Lシステムを軍艦の中で見つけ、ビットMSをも入手したその日の夜……俺は1人でエニルの酒場に向かっていた。
前回はシーマ達を連れてきたので今回はマリューとミナトを連れてこようかと思っていたのだが、マリューはLシステムの解析があり、ミナトはシーマ達と女子会をやるという話だったので俺だけとなった。
……いっそ、ガロードをこの店に連れて来てもいいのでは?
そんな風に思ったが、もし実行すれば間違いなくエニルから責められるので止めておく。
それにガロードもティファと一緒にいたいだろうし。
現在ルチルがティファの身体に憑依しているが、だからといってずっとルチルが表に出ている訳ではない。
そもそも身体の主導権という意味ではルチルよりティファの方が強いのだ。
そうである以上、ティファがその気になれば自分が表に出るのは難しい事ではない。
もっとも、俺が知ってる限りでティファとルチルの関係は良好だ。
ルチルもずっと表に出ているような事はせず、夜になったり、必要がなければ奥に引っ込む。
そしてガロードにしてみれば、日中はルチルが表に出ている事が多いので、ティファと一緒にいられるのは今くらいしかない。
そんな訳で、今日は俺だけでエニルの酒場にやって来たのだが……
「あら、アクセル?」
酒場の中に入ると、不意にそんな声が聞こえてくる。
聞き覚えがあるものの、エニルとはまた違う声に視線を向けると、そこにいたのはトニヤだった。
「トニヤ? 何でお前がこの酒場に?」
「ちょっとね。店主と知り合ったのよ」
「……エニルと?」
「あら、アクセルもエニルと知り合いなの?」
うーん、これは……どう突っ込めばいいんだ?
一応フリーデンの面々にもエニルについては話していた筈なんだが。
あるいは、エニルというのはX世界でもありふれた名前で、俺が言っていたエニルと別人と判断したのか?
一番分かりやすいのは、単純にトニヤがエニルの件を忘れていたといったところだが。
「俺としてはトニヤがどうやってエニルと会ったのかが気になるが」
「ちょっと服を買おうしてね。その時に一緒の店にいたのよ」
「なるほど」
日中……というか、午前中はルマーク達が軍艦の探索をするのを一緒に見ていたが、その仕事は午前中だけで終わった。
正確には午後からもルマーク達は仕事をしていたのだが、あの軍艦で俺達が欲しかった最大の目玉はLシステムで、ビットMSはついでに入手しただけだ。
それ以外にはあの軍艦に特に何も欲しい物はなかったので、残りの軍艦はそのままルマークに渡した。
そうなると、午後からは特に俺達が関わる必要もないので、基本的に休みとなったのだ。
トニヤが買い物をしに行ったというのは、その午後の時間だろう。
その時の買い物でエニルと会った、と。
「アクセルとトニヤ、知り合いだったの?」
俺がトニヤと話していると、近くにいる客に酒とちょっとした料理を持ってきたエニルが少し驚いたように言う。
「トニヤはフリーデンのクルーだよ」
「っ!? ……そう、そうだったの……」
この様子だと、エニルもトニヤがフリーデンに乗っていたというのは分からなかったらしいな。
普通なら会話の中でその辺が出て来てもおかしくはないと思うんだが。
いやまぁ、それはそれ、これはこれといった感じなのか?
その場限り……あるいは出会ったばかりでまだそういう話をしなかったのか。
「まぁ、色々と……」
「何故君がここに!?」
俺の言葉を遮るように、誰かの声が割り込んでくる。
誰かというか、この声もまた聞き覚えのある声だな。
声の聞こえた方に視線を向けると、そこにはマイルズの姿。
何故ここにというのは、俺に向けた言葉かと思いきや……マイルズの視線が向けられているのは、トニヤだ。
俺に言うのは分かる。
マイルズにしてみれば、俺はエニルから紹介されて会った人物で、しかもエニルと以前からの知り合いで、過去についても知っている……つまり、恋敵と思われていたのだから。
だからこそマイルズは何かある度に俺に向かって牽制するような言葉を口にしてきた。
しかし、何故トニヤ?
「あー! あんた、私の裸を見た!」
ざわり、と。
トニヤの言葉が店の中に響き、マイルズの叫びを聞いていた他の客達がざわめく。
それだけではなく、エニルがマイルズを見る目も気のせいか冷たくなったような気がする。
マイルズはそんな自分に向けられるエニルの視線に気が付いたのか、慌てて口を開く。
「妙な誤解を与えるような事を言わないでくれ! そもそも、あの時は君が身体にバスタオルを巻いただけの格好で出て来たからじゃないか!」
あー……うん。何となくマイルズの言葉は納得出来た。
トニヤは自分が女であるという事を十分に自覚している。
自覚をしてるのだが、その割には奔放なところがある。
それこそ男が大半のフリーデンで普段からミニスカートや腹を出すような露出度の高い格好をしているのは、その証拠だろう。
フリーデンだからこそ何も起きてはいないが、これが他のバルチャー……それこそ盗賊のバルチャーとかではなく、きちんとバルチャーとして行動している連中であっても、トニヤが普段着からそんな格好をしていると、何らかの問題が起きてもおかしくはない。
こう言うのもなんだが、多分今日の午後からの自由時間でフリーデンの男達は風俗街に向かった奴が多かったんじゃないだろうか。
そんなトニヤだけに、裸にバスタオルを巻いただけの格好でマイルズの前に出ても、そういう事があるかと納得してしまう。
マイルズにとってはラッキースケベだっただろうが。
「何よ、私の身体をしっかりと見ていたくせに。このムッツリ」
「ム!? ……て、訂正しろ!」
ムッツリと言われたマイルズは、慌ててそう言う。
まぁ、自分が言い寄っているエニルの前でそんな風に言われるのはダメージが大きいよな。
ましてや、見たところエニルとトニヤはかなり相性のいい友人同士だ。
場合によっては、トニヤの一言でエニルがマイルズに振り向く可能性が消えるかもしれない。
それだけに、マイルズとしても必死なのだろう。
そんなマイルズの言葉がどのくらい効果があったのかは、生憎と俺には分からなかったが。
それにしても、トニヤが1人増えただけで、人間関係が随分と複雑になったな。
「エニル、取りあえず俺には何か適当に食べるものを頼む」
「……この状況で注文するの?」
「エニルの料理は美味いからな」
「ちょっと、アクセル。あんた何人も恋人がいるのに、何でエニルを口説いてるのよ!」
あ、こっちに飛び火した。
トニヤの不満そうな言葉。
だが、この場合に問題なのは周囲の俺を見る目だ。
ただでさえ、俺はエニルと以前から付き合いがあり、エニルに言い寄る男と認識されていた。
そんな中で、いきなり俺に恋人が複数いるという情報が周囲に流れると、その視線が俺に集まるのは当然の事なのだろう。
とはいえ、だからといってそれに対して否と言うようなことは出来ない。
実際に俺が10人以上恋人がいるのは間違いないのだから。
「いや、別にエニルを口説いている訳じゃないぞ。ただ以前エニルの料理を食べた時、それが美味かったから、また食いたいと思っただけだ」
そう言うと、エニルは嬉しそうな表情を浮かべていた。
エニルにとっても、自分の料理の腕を褒められるというのは嬉しいのだろう。
もっとも、エニルの料理は四葉の料理よりも美味いとか、そういう訳ではない。
あくまでも本職ではない一般人が作る料理として考えて、それが美味いというだけだ。
また、料理の腕以外にも食材が新鮮だというのも大きいのだろう。
セインズアイランドは島にある。
それはつまり、新鮮な魚介類を入手しやすいという事だ。
肉や野菜の類は、一応セインズアイランドで作ってるのだろうが、その大半はバルチャーが運んでくるものとなる。
海鮮系の料理は美味いが、肉系の料理はいまいち。
それがセインズアイランドの標準的な基準だろう。
そんな新鮮な魚介系の食材を使っている料理なので、調理する者にそれなりの腕があれば十分に美味くなるのは間違いない。
……もっともそんな新鮮な食材を使って四葉のような一流の料理人が料理をしたらどうなるのか、ちょっと気になるが。
「ありがとう。アクセルにそう言って貰えると嬉しいわ。じゃあ、料理を持ってくるからちょっと待っててね」
そう言い、カウンターの奥……調理場に向かうエニル。
エニルの後ろ姿を見送ると、トニヤが俺をジト目で、マイルズは敵意すら見せて俺を見ていた。
「美味い料理を美味いと言っただけで、それが口説くとか、そういう事はないからな?」
「ふーん。でも、アクセルにそのつもりはなくても、向こうがどう思うか、そして周囲がどう思うかは分からないけどね」
トニヤ、余計な事は言わないで欲しいんだが。
そんな風に思いながら周囲を見ると、マイルズだけではなく他の客達も俺に色々な感情を込めた視線を向けていた。
少し驚きなのは、俺に羨ましそうな視線を向けてくる奴が結構多い事だ。
いや、そういう視線を向けてくる理由は理解出来る。
男にとって、何人も恋人がいるというのはそれだけ羨ましい事なのだから。
だが、お前達はエニル目当てにこの店に来てるんじゃなかったのか?
そう思うが、そのエニル目当てというのも、少しエニルと話したいといった程度から、エニルと1回でいいから寝てみたいとか、マイルズのように本気でエニルを口説こうとしている者まで、色々な連中がいる。
中には以前俺を襲ってきたように、エニルが自分以外の男と一緒にいるというだけで許せないと思う奴もいる。
そんな中で、比較的軽い……ちょっと話をする程度の関係を期待しているような連中にしてみれば、俺が羨ましいのだろう。
「アクセル、君は一体何故そんなに複数の恋人と付き合うなどという不誠実な真似を?」
「不誠実と言われてもな。別に俺の国は一夫一婦制って訳じゃないし」
シャドウミラーでは、その辺が普通に認められている。
……いやまぁ、そのシャドウミラーを率いている俺が多数の恋人を持っているのだから、自然とそんな感じになったというのが正しい。
それに、このX世界では寧ろ一夫多妻制は推奨されてもおかしくはないと思う。
15年前の戦争で人口の99%が死んだのだ。
つまり、現在の人口は15年前に比べて1%でしかない。
可能な限り人口を増やさないといけない以上、一夫多妻制は絶対にやらなければならないとまでは言わないが、それでも望む者がいたら否定はしない方がいいと思う。
どうにかして人口を増やさないと、将来的にX世界の人類は全滅という結果になりかねない。
もっとも、白いイルカにしてみれば地球をここまで荒らした人間が滅びるのは悪い話ではないと思うかもしれないが。
個人的にはコロニー落としで自然環境が結構なダメージを受けているのは間違いないが、それでも魚とかも普通に獲れるし、畑も問題ない。
X世界はかなり恵まれた世界である以上、将来的にはネギま世界の火星と同様にこの世界も色々な世界の移住先として考えると悪くないと思う。
ダメージを受けた自然環境も、マクロス世界の技術を使えば復活させるのは難しくないと思うし。
とはいえ、そういう大規模な話を、まだ人間が絶滅してないこの世界でやるとなると、どこかの国や組織を通じて行う必要もあるんだよな。
「何!? 一夫多妻制の国があるのか!?」
俺の言葉を聞いた客の1人が派手に反応する。
別に一夫多妻制はそこまで特別って訳じゃないと思うんだが。
正式に嫁として認められる訳ではないが、例えば金に余裕のある……大企業の社長とか、政治家とかは金があるが故に何人もの愛人を囲ったりといった真似が出来る。
これも考えようによっては、一夫多妻制に近いものではあるだろう。
見つかると浮気だ何だと騒がれ、最悪離婚されて慰謝料を支払う羽目になるかもしれないが。
「あるな。ただ、普通の者達を受け入れるような場所じゃないけど」
実際、シャドウミラーに入りたいと言う者がいても……例えばエニルのように高いMSの操縦技術を持っているとかならともかく、この店の客のような一般人は迎え入れる必要はない。
実は俺が知らないだけで、この店の客には何か他の者には真似が出来ないような特殊な能力を持っているとか、そういう事があれば話は別だが。
戦前に連邦軍に所属してニュータイプ研究をしていたとか、そういうのでもいい。
だが、この店にいる客は本当にただの一般人だ。
そういう連中は……まぁ、将来的には多少は必要になるのかもしれないが、今はいらない。
そもそもそういう連中を1人でも迎え入れると、それこそ次から次に希望者が現れるだろうし。
何しろシャドウミラーに所属すれば、不老になれるという特典がある。
人が昔から求めてきた不老不死とまではいかないが、不老というだけでそれを欲しがる者は幾らでもいるだろう。
もっとも、受信機を常に身に付けてないといけないとか、ゲートが設置されていない場所では不老になれないとか、色々と条件があるのだが。
ともあれ、俺の言葉に男は残念そうに息を吐くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761