に幸いな事に、ルマークは穏やかな性格をしている。
勿論シーバルチャーという仕事をしている以上、必要なら人を殺すといったような真似も出来るのだろうが。
それでも一般的に見て、気性が穏やかなので付き合いやすい面があるのは事実。
これがドーザのような奴なら、俺も軍艦の探索を手伝って貰おうとは思わなかった。
もしドーザがLシステムについて知ったら、間違いなくそれを奪おうとするだろう。
俺達がガンダムを持っていると分かると即座に襲ってきた以上、その判断は間違っていない。
あ、けどドーザの場合はシーバルチャーじゃなくてオルクになるのか。
そうなると、元々ドーザに頼むという選択肢はないだろう。
「とにかくルマークに頼みに行くとなると、一度向こうに顔を出す必要があるな。ジャミル、悪いが俺と一緒に来てくれ。ルチルと話したいだろうが、悪いがルチルは連れて行けない。ルマークとの話が終わったら、時間を取れるようにするから」
その言葉に、ジャミルは素直に頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761