ヴァサーゴに乗って、救難信号を発してきた漁船に近付く。
船体から煙が上がっているのを見れば、確かにあの漁船は何らかの故障をしているのは間違いないらしい。
とはいえ、ニュータイプ達が揃って危険だと感じているのを考えれば、故障したのも偽装か……いや、故障したかどうか調べれば、偽装の場合はすぐに分かる。
だとすれば、本当に故障してて、直そうと思えばすぐ直せるようになっているのか。
あるいは最初からこの漁船は使い捨てにすると判断しているのか。
そんな風に思っていると、漁船の甲板に出ていた何人かが、ヴァサーゴを見てあからさまに動揺した様子を見せているのに気が付く。
これで決まりか。
もっとも、単純にガンダムがこの場に現れたから驚いたと言われれば、それはそれで納得出来るのだが。……普通なら。
既にこの漁船に乗っている連中が黒……あるいは限りなく黒に近い灰色であると理解している以上、その驚きようもガンダムを見たからではなく、政府再建委員会に所属するヴァサーゴを見たからというように見えてしまう。
この連中は、政府再建委員会かオルクか。
ゾンダーエプタからそう離れていないという事を考えると、やはり政府再建委員会の可能性の方が高い。
問題なのは、こうして俺達を待ち構えていたように待機していたという事は、今日……もしくは今日でなくても、数日中に俺達がこの辺りを通ると理解していた事になる。
つまり、どこからか情報を得ていた訳だ。
あるいは、俺達を待ち構えていた訳ではなく、単純にゾンダーエプタに向かう相手を見つける為の監視役という可能性もあるのか?
後者だと考えると、漁船から上がっている煙は狼煙とかの役割をしているのかもしれないな。
X世界においては、基本的に長距離の通信は出来ない。
だからこそバルチャーサインとかが発展したんだろうし。
そういう意味で、狼煙というのはそれなりに使えるのは間違いなかった。
あ、でも政府再建委員会は旧連邦軍の遺産を引き継いでいるんだよな。
そう考えれば、長距離用の通信設備の類を持っていてもおかしくはないのか?
もっとも、もし政府再建委員会にそのような通信設備があっても、この漁船にそのような設備があるとは思えないが。
そもそもこの漁船は俺達に捕らえられる……いや、保護されると表現すべきか? とにかく調べられるのは間違いない。
そのような状況で、漁船に見合わない通信設備があれば、それは疑われるだけだろう。
「聞こえるか? 俺はお前達の救難信号を受け取って様子を見に来た。シャドウミラーのアクセル・アルマーだ」
わざわざここでシャドウミラーという言葉を口にする必要はないのだが、それでも向こうの反応を見る為には必須だった。
案の定と言うべきか、甲板にいた者達の何人かは俺の言葉を聞いて少し……だが、確実に動揺していた。
もっとも、動揺したのがシャドウミラーという名前に聞き覚えがなかったからと言われれば、それはそれで納得するしかないのだが。
『あ、ああ。聞こえてる。いやぁ、実は俺達は少し離れた場所にある漁村で暮らしてる漁師でよぉ。ちょっと前にオルク達に悪戯半分で攻撃されちまったんだよ』
漁船の代表……恐らく政府再建委員会に所属するのだろう相手のその言葉は、真に迫っていた。
もしこれで俺がニュータイプ達から何も聞いていなければ、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、その言葉を信じていたかもしれない。
もっとも、ニュータイプからの情報がなくても、テンザン級に運び込まれた時点でこの連中が何をしようとも、量産型Wやコバッタによってあっさりと鎮圧される事になっていたと思うが。
「それは災難だったな。なら、取りあえず俺達の母艦まで漁船を運ぶが、それで構わないか?」
『おお。それを頼めるのなら、こっちとしても嬉しいかぎりだよ! いやぁ、あんたのようなガンダム乗りに遭遇出来るなんて、嬉しいな』
男が心の底から嬉しそうな様子で叫ぶ。
男の周囲にいた他の者達も、男が喜んだのを見ると、同じように喜びを露わにする。
こっちは……最初に喜んだ男と比べると、演技力という点で少し劣るな。
とはいえ、いきなりヴァサーゴが姿を現したという今の状況であれば、向こうがいつも通りの行動が出来なくても無理もないと思うんのだが。
「喜んで貰えて何よりだ。じゃあ、漁船を俺のヴァサーゴで直接持っていくから、お前達は漁船の中に入っていてくれ。このままだと、移動する時に海に落ちてしまう可能性もあるし」
そんな俺の言葉に、向こうは大人しく従う。
向こうにしてみれば、ここでいきなり暴れるような真似をして、その結果としてテンザン級に到着するよりも前に自分達の正体が知られるというのは絶対に避けたいのだろう。
取りあえずこの漁船ならテンザン級の格納庫には楽に入る。
一応場所を空けるようには言ってきたし、もしどうしても無理なら空間倉庫に収納するつもりだったのだが、その辺の心配はいらないらしい。
『頼みます!』
漁船の中でもリーダー格……俺と話をしていた男がそう言うのを聞きながら、俺はヴァサーゴを操縦して漁船を持ち上げる。
漁船は何だかんだと結構な重さがあるのだが、ヴァサーゴの力ならこの程度の重量を持ち上げるのは問題ない。
……いや、別にヴァサーゴでなくても、ドートレスやジェニスであっても漁船を持ち上げるような真似は難しくないと思うが。
漁船が持ち上げられると、男達は揃って船内に戻っていく。
「さて、これからどういう行動に出るのか、ちょっと楽しみだな」
呟き、テンザン級に通信を入れる。
「マリュー、漁船を確保した。これからテンザン級に戻るから、お持てなしの準備をしておいてくれ」
『ええ、たっぷりと楽しんで貰うお持てなしの準備をしておくわね。……それで、どうだった?』
どうというのは、当然ながら漁師達……正確には漁師達に変装している連中の事だろう。
「取りあえず演技は上手いと思った。特にリーダー格の男は、もし前もって怪しいと言われてなかったら、普通に信じていたかもしれない」
『へぇ、そんなに? ……まぁ、話は分かったわ。けど、政府再建委員会にそういう人がいるとは思わなかったわね』
「年齢からして、15年前の戦争にも参加していた奴だろうな。その分、油断が出来ないって感じがしたが」
MSパイロットではなく、泥臭い戦いを行う兵士といった感じなのかもしれない。
そういう奴が年齢を重ねると、当然ながらより油断が出来ない相手となる。
いわゆる、狸親父という奴だな。
『そうなると、あまり油断はしない方がいいわね。もっとも、油断をするような人はこっちにはあまりいないけど』
「だろうな」
量産型Wやコバッタは油断という概念がない。……あるいは敵を攻撃することによってどこかに誘導させたり、生かして撤退させたりするというのが目的だった場合は、攻撃を弱めるので、それを油断と呼んでもいいのかもしれないが。
他の面々も、シーマ達は1年戦争が終わってからまだそんなに時間が経っておらず、油断をするというのはあまりない。
エニルはMS乗りとして活動してきた実績がある以上、油断をすれば死ぬのは自分だと思っているだろう。
そう考えると、一番危ないのはルチルか?
戦闘を嫌っており、それがLシステムとして利用されたのだ。
今は精神崩壊状態から回復しているが、元々優しい性格をしているのも事実。
……まぁ、それでも旧連邦軍で軍人をやっていたのだから、油断をする事の意味は十分に理解しているが。
あ、そう言えば今更だけど……
「なぁ、クスコ、マリオン、ティファからは連絡があったけど、ルチルからはその辺の話はなかったよな? どうなっているか分かるか?」
ルチルは新しい身体を手に入れたが、ニュータイプ能力を失っている訳ではない。
それはフラッシュシステムが搭載されているベルフェゴールを操縦しているのを見れば明らかだろう。
だが、クスコ達とは違って、危険だという風に連絡はなかった。
それを疑問に思って尋ねると、マリューは思い出したように口を開く。
『ルチルもその辺については感じていたらしいわ。けど、自分がそれを言うよりも前にクスコとマリオンがアクセルにその件を話していたから、言わなくてもいいと思ったみたいね』
「そういう事か」
クスコ達が俺に話をしている以上、ルチルにしてみればその件は俺に話す必要がないと思ったのだろう。
別にニュータイプ能力がなくなったとか、弱まったとか、そういう訳ではないらしい。
とはいえ、ルチルのニュータイプ能力はそこまで強い訳ではないとか何とか。
そうである以上、もしかしたらルチルはニュータイプ能力が低いから漁船の連中については気が付くのが遅かったのかもしれないが。
『そういう事よ。……あ、どうやら見えてきたわね』
その言葉に映像モニタを確認すると、こちらからもテンザン級の姿を確認出来る。
テンザン級はフリーデンよりも大きいし、高さもあるので、見つけやすいんだよな。
「こっちからも見えた」
『じゃあ、待ってるから』
そう言い、通信が切れる。
マリューから待ってると言われると、こう……何かを期待してしまうのは、きっと俺だけではないと思う。
何となく優しい女教師といったイメージがマリューにはあるんだよな。
本人に言ったらどう反応するのか分からないけど。
あ、でも今度そういう服装を着てみると新しい世界が開けるかも?
そんな風に思いつつ、外部スピーカーのスイッチを入れる。
「俺の母艦が見えてきた。もうすぐ到着だから、少しくらい揺れても問題がないようにしておいてくれ」
漁師……正確には漁師に変装している連中は漁船の中に入っているので、向こうの返事は聞こえない。
だが、それでもこっちの声は聞こえている筈なので、特に気にせずテンザン級に向かう。
そのまま格納庫に入り、MSから離れた場所に漁船を置く。
すると、すぐにガイア、オルテガ、マッシュの3人がやって来た。
いや、何でその3人?
相手の油断を誘うのなら、別にその3人じゃなくてもいいだろうに。
ルチルは……Lシステムの件で向こうがその顔を知ってるから無理にしても、シーマを含めてUC世界からやって来た連中なら、向こうもそこまで警戒しないと思う。
いっそ量産型Wやコバッタを? と思ったが、量産型Wはヘルメットをしているので、相手にとって不気味に思う。
コバッタに関しては、このX世界に無人機の類はないので、警戒させてしまうだろう。
実際にはビットMSがあるので、全く無人機がない訳ではない。
しかしビットMSはあくまでもニュータイプがフラッシュシステムで動かすMSだ。
つまりニュータイプがいないとビットMSが動くようなことはない。
そういう意味では、やっぱり本当の意味でこの世界に無人機はないんだよな。
旧連邦軍になら、もしかしたら本当の意味で無人機の類があったかもしれないが。
取りあえずガイア達に任せておけばいいか。
恐らくマリューからどうすればいいのかというのは、指示を受けている筈だし。
俺はその場から離れ、ヴァサーゴをいつもの場所に移動させると、コックピットから降りる。
「じゃあ、問題はないと思うが一応軽い整備を頼む」
エルフにそう言い、漁船の方に向かう。
するとその漁船の前では、漁師に変装した政府再建委員会の男達とガイア達が何かを話しているのが見える。
険悪な雰囲気という訳じゃないが、かといって友好的な雰囲気でもない。
そんな様子を見て、ふと思う。
マリューはガイア達にこの漁船に乗っているのが政府再建委員会の者達だと言ったのかと。
あるいはガイアとマッシュには言ってるのかもしれない。
だが、隠し事が出来ないオルテガに漁船に乗っている連中の正体を教えれば、それを隠し通すのは難しいだろう。
敵は敵と認識して強い態度でぶつかるか、あるいは自分が相手の正体を知ってるのを隠そうとして、不審な行動を取るか。
その辺りの状況を考えれば、やはり話してはいないと思う。
あくまでも俺がそう思うだけで、実際にどうなのかは分からないが。
オルテガが漁船の連中について知ってるかどうかは考えないようにして、ガイア達に声を掛ける。
「ガイア」
「アクセルか。まさかこういう連中を拾ってくるとは思わなかったな」
ガイアが俺の名前を呼ぶと、漁船に乗っていた連中の視線が俺に集まる。
漁船に乗っていた連中はヴァサーゴによって運ばれてくる時に俺の自己紹介……というか、この場合は名乗りか? とにかくそういうのを聞いている。
それでもあの時は外部スピーカーを通してだったので、俺の顔は分からない。
だからこそ、こうして実際に俺の顔を見て、驚いているのだろう。
ちなみに今の俺の外見は20代半ば。
いっその事、10代半ばのガロード達と同じくらいの年齢にするか、それこそ10歳くらいにしていたら面白かったかもしれないな。
そんな風に思いつつ、俺は漁船に乗っていた連中に向かって手を振るのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761