軍艦の中に入った俺は、ルマークの部下に話を聞いて格納庫に向かう。
軍艦というのは基本的に同じような作りになっている。
その為、無理にルマークの部下に格納庫の場所を聞かなくても構わなかったのだが……それでも道に迷ったりといった事はしたくなかったのだ。
そうして格納庫にやって来ると、そこにはジャミルとティファに憑依したルチルの姿があった。
2人揃って格納庫の一ヶ所を見ている。
……いや、それは見ているのではなく、睨み付けているといった表現の方が正しいだろう。
「ジャミル、ルチル、どうした? ……あれがGXの量産型か」
その視線の先にあるMSを見て、先程報告に来た男の言葉は正しかったのだろうと納得する。
ジャミル達が見ているのは、GXの量産型と思しきMSだったのだ。
報告にもあったように、背中にはサテライトキャノンがきちんと装備されている。
しかし、頭部はGXとは似ても似つかないような、非常に簡略化されていた。
他にも装甲とかがガロードの使っているGXと比べるとそれなりに簡略化されている。
俺達が使っている高機動型GXの方が、GXの量産型っぽい感じだな。
あくまでも俺が感じた印象だが、高機動型GXはUC世界の陸戦型ガンダムとかで、この格納庫にあるのは普通のジムとか?
そんな風に感じる。
だが、それにしてはジャミルやルチルがそのMSを見る視線は鋭い。
いや、既にその視線は鋭いどころか憎悪すら込められているように思う。
ジャミルの場合はサングラスをしてるので、その辺は詳細には分からないのだが、ジャミルの気配を感じれば何となく理解出来た。
「ジャミル、ルチル、俺の声が聞こえてるか?」
最初に呼び掛けた時はジャミルもルチルも反応しなかったので、先程よりも少し強い声で2人に呼び掛ける。
そんな俺の言葉に、格納庫の中で働いているルマークの部下達が視線を向けてきたが、自分に声を掛けられたのではないと知ると、再び自分の仕事に戻っていった。
「ああ、聞こえている。まさか、あれがこんな場所にあるとは思わなかった」
ようやく返事をしてきたジャミルだったが、その間も視線はMSに向けられている。
「その様子を見ると、あのMSについて知ってるみたいだな。サテライトキャノンを装備してるのを見ると、GXと関係があるみたいだが。量産型とかか?」
「いや、あれはそのような物ではない。Gビット。ビットMSと呼ばれている兵器だ」
「ビット……か。嫌な予感がする名前だな」
基本的にビットというのは、ニュータイプ用の兵器だ。
UC世界においてはエルメスが使っていたし、X世界においてはベルティゴが使っていた。
その正体は、ニュータイプが無線操縦するビーム砲台。
そんなビットの名前が付くMSとなると……
「つまり、あのビットMSというのはニュータイプがフラッシュシステムを使って無人機で使うとか、そういう感じか?」
そんな事が出来るのか?
そう思ったが、X世界のニュータイプの研究はUC世界よりも進んでいるのは事実だ。
UC世界のニュータイプとX世界のニュータイプは、似て非なる物だ。
しかし、それでも似ているのは間違いない以上、UC世界のニュータイプ研究の参考になるのは間違いない。
ともあれ、X世界においては大々的にニュータイプを使って戦争をしていたので、結果として技術的に進んでいる。
例えばビット。
エルメスのビットは基本的に宇宙でしか使えない。
だが、ベルティゴのビットは普通に地上でも使われていたし、何より大きさが圧倒的に小さい。
これだけを見ても、どちらの世界のニュータイプ研究が進んでいるのか明らかだった。
「そうだ。あのビットMSはアクセルが言うようにフラッシュシステムを使ってニュータイプが無人で動かす」
どうやら、俺の予想通りだったらしい。
にしても、無人機でMSを動かすか。
それだけを聞けば、W世界のMDシステムのようにも思える。
あれも最終的にはゼロシステムを使ってMDを自由に扱えるようになっていた筈だし。
そもそも無人機というのならシャドウミラーで使っているメギロートやイルメヤ、バッタ、コバッタなんかは完全な無人機だ。
シャドウもまた、操縦する量産型Wは人造人間なので……半ば無人機と思ってもそう間違いではないかも?
そんな訳で、何だかんだと無人機についてはそれなりに慣れていて、忌避感の類はない。
しかし、それはあくまでも俺だけだ。
ジャミルやルチルの様子を見ると、こちらはとてもそうだとは思えなかった。
「その様子だと、ジャミル達にとってビットMSというのは嫌悪感を抱くようなものなのか?」
「そうだ。私にとって……あのビットMSは罪の象徴でもある」
憎悪と後悔、罪悪感、悲しみ……様々な感情が混ざった声で告げるジャミル。
そんなジャミルの様子を見て、何となく理解出来た。
恐らくジャミルが終わらせた……多数のコロニーを地上に落下させた15年前の戦争で、ビットMSを使ってコロニーを攻撃したのだろうと。
ただし、そうなるとジャミルはともかく、ルチルが何故ビットMSをそこまで嫌悪してるのかが分からない。
あるいは俺が知らないだけでルチルもビットMSを使って何かあったのかもしれないが。
「そうか。なら、あのビットMSはどうする?」
「破壊する」
一瞬の躊躇もなく言ってくるジャミル。
ルチルもジャミルの言葉に同意するように頷いていた。
ルマークとの取引については……未知のMSとかがあったらこっちに優先権があるって話だったり、ビットMSは明らかに未知のMSだ。
そうである以上、このビットMSは俺達が貰ってもおかしくはない。
「なら、このビットMSは俺が貰おう」
「本気か!?」
俺の言葉がとても信じられなかったのか、ジャミルが叫ぶ。
その語気の強さに、格納庫にいるルマークの部下達が再びこちらに視線を向けてくる。
「ああ、本気だ。ジャミルやルチルにしてみれば、このビットMSは憎悪すべき存在なんだろう。だが、俺にとってはただの未知のMSだ、サテライトキャノンも装備してるようだし、解析するのは悪い話じゃない」
俺のファントムのように、無線の誘導砲台の類はそれなりにある。
だが、MSをフラッシュシステムで使うというのは、少し予想外だった。
目から鱗、あるいはコロンブスの卵か?
ただ、これは無人機の技術が発展してこなかったからというのも大きいのだろう。
勿論、フラッシュシステムを使った無人機はニュータイプが動かす以上、実際にニュータイプがMSに乗ってる程の動きではなくても、それに準ずる動きは可能となる。
本物が乗ってるよりも若干……もしくは数段劣るとはいえ、例えばそれがアムロやシャアだとすればどうか。
他のMSパイロットとは比較にならない技量を持つアムロやシャアより劣るというのは、平均的なパイロットよりは明らかに上だ。
そんな強さを持つMSが、無人機であるということを考えると自分の被害も考えずに襲ってくる。
アムロやシャアより若干劣る程度の強さを持つMSが死兵とでも呼ぶべき状態で……しかもビットMSという事は、恐らくだがフラッシュシステムで動かせるのは1機程度ではなく、数機、あるいは10機を超えるだろう。
ニュータイプの能力によっては、もしかしたら100機に届くかもしれない。
それを考えると、まさに圧倒的な戦力なのは間違いない。
勿論、それはあくまでもアムロやシャアのような超一流のパイロットが乗って初めて可能な事だ。
もし普通の技量しか持たないのなら、そこまで問題にはならないだろう。
「本気か?」
俺がビットMSを貰うと口にすると、ジャミルがそう聞いてくる。
サングラス越しにも鋭い視線が俺に向けられているのが理解出来た。
ジャミルにしてみれば、ビットMSを俺が欲しがるというのは完全に予想外だったのだろう。
だが、俺はそんなジャミルの言葉に素直に頷く。
「ああ、本気だ。俺にしてみれば、ビットMSは興味深いしな。そうである以上、折角入手出来る機会を見逃したくはない」
そう言い、ふと気が付く。
「もしかして、フロスト兄弟がこの軍艦を確保しようとしたのは、LシステムじゃなくてビットMSが原因だったという可能性もあるのか?」
「それは……考えられない訳ではないと思う」
フロスト兄弟はフォートセバーンにおいてノモアから人工ニュータイプについてのデータを奪っている。
それを使えば、すぐにでもという訳ではないにしろ、フロスト兄弟の組織でも人工ニュータイプを作る事が出来るだろう。
だが、そうなればそうなったで問題もある。
ノモアから奪った人工ニュータイプによって生み出されるのは、あくまでも宇宙革命軍のニュータイプだ。
連邦軍系の技術であるフラッシュシステムを使えない可能性が高い。
そしてフラッシュシステムが使えないということは、当然ながらビットMSも使えないという事を意味してるのだ。
その辺の状況を考えると、これはもしかしたら俺の考えすぎかもしれないが。
「そういう意味でも、このビットMSをそのままにしておく訳にはいかないだろう? だからといって壊すのもなんだし。それなら俺が貰ってしまえば手っ取り早い」
俺の空間倉庫に収納してしまえば、フロスト兄弟にとってもビットMSを奪うといった真似は出来ない。
「だが……」
それでも納得した様子のないジャミル。
ジャミルにしてみれば、理屈で納得はしていても、感情で納得出来ないところがあるのだろう。
かつてこのビットMSを使ってたジャミルだけに、余計にそう思ってもおかしくはない。
「ジャミル、ここはアクセルに任せてみない? 元々私が眠っているこの軍艦を見つけたのもアクセルなんでしょう?」
「いや、実際には白いイルカがお前のいる場所を教えてくれたんだけどな」
そう言うも、考えてみれば白いイルカは俺に従っていた。
それこそ出来れば俺と一緒に来たいと思っていた程に。
そんな白いイルカが見つけたとなると、部下の手柄は俺の手柄的な意味で、この軍艦は俺が見つけたと思ってもいいのか?
……普通なら、部下の手柄を上司が横取りするような真似をすれば恨まれてもおかしくはない。
だが、今回の場合はその部下が俺に手柄を渡してきたようなものなんだよな。
そういう意味では、ルチルの言葉は間違っていないのだろう。
「ルチル……君はいいのか?」
「構わないわ。下手に放っておくと誰に使われるか分からないし。……出来れば破壊するのが最善だとは思うけど、アクセルに渡すのが次点といったところか」
ルチルの言葉に、ジャミルは少し沈黙する。
そのまま数分が経過すると、やがて口を開く。
「分かった。では、このビットMSはアクセルが貰ってくれ」
「あら、意外ね。ジャミルの事だからもう少し悩むかと思ったけど」
「私も年を取ったという事だよ。いつまでもルチルの知っている子供の頃の私ではない。それにアルタネイティブ社の一件から、アクセル達には世話になっている。このくらいの恩返しはしておきたい」
「一応GXとかディバイダーとかのデータは貰ってるんだけどな」
ディバイダーは高機動型GXとの相性がいい。
GXのように背中に装備させれば、高機動型GXの機動力がより高くなる。
それでいて、武器として使った場合は拡散ビーム砲として使えるのだ。
これは非常に大きな意味を持つ。
それこそ、ベルフェゴールでも使いたいくらいに。
……ただ、ベルフェゴールは色々な意味で特殊なガンダムだ。
基本的に武器は内蔵されているから、手持ち式の武器、それもディバイダーのような巨大な武器は使いにくい一面がある。
ビームサーベルを持ったり出来るので、手持ちの武器が使えない訳ではないのだが。
「それだけでは私のアクセルに対する感謝の気持ちを完全に示したとは言えん」
律儀な奴だな、本当に。
そう思うが、こういうジャミルの性格がバルチャーとして有名になった理由なのだろう。
多くの者に慕われるとか、そういうのもその辺が関係しているのだろう。
「なら……そうだな。捕虜の尋問をそろそろ俺に任せてみないか?」
フロスト兄弟と一緒に攻めて来たMSのパイロットで捕虜になった者達がいる。
その者達は、現在フリーデンで捕らえられていた。
何故MSはテンザン級にあるのにパイロットはフリーデンなのかと言われると、いつの間にかそんな風になっていたから、というのが正しい。
そもそも捕虜にするとかそういうのは、フリーデンとテンザン級がローレライの海からセインズアイランドに向かってる時に決められたのだ。
その間、俺は海の上でゆっくりとしていた。
そうである以上、その辺について口を挟むような余裕はなかった。
そんな訳で、この機会だし捕虜の尋問をさせて欲しいとジャミルに要求するのだが……
「尋問? それは別に構わないが」
予想外にあっさりと、ジャミルは俺の言葉に頷く。
うーん、これはいっそエアマスターやレオパルドの機体データを……いや、あの2機はフリーデンに雇われているだけである以上、それも難しいか。
そんな風に思いながら、俺はビットMSの方に向かって歩き出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761