セインズアイランドに戻ってきて、ルマークと話した日の夜……俺はシーマ、モニク、クスコ、クリスの4人と共にエニルの店に向かっていた。
マリューとミナトも誘ったのだが、寝る時は俺と一緒だからと、マリューとミナトはシーマ達に譲ったらしい。
4人全員が美女である以上、当然ながら道を歩く俺に向けられる嫉妬の視線は強い。
それでもちょっかいを出してこないのは、セインズアイランドがそれなりに治められているというのもあるし、多分だが以前の一件を知ってる者が多いのだろう。
俺に絡んできたチンピラ達が呆気なく負けて、金目の物を根こそぎ奪われたという一件を。
……あの時の連中が仕返しに来るといった可能性もあるのだが、生憎と今はそのような事はない。
そうなったらそうなったで、また小遣い稼ぎが出来るだけなのだが。
「ほら、あの店だ」
「あら、ちょっといい雰囲気ね」
クスコが俺の示した先にある店を見て、そう呟く。
クスコにしてみれば、今のこの先にある店は言葉通り悪くない店だと思ったのだろう。
実際、エニルのセンスはそう悪いものではなく、十分に落ち着く事が出来そうな店だ。
出来そうなというか、実際にあの店に行った事がある者としては十分に落ち着ける場所だと断言出来るのだが。
「じゃあ、行くか」
「そうだね。アクセルと仲の良いエニルという女も見ておきたいし」
「……シーマ、一応言っておくけど、俺とエニルはそういう関係じゃないぞ?」
シーマが何を考えているのかは、俺にも十分に理解出来る。
だが、その考えが間違っているのも事実であるのは間違いないのだ。
しかし、シーマは俺の言葉を聞いても素直に信じる様子はない。
「そうかい? アクセルにその気がなくても、相手にその気があれば、話は別だろう?」
「私もシーマに同意するわ。……そもそも、その証拠が私達でしょう?」
笑みを浮かべつつシーマに同意するクリス。
するとモニクとクスコの2人も、そんなクリスの言葉に同意するように頷いていた。
そう言われると、俺も迂闊に反論は出来ない。
実際にシーマ達からいつの間にか好意を抱かれていたのは間違いないのだから。
しかし、酒場で話した限りではエニルにそんな様子がなかったのも事実。
そもそもの話、エニルは俺じゃなくてガロードにちょっかいを出していたのだ。
俺とガロードでは、色々と違いすぎる。
……あ、でも今の俺の外見は20代だが、10代半ばの姿になればガロードと同じくらいの年齢になりそうだし、エニルの食指も動くかも?
わざわざそんな真似をやろうとは思わないが。
「とにかく、店の中に入るぞ。実際にエニルに会ってみれば、その辺の誤解も解けるだろうし」
そんな俺の言葉に、シーマ達も素直に頷くのだった。
「あら、いらっしゃい。戻ってきてたのね。それにしても、今日は随分と大勢みたいだけど」
店の中に入ると、カウンターの向こう側にいたエニルがそう言って笑みを向けてくる。
店の中にはそれなりに客が入っており、俺達……というか、シーマ達の美貌に目を奪われている。
この店に来る客の大半の目的は、エニルの筈だ。
勿論付き合いたい、結婚したい、一夜を共にしたい、話をするだけで満足だ。
エニルを目当てにしているにしても、そこに抱いている気持ちはそれぞれ違うだろう。
それでもエニルを目当てに来ている者達が、シーマ達の美貌に目を奪われるというのはどうなんだろうな。
……ちなみに女の客も数人いるんだが、その女達も嫉妬ではなく見惚れるといった様子でシーマ達を見ていた。
「ああ、予定通り戻ってきた。明日からは仕事だな。だから今日はこうして俺の馴染みの店に連れて来た訳だ。……まだ数回しか来てないのに、馴染みの店って表現はどうかと思うけど」
「あらそう? 私はアクセルにそういう風に言って貰えて嬉しいわよ? さ、座ってちょうだい。人数が人数だから、カウンター席よりもテーブルの方がいいわよね? 向こうのテーブルが空いてるから」
エニルに促され、まだ誰も座っていないテーブルに向かう。
基本的にこの店は地元の者達が多く集まる店だ。
それだけに、誰がどの席に座るというのは暗黙の了解で決まってると思うんだが。
暗黙の了解よりも、エニルの意向が優先されるということなのだろう。
ここがエニルの店である以上、それは当然の話かもしれないが。
「それで、注文は? またお酒じゃなくて料理を優先?」
「そうしてくれ。料理の方は適当に頼む。酒はなしで」
シーマ達も俺の言葉に異論はない。
マリューやミナトから、前もって俺に酒を飲ませないようにと言われているのだから、そのようにするのは当然だろう。
だが……当然ながら、そんな俺の様子が気にくわないと思う者もいる。
「おいおい、聞いたか? 酒場にやって来たのに、酒じゃなくて料理優先って……それはどうなんだ? なぁ?」
周囲にいる仲間に尋ねる男。
正直なところ、やっぱりなという思いが強い。
あの男は俺がシーマ達と共に店に入ってきた時、一際強い嫉妬の視線を向けてきた相手なのだから。
シーマ達のような美人を連れている俺の存在が、とてもではないが許せなかったのだろう。
そんな風に思うのは理解出来る。
理解出来るのだが、だからといってそれを表に出すような真似をするのはどうかと思う。
実際、俺に絡んでいる男に他の客が向ける視線は、好意的なものではない。
空気を読めといったような、否定的なものだ。
それにしても普通に疑問なんだが、この店に来ている連中はエニルを目当てにしている者達だ。
そんな中で、俺はこの店に来たものの、別にエニルに言い寄っている訳ではない。
そう考えれば、この店の客……特に俺に絡んできている男のように、本気でエニルを狙っている男にしてみれば俺は決して不愉快な存在ではないと思うんだが。
……あるいはエニルに言い寄るのと、俺がシーマ達を連れているのは話が別といったところか?
「何だい、あんた? こっちはアクセルと久しぶりにゆっくり出来る時間を楽しんでいるんだ。そんな中で、あんたみたいな余計なちょっかいを掛けてくる奴は邪魔なんだけどね」
「……てめっ!」
俺が何かを言い返すよりも前に、シーマが男に向かって言い返す。
男にしてみれば、まさか俺ではなくシーマに言い返されるとは思っていなかったのか、一瞬何を言われたか理解出来なかった様子を見せ、だがすぐに苛立ちを露わにシーマに掴みかかろうとする。
だが、その男が動き出すよりも前に、動いた者がいた。
「いいかげんにしてちょうだい!」
声を発したのは、この店の店主であるエニルだ。
しかもその言葉は鋭く、酒場の店主ではなくフリーのMS乗りとして活動していた時の口調の鋭さを持っている。
俺に絡んで来た男は、自分の力にそれだけの自信はあったのだろう。
だが、それはあくまでも他の地域と比べて平和なセインズアイランドにおいての話だ。
北米でフリーのMS乗りとして活動してきたエニルの気迫には、その程度の男はどうしようもない。
「ひぐっ!」
あるいは酔っ払っていたのも影響してか、エニルの鋭い叫びに腰を抜かした男は床に尻餅をつく。
「……外に出してちょうだい」
尻餅をつき、立ち上がれない男を一瞥すると、エニルは男の近くにいた客達に向かってそう言う。
するとエニルに命令された客達は、特に逆らう様子もなく男を立たせて店の外に向かう。
そんな様子を見たエニルは、大きく息を吐くと再び口を開く。
「アクセル達は私の古い友人よ。友好的にしろとまでは言わないけど、それでも今のように絡んだりはしないでしょうだい」
その言葉に、残っていた客達は頷く。
「ふぅん。なかなかだね。アクセルと親しいのも納得出来る」
今のやり取りを見ていたシーマがそう言うと、魚介類がたっぷりと入った海鮮スープを持ってきたエニルは困ったように笑う。
「そんな風に言われると、少し照れるわね」
「そうかい? 見た感じでは見事に店を仕切っているし、アクセルと関係があると言っても決しておかしくはないと思うけど」
「……その、紛らわしい言い方は止めてくれると助かるわ」
俺とエニルが関係あるのは間違いないが、それはあくまでも友人……もしくは同じMS乗りとしての関係だ。
しかし、今の言葉を聞く限りではもっと別の……そう、男女の関係にあるように思われてもおかしくはない。
勿論、シーマもその辺については十分に承知した上でそんな風に言ってるのだろうが。
「その様子を見る限り、どうやら本当にそういう関係じゃないようだね。不思議だけど」
シーマの言葉にモニク、クスコ、クリスの3人もそれぞれ頷く。
俺の前でそういう話題は出来れば止めて欲しいんだけどな。
微妙に落ち着かない。
「俺とエニルの件はともかく、せっかく店に来たんだ。エニルの作った料理を楽しむとしよう」
「あら、もしかして詳しく聞かれると困る事でもあるのかしら?」
クスコが悪戯っぽい笑みと共にそう聞いてくる。
他の面々も……何故かエニルまでもが、俺に興味深そうな視線を向けてきた。
話の流れに乗ったといったところか?
「いや、別にそういうのはないんだけどな」
これは嘘でも何でもなく、純然たる事実。
俺とエニルの間に後ろめたい何かは一切ない。
元々俺とエニルの関係は、基地の攻略の時に話したくらいなのだから。
その後、俺は基地の攻略に参加して……結局その基地は俺が所有する事になったが、エニルは基地の攻略には参加しなかった。
基地の一件の後は暫く会う事はなく、その次に俺が会ったのはガロードの家出の件でフリーデンが狙われていた時だ。
その時の戦いでは最終的に逃がしたものの、次に会ったのはフォートセバーンで。
フォートセバーンでも、最終的にはノモアの前からいつの間にか姿を消していたらしいし。
そう考えると、エニルが俺に対して好意……この場合は友情とかではなく恋愛的な意味での好意だが、そんな好意を抱くとは到底思えない。
もっとも、恋というのはしようと思って出来るものではなく、気が付けば落ちているものだ。
そういう意味では、エニルが俺に恋をしてもおかしくはない……のかもしれない。
だが同時に、エニルはガロードに執心していたのも間違いなく、そういう意味ではやはり俺よりもガロードの方に恋心を……あるいは愛すら抱いているのかもしれない。
「私の事はいいでしょう。そもそも、アクセルは両手に華どころか、両手両足に華といった状態じゃない。そんな状況で私にもどうこうしようとするのは、少し問題じゃない? 言っておくけど、私はドロドロの女の戦いなんか参加したくないわよ」
「ドロドロの女の戦い……ねぇ。そうなったらそうなったで、ちょっと面白いとは思うんだけどね」
エニルの言葉を聞いたシーマは、少し面白そうに言う。
というか、俺としてはその言葉を素直に聞くような真似は出来ない。
個人的には昼ドラ的展開は好みではないのだ。
……10人以上の恋人がいて、その全員と関係を持つ俺がそんな事を言っても説得力はないが。
「ほら、その件はそれまでにしておいてくれ。それよりも、折角エニルが作ってくれた料理だ。冷めないうちに食べた方がいいぞ」
そう言い、俺は海鮮スープにスプーンを伸ばす。
パン……いや、この場合はスープパスタか? そういうのが合いそうな、濃厚な魚介系の出汁が出ている。
これは美味い。
「あら、これ……美味しいわね」
俺に続いてスープを飲んだクリスも、そう呟く。
クリスにとってもこの海鮮スープは美味かったのだろう。
にしても、以前この店に来た時も思ったのだが……
「この海鮮スープもエニルが作ってるんだよな? なら、エニルは意外に料理が得意なのか?」
「そうね。それなりに得意な方だとは思うわ。けど、正直なところ、そこまでではないと思うけど」
そう言うエニルだったが、それが謙遜なのは間違いない。
もしかしたら本当にそのように思っている可能性も否定は出来ないが。
「へぇ……アクセルも料理好きな人が好みだったりするの?」
俺とエニルの会話を聞いていたクスコが、そんな風に尋ねてくる。
興味津々といった様子のクスコ……いや、他の面々もか?
そんな視線に押されるようにして、俺は口を開く。
「別に絶対に料理が上手くなければ駄目とか、そういう事はないぞ? ただ、どうせなら作ってくれた料理なら美味い方がいいと思うし」
ちなみに基本的に俺はその料理が不味ければ不味いとしっかり言う。
勿論直球に言うのではなく、オブラートに包んだりといったようにはするが。
でなければ、料理を作ってくれた相手もそれ以上の上達は難しい。
勿論、俺と関係ない場所で料理の腕が上達する可能性は決して低くはない。
「ふーん、そうなの。なら今度ちょっと料理を勉強してみようかしら。マリューが料理は得意そうよね」
「そうだな。マリューは料理が得意だぞ。ただ、ミナトもそれなりに料理が得意なのは間違いない」
ミナトは派手な外見の割に、家庭的な部分も多い。
また、資格を取るのが趣味で、その資格の中には料理関係の資格も多数含まれている。
そう言うと、俺と話していたクスコ……だけではなく、他の面々も目を輝かせるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761