Lシステムに組み込まれていたルチルの身体は、無事にテンザン級に運び込まれた。
ただし、運び込むのは人が多数行き来する格納庫ではなく、テンザン級にある空き部屋の1つ。
テンザン級で働いている者の多くは量産型Wやコバッタだし、テンザン級は最大級の陸上戦艦で部屋数も多い。
使っていない部屋は幾らでもある。
シーツで覆ったとはいえ、その下は裸だ。
そうである以上、出来れば男が使う場所に置いておきたくないのは、ルチルとしては当然の結果だったのだろう。
「けど……何だか不思議な気分だったわね」
部屋に鍵を閉めて一段落したところで、ティファに憑依したルチルが呟く。
「何がだ?」
ルチルの呟きの意味が理解出来ず、そう尋ねる。
そもそも不思議な気分というだけなら、ルチルは精神が崩壊したかと思えばLシステムに組み込まれ、現在はティファに憑依している状態だ。
そんな中で不思議な気分と言われても、何について言ってるのか全く分からない。
「男の人に持ち上げられるといった自分の身体を客観的に見るというのがよ」
「それは……まぁ、そうだろうな」
男に抱き上げられるだけというなら、ルチルは連邦軍の軍人だったのだから訓練の一環とかで行われていてもおかしくはない。
だが、自分の身体が男に運ばれるのを客観的に見るというのは……例えば、結婚式とかで横抱き、いわゆるお姫様抱っこをしている光景を映像に残してあったりすれば、そういう機会もあるかもしれない。
だが、今は映像とかそういうのではなく、実際に目の前で行われた光景だった。
もっとも、生身……いやまぁ、生身であるのは間違いないが、その身体はコーティングされて身体の後ろ半分は台座に埋め込まれたような状況になっているのを生身と表現してもいいのかどうかは微妙だが。
「とにかく、これでルチルの身体が人目に晒されるような事はないから安心しろ。それと近いうちにルマークやマイルズを連れて基地……俺達のこの世界の本拠地に連れていくから、その時までにどうするのかを決めておいてくれ」
「ありがとう、そうするわ。けど……1つ聞かせてちょうだい。もし私の身体を再び海に沈めて欲しいと言ったら、アクセルはどうするの?」
「どうもしないな。もし本当にそれがルチルの願いなら、叶えてもいいと思っている」
「……本当に? 言っておくけど、私がいないとLシステムはその本領を発揮しないわ。Lシステムというのは、あくまでも私が戦いを厭う思いから生み出されたシステムだもの」
「だろうな。それについては大体理解している。そういう意味では惜しいとは思うが、だからといってルチルを無理にLシステムに組み込んで使おうとは思わない。それに、ルチルがいないLシステムの方でも、解析すればそれなりに得られる技術はあるだろうし」
そんな俺の言葉を聞いたルチルは、何故か少し驚いた様子を見せる。
しかし、すぐにその驚きは消えて笑みに変わった。
「ふふっ、アクセルは本当に変な人ね」
「変か?」
「ええ。普通なら私の……Lシステムの力を知れば、それを欲するわ」
「だろうな」
それについては否定しない。
MSやMAのような兵器が使われているこの世界において、電子機器を動作不能にするLシステムの力は強力だ。
何よりも厄介なのは、Lシステムが何らかの機械の効果ではなく、あくまでもニュータイプの能力の発露によるものというところだろう。
それはつまり、例えば電子パルス発生装置とかそういうのに対しては、前もって電子機器に影響がないように処置をしたり出来るのだが、Lシステムの場合は電子パルスとかそういうのによって電子機器に影響を与える訳ではない。
つまり、機械的な防御手段が役に立たない可能性が高いのだ。
実際にLシステムを見た訳ではないので正確なところは言えないが、この予想は間違っていないと思う。
シャドウミラーで使っているPTを始めとする人型機動兵器は、設計当初から電子パルスとかジャマーとかの防御手段を組み込まれているが、それすらも無力化出来るという事を意味していた。
もし防げるとすれば、それば機械的な処置ではなく魔力や気による防御……それこそニーズヘッグとか、そっち系統の防御方法だろう。
「でしょう? なら私が欲しくないの?」
「その表現は周囲の誤解を招くから、出来れば止めて欲しいんだが」
「あら、私のあられもない姿を見たのよ? 責任を取って貰ってもおかしくはないと思うけど?」
「……冗談だよな?」
「さて、どうかしら。ただまぁ、そういうのは抜きにしても、本当にLシステムはいらないの?」
「欲しいかどうかと言えば、それは勿論欲しい。だが、そのLシステムが欲しいからといって、ルチルの意思をねじ曲げてまでそうしたいとは思わない」
個人的にそういうのは趣味じゃないし、何よりもしそんな事がシャドウミラーの面々……特に俺の恋人達に知られたら、一体どうなるのか。
元々優しい性格をしているマリューや千鶴、ミナトといった面々は真っ先に反対するだろう。
レモンやコーネリア、エリナ、美鶴といった面々は、もしかしたら受け入れるかもしれないが、それは決して喜んでという事ではない。
「……ありがとう。これからどうするのか、もう少し考えてみるわ」
そう言い、ルチルは笑みを浮かべて俺の前から立ち去る。
そんなルチルの姿がなくなると、部屋の前に残されたのは俺だけだ。
ルチルがこれからどう考え、どのような結論を見出すのかは分からない。
ただ、ティファの身体をいつまでも使っている訳にはいかない以上、可能な限り早く結論を出す必要があるのは間違いなかった。
ルチルがどういう結論を出すのか、俺はただ待つとしよう。
「さて、そうなるとこれからどうするかだな」
正直なところ、目的のLシステムと予想外の収穫であるビットMSを入手した以上、もうセインズアイランドに用はなかったりする。
ただし、ルマークも基地に連れて行くと言ったので、軍艦の探索とかが一段落するまでは俺達もここから動けないだろう。
「暫く海でバカンスといった感じになるか?」
セインズアイランドは大きな島だ。
当然周囲は海に囲まれている。
港として使っている場所はしっかりと設備が整えられているが、島の中には砂浜がある場所も相応にあった。
以前見たシーマ達の水着姿を思い浮かべながら、テンザン級の中を移動する。
すると……
「あ、いたいた。なぁ、アクセル、ビットMSってのが手に入ったんだろ? 俺にもちょっと見せてくれないか!?」
俺を見つけるなりそう言ってきたのは、キッド。
フリーデンでMSの整備とかをしているのかと思ったが、どうやらあの軍艦でビットMSを入手したというのを聞いて、それが見たくてやって来たのだろう。
さて、どうするか。
一瞬そう考えたが、どのみちビットMSの解析とかはする必要があるのは間違いない。
なら、キッドにその解析をして貰うのは悪くない話だろう。
そうなればビットMSのデータがキッド……というかフリーデン側にも流れることになるが、それについては別に構わない。
そもそもジャミルは15年前の戦争でビットMSを使っていた側なのだ。
なら、データについては今更だろう。
それに……各種ジャンクパーツからディバイダーを生み出したキッドだ。
ビットMSを見れば、また何か新しい兵器について思いつく可能性はある。
「分かった。キッドがビットMSの解析をしたいのなら構わない。だが、その解析データはこっちにもきちんと提出して貰う。それが条件だ。いいか?」
「勿論!」
一瞬の躊躇もなく叫ぶキッド。
いや、そこは少しくらい躊躇したり考えたりしてもいいんじゃないか?
そう思ったものの、キッドの性格を考えればこういう態度は当然なのかもしれないな。
「分かった。じゃあ、格納庫に行くか。ビットMSについては俺も色々と知りたいし」
「だよな? だよな? ビットMSってGXの量産型っぽいMSなんだろ? 興味を持つなって方が無理だろ」
キッドにしてみれば、GXの量産型……というか、武器? であるビットMSというのは、興味津々なのだろう。
元々ガロードが使っていたGXには、キッドもかなり強い興味を持っていた。
ディバイダーを作ったり、それに合わせて改修したりと、それだけGXには強い愛着を持っているんだろうし。
「ビットMSにはサテライトキャノンも装備されてたぞ。ビットMSのサテライトキャノンの出力がGXと同じなのかどうかは分からない。だが、もし同じくらいの威力を発揮するとなると、もの凄い事になると思う」
「うわぁ……サテライトキャノンの集団運用とか、本当にもの凄い事になりそうだな。ちょっと見てみたいとは思うけど」
「見てみたいか? いやまぁ、こっちに被害がないのなら見てみたいとは思うけど」
そんな風に会話を交わしながら格納庫に到着する。
「アクセル、早く」
「ちょっと待ってろ。……よし」
キッドに急かされ、空間倉庫からビットMSを取り出す。
すると次の瞬間、テンザン級の格納庫にはビットMSが姿を現していた。
空間倉庫から出したのは1機だけ。
キッドがビットMSの解析をするだけなら、1機で十分だろう。
他のビットMSとどこか違うかを確認するという意味では、もう1機くらいビットMSを出した方がいいのかもしないが。
かといって、キッドに任せるとビットMSをどういう風にするのか分からないしな。
場合によっては、分解して元に戻せなくなるといった事は……さすがにそれはないか。
キッドがただの素人、あるいはちょっと機械に詳しいだけならそういう事になるかもしれないが、キッドはジャミルが認めたメカニックだ。
外見はともかく、純粋な能力という点ではX世界でもかなり高い。
「うおおおっ、これがビットMSか! 確かにサテライトキャノンがあるし、顔が量産型っぽいな!」
叫ぶキッドに、格納庫にいたエルフ達が視線を向けてくる。
ちなみにキッドの疑問は俺にとっても不思議な事だ。
例えば、ビットMSをGXと全く同じ外見にしておけば、ビットMSを使って敵と戦う場合、敵はどれが有人機か……ニュータイプが乗っているのか分からないだろう。
普通に考えれば、コスト的な問題だろう。
GXと全く同じ形のMSを量産するとなると、1機ずつの生産コストが高くなる。
だからこそ、簡易的に出来る場所は簡易的にして生産コストを引き下げるのを目的としているんだろうとは思う。
思うのだが、ニュータイプというのは連邦軍にとっても切り札や奥の手といった存在だ。
そんな存在の使うビットMSは少しでも高性能にして、ニュータイプがどのMSに乗ってるのか分からないようにするのが最善だとは思う。
「まぁ、ビットMSは使えないんだけどな。……ああ、でもガロードのGXにティファが乗れば使えるかもしれないな。もっとも、そういう真似はしないと思うけど」
以前ガロードとティファが一緒にGXに乗っていた時に撃ったサテライトキャノンによって、ティファは意識不明の重体になった。
その流れとしてアルタネイティブ社に向かう事になり、ジャミルに協力を求められたロッソが俺を誘い、俺はジャミルやガロードと会うことになったのだ。
もしまたティファがガロードと一緒にGXに乗ってビットMSを使うといった事になれば、一体どうなるか。
あるいは普通に……ビームライフルとかを使うくらいなら問題ないかもしれないが、全てのビットMSがサテライトキャノンを撃ったりしたら、ティファはルチルのように精神崩壊してもおかしくはない。
あるいはルチルがティファに憑依している今なら、もしかしたらその辺を多少はどうにか出来るかもしれないが。
「うーん、ビットMSが動いてるのを実際に見れないのは痛いよな。ビットMSってようするに無人機だろ? つまり、パイロットの耐G能力とか、そういうのは全く考えなくてもいいんだよな? そうなると、かなり凄い感じになりそうだが」
メカニックのキッドにしてみれば、そういう風に考えるのは当然なのかもしれないな。
実際、マクロス世界においても一時期無人機が主力になるかもしれないといった時はあったらしい。
その時はAIが……シャロン・アップルとかいう名前だったと思うが、それが暴走してもの凄い騒動になったらしい。
それによって結局無人機を主力にするというのはなくなった。
もっとも、フロンティア船団では無人機が半ば主力機となっていたが。
ただし、無人機を主力機としていたが、そのAIはかなり制御されていた。
完全なオートではなく、セミオート的な感じと表現すれば分かりやすいかもしれない。
「アクセルの言うとおり、俺も実際にビットMSがどう動くのかは見たいんだよな」
「ジャミルが無理なら……ティファも無理だし、そうなると残るのはルチルだけか。けど、今のルチルにそういう真似が出来るのかどうかは微妙だが」
「後で頼むだけ頼んでみてくれよ。……じゃ、俺はビットMSを調べてくるから」
そう言うと、キッドは俺に手を振ってビットMSに向かって走り出すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761