空中を何機もの高機動型GXが飛び回り、ビームライフルを撃つ光景が見える。
ビームライフルの銃口が向けられた瞬間……いや、向けられると判断すると狙われている方は即座にスラスターを全開にして、その場から離れていく。
模擬戦用に調整されているビームは一瞬前まで標的のいた場所を通りすぎていく。
「アクセル、ルチルが動いたわよ」
ミナトの言葉に、今まで見ていたのとは別の映像モニタに視線を向ける。
するとそこでは、ミナトの言う通りルチルの操縦するベルフェゴールが高機動型GXに向かって突っ込んでいき……だが、不意にスラスターを使ってその場から離れる。
一瞬後、ベルフェゴールのいた空間をエスペランサの放ったビーム砲が貫いていった。
「こうして見てみると、全員があっという間に自分の機体を乗りこなせるようになったな」
模擬戦の様子を見ながら、そんな風に思う。
セインズアイランドから十分離れて、新しい機体の操縦訓練を始めてから1時間程。
今は操縦訓練を終えて、模擬戦を行っていた。
ただし、模擬戦を行っているはテンザン級のMS部隊――MAも含む――だ。
フリーデンの方からは、まだ出て来ない。
「GXとエアマスターは?」
「まだね。でもそろそろ出て来てもいい筈だと思うけど」
マリューがそう言う。
俺もマリューも、そしてミナトも、レオパルドの名前を出すような事はない。
地上での戦闘用のレオパルドは、空中での戦闘がメインとなっているこの状況では模擬戦に参加出来ないのだから。
あ、でもキッドがレオパルドを水中でも使えるように改修するって言ってたな。
そう考えれば、近いうちに模擬戦にレオパルドが参戦する可能性もある。
「取りあえずゾンダーエプタまではそれなりに時間が掛かるし、模擬戦をしながらある程度の速度で進むとするか」
そう告げながら、俺はフリーデンから出撃してきたGXとエアマスターを眺めるのだった。
セインズアイランドを出てから数日……捕虜から聞いた座標を考えると、もう1日か2日くらいでゾンダーエプタに到着してもおかしくはない頃合いだった。
そんな中で、今日も今日とて模擬戦が行われていた。
ただし……
「っと、こっちを狙うのはいいけど、狙いが甘いな。ディバイダーの拡散ビーム砲は纏めて複数の相手を攻撃するのは向いてるけど、1人を……それも腕利きを狙うのには向いてない」
最後に残ったガロードのGXが発射したディバイダーの攻撃を回避しつつ、クローアーム砲を撃って、それがGXに命中して模擬戦は終了するのだった。
「惜しかったな。この面子で最後まで生き残ったのは以前と比べて明らかに成長してると思う。ただ、最後に俺とガロードだけが残った状態だと、対処出来ないのは痛いな」
『くそっ、分かってるよ』
ヴァサーゴの映像モニタに表示されたガロードが、悔しそうに呟く。
レオパルド以外でMSとMAと3つの勢力に分けての三つ巴戦だったんだが、何をどう間違ったのか、ガロードが最後まで残った。
ガロードにしてみれば、こういう風になるのを狙ったのではなく、必死になって動きまくっていた結果、自然と今回のような流れになったらしい。
そうして生き残れるようになっただけで、以前と比べて明らかに操縦技術は上がっている。
本人にその自覚があるかどうかは、別の話だったが。
「なら、次は自分だけが生き残るんじゃなくて……」
『アクセル、救難信号を察知したわ。どうやら漁船みたい』
「……何?」
俺がガロードと話していると、不意にマリューからそんな通信が入る。
けど、救難信号? この状況で救難信号って事は、もしかして……
「俺達の模擬戦の影響か?」
模擬戦においては、実弾はペイント弾を使っているし、ビームも模擬戦用に出力を最低近くまで落としている。
だが、それはあくまでもMSやMAに命中するというのが前提の模擬戦だ。
そうである以上、もしビームやペイント弾が救難信号を発している漁船に命中したりすれば、沈むという事はないだろうが、ある程度のダメージを受けてもおかしくはない。
もしそうだとすれば、この救難信号を無視するような真似は出来なかった。
海のど真ん中である以上、俺達の模擬戦が原因であるかどうかは別として、それを無視するといった事はそもそも出来ないだろうが。
『分からないわ。ただ、この状況で救難信号を無視する訳にもいかないでしょう?』
「だろうな。テンザン級に戻るから、救難信号を発した漁船がいる方に向かってくれ。……って訳だ。ガロード、話は聞いていたな? お前もフリーデンに戻れ」
『おう、分かった。……けど、今回の件……本当に俺達が原因だったりすると不味くないか?』
「不味いだろうな。だからこそ、俺達は少しでも早くそっちに向かう必要がある」
そう言うと、ガロードは真剣な表情になってフリーデンに向かう。
GXの後ろ姿を一瞥してから、俺もまたテンザン級に戻るのだった。
「アクセル、ちょっと不味いかもしれないね。もし模擬戦が原因だったら……」
ヴァサーゴから降りると、シーマがやって来てそう言ってくる。
シーマがそう言ってきたのも分かる。
もしこの件が広まった場合、テンザン級とフリーデンが……というよりも、具体的には連邦国の象徴として祭り上げるつもりのジャミルの評判に傷が付く可能性があるのだ。
「その辺は、そうだな。最悪船を弁償して、それ以外に賠償金や口止め料諸々としてMSの1機でも渡せばいいか」
「漁船だよ? MSは……ああ、でもドーシートのような水中用MSなら漁にも使えるかもしれないね」
「ドーザだったか。あいつもイルカ漁にドーシートを使っていたし」
そう言えば、あの白いイルカはどうなったんだろうな。
俺達をルチルの乗っていた軍艦の場所まで案内してから、離れるように言ってそれっきりだ。
白いイルカはニュータイプなんだし、何かあっても大抵の事なら切り抜けられると思うんだが。
けど……もし何か自分の手に負えないような事があれば、白いイルカならニュータイプ能力を使って俺に会いにくるだろうし、そこまで気にする必要もないか。
「じゃあ、そういう方針で?」
「そうなる。ついでにゾンダーエプタとかの情報を……」
「アクセル、ちょっといい?」
シーマと会話をしていると、不意にクスコが会話に割り込んでくる。
クスコの隣にはマリオンもいて、真剣な表情を浮かべていた。
「クスコ? マリオンも? どうした?」
「今回の件、何だか嫌な予感がするのよ。これが私だけなら、もしかしたら気のせいかもしれないと思ったんだけど」
そう言いながら、クスコは自分の桃色の髪に触れる。
クスコにとって自分の自慢とも言える桃色の髪。
それにこうして触れているのは、何かあるという事なのだろう。
「私だけじゃなくて、マリオンも嫌な予感がすると言ってるわ。私とマリオン……ニュータイプの2人がそういう風に思ってるって事は……」
「つまり、これが何かの罠だと?」
そう言いながらも、納得は出来る。
もう少しでゾンダーエプタに到着するといった場所で、漁船からの救難信号があったのだ。
模擬戦をやっていた事もあって、それが原因ではないかと思っていたのだが。
「ちょっと待っててくれ。マリューに連絡をしてみる」
そう言い、格納庫に備え付けられている通信機を使ってブリッジに通信を送る。
するとすぐ映像モニタにマリューの顔が表示される。
『ちょうどよかったわ。フリーデンから連絡があって、どうやら漁船に乗ってる相手はこっちを罠に掛けようとしているみたいよ』
「は?」
マリューが真っ先に言ってきたその内容は、それこそ俺が聞こうとした内容だったのだから。
『ティファが感じたのよ』
「なるほど。フリーデンの方でも感じたとなると、どうやら間違いないな。こっちでもクスコとマリオンが漁船の件で揃って嫌な予感がしたらしい」
クスコとマリオンが嫌な予感だったのに対し、ティファがしっかりと罠だと判断したのは、UC世界とX世界のニュータイプの違いなのか、純粋にニュータイプとしてティファがクスコやマリオンよりも上なのか。
その辺は生憎と俺にも分からないが、何となく後者なような気がするな。
『ニュータイプが揃って反応しているという事は、恐らく……いや、ほぼ間違いなく今回の件は罠でしょうね。それでフリーデンの方からは、この機会に敵を捕らえて情報を引き出したいという事だけど、どうかしら?』
フリーデンの面々にしてみれば、セインズアイランドで俺が捕虜を尋問した事によって情報を入手出来たのが強く印象に残っているのだろう。
とはいえ、捕虜にしても情報を奪えるかというのは、少し難しいんじゃないか?
セインズアイランドでの捕虜は、MSパイロットだった。
つまり、生身の戦いに関してはそこまでしっかりと訓練はされていなかった。
それに対し、今回は漁船に乗っている相手……つまり、生身だ。
MSパイロットと違って、しっかりと生身の兵士として鍛えられている可能性が高い。
具体的には、拷問とかに対する訓練とか。
これが罠だとすれば、その罠を仕掛けてきたのはゾンダーエプタ。つまり、政府再建委員会の中でも諜報部の連中となる。
だとすれば、余計に拷問とか尋問とかその辺に対するノウハウを持っていてもおかしくはない。
旧連邦軍を引き継いでいるのなら、余計に。
とはいえ、それはあくまでも普通の相手……それこそ、このX世界の相手を想定した訓練だろう。
だとすれば、セインズアイランドで尋問した時のように、刈り取る者を召喚したりすれば、もしかしたら……
「考えは分かった。そうなると、漁船はフリーデンじゃなくてこっちで収容した方がいいだろうな。幸い、テンザン級の方がフリーデンよりも大きいから、向こうもそれに関しては文句はいえない筈だ」
『けど、大丈夫? 格納庫はMSとMAで一杯でしょう? そうなれば、漁船を収容出来ないという事でフリーデンの方に……とか、そんな風になってもおかしくないんじゃない?』
「いざとなったら、何機かのMSは俺が空間倉庫に収納する」
こういう時、空間倉庫というのはもの凄い便利だよな。
それでも全てを空間倉庫に収納するといった真似をするのは、難しいのだが。
いや、出来るかどうかと言われれば普通に出来るのだが、そうすると出撃する度に空間倉庫から全ての機体を出すとかしないといけないし。
機体の調整をする時も毎回俺が空間倉庫で出し入れする必要があるのだ。
そういう意味では、空間倉庫に全ての機体を入れるというのは止めた方がいいのだろう。
『そう? じゃあ、漁船はこっちに収納するように連絡をするから。後は、どこかの部屋で休んで貰う事にして、そのまま閉じ込めればいいでしょう?』
「そうしてくれ。幸い、テンザン級の部屋は空いている場所がかなり多いし」
相手を嵌めるというのは、フリーデンでやるよりもテンザン級の方が向いている。
フリーデンのクルーはジャミルの部下だけあって性格的には問題ないし、能力も高いのが揃っているものの、生身での戦闘となると……他の平和な世界の一般人と比べれば遙かに向いているんだろうが、それでもテンザン級に乗っているシャドウミラーに所属している者達や、UC世界の軍人、X世界の中でも腕利きのMS乗りとして生きてきたエニルや、Wナンバーズの技術を使って作られた身体を持つルチル。
ましてや、量産型Wやコバッタの事を考えれば、ぶっちゃけこのX世界において生身での最強の集団は間違いなくテンザン級だと思う。
『……フリーデンの方にも連絡をしたわ。アクセルの意見で問題ないらしいから、そのまま進めて欲しいとのことよ』
「判断が早いな」
ジャミルが腕利きのバルチャーだというのに、この辺りの判断力の高さも影響しているのだろう。
勿論、何の意味もなく、ただ判断力が高いだけでは意味がない。
相応の実力があり、その上で素早く判断出来るからこそ、ジャミルはバルチャーの中でも腕利きとして有名なのだろう。
『そんな訳で、もうすぐ漁船がテンザン級の方に来るから……そうね。アクセルが迎えに行ってくれる? 勿論ヴァサーゴに乗って』
「マリューも意地が悪いな」
政府再建委員会の中において、フロスト兄弟はエース級の存在だ。
ヴァサーゴとアシュタロンという、戦後に開発されたガンダムに乗っているのが、その証拠だろう。
そんなフロスト兄弟が所属するゾンダーエプタからやって来たと思われる相手の前に、シャギアから奪ったヴァサーゴに乗った俺が現れるのだ。
これで向こうが動揺しない筈がない。
『そう? でも、この程度で向こうが尻尾を出してくれればいいんだけど。向こうが腕利きだった場合、この程度で尻尾を出すような真似はしないでしょうね』
「その辺は向こうのお手並み拝見といったところか。じゃあ、とにかく俺は出る」
『ええ。言うまでもないけど、気を付けてね』
そう言い、通信が切れる。
それを確認してから、俺は量産型Wやエルフ達にヴァサーゴの準備をさせて出撃するのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761