酔い潰れたトニヤをお持ち帰り……いや、フリーデンにあるトニヤの部屋まで送ったんだから、お持ち帰りという表現は正しくないよな?
それにサラにトニヤを引き渡したから、俺はトニヤの部屋にも入っていないし。
とにかくそんな事があった翌日、俺はセインズアイランドの領海外にいた。
『じゃあ、行くぜアクセル!』
「ああ、来い」
ウィッツにそう返すと、エアマスターは戦闘機形態になって俺の方に……ヴァサーゴに向かって突っ込んでくる。
まず牽制としてビームライフルが放たれるが、近付きながらの牽制としての一撃が俺に命中する筈もなく、スラスターを使ってあっさりと回避する。
右に左に、上に下にといったように動きながら回避を続け……そうしている間にも、エアマスターとの間合いは縮まる。
戦闘機形態だけあって、MS形態よりも大分機動力は高いな。
そしてウィッツは機体の性能に振り回されているのではなく、しっかりと把握し、使いこなしている。
この辺は、ウィッツのパイロットとしての才能があり、実戦の中で磨いてきた能力があるからこそだろう。
実戦というのは、訓練として見た場合は非常に大きな効果を持つ。
たった1度の実戦は数ヶ月の訓練に勝るといったように表現されることも珍しくはない。
そういう意味では、バルチャーやシーバルチャーが多数いるX世界というのは豊富な実戦経験を積めるという事になるのだろう。
操縦の基本すらしっかりとしていない奴が実戦経験を積んでも、伸び悩んだりしてもおかしくはないと思うが。
ともあれ、近付いてくるエアマスターに向かってクロービーム砲を撃つ。
ちなみに言うまでもなくこれは模擬戦である以上、ビームは最低出力で命中しても機体に被害はない。
エアマスターを斜めにしながらクロービーム砲を回避しようとするウィッツだったが……
「甘い」
その言葉と共に、クロービーム砲を発射したまま腕を動かす。
クロービーム砲は威力そのものはそこまで強力という訳ではないのだが、1つだけ大きな特徴がある。
それが、ビームを発射した状態のまま腕を動かす事で、発射したビームも動くという事だ。
そこまで長時間出来る訳ではなく、あくまでも1秒から2秒といったところだが、それでも何とかクロービーム砲を回避したエアマスターがその状態で回避をするといった真似は不可能で、命中したという判定がされて、模擬戦が終了する。
『ぐぬぅ……畜生、また負けた!』
悔しそうに通信で叫ぶウィッツ。
既に模擬戦は10回以上行っている。
しかし、その全てがウィッツの敗北、俺の勝利という形で模擬戦は終わっていた。
ウィッツにしてみれば、自分の技量には自信があっただけにここまで連敗するとは思っていなかったのだろう。
「そろそろ終わるか?」
『もう1回、もう1回だけ頼む!』
「前回も同じような言葉を聞いた気がするんだけどな」
ウィッツの言葉に、呆れたようにそう言う。
ウィッツにしてみれば、こうして負け続けているのが許せないのだろう。
それは分からないではないが、だからといって今の状況でいつまでも模擬戦に付き合う訳にもいかない。
「もう少し付き合ってやりたいが、そろそろフリーデンで尋問の時間だ」
『尋問? ああ、前の戦いで捕らえた奴か』
「そうだ。あの時に捕虜になった兵士からの尋問だ。何だかんだと、今まで忙しかったから、尋問は出来なかったけどな」
エニルの店に行くんじゃなくて、あの兵士を尋問してもよかったんだが……まぁ、その辺は色々とある。
フリーデンの面々は、何だかんだと優しい奴が多い。
勿論バルチャーをやっている以上、優しい、もしくは甘いだけではないのだろうが。
ウィッツやロアビィ辺りなら、もう少し効率的に尋問が出来たりしそうな気がしないでもない。
……いや、ロアビィ辺りはそういうのがスマートじゃないとか、そんな感じで尋問をやらないか。
『じゃあ、しょうがねえか。そろそろフリーデンに戻るか』
そう言うウィッツに頷き、俺もフリーデンに戻る。
ちなみにいつもなら俺の母艦はテンザン級なのだが、今回に限ってはフリーデンにヴァサーゴを移動させてから、セインズアイランドの領域外に出ていた。
MSとかの封印は、あくまでセインズアイランドの領海内にいる時に必要なものだ。
そこから出てしまえば、問題はない。
もっとも、当然セインズアイランド側でも面倒な作業はあまり好ましくないんだろうが……まぁ、その辺りについてはマイルズとのコネがあるので、何気にかなり優遇されていた。
マイルズが上手く上を説得出来れば、セインズアイランドはシャドウミラーとの繋がりを手に入れられる。
そうなれば、オクト・エイプとかを購入してセインズアイランドの戦力として使えるのだ。
それ以外にも、シャドウミラーとの伝手を作れば、それはセインズアイランドにとって非常に大きな利益になる。
それが分かっているからこそ、マイルズも俺達を優遇しているのだろう。
「ああ、戻るか。今は少しでもフロスト兄弟の情報が欲しいし」
今まで、フロスト兄弟が戦力として使っていたのはバルチャー達だった。
口で、あるいは利益でバルチャー達を動かし、俺達に攻撃を仕掛けて来たのだ。
しかし、ローレライの海で戦った連中は違う。
明らかにどこかの組織に所属している連中だった。
そんな連中なら、フロスト兄弟の情報についても色々と知ってるだろうし、何よりもフロスト兄弟が所属している連邦軍系の組織についても知っている筈だ。
ドートレスの新型機だけではなく、ガンダムの新型機をも作れるだけの技術を持つ組織。
その組織は、例えばバルチャーの集団が集まった組織とか、そんな簡単な話でないのは間違いない。
そうである以上、今は少しでも情報が欲しかった。
「こちらです」
フリーデンに戻り、キッドに補給や整備を頼んだ後でブリッジに向かい、2日酔いで辛そうなトニヤと少し会話を交わしてから、目的の場所……捕虜が捕らえられている部屋に、シンゴに案内して貰う。
どうせならトニヤに案内して貰いたかったのだが、2日酔いだとそうもいかないよな。
それにしても、トニヤが飲んでる時はそこまで酔っ払っている様子が全くなかったのに、ある一定のラインを越えた瞬間、一気に酔っ払ったよな。
……俺が酒を飲まなくて、本当によかった。
もしあの状況で酒を飲んでいれば、それこそ起きた時には隣にトニヤとエニルの2人が裸で眠っていてもおかしくはなかったし。
うん、やっぱり俺は何があっても酒は飲まない方がいいよな。
「分かった。少し中が騒がしくなるかもしれないけど、気にしないでくれ」
「分かりました」
俺の言葉に頷きながらも、シンゴは微かに眉を顰める。
この部屋の中がどういう理由で騒がしくなるのか、十分に分かっているのだろう。
しかし、それでもシンゴが俺を止める様子はない。
シンゴにしてみれば、自分達の尋問では捕虜から情報を聞き出せなかったのだ。
そうである以上、俺が多少の無茶を行うといった真似をしても、それに文句は言えないと思ったのだろう。
そもそも、フロスト兄弟が狙っているのはティファやルチルだ。
その2人はフリーデンにいるのだから、少しでもその状況をどうにかしたいと思ってもおかしくはない。
ルチルはあくまでもティファに憑依しているから、フリーデンにいるだけなのだが。
ルチルの本体はテンザン級にあるし。
そんな風に思いつつ、部屋の中に入る。
部屋の中は、特に何かがある訳でもない。
1人の男がそんな部屋の中にいた。
「何だ、今日も尋問の時間か? うん? 初めて見る顔だな。いつもの連中じゃないのか」
「そうだ、お前が何も話さないから、俺の出番になったんだよ。……一応聞いておくが、こっちの質問に素直に答えるのなら手荒な真似はしなくてもいいんだがな」
「はん、手荒な真似だと? 俺がちょっと殴られたくらいで、そう素直に情報を喋るとでも思ってるのか?」
今までフリーデンの連中の尋問に耐えてきたからだろう。
男は自分が情報を漏らすような事はないと、そう認識していた。
とはいえ、男に対する尋問がそんなに乱暴な様子ではなかったのは、男の顔が綺麗な事が示していた。
この場合の顔が綺麗だというのは、顔立ちが整っているという意味での綺麗ではなく、殴られた痕がないという意味での綺麗だ。
やっぱりフリーデンからの尋問はそんなに厳しいものではなかったのだろう。
X世界においては、例えばUC世界の南極条約のような捕虜の虐待を禁止するような条約はない。
あるいは15年前の戦争ではその手の条約があったのかもしれないが、今となっては誰もその条約を守ろうとは思わないだろう。
UC世界の南極条約でさえ、守られなかった事は多い。
捕虜の虐待、核兵器の使用……といったように。
だというのに、現在のこのX世界で捕虜を虐待しないとか、そんな事を守る必要はない。
「そうだな。まずはお前には信じられない事から見せてやるか」
「は? 一体何を言ってるんだ?」
男は俺が一体何を言ってるのか理解出来ないといった様子でそう言う。
もっとも、今の状況を考えると俺がいきなり何かを言っても理解出来ないのは当然だろうが。
だが、百聞は一見にしかず。
俺が何をしようとしているのかは、実際に見せてやった方が早い。
右手の人差し指を、男によく見えるようにする。
次の瞬間、俺の右手は白炎となる。
「……は?」
いきなり燃えだした……というよりも、白炎そのものになった俺の右手を見て、男の口から間の抜けた声が出る。
しかし、俺はそれを無視して白炎を炎獣に変える。
狼……それも体高2m程もある、巨大な狼の炎獣に。
「ひ……ひ……」
炎獣の狼は、男を見て今にも襲い掛かりそうな様子を見せた。
それが分かっているのだろう。
男は本能的に後ろに下がろうとしたが、ベッドに座っていた男が下がれるのは、あくまでも壁までだ。
それ以上下がる事は出来ない。
そんな男に、狼の炎獣は狭そうにしながらも近付く。
「ひぃっ!」
確かにこの男は、フリーデンの連中に尋問されたくらいでは情報を喋ったりはしないのだろう。
あるいはフロスト兄弟の組織に所属している以上、その手の訓練を受けているのかもしれない。
だが……その訓練の内容には、魔法使いを相手にする、もしくは炎獣を相手にするといった内容が含まれていたかと言えば、その答えは間違いなく否だ。
そして人というのは、知っている事なら耐えられるが、未知の現象には強い恐怖を覚える。
ちょうど今のこの男のように。
狼の炎獣に視線を向けると、その視線の意味を理解して後ろに下がる。
狼の炎獣との距離が開いたことによって、男は安堵した様子を見せた。
「世の中にはお前が知らない事、理解出来ない事は幾らでもある。例えば、この炎獣だな。お前はこの炎獣という存在を理解出来たか?」
そう尋ねるも、男は必死になって首を横に振るだけだ。
目からは涙、鼻からは鼻水、口からは涎といったように、あらゆる場所から体液を流している。
ベッドを見れば、座っている場所も汚れていた。
この様子だと、もう一押しといったところか?
このままでも俺の質問には答えるだろうという予想はある。
だが、ここで更に追撃を加える事によって、この男は俺に逆らおうなどという思いは一切抱かなくなるだろう。
とん、と。
俺は床を……正確には自分の影を軽く踏む。
魔力を込めたその行動と、何よりも俺の意思を理解しているからだろう。
次の瞬間、俺の影に潜んでいた存在……刈り取る者が姿を現す。
「ひ……ひいいぃぃいいぃいっ!」
狼の炎獣に続いて刈り取る者が姿を現した瞬間、男の口からは周囲に響き渡るような悲鳴が溢れ出た。
刈り取る者が持つ不気味さ……というか、相手に対して与える圧倒的な迫力は男の限界を超えたのだろう。
「こいつは刈り取る者。俺の召喚獣……と言っても、分からないか。まぁ、部下だな」
この男は20歳前後の外見年齢に見える。
つまり、15年前の戦争の時は5歳かそこらだったのだ。
そうである以上、召喚獣とかそういう風に言っても、恐らくは理解出来ないだろう。
「ひっ、ひっ、ひ……」
あ、これはちょっと不味いか?
少し驚かしすぎたのか、男は過呼吸気味になっている。
最後の仕上げにと思っていたんだが、どうやら少しやりすぎてしまったらしい。
とはいえ、この男はフリーデンの連中の尋問にも耐えたのを思えば、ちょっとやそっとの尋問で素直に話を聞いたりといった真似はまずしないだろう。
そういう意味では、こうして相手の度肝を抜くような真似をする必要があるのは間違いなかった。
少しやりすぎたのは間違いないか。
「……」
刈り取る者は、悲鳴を上げている男を気にした様子もなく、こちらに視線を向けてくる。
どうすればいいのかと、そんな風に思っているのだろう。
「大人しく知ってる情報を話すのなら、もうこれで終わりにしてやる。……どうする?」
そんな俺の言葉に、男は必死になって頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761