政府再建委員会の説明について、エニルは厳しい表情を浮かべている。
旧連邦軍の生き残りが新連邦を作ろうとしていることに色々と思うところがあるのだろう。
それは俺にも理解出来る。
……俺はこのX世界の出身という訳でもないので、本当の意味で気持ちが分かるとは言えないのが残念なところだが。
そしてエニル以外に、食堂で俺の話をこっそりと聞いていた者達も黙り込んでいる。
最初は俺とエニルの側のテーブルで食事をしていたバルチャー達が、少しでも何らかの情報を欲していたのだが……そういう連中が、俺の説明を聞いて1人、また1人といったように黙り込んでいき、最終的には俺とエニルの側のテーブルの多くは沈黙する事になったのだ。
それだけ政府再建委員会の件は大きかったのだろう。
「そう。政府再建委員会に新連邦ね。……厄介な真似をしてくれるわね」
不満そうな様子を見せるエニル。
「それは俺も同感だ。とはいえ、そういう大きな動きがない限りだと、群雄割拠といった状態になりやすいのも事実だ」
これがゲーム……それもSLG系のゲームなら群雄割拠といった状態はそれなりに面白いと思う。
だが、これは現実だ。
このX世界で暮らしている者にしてみれば、ある意味で新連邦のような巨大な勢力というのは、悪くないと思う者もいるだろう。
もっとも、新連邦がどういう政策をやるかにもよるのだが。
特に新連邦を作ろうとしている者達は、地位や権力を求めての行動らしいし、そうなるとどういう風になるのかは何となく予想出来てしまう。
いわゆる、圧政だろう。
W世界やUC世界において、地球がコロニーから搾取や弾圧をしたように。
SEED世界も……まぁ、ぶっちゃけた話、地球とコーディネイターだとコーディネイターの方が正しいと思う。
とはいえ、パトリックがジェネシスで地球を殲滅したりしそうになったのとかはちょっとやりすぎだとは思うが。
「群雄割拠ね。もしかしたら、その方が大きな戦争が起きないという意味ではいいかもしれないけど」
「それはそれでありかもしれないが、同時に大きな勢力じゃないから大規模なインフラ整備とか、あちこちに存在する盗賊のバルチャーとかが好き放題出来るようになってるんだけどな」
そう言ったものの、実際には完全に好き放題に出来ているという訳ではない。
盗賊のバルチャーの被害に遭っている街や村がバルチャーに討伐依頼を出したりする事もあるし、そういうのがなくても腕に自信のあるバルチャーやMS乗りなら盗賊のバルチャーを倒してMSとか貯め込んだお宝を入手したりといった真似が出来る。
そういう意味では、盗賊のバルチャーも好き勝手にやるといった真似はそう簡単には出来ないのだ。
実際、俺もフリーのMS乗りとして活動している時に、何度も盗賊のバルチャーと戦っていたし。
俺やエニル、他にも腕の立つMS乗りやバルチャーにしてみれば、盗賊のバルチャーというのは美味しい相手だ。
俺がサン・アンジェロ市で依頼料が安くても仕事を引き受けていたのは、そっちで金を稼げるからというのも大きかったし。
だが、それはあくまでも腕の立つ者達にとっての話で、それ以外の者達……それこそ普通の村人とかにしてみれば、盗賊のバルチャーというのは非常に厄介な相手なのだ。
そういう村人と腕の立つMS乗りやバルチャー。
どちらの方が多いのかと言われれば、当然ながらそれは前者だ。
全体の事を考えれば、大きな国がその辺の対処をした方がいいのは間違いない。
まぁ、新連邦が統治した場合、盗賊のバルチャーが新連邦に変わるだけというのも決して言いすぎではないだろうが。
だからこそ、新連邦ではなくてジャミルをトップに置いた連邦国を作る必要があった。
ジャミルなら、そこまで酷い搾取をしたりはしないだろうし。
基本的に搾取や略奪というのは、一時的、あるいは短期的になら利益は出るかもしれないが、長期的に見た場合はマイナスとなる事が多い。
中には非常に上手くやる事で最終的にプラスにするといった者もいるかもしれないが。
「とにかく、話は分かったわ。……考えてみれば、いつまでも今のような状況が続く筈がないものね」
エニルの言う今の状況というのは、バルチャーが活発に活動している現在の状況を言ってるのだろう。
……寧ろ俺としては、戦後15年もの間ずっとバルチャーが活動している状態だったのが驚きだが。
とはいえ、人口の99%が死んでしまった世界である以上、そう簡単に復興してバルチャーとかがいなくてもいいような、次の段階に向かうといった事は難しいのだろう。
この辺、UC世界での1年戦争の方が遙かにマシだったな。
1年戦争においては、最終的に結構な数の死人が出たが、それでも人口の99%とかとんでもない数でないのは間違いない。
「そうだな。いつまでも今のような状況だと、色々とやりにくいのも間違いない。新連邦に対抗する為にも、そして何より少しでも人口を多くする為にも、しっかりと対処していく必要があるのは間違いない」
人口の99%が減ったこの世界には、他の世界から移住してくる奴がいるのなら、俺としてはそれで構わないと思っている。
その結果として、この世界の人間の割合よりも他の世界から移住してきた者の割合が多くなったとしても、それはそれだろう。
この世界特有の文化や技術が侵略される……という問題もあるが、それこそ人口の99%が死んでしまったこのX世界で伝統や文化、技術の類が戦前と同じように伝わっているかと言われれば、微妙なところだろう。
クリスマスとかそういう世界的に有名なイベントなら話は別だが。
ただ、門世界のような例外を除き、基本的にホワイトスターが繋がっているのは地球だ。マクロス世界は……うん。まぁ、起源が地球だという事で問題はないだろう。
そんな訳で、クリスマスのような大規模なイベントについては、他の世界であっても存在するので、X世界だからどうこうといった感じにはならないと思う。
あくまでそう思うのであって、実際に試してみないと何とも言えないのだが。
「そうね。人口の問題は大きいと思うわ。……さて、取りあえず私のやるべき事はやったし、そろそろ失礼するわね」
そうエニルが言ったのは、食堂の入り口にトニヤの姿があったからだろう。
周囲を見ている様子からは、トニヤが食事の為に食堂に来たのではなく、誰かを捜しにやって来たのは明らかだ。
そしてトニヤの性格を考えれば、誰を捜しにきたのかというのは容易に想像出来る。
俺の予想を示すように、汁なし担々麺の食器を手に立ち上がったエニルを見て、トニヤは笑みを浮かべて手を振っていた。
ちなみにこの食堂は客の数が多い為に、食事を終えた客が自分で食器を片付けるといったシステムとなっている。
とはいえ、バルチャーの中にはそんなのは面倒だと食事が終わっても食器を片付けない者もいるが、そういう者は数回の忠告を受けた後でも食器を片付けない場合は、食堂を利用出来なくなる。
当然ながら食堂を利用出来ないと言われれば、バルチャーは納得出来ないと暴れる奴もいるかもしれないが、この世界のバルチャーはあくまでもMSがあってこそだ。
ある程度戦闘に慣れているとしても、それは一般的な戦闘でしかない。
そのような者達が、量産型Wやコバッタを相手にどうにか出来る筈もなく、あっさりと取り押さえられたり、追い出されたりするだろう。
実際、何人かのバルチャーはそんな風になっていると聞いているし、それによってバルチャー達も大人しく食器を片付けるようになっている。
まぁ、基地に来たばかりのバルチャーの中には、そんなのは知った事ではないと暴れて取り押さえられるような者もいるが。
エニルは食器を片付けると、トニヤのいる方に向かう。
それを見送り、俺もどこかに行くか……と考えたところで、不意に声を掛けられる。
「おう、アクセル。ちょっといいか?」
馴れ馴れしい声。
ただ、俺はその声の持ち主に覚えがあったので、特に不満は抱かなかった。
このX世界でフリーのMS乗りとして活動する上で、恩人的な存在だったのだから。
「ロッソ、お前もこの基地に来てたのか」
そう、俺に声を掛けてきたのは、男臭いというか、むさ苦しいというか……まぁ、そんな感じの外見をしているロッソだった。
俺がサン・アンジェロ市においてフリーのMS乗りとして活動する際、後ろ盾のような存在になってくれたり、フリーデンを助けに行く時に俺を誘ってくれたりした相手。
バルチャーの中では一目置かれているジャミルですら、敬語で話す相手。
「ああ、今この基地で買えるMSってのは、性能がいいって話だしな」
そう言って笑うロッソだったが、実際には特に性能が高いという訳ではない。
ただ、現在バルチャー達が使っているMSというのは、壊れたり廃棄されていたMSを修理したような機体だ。
あるいは基地で見つけたとしても、それは何だかんだで15年以上前の機体となる。
そういう意味では、この基地で生産されたMSは本当の意味で新品となる。
ただ、新品だからといって全てが高性能という訳でもない。
部品によっては、中古の相応に使い込まれた物の方が性能が高かったりする物もある。
その辺をどう考えるのかは人それぞれだが、ロッソの部下ならそういう部品はきちんと中古の物を使って最善の選択とするだろう。
「そう言って貰えると、俺としても嬉しいな。新品のMSは出来るだけ用意してあるから、好きなMSを買っていってくれ。俺達の基地があれば、別に部品の多さに拘る必要もないだろう?」
ロッソの艦ではジェニスを使っている。
ジェニスは宇宙革命軍の中でも一番多く作られたMSで、UC世界のザク的な存在だ。
何故わざわざそんなに性能の低いMSを使っているのか。
それは、MSがダメージを受けたり故障したりした時、それだけ予備部品が多いからだ。
俺のようにシャドウミラーのバックアップといった後ろ盾は、ロッソにはない。
そうである以上、オクト・エイプのような高性能な量産型MSを入手しても、ダメージを受けたり故障で部品が足りなくなって動けなくなるといった可能性は十分にあった。
今までは新品のMSを売る……それも限定して何機とかではなく、欲しいだけ売ったり、部品単位で売ったりといったような事をする者がいなかったので、ロッソもそのようにしていたのだろう。
だが、この基地が存在している以上、部品の事を考えてジェニスだけに拘る必要はなくなった。
「そうだな。オクト・エイプに乗ってもいいかもしれねえとは思ってる。アクセルが乗っていたのを見る限り、性能は高そうに見えたし……何より、空を飛べるというのがいい」
「少し高いが、性能については問題ないな。……それで? 俺に声を掛けたのは、別に世間話をしたいと思ったからとか、そういうのじゃないんだろ?」
「ああ、そうだ。さっきの女……エニルとの話は聞かせて貰った。正確には、俺の部下が聞いて急いで俺を呼びに来たんだがな」
どうやらエニルとの会話をしている時、それを盗み聞きしていた近くのテーブルの中に、ロッソの部下がいたらしい。
ロッソの部下なら、もしかしたら俺と顔見知りだった可能性もあるが……さっきはエニルとの会話に集中していたので、それに気が付かなくてもおかしくはない。
それにロッソの部下は何だかんだと多い。
それだけ部下に慕われているという事だが。
さすがにそのような連中の顔を全て覚えるといった訳にはいかなかった。
「そうか。それでエニルとの話というのは、具体的に何についてだ?」
エニルとの話と一口で言っても、そこには色々とあった。
エニルがテンザン級に乗ると改めて俺に報告した事や、政府再建委員会の諸々、新連邦に対抗する為に連邦国家を作ろうとしている事。
……まさか、汁なし担々麺の件とかは言わないと思うが。
「色々とあるが、政府再建委員会やアクセルが作ろうとしているという連邦国家についてだな。ちなみにそれに興味があるのは俺だけじゃねえ。他にも何人も同じように思っている奴がいる」
そう言うロッソの言葉に、近くにいた男が口を開く。
「そうだ、政府再建委員会とか何とか、俺はそういう情報を全く知らなかったんだ。そんな連中と戦うとなったら、こっちもどうするか決める必要がある!」
その一言を切っ掛けに、多くの者……それこそ俺のテーブルの近くにいる者だけではなく、食堂にいる大半の連中がそれに同意する様子を見せる。
こうなると、下手に情報を隠さない方がいい。
それにエニルとの会話でそうだったように、別に極秘裏に話を進めてるって訳でもない。
そうである以上、政府再建委員会についてや、連邦国家を作ろうとしている件については話した方がいい。
この基地に来る事が出来たというだけで、ここにいる連中はそれなりに信頼出来る者達だ。
勿論、全員を確実に信頼出来るという訳じゃないし、場合によっては政府再建委員会側に味方をする奴もいるかもしれないが。
それならそれで構わないと、俺は口を開くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761