「どう? 木乃香から聞いたんだけど、このお店って人気らしいのよ」
「だろうな。客も多いし」
明日菜と俺は、ホワイトスターの交流区画にある店にやって来ていた。
店の種類としては、服屋。
ただし、老若男女問わずに色々な世代が客としている事だろう。
……それどころか、エルフ達の姿もある。
あ、あっちにいるのはダークエルフだな。
褐色の肌に黒い服が似合っている。
「人気が高かったから、2軒の店を繋げてるのよ」
「客層が広ければ、当然だが服の数は多くなる。それを1軒の店の敷地内だけでやるってのは厳しかったのか。とはいえ、よく政治班が許可を出したな。……まさか無断でとかじゃないよな?」
「あのね、そんな勝手な真似を出来る訳ないでしょ? ここまで噂になってるような店なんだから、政治班からはしっかりと許可を貰ってるわよ」
交流区画の運営を行っているのは、政治班だ。
どのような店を出したいといった書類が提出され、それで許可が出れば無事に交流区画で店を出す事が出来る。
逆に言えば、書類が受理されなければ店を出せないということになるのだが。
もっとも、よっぽど酷かったり悪質だったりしない店なら普通に許可は下りる。
数は多くないが、酒を出す店や風俗の類も普通にあるし。
ただし、ホワイトスターに泊まるといった事は出来ないので、その手の店の本番……夜はどうしても営業時間が短くなる。
それを承知の上でも、その手の店は必要だと政治班の方でも許可したのだろう。
そんな訳で、この店もきちんと政治班から許可を貰った上で営業されていた。
「だろうな。けど、建物の壁を壊して繋げるなんて真似……1度許可をしたら、それこそ次からは自分達もといったように申し込みが増えるんじゃないか?」
この服屋が許可された以上、当然ながら他の店もそのようにしたいと、今の店舗では狭いと考える者もいるだろう。
そのような者達が自分もといったように主張するのは、そうおかしな話ではない。
「そうね。実際、そういう動きもあるみたいよ? ただ、いいんちょから聞いた話によると、2軒分の敷地を使ってるんだから賃貸料も増えるらしいし、事業内容的に難しいのは却下してるらしいわね」
明日菜の説明に納得する。
しかし、納得すると同時に今でも明日菜はあやかの事をいいんちょと呼んでるのかと思う。
明日菜とあやかは、小学校から一緒だった。
そしてあやかはその性格や能力から、学生時代はずっと……それこそ小学生から高校を卒業するまで、ずっと委員長だったらしい。
まさに、生粋の委員長と言ってもいいだろう。
本人がそう言われて、喜ぶかどうかは別の話だが。
まぁ、明日菜にしてみれば、あやかはいいんちょという風に強く印象づけられているのだろう。
「なら、安心か。あやかの判断なら信用出来るし。多分千鶴とか……凛は……どうだろうな」
千鶴はともかく、凛の場合は何だかんだと金にうるさいので、ちょっとした黒字になるような程度の見通しでは許可しない気がする。
「あ、あははは。そうかもしれないわね」
明日菜もシャドウミラーに所属してホワイトスターにいる以上、凛とそれなりに付き合ったりする。
明日菜と凛……相性はどうなんだろうな。
悪くはないと思うが。
「取りあえず、せっかく店に来たんだから、色々と見ていきましょう。アクセルは何か買う服とかある?」
「うーん、そうだな。特に何かはない。何かいい服があったら買うかもしれないが。明日菜は?」
「私もそんな感じかな。いい服があったら欲しいと思うし」
俺が明日菜と知り合った頃、明日菜はバイトをしていて決して裕福といった訳ではなかった。
だが、今は違う。
シャドウミラーの給料は決して低くはない。
特に明日菜は何だかんだと生活班を率いるという立場だ。
生活班そのものは技術班や政治班、実働班のように地位が高い訳ではない。
ただ、それでも組織のトップである以上、相応の給料は貰っていた。
ホワイトスターには色々な世界の者達が集まっているので、物価の類も非常に複雑だったりするのだが……感覚的には世界的な大企業の重役クラスの給料くらいは貰っている。
もっとも、そのような高額な給料を貰っても、明日菜は特に無駄遣いをしたりはしない。
この辺、麻帆良で学生をやっていた時の名残だろう。
小さい頃から好き勝手に金を使ってきた子供の場合、それこそあればあるだけ使い、宵越しの金は持たぬといったような事になってもおかしくはない。
明日菜はそんな事はないので金に余裕はあり、この店で服を買う……いや、この店にある服を全て、それこそ在庫も含めて購入するといったことが普通に出来たりする。
出来るからといって、それをやるかどうかは別の話だが。
明日菜が子供や老人用、男物の服を購入しても、持て余すだけだろうし。
「じゃあ、適当に見て行くか。……とはいえ、俺はファッションとかそういうのにあまり詳しくないけど」
「それは私もよ。でも、たまにはいいでしょ。アクセルと一緒にこういう店に来る事って、滅多にないんだし」
明日菜がそう言いながら、店の中を見回す。
店の客の中には何人か明日菜の顔を知ってる者もいたようだが、今は仕事ではなくプライベートだと理解しているので、特に話し掛けてきたりはしない。
ちなみに、俺の事をアクセルだと認識してる者もそれなりにいるが、中には全く分からないといった様子の者もいる。
俺はホワイトスターの中で行動するよりも、他の世界に行ったりしてる事が多いからだろう。
それに対し、明日菜の仕事場はホワイトスターだし、生活班という事で1つの仕事に集中するのではなく、色々な場所に顔を出す事が多い。
結果として、明日菜は多くの者に認識される事になるのだろう。
「明日菜がそれでいいなら、構わないけどな。……あ、これとか明日菜に似合うんじゃないか?」
店の中を歩きながら話していると、ふと近くにあった服が気になった。
いわゆる、キャミソールと呼ばれる種類の服だ。
どこがどうといった訳ではないのだが、見た感じ明日菜に似合いそうだと、そう思ったのだ。
「これ? へぇ……いいじゃない。ね、ちょっと着てみるわね。せっかくアクセルが選んでくれた服だし」
そう言い、明日菜はその服を手に試着室に向かう。
幸いにも試着室には空きがあったので、特に問題もなく使う事が出来た。
そうして明日菜が試着室に入ると、俺は特にやる事がなくなってしまう。
今の俺に出来るのは、明日菜が着替え終わるのを待つだけだ。
そうして店の中を見回していると……
「あれ? アクセル君? 何でここにいるの? 何か用事があるって話じゃなかったっけ?」
「え? あ、本当だ。アクセル君、何をしてるの?」
不意にそう声を掛けられる。
聞き覚えのある声に視線を向けると、そこには円と美砂の姿があった。
「久しぶりだな、2人とも。今はちょっとやる事がなくてな」
「ふーん、それでこのお店に? けど、アクセル君がこういうお店に来るのって珍しいね。……あ」
美砂が俺の言葉に何かに気が付いた……というか、俺の後ろにある試着室を見て何かを察したかのように呟く。
うん、これは明日菜……とは認識してないかもしれないが、とにかく誰かが試着室の中にいると見抜いたな。
そんな美砂の様子に、円も納得したように頷いて口を開く。
「ふーん。それでアクセル君は恋人の私達を放って置いて、一体誰とデートしてるのかしら?」
「いや、別にデートって訳じゃ……」
「そうよ。デートとかそういう事じゃなくて、ただ一緒に店を見て回ってるだけなんだから!」
シャアアア、と試着室が開くと、そこにはキャミソールに着替えた明日菜の姿があった。
「何だ、明日菜だったの」
「ちぇ、もうちょっとこう……エザリアさんとかなら驚いたのに。明日菜の場合はちょっとね」
姿を現した明日菜を見て、円と美砂の口からそれぞれそんな言葉が出る。
いや、エザリアって……まぁ、エザリアの外見は非常に若く、とてもではないがイザークを産んだり、養子も含めて4人の子持ちには見えない。
それこそまだ20代くらいの年齢にしか見えないくらい外見が若い。
これで若作りと言えば、エザリアが怒るんだろうが。
ともあれ、エザリアの外見はそんな感じなので、他の世界に行った時、事情を全く理解していない者に口説かれたりする事が頻繁にあるという話を聞いている。
事情を理解している者……シャドウミラーの政治班を率いている重要人物だというのを知っている者にすれば、とてもではないが口説こうとは思わないのだろうが。
「ちょっとねって、一体どういう意味よ!」
「えー……だって……言ってもいいの?」
「駄目に決まってるでしょ!」
「どっちなのよ」
美砂と明日菜のやり取りを聞いていた円が、呆れた様子で突っ込む。
2人の言い争いを眺めていると、円は俺の近くにやって来て口を開く。
「そう言えば、知ってる? このお店の近くにランジェリーショップが出来たんだけど。……興味ない?」
「興味がないかと言われれば……ある」
円の言葉に途中で言葉を止めて円を見て、頷く。
円の身体は、それこそ隅から隅まで知っている。
だが、そこに一種のスパイスとしていつもと違う下着を……と思えば、それに興味を抱くなという方が無理だろう。
「じゃあ、一緒に行く?」
流し目でそう言ってくる円。
普段は真面目な性格をしているだけに、夜を匂わせる円の様子に滾るものがあった。
「ちょっと、円。何を抜け駆けしてるのかしら?」
「そうよ。私達が言い争っている間に何をしてるのよ」
「あーあ。見つかっちゃった。残念だけど、ランジェリーショップはまた今度ね、アクセル君。とびっきりのを着てあげるから。赤? 黒? 紫?」
その光景を想像しながら、俺は夜を楽しみにするのだった。
「じゃあ、明日菜。私達は行くから。頑張ってね」
「何を頑張れって言うのよ!」
美砂に対して、明日菜はガーッといったように叫ぶ。
だが、美砂と円はそんな明日菜に意味ありげな笑みを浮かべると、その場から去っていくのだった。
「全くもう。……それでアクセル、これからどうするの? もう服って感じじゃなくなったし」
そう言う明日菜だったが、俺が選んだキャミソールはしっかりと買っているのを知っている。
何だかんだと、俺が勧めたキャミソールを気に入ったのだろう。
「そうだな。何か適当に食べるか? クレープとか」
何故か円や美砂を見ると、ゴーヤクレープを思い出すんだよな。
一体何でかは、俺にも分からないが。
ホワイトスターには、普通にゴーヤクレープが売られている。
好んで食うような奴がいるとは思えないのだが、それでもまだ普通に売られているという事は、実際にはそれなりに売れてるんだよな。
「そうね。イチゴチョコクレープとか食べたいわね」
明日菜のリクエストに従い、クレープ屋に向かう。
ただし、向かうのは店舗のクレープ屋ではなく、移動販売車のクレープ屋だ。
ホワイトスターには普通の店舗のクレープ屋と、移動販売車のクレープ屋がある。
どちらも不味いという訳ではない――ゴーヤクレープは除く――が、移動販売車のクレープ屋の方は酸味のある果実に合わせたソースが俺好みなんだよな。
それに、ガロードとジャミルを連れていった公園に移動販売車のクレープ屋がいたのを見て確認していたから、というのもこの場合は大きい。
「あ、そうだ。どうせならちょっと余計にクレープを買ってもいいか?」
「え? それは別にいいけど。どうしたの? 買い溜めでもしておく気?」
明日菜がそう言ったのは、俺の空間倉庫の中に大量の料理とかそういうのが入っているのを知っているからだろう。
何しろ空間倉庫の中に入れておけば、悪くなるという事はないのだ。
いざという時も使えるし。
鬼滅世界で狛治と遭遇した時、ある意味で餌付けに成功したのも空間倉庫の中に入っていたスーパーやコンビニで買った食べ物とかが大きな力になったのは間違いないし。
そう言えば、鬼滅世界で思い出したが……ルチルの身体を作るとき、無惨の細胞を使ったりしないよな?
無惨の細胞とかを使えば、下手をすれば太陽に当たった瞬間に死んでしまうし、人しか食えなくなったりする可能性もある。
そう考えれば、レモンが無惨の細胞を使ったりする事はないか。
「いや、ガロードとジャミル……X世界からやって来た連中に渡そうと思ってな。ちょうど公園にいるし」
「ふーん。名前からすると男かしら?」
「ああ、どっちも男だ。ジャミルの方は……」
あれ? もしかして明日菜にジャミルを紹介するのは不味いのか?
高畑相手には失恋したが、だからといって明日菜の好みが変わった訳ではないだろうし。
渋い中年の男として考えれば、ジャミルは明日菜の好みど真ん中なような気がする。
「アクセル?」
「何でもない。取りあえず……会ってみるか?」
明日菜が惚れたら、それはそれ。
そう考えて、俺はそう尋ねるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761