俺と明日菜は公園の中を歩いて回る。
転移してきた場所にはガロードとジャミルの姿がなかったので、それを捜しているのだ。
「それは……ちょっと許せないわね」
明日菜は苺チョコレートのクレープを食べるのを止めて、不愉快そうな表情を浮かべる。
ルチルの一件……精神崩壊をした後もその身体を使われてLシステムに組み込まれ、戦争に利用しようとしたのが許せなかったのだろう。
普通の人なら旧連邦軍のやった事を許せという方が難しいだろうから、明日菜のこの態度は当然なのかもしれないが。
「落ち着け。そのルチルも15年海の底にいたことが影響してるのか、精神崩壊から立ち直っている。今はレモンが身体を作って、その身体を使って自由に動けるようになる……と思う」
恐らく成功するだろうとは思うが、それでもまだ現在では分からない。
現在ではレモンがルチルからどういう身体がいいのかというのを聞いてる段階なのだから。
実際に身体が出来て、それをエヴァの魔法で上手く憑依先を変えるといったような真似をして、それで初めて成功するかどうかが分かるのだ。
……ティファに憑依したんだから、意思のない身体に憑依するのは難しくないと思うんだが。
ただ、エヴァの様子を見る限りだと、そういうのが出来ないからこそ、魔法を使うしかないみたいだった。
この辺は本職のエヴァがそう言うのだから、それを信じるしかないだろう。
それにルチルがティファの身体に憑依出来たのは、あくまでもティファがニュータイプだったからだ。
ルチルにとっても、それこそ本来ならティファよりも自分と年齢の近いサラやトニヤに……あるいはセインズアイランドにいた他の女に憑依するといった真似をしてもおかしくはない。
それが出来なかったからこそ、ルチルはティファに憑依したのだと考えれば、その憑依する先を人造人間の身体に変えるというのはエヴァが魔法でどうにかするしかないのだろう。
「それは……でも、だからって、裸でLシステムに組み込むってのは、女として許せないわ!」
「あー……そっちか」
「そっちって何よ。女にとっては、Lシステムに組み込まれたのもそうだけど、裸のままってのが許せないのは当然でしょ! 一体、どういう人がそういう風にしたのかしら」
「それは俺も素直にそう思う」
何故ルチルを裸の状態でコーティングし、Lシステムに組み込んだのか。
Lシステムの開発者がルチルの美しさに惚れ込み、それを少しでも完全な状態で残したいと思ったのか。
……まぁ、その可能性はあるよな。
実際、ルチルは精神崩壊をして、既に死んだと思われていたのだ。
そうである以上、あの状態でコーティングしても問題はないと思ってもおかしくはない。
何となく、Lシステムを作ったのは男のような気がする。
もしくは……ああいう状態にしないとLシステムが完全に動かなかったという可能性もある。
結局のところ、Lシステムというのはルチルが戦争を嫌悪するという気持ちを増幅して放つというシステムだ。
戦争を嫌悪するという思いが、何故電子機器に影響するのかは俺には分からないが。
とにかくそういうシステムである以上、Lシステムを最大限に活用するのに少しでもルチルの意思を遮る何か――この場合は服――はない方がいいという事かもしれない。
「でしょう? 全く……」
女の敵は許せないといった様子を見せる明日菜。
そんな明日菜を落ち着かせつつ公園の中を歩いていると……
「あ、いた」
通路の先にあるベンチに座っているガロードとジャミルの姿を発見する。
ガロードとジャミルは、特に何か話をしたりといったような事はせず、ただ黙ってベンチに座っている。
行くぞ、と。そう明日菜に視線を向けてから、俺は2人に近付いていく。
「こんな場所にいたのか」
「アクセル?」
俺の言葉に顔を上げたガロードは驚きの表情を浮かべ……だが、すぐに呆れの視線を向けてくる。
いや、何で呆れ?
疑問に思いつつ、空間倉庫の中から取り出したクレープを2人に渡す。
「イチゴと生クリームのクレープだ。どういうのが好みだったか分からなかったから、基本的なのを買ってきたけど、構わないよな?」
「クレープ? 何だよ、それ? うわ、甘い匂いがする」
戦後生まれのガロードは、クレープを知らなかったのだろう。
まぁ、無理もない。クレープを作るにはイチゴとかの果物だったり、生クリームだったりが必要となる。
そういう食材は、X世界ではそう簡単に入手出来ないだろう。
でも、以前ホワイトスターに来た時、クレープを食べたりする機会はあったと思うんだが。
ティファとのデートで緊張していて、とてもそれどころではなかったとかか。
そんなガロードに比べると、戦前の世界を知っているジャミルはクレープを知っていたのだろう。特に驚く様子も見せずにクレープを受け取る。
クレープは知っていたのだろうが、寡黙なジャミルとクレープという組み合わせは、ちょっとその……うん。色々と違和感があるな。
そう言えば……
「あれ?」
「何よ?」
ジャミルを見た明日菜が興奮して喜ぶのかと思ったのだが、明日菜の方を見ても特にそんな様子はない。
渋い中年といったジャミルは、明日菜の好みど真ん中だと思ったんだが。
あるいはジャミルの前でそういうのを表すのを控えているのか?
そうも思ったが、明日菜の様子を見る限りではそういう風には思えない。
本当に普通に……初めて会った人物という感情をジャミルに対して抱いているように思える。
「……何よ?」
最初に『何よ』と聞いて、数秒俺が反応しなかったのを不思議に思ったのか、あるいは不満に思ったのか。
若干だが不機嫌そうな様子を見せて俺にそう言ってくる。
あ、ここで返事を間違えると危険だな。
そう判断すると、俺は何でもないと首を横に振る。
「何でもない。ジャミルに対してルチルの事で何か言うのかと思っていたが、特にそういうのはなかったしな」
「それは……色々と思うところはあるけど、だからってそれをここで言う訳にはいかないでしょう?」
明日菜らしくはない言葉。
もっとも、明日菜も既に立派な女だ。
そういう風に考えることが出来ていてもおかしくはない。
生活班としての行動が、明日菜に良い影響を与えたのかもしれないし。
「まぁ、そうだな。実際、ルチルもジャミルを別に責めるとか、そういう気持ちは全くなかったし」
ルチルにとって、ジャミルはあくまでも自分が責めるべき相手という訳ではなく、自分の部下、もしくは後輩といったところなのだろう。
「美味いな」
クレープを食べたジャミルがしみじみと呟く。
もしかしたら、ジャミルはデザートとかそういうのが好きなのかもしれないな。
「それで、ガロードとジャミルはこの公園でゆっくりしていたみたいだったが、何かあったか?」
そう尋ねてみるが、ガロードは首を横に振る。
「いや、そういうのは分からなかったよ。ただ、この公園は皆が喜んでいるから、そういうのを見て思うところがあったけど」
「この公園は多くの者が遊んでいたり、リラックスしていたりするしな。そういう風に思ってもおかしくはない」
X世界にも、ゆっくりする事が出来る場所はある。
しかし、それでも周辺にはバルチャーやオルクといった面々がいる。
そうである以上、何かあったらいきなり攻撃をされるようになってもおかしくはない。
それがX世界なのだから。
「ふーん。そう言えばセインズアイランドにもここまでじゃないけど、それなりに公園があったよな」
「セインズアイランドは、色々な意味で特殊な場所だしな」
俺が知る限り、セインズアイランドはX世界で最も発展している場所だ。
それだけに公園を作ったりするといった事も出来るのだろう。
実際にはいつオルクに狙われてもおかしくはない立地なのだが。
その辺に対処する為に、バルチャーやシーバルチャーを雇っているんだろうし、マイルズが今回基地に来たのも、セインズアイランドを守る為にバルチャーやシーバルチャーを雇うのではなく、きちんとセインズアイランドに所属する軍隊を作りたいというのが大きな目的の1つだろう。
だが、色々な場所に行ったガロードなら分かると思うが、セインズアイランドのように発展してる場所はかなり少ない。
あるいは南米やヨーロッパ、アジア、オーストラリアといったように他の場所に目を向ければ、セインズアイランドのように発展している場所がないとも限らないのだが。
ニュータイプを捜すというのがジャミルの目的である以上、北米以外の場所にもそのうち行く必要があるのかもしれないな。
「そうだよな。俺もあそこまで平和な場所って初めて見たよ」
「平和か。昔……戦前はセインズアイランドくらいの街は普通に幾らでもあったんだがな」
ガロードの言葉を聞いたジャミルは、しみじみと呟く。
その言葉に、強い後悔があるのは……やはり15年前の戦争を終わらせたコロニー落としの原因が自分だと思っているからだろう。
「それはそうと……アクセル、また違う女を連れてるのかよ? そっちの姉ちゃんもアクセルの恋人なのか?」
「なぁっ!?」
突然話題を変えるガロードに、明日菜は驚きの声を出す。
だが、そんな明日菜の様子を見て、ガロードは疑問の表情を浮かべる。
「何だよ、違うのか? そっちの姉ちゃんとアクセルはお似合いだと思うけど」
「あ、あななななな……貴方ねぇっ! そういうのに興味を持つのはまだ早いわよ!」
そう叫ぶ明日菜だったが、ガロードは15歳。
俺がネギま世界に初めて行った時の明日菜達と同じ年齢だ。
そう考えれば、そういうのに興味を持つのが早いとは思えないんだが。
そもそも15歳の頃の明日菜は、高畑に夢中でまさにそういう恋愛にまっしぐらだっただろうに。
「えー、別にそういうのに早いってないと思うけど」
明日菜に対して不満そうな様子のガロード。
ガロードにはティファがいる以上、恋愛とかが早いと言われるとそれを受け入れるような真似は出来ないのだろう。
「明日菜、自爆してるって気が付いてるか?」
「え? ……何でよ?」
「いや、自分で気が付いてないのなら別にいい。俺からはこれ以上言う事はないから気にするな」
そう言うと、明日菜は不満そうな様子で黙り込む。
自分に何かミスがあったのかと、そんな風に考えているのだろう。
「とにかく、せっかくホワイトスターに来たんだ。この公園の中にいるにしても、公園の中を色々と見て回ったらどうだ? そうすれば結構面白い事があったりするかもしれないぞ?」
この公園はエルフ達の影響か、かなり自然豊かな公園だ。
……そのうち、公園は公園でも自然公園になってしまうとか、そういう感じで。
そうなったらなったで、それなりに面白いんだろうけど。
「え? うーん、そうだな。いつまでもこうしていてもしょうがないし、ちょっと見てみるか」
よっと。
そう言いながらガロードが座っていたベンチから立ち上がる。
クレープを食べ、俺達と話をしたことでガロードも幾らか気分転換が出来たのだろう。
その気分転換の結果、明日菜が不機嫌そうになったが。
明日菜とガロードの相性は結構悪いのかもしれないな。
「なぁ、アクセル。この公園のお勧めってなんだ?」
「何だと言われてもな。……特にこれといったようなのはないぞ」
ある意味ではエルフが一番の名物ではある。
だが、ガロードにとってエルフは耳が尖っているので珍しいとは思っても、その程度の思いしかない。
これが小さい頃に映画とか小説とか漫画とかアニメとか、そういうのを楽しんできたのなら、ファンタジー系の作品でエルフを見る事もあって、エルフを見ただけで驚くだろうが。
実際、ジャミルはエルフを見て驚いていたようだし。
ジャミルは15年前の戦争の時はまだ若かったが、それでもそういう映画とかを見る機会はあったのだろう。
「ゴーヤクレープが有名よ。クレープ屋に行って、食べてみたらどう? ゴーヤクレープは色々な世界で売ってるから、それだけ人気はあるんでしょうし」
「え? そうなの? ふーん、ゴーヤクレープか。なら、ちょっとそれを食べてみるかな。このクレープは美味かったし」
そう言い、立ち去るガロード。
そんなガロードの背中を、明日菜は満足そうな表情で見送っていた。
「って、おい、明日菜。お前本気か? ゴーヤクレープを勧めるなんて」
「あら、私は別に間違った事は言ってないとおもうけど?」
ふふん。
そんな様子で笑みを浮かべる明日菜。
……まぁ、そうだな。確かに嘘は言っていない。
ゴーヤクレープが――なんでそこまで繁盛してるのかは分からないが――色々な世界で売られているのは間違いないし、そういう意味では人気があるという表現も間違ってはいないだろう。
味に関しては、美味いとも不味いとも言っていない。
そういう意味では、嘘は言っていない。言っていないのだが……
「あの明日菜がこんな真似を出来るようになってるとはな」
「ちょっと、どういう意味かしら?」
俺の言葉に、明日菜は嬉しそうな様子から一転して不満そうな表情を浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761