エニルの操縦するオクト・エイプのビームライフルからビームがこっちに放たれる。
瞬間、スラスターを使ってヴァサーゴを移動させ、ビームを回避した。
実際にはオクト・エイプのビームライフル……いや、ビームライフルに限らず、その武器は全てが模擬戦用に変更されている。
当然ながら、俺のヴァサーゴの武器も模擬戦用にされていた。
とはいえ、だからといって敵の攻撃を受けてもいいという事にはならない。
これは模擬戦なのだから、尚更に。
ヴァサーゴが回避すると、オクト・エイプのビームライフルは即座にこっちの移動を予想したかのように追撃してくる。
それを再び回避しつつ、ストライククローを展開し、クローアーム砲を撃つ。
一般的な意味でのビームライフルを持っていない以上、ヴァサーゴにとってはクロービーム砲がその代替武器となる。
その上で、ビームライフルよりも優れているところが、ビームを発射した1秒ちょっとだが、腕を動かせるという事だ。
それによって、ビームライフルのビームは続けて迎撃される。
エニルはクロービーム砲の仕様に驚いたのか、一瞬……本当に一瞬だけオクト・エイプの動きが鈍る。
それを見た瞬間、スラスターを全開にして一気にオクト・エイプとの間合いを詰める。
ビームサーベルを引き抜き……それを見たオクト・エイプは、自分もビームサーベルを引き抜きながら後ろに下がる。
もう数秒……いや、数瞬動くのが遅ければ、ヴァサーゴのビームサーベルはオクト・エイプに命中していただろう。
しかし、オクト・エイプはその一撃を回避した。
この辺り、エニルの判断力の高さ故だろう。
だが……
「甘い」
その言葉と共に左手……ビームサーベルを持つ右手ではなく、何も持っていない左手を振るう。
左手に武器は持っていない。
持っていないが、ストライククローが左手に装備されており、伸びた腕はそのままオクト・エイプにとっては予想外の方向から襲い掛かる。
本来ならここでヒートワイヤーを使ってもいいのだが、生憎とこれは模擬戦用の武器とするのは難しい。
なので、ストライククロー特有の多関節を利用し、相手の予想外の方向から直接攻撃をしたり、あるいはクロービーム砲を撃ったりする。
数発が被弾し、オクト・エイプの動きは目に見えて悪くなった。
オクト・エイプは宇宙革命軍の中では最強の量産型MSだが、それでも結局のところ量産型であり、ガンダムとは比べるのは難しい。
ましてや、オクト・エイプは15年前の戦争のMSで、それに対してヴァサーゴは戦後に開発された新型機だ。
その性能差は、どうしても大きい。
……もっとも、ヴァサーゴを開発した政府再建委員会も、15年前の戦争によって多くの技術を失っている。
MS開発技術もその通りで、それを何とかして取り戻して新型のガンダムを開発出来るようになった訳で……ぶっちゃけ、技術力という意味では15年前の時点とそう違いはなかったりする。
勿論15年前よりも優れている場所はあるだろう。
だが同時に、15年前の技術にはまだ追いついていない場所もあったりするのだ。
そういう意味では、ヴァサーゴが新型のガンダムだからといって、油断するような真似は出来ない。
ましてや、オクト・エイプを操縦しているのは腕利きのMS乗りのエニルだ。
そんな訳で、決して侮るような真似はせず、本気で攻撃をしていく。
間近まで迫ったヴァサーゴに、ビームライフルは使い物にならない。
そう判断したのか、オクト・エイプはビームサーベルとガトリングキャノンでこちらに対抗してくる。
「っと!」
ビームサーベルの一撃はともかく、ガトリングキャノンは厄介だ。
勿論、それだけで撃墜扱いになったりはしないが、連続して放てる一撃というのは戦う上で厄介なんだよな。
特にシーマとかがこの手の武器の扱いを得意としているらしいが。
普通のパイロット……いや、人間なら耐えられないような強烈なG。
それを感じなら、ヴァサーゴを半ば無理矢理動かし、オクト・エイプの横に移動する。
頭部バルカンと違って、オクト・エイプのガトリングキャノンは胴体についている。
これが頭部バルカンなら、頭部をそちらに動かせば射線が通る。
しかし胴体の場合、正面を向いている敵にしか攻撃出来ない。
威力は頭部バルカンよりも大きいし、装弾数も胴体にある分だけ多いのだろう。
しかし、使いやすさという点では圧倒的に頭部バルカンの方が上だった。
今の一連の動きは、それが如実に出た形となる。
そうしてストライククローの先端をオクト・エイプのコックピットに触れ……
「俺の勝ちだ」
そう、エニルに告げる。
本来なら、ここでクロービーム砲を撃ってもいい。
ビームの威力は模擬戦用に最低限にしてあるし、そうである以上はMSに大きなダメージはない。
だが、ダメージはないものの、それでも攻撃が命中すれば、それによって何らかの影響がないとは言い切れない。
そんな訳でクロービーム砲を撃たなかったのだが、エニルはそれを十分に理解しているのか、通信に応じる。
『さすがね、アクセル。MSの差で負けたとは言えないわ』
「そう言って貰えると、俺も嬉しいな。それで、どうする?」
『取りあえずこのMSは借り物だし、返すつもりよ』
「いや、そうじゃなくて」
エニルが現在乗っているオクト・エイプは、あくまでも借り物だ。
エニルに借りがあるバルチャーから借りたという話だったが、模擬戦だから向こうも受け入れたのだろう。
オクト・エイプを借りるのではなくそのまま貰うといった真似は出来ないと思う。
『分かってるわよ、MS乗りとしてどうするかって事でしょう?』
「そうなるな。フリーデンに所属してもいいだろうし、俺の所に来てもいい」
エニルとトニヤは相性がよく、会ったばかりだというのに既に親友といった表現が相応しい間柄だ。
MS乗りにも女がいない訳ではないが、それでもやっぱり男が多い。
そんな中で暮らしてきたエニルにしてみれば、女友達というのはそう簡単に手に入れられるものではないのだろう。
そんなエニルにとって、トニヤと一緒にフリーデンに乗るというのは悪くない話だと思う。
だが同時に、フリーデンに乗るという事はガロードと同じ場所で生活する事になる。
エニルにとって、ガロードは非常に複雑な思いを抱く相手だ。
そうである以上、簡単にフリーデンに所属するという訳にもいかないだろう。
それと比べると、テンザン級に乗るというのはトニヤと別の艦に乗る事になるが、それでも一緒に行動している以上、連絡は取りやすい。
違う艦に乗っているので、偶然ガロードと遭遇といった事もない。
また、マリューを始めとしてテンザン級には女が多いので、エニルにとっても同性が多いのは悪くない環境だろう。
『それは……少し考えさせてちょうだい。それにMS乗りに戻るとなると、店の方もどうにかしないといけないでしょうし』
そう言い、少しだけ残念そうな表情を浮かべるエニル。
MS乗りに戻るという決断をしたエニルだったが、それは別に酒場の経営が嫌になった訳ではないのだろう。
だが、MS乗りになってしまえばえ、酒場の経営など出来ない。
いや、そうでもないか?
「MS乗りになるのはいいけど、同時に酒場の経営もする……例えば、セインズアイランドのMS部隊を率いるとかはどうだ?」
『それは……』
考えてもみなかったといった様子のエニル。
マイルズがシャドウミラーと……正確には基地と接触したいのは、オクト・エイプや高機動型GXのように高性能で飛行可能なMSを欲しての事だ。
何故そのようなMSを欲するのかと言えば、バルチャーを雇ってMS部隊とするのではなく、セインズアイランドの国軍――という表現は大袈裟かもしれないが――のようにしたいと思っての事なのだろう。
今では、北米大陸のある村であっても普通に護衛用のMSを所有しているくらいだ。
そう考えれば、マイルズの考えはそこまでおかしなものではないだろう。
もっとも普通の村で入手出来るようなMSとなれば、基地で売ってるような新品ではなく中古……しかも決して状態の良いMSではないだろうが。
「まぁ、これはあくまでも俺が思いついただけの内容だ。それを受け入れるかどうかはエニルが決めるべきだし、そもそもセインズアイランドにMS部隊が出来るかどうかも分からないしな」
予想では間違いないと思っているが、その辺については実際にマイルズに聞いた訳ではない。
もしかしたら俺が知らないだけで、セインズアイランドの軍という訳ではなく、もっと別の何かにMSを使うのかもしれないし。
『そうね。それもいいかもしれないわね。ただ……いいかもしれないけど、あまり気乗りがしないかしら』
「いいのに気乗りがしないのか? その辺を考えるのはエニルだから、俺からは何とも言えないけど」
エニルがどうするかにおいて、一番重要なのは結局エニル本人がその行動に納得するかどうか、十分に満足出来るかどうかだろう。
傍から見て条件がいいと思っていても、そこで働いている本人が満足出来なければ、それは意味がない。
逆に、傍から見ても条件が悪いと分かっているのに、働いている者が満足出来ているのなら、その者は幸せだろう。
『これからどうするのかは……そうね。もう少ししっかりと考えさせて貰うわ』
「エニルがそれでいいのなら、俺は構わない。ただし、俺達は近いうち……それこそ明日か明後日にはセインズアイランドを離れることになると思う。それまでに決められないようなら、俺達と合流するというのは難しいだろうな」
その言葉にエニルは頷き、オクト・エイプはこの場から離れていく。
オクト・エイプの姿が消えると、俺もテンザン級に戻るのだった。
「ちょっと、アクセル。どういう事!?」
テンザン級の格納庫に戻ってきた時点で、その人物がいるのは分かっていたので、こういう流れになるのは分かっていた。
なのでヴァサーゴから降りた俺に向かってその人物……トニヤが叫ぶのを聞いても、特に驚くような事はなかった。
「エニルの事か?」
トニヤが格納庫にいた時点で、模擬戦の最中に行われていた俺とエニルの通信はテンザン級やフリーデンに流れていたのだろう。
だからこそ、それを聞いてオクト・エイプにエニルが乗っていると理解したトニヤはテンザン級の格納庫にまでやってきたといったところか。
「そうよ! 何でエニルがアクセルと模擬戦をする事になるのよ!」
「それについては、正直分からないな」
実際、エニルがMS乗りに戻るというのは分かったが、何故それで俺に模擬戦を挑んで来たのかというのは聞いていない。
恐らくは自分の今の実力をはっきりさせたいとか、あるいはケジメとか、そんな感じではないかと思っているが。
その辺についても、しっかりと聞いておけばよかったな。
「そうなの?」
「ああ。ここに来ているって事は、俺とエニルの通信を聞いていたんだろう? なら、その中で特にそれらしい話をしていなかったのは分かると思うが」
「それは……まぁ、そうかもしれないわね」
トニヤも完全に納得した訳ではないのかもしれないが、俺が嘘を言っていないというのは分かったのだろう。
それ以上は特に責めるような真似はしない。
ただし、疑問の表情を浮かべつつ、口を開く。
「でも、何でMS乗りに戻るつもりになったのかしら」
「さぁ? それを俺に言われてもちょっとな。ただ、エニルの中では何かそういう風にするべきと思える何かがあったんだろうな」
「何かって? 具体的に何?」
「俺にも分からない。ただまぁ、トニヤの存在やその言動が理由の1つなのは間違いないと思う」
「……それは……まさか、聞かれてるとは思ってなかったのよ。こうなるのなら、貸し切りにしておけばよかったわね」
エニルの店で飲んだ時の事……具体的にはエニルがMS乗りだった事について口を滑らせた事を思い出したのだろう。
困った様子で呟く。
あの時はトニヤも酔っ払っていた以上、どんな内容を口にしてもおかしくはない。
おかしくはないが、それならもっと酒の量を少なくしておくとかしておけばよかったのにな。
今更の話か。
それに、幸いにもトニヤの話を聞いた奴は、それを理由にエニルを責めるのではなく、エニルの背中を押したのだ。
そういう意味ではエニルは皆に好かれていたという事だろう。
バルチャーやMS乗りと言われれば、眉を顰める者も多い。
そんな中で以前MS乗りをやっていたと知っても、エニルを嫌うのではなく、しっかりとその背中を押したのだ。
エニルに対する好意が決して表向きのものだけではなかったという証だ。
「結局エニルが自分でMS乗りに戻る道を選んだんだ。そうである以上、俺達がどうこう言ったりする必要はないと思うがな」
「……そうね。そうよね。エニルが自分で選んだんだもの。後は、フリーデンに来てくれればいいんだけど」
そう、トニヤは呟くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761