ルチルがベルフェゴールを動かしてから30分程。
それだけの間で十分に満足したのか、ベルフェゴールから降りたルチルは上機嫌で俺の方にやってくる。
「アクセル、あのベルフェゴールは使いやすいと思ったわ。高機動型GXにもまだ乗ってないから何とも言えないけど、よっぽどの事がない限り、私はベルフェゴールに乗りたいと思う。構わないかしら?」
「ああ、構わない。こっちも戦力が増えるのは嬉しいしな。ただ、ベルフェゴールは他の予備機がない。つまり、あれだけだ。……まぁ、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、ゾンダーエプタに政府再建委員会が所有するかもしれないベルフェゴールがあるかもしれないけど、そっちはあまり期待出来ないしな」
「それはつまり、機体に損傷がないように乗れという事かしら? 勿論、そういう風にするつもりだけど」
そんなルチルの言葉に、俺は首を横に振る。
「違う。……いやまぁ、ベルフェゴールを大事に乗って貰うのはこっちとしてもそう思ってるが、基本的な予備部品の類ならそれなりにこっちで作る事も出来るし」
装甲材とかはちょっと難しいが、内部の部品とかならホワイトスター側で普通に用意出来る。
勿論、フラッシュシステムが壊れるという事になると、ちょっと難しいが。
「そういう意味じゃなくて、ベルフェゴールはシャドウミラーの技術班が保存しているMSだ。つまり、このMSはルチルに譲渡するんじゃなくて、あくまでも貸し出すという形になる」
「ああ、そういう事。それは別に構わないわよ。さすがにベルフェゴールを欲しいとは……まぁ、言わないし」
最後に言葉を濁すルチル。
恐らくだが、性能に関しては十分に満足してるのだろう。
ホワイトスターの中なので、ベルフェゴールの武器の全てを試してみるといった訳にはいかなかったが、それでも色々と試してはいた。
そういう意味で、ルチルの操縦能力ならベルフェゴールの性能は十分に発揮出来るものの……性能だけを重視した結果、ベルフェゴールの外見はとてもではないはスマートなものではなくなってしまっている。
そうである以上、性能としては十分に満足しているが、愛着を持てるかと言われれば……正直、微妙なところだろう。
普通、性能を重視した存在というのは、いわゆる機能美とでも呼ぶべき外見を持っている事が多いのだが、ベルフェゴールはとてもそのようには思えない。
もっとも、その辺りはあくまでも個人によって変わってくるので、俺が機能美と呼べないと思っているだけで、人によっては十分に機能美と呼んでもおかしくはないのかもしれないが。
「アクセルとルチルの意見が合ったようで何よりだ。これで面倒なことにはならないだろう」
俺とルチルの会話を聞いていたコーネリアは、満足そうにそう言う。
コーネリアにしてみれば、ここでルチルがベルフェゴールを自分の物にしたいといったように主張した場合、面倒な事になると思っていたのだろう。
しかし、ルチルはそうしなかった。
純粋に性能という点ではベルフェゴールを認めているようだったが、だからといって欲しいかと言われれば、そうでもなかったのだろう。
もっとも、ルチルはテンザン級に乗る事になってはいるが、MS乗りになるかどうかというのは、まだ決まっていない。
今回こうしてベルフェゴールに乗るのは、あくまでも次に俺達が攻めるのがゾンダーエプタという、政府再建委員会の中でも後ろ暗いところの多い諜報部の本拠地だからだろう。
つまり、そこにはルチルをコーティングしてLシステムに組み込んだ人物の生き残りがいる可能性もあった。
個人的には、その人物がそこにいる可能性は、決して高くないと思うんだが。
そもそもの話、15年前の戦争で人口の99%が死んでしまっている以上、ルチルをコーティングしてLシステムに組み込んだ奴も普通に死んでいてもおかしくはない。
それでもルチルにしてみれば、女として自分の身体を好き勝手に弄った相手を許す事が出来なかったのだろう。
「そうね。アクセルには色々と……本当に色々と感謝をしてるわ。そういう意味では、アクセルに迷惑を掛けるような事がないのは嬉しいわね」
そう言い、笑みを浮かべるルチル。
本来なら精神崩壊を起こした状態で海底にいたままだったルチルだが、白いイルカが俺達を導き、ルチルの眠っている海域に案内した。
そして俺がルチルの眠っていた軍艦を発見し……それに触れた事によって、ルチルは普通に動けるようになったのだ。
いやまぁ、ティファに憑依するのを普通と表現してもいいのかどうかは微妙だが。
「ルチルが協力してくれるのなら、多少力を貸したくらいの事を気にする必要はないと思うけどな」
それはお世辞でも何でもなく、純粋に俺がそう思った事だ。
ルチルもニュータイプ能力か、あるいは女の勘でそれを理解したのだろう。
心の底から嬉しそうな笑みを浮かべていた。
「ありがとう。そう言ってくれると頑張る気になるわ」
「コホン。何だか良い雰囲気のところ悪いが、私がいるのも忘れないで欲しいのだが」
コーネリアのその言葉に、俺とルチルは揃ってそちらに視線を向ける。
別に良い雰囲気とか、そういう事はなかったと思うんだが。
俺はそんな風に思ったのだが、ルチルは違ったのか、慌てたように口を開く。
「そ、そんな事はないわ。そもそもアクセルの恋人の貴方にこういう風に言うのはどうかと思うけど、私はアクセルみたいな女好きは別に好きじゃないんだから。あ、勿論色々と感謝してるのは間違いないわよ? もしアクセルがいなかったら、今も私は海の底にいたか……あるいは政府再建委員会にいいように使われていた筈だもの」
ルチルの言葉に思わず突っ込みたくなるものの……恋人が10人以上いて、毎晩のようにその身体を貪ってる身としては何とも言えない。
おまけに、シーマを始めとした仮の恋人達も追加で4人いるし。
……これで実は自分が女好きではないとか、そんな風に言っても説得力があるとは到底思えなかった。
そしてルチルにしてみれば、俺に感謝をしてはいるが、そういう対象として見る事は出来ないのだろう。
言ってみればルチルは俺に好意を抱いているのは間違いないのだろうが、それはあくまでも友人や恩人に対する好意で、男女間の好意ではないといったところか。
明日菜と同じような感じの好意なのだろう。
「ふむ、ルチルがそう言うのなら、私はそれで構わん。だが……時には自分の心に正直になる事も必要だぞ?」
「素直になったから、こういう風にしてるのよ。……はぁ、それはともかく、ベルフェゴールの件は取りあえずこれでいいわよね? MSの方はどうやってテンザン級に運ぶの?」
何だか無理矢理話を誤魔化したように思えるんだが、気のせいという事にしておこう。
この件に関して話を続ければ、それは最終的に俺にとっても色々と問題になるような気がしてきたし。
なら、その件についてはこれ以上突っ込むような事はせず、流しておいた方がいい。
「ベルフェゴールなら心配するな。俺が空間倉庫で収納してテンザン級まで持っていくから。後はルチルが基地に戻れば、それでいい」
「じゃあ、任せるわね。……そうそう、X世界においてアクセル達の拠点の基地だけど、いつまでも基地という呼び名はどうかと思うわよ? 基地だけだと、他の基地と混同したりもするし。なら、しっかりと分かる名前をつけておいた方がいいわ」
「名前か。それについては色々と考えてはいるんだけどな」
ジャミルを国の代表……それが大統領か首相か、それとも他の名称なのかは分からないが、とにかくジャミルを中心にした連邦国を作ろうとしている以上、間違いなく俺達の基地はその中心となる。
現在ではX世界に数少ないMSの生産施設を有しており、旧連邦軍だけではなく宇宙革命軍のMSも……それどころか、新連邦軍のドートレス・ネオや高機動型GXのような独自のMSを生産する事も出来るのだ。
また、基地は地下に大きく広がっており、UC世界のジャブローと近い存在になっている。
もっとも、ジャブローと比べるとかなり規模は小さいが。
そのような基地を有している以上、連邦国の中でも中心的な存在となるのは間違いなかった。
そんな基地の名前が特になく、基地としか呼んでいないのは色々と不都合があるのは間違いないだろう。
ただし、すぐに基地の名称を考えろと言われても、少し難しい。
「いっそ、皆から色々と募集してみたらどう?」
「そうだな。シャドウミラーの基地である以上、基地の名前を考えるのはシャドウミラー全員で考えた方がいいか」
別に自分で考えるような真似をせず、誰かシャドウミラーの面々から募集すればいい。
それなら俺だけが考える必要もないし。
「ふむ、基地の名前を募集するのか。それはかなり面白そうだな。分かった。私が他の者達に話を通そう」
「いいのか?」
まさかコーネリアがこうも積極的に賛成してくるとは思わなかった。
コーネリアの性格を考えれば、反対をするような真似はしないものの、自分から積極的に話に乗ってくるというのは思わなかったのだ。
何だかんだと、コーネリアもシャドウミラーに参加してから結構な時間が経っている。
そうである以上、コーネリアも性格が変わった……もしくはシャドウミラーに毒されてきてもおかしくはないんだろう。
「うむ。たまにはこのような事もいいだろう。X世界は現在アクセルが行動している世界である以上、基地の名前を考えるのは悪くない話だ」
そんな感じでコーネリアが言うのを聞いていると、ルチルが不思議そうに尋ねる。
「シャドウミラーというのは、色々と変わった組織みたいね」
「それは否定しない。まぁ、シャドウミラーというのは元々が特殊な国だ。そうである以上、こういう事をしてもおかしくはないだろう」
元々シャドウミラーというのは、国ではなく特殊部隊だった。
そんな中で何だかんだと成り行きで国として成立するようになったというのが正しい。
それだけに、普通の国と違うのは間違いない。
だが、ホワイトスターという世界の狭間に存在する国であり、ホワイトスターを中心に様々な世界と繋がっている。
そのような特異な国である以上、一般的な国と同じような国にするのはそれはそれで問題があるだろう。
それを抜きにしても、シャドウミラーは決して人の数が多くない。
それこそエルフを含めても、大きな村くらいといった感じの人数だけだ。
量産型Wやコバッタ、バッタ、メギロート、イルメヤ……そんな感じの無人機――量産型Wは人造人間だが――が多数の労働力を占めている。
本当に色々な意味で特殊な国なのは間違いないし、俺はそれで十分に満足している。
下手に人数を増やすと、それこそ内部で権力争いとかそういうのをやるようになるし。
元々、人間というのは3人集めれば派閥が出来ると言われている。
そういう意味でも、一度に数人くらい増やすのはともかく、一気に数百人増やすといった事は全く考えていなかった。
あ、でも政治班からそういう主張が来て、それが俺の納得出来るものなら、受け入れる可能性もあるだろうけど。
「ふーん。……やっぱりシャドウミラーってちょっと面白いわね」
感心したかのように、ルチルが呟く。
今の一連の会話の中で、具体的にどこが面白かったのか。
あるいはX世界の旧連邦について思うところがあるからこそ、そんな風に言ってくるのかもしれないが。
俺としては、正直なところその辺はどうでもいい……といった訳ではないが、ルチルがシャドウミラーに好印象を抱いてくれるのは大歓迎だ。
もしかしたらX世界での原作……恐らく新連邦との戦いが終わった後で、ルチルがシャドウミラーに所属するといったような事になる可能性も十分にあるのだから。
「ルチルがそう思ってくれるのなら、シャドウミラーを率いる者として嬉しいけどな」
そう言うと、何故かルチルが困った様子を見せる。
何故そんな風になっているのかは、生憎と俺は分からない。
だが、それを見たコーネリアは笑みを浮かべて口を開く。
「ふむ、やはりこれは……」
「だから、違うってば」
コーネリアの言葉に慌てたように言うルチル。
何だかコーネリアの対応がいつもと違うな。
多分、シャドウミラーに相応しいとかそういうの以前に、単純にルチルの事が気に入ったとか、そういう感じなんだろう。
コーネリアは面倒見がいいというのも影響してるのかもしれないが。
「とにかく、基地の件はこれで決まりだな」
このままだと不味そうだったので、無理矢理話を元に戻す。
「そうだな。そのように知らせておこう。……ちなみにだが、募集した内容で採用された者には何らかの褒美があってもいいと思わないか?」
「褒美? 具体的には何が?」
「例えば、アクセルが何か願いを聞くとか」
俺が願いを?
そう考え、そんなに悪い話ではないのか? と判断して頷く。
「分かった、それでもいい。ただし、あくまでも俺に出来る範囲内でだぞ」
こうして、シャドウミラーの中で基地の名称を募集する事になったのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761