「これは……」
漁師に変装している者達の中でリーダー格の男が、目の前に広がった光景を見て驚く。
そんな風に声を発することが出来るだけで、漁師の変装をしている者達の中でも十分に凄いのだろう。
実際、リーダー格以外の男達は目の前の光景に声も出せない様子だったのだから。
「これは魔法だ。映画とかそういうのでもあるだろう?」
いつもならここは漫画とかで表現するんだが、この手の連中は漫画とかあまり見ないだろうしな。
それでも映画くらいなら、戦前に見ていてもおかしくはない。
中にはまだ若い男もいるから、そういう連中は戦前に映画を見た記憶があるかどうかは分からないが。
「馬鹿な……魔法、だと?」
「馬鹿なも何も、お前の目の前にある光景が全てだ。それとも……これが夢だと思うか?」
そう告げると、狼の炎獣に男に近付くように命令する。
普段……それこそティファの護衛をしているリスの炎獣は、触れても暖かいが火傷をするといった事はない。
だが、狼の炎獣は触れるどころか、近付いただけで火傷をしかねないような熱気を持っていた。
これが手品だなんだと表現しても、実際に熱がある以上、狼の炎獣の存在を信じない訳にもいかない。
この辺はまさに論より証拠って奴か。
「ぐ……それは……」
怯んだ様子の男を見て、更に駄目押しをする。
「それと、お前達がただの漁師じゃなくて、何か狙いがあって救難信号を送ってきたというのは、俺達の仲間にいるニュータイプが前もって察知している」
「……畜生……」
その一言が、男にとってはまさに駄目押しとなったのだろう。
悔しそうにしながらも、男は身体の力を抜く。
この状況……銃火器を構えた量産型Wやコバッタの前に引き出された時点で、もうどうしようもないのは間違いなかった。
それに加えて魔法とニュータイプの存在が男の戦意を完全にへし折ったのだろう。
自分達のリーダー格の男がどうしようもないと判断し、その部下達はどう動くのかと少し興味深く見ていたのだが、どうやらこれ以上暴れるつもりはないらしい。
ここで下手に暴れても、この状況からではどうやっても逃げることが出来ないと悟っているのだろう。
俺にしてみれば楽でいいが。
この辺はリーダー格の男がそれだけ部下に慕われているといったところか。
ニュータイプはともかく、魔法というのはこの連中にとって完全に予想外だったらしい。
X世界で生きてきた者達に、魔法の存在を予想しろという方が無理なのだろうが。
「こうして心が折れたところで、大人しく降伏して貰うとするか。分かってると思うが、こうなってしまった状況で、お前達に勝ち目はない」
パチン、と指を鳴らす。
すると次の瞬間、部屋の中にいた炎獣達はその全てが白炎となって姿を消す。
まるで自分達の見たのが夢か何かだったかのように思う男達。
だが、それが夢ではなかったというのは、炎獣を間近で見た者達全員が知っている事だろう。
「分かった。降伏する」
最終的に男からそのような言葉が漏れるのだった。
「で? あの連中はどうした?」
「1人ずつ別々の部屋に軟禁しているよ。こういう時、このテンザン級は広くて部屋が多いし、何より量産型Wやコバッタがいるのは便利だね」
俺の言葉にそう答えるシーマ。
この様子を見ると、1人ずつに量産型Wやコバッタをつけてあるのだろう。
感情の類がなく、こちらの指示した事だけをこなす量産型Wやコバッタというのは、シーマの言うようにこういう時はかなり便利なのは間違いない。
敵がどのように行動をしようとしても、それを冷静に判断出来る。
あるいは量産型Wやコバッタを鎮圧しようとしても、それは難しい。
量産型Wはガンドを使えるし、生身での戦いにおいても普通に一流の実力を持つ。
コバッタの方は、銃火器が内蔵されている。
普通に考えて、とてもではないがろくな武器――具体的には銃火器の類――もなしに、相手を倒すといった真似は出来ないだろう。
「それにしても、なんでシーマがそういうのをやってるの?」
ミナトが不思議そうな様子で尋ねる。
シーマの外見だけを見れば、ミナトがそういう風に考えてもおかしくはない。
おかしくはないが……
「ジオン軍時代には、海兵隊としてこういう仕事は何度もやって来たから、慣れてるのさ」
シーマのその言葉は事実だ。
シーマの上司だったアサクラという奴は、単純にシーマが気にくわなかったのか、それともコロニー落としの一件について口封じをしたかったのか、とにかくシーマ達を危険な場所に送り込んだ。
その結果として、シーマは海兵隊を率いて普通ならとてもではないが行われないような作戦に参加し、生身での戦いの経験もMSパイロットとは思えないくらいに積んでいる。
ガイア達黒い三連星も不良軍人だったらしいので、MSのパイロットでありながら生身の戦いが苦手という訳じゃないらしいが……それでも、やはり軍人としての経験値となると、どうしてもシーマの方が上となる。
多分だが、純粋に何でもありという事で生身での戦いをやったら、ガイア達はシーマに勝てないんじゃないかというのが俺の予想だ。
単純な身体能力なら、黒い三連星側が明らかに上だろう。
特にオルテガなんて、かなりの巨体だし。
だが、戦いというのは往々にしてただの身体能力だけでどうにかなる訳ではない。
「シーマに頼んでよかったな。……それで、後は情報収集だけど、どうする? そっちの方は俺がやった方がいいか?」
そう尋ねたのは、セインズアイランドにて捕虜から情報を聞き出した実績があるからこそだ。
そう言えば、あの捕虜って結局どうなったんだろうな。
いつまでもフリーデンに拘束しておくといった真似は出来ないだろうし、そうなるとセインズアイランドで解放したのか?
まぁ、情報を聞き出した以上、もう用はないんだが。
「そうだね。アクセルが話を聞くのが一番いいと思うよ。カトック……漁師に変装していた連中のリーダー格の男は、アクセルの魔法にかなり驚いていたみたいだしね」
そう言えばリーダー格の男の名前とかは聞いてなかったな。
けど、そうか。カトックって名前なのか。
「ちょっと待って。カトックだけならアクセルでもいいけど、それ以外の全員もアクセルに任せるのは問題じゃない? 私もカトック以外の尋問には参加するわ」
モニクの口から出たその言葉は、多くの者を驚かせる。
モニクは凜々しい……と表現すれば正しいが、悪く言えばかなりきつい性格をしている。
俺は弟思いなところがあるのも知ってるし、モニクがいわゆるジオンの名家――ラル家やサハリン家のような――の類ではないのも知っている。
いわゆる、一般家庭の出身だ。
それでいながら、士官学校とかを優秀な成績で卒業し、ギレン直属の部下になったのだから、モニクがどれだけ才能豊かなのかは分かりやすい。
だが同時に、モニクは尋問とかに向いてないのも事実。
……いやまぁ、攻撃ならぬ口撃によって相手の心をへし折って、それで情報を引き出すといった真似なら出来るかもしれないが。
それでも一般的な意味での尋問は決して得意ではないのだ。
他の面々……特にシーマを始めとして、俺の仮の恋人となっている面々は一緒に行動する事が多いだけに、尋問に向いていないというのは余計に分かりやすいのだろう。
「いいの?」
そう尋ねたのは、クリス。
クリスもどちらかと言えば真面目な性格をしているだけに、シーマやクスコと比べるとモニクとの相性はいいのだろう。
「ええ。今は少しでも情報が必要でしょう?」
そういうモニクの言葉で、他の者達も納得し……
「あら?」
そんな中、不意にミナトが声を上げる。
「ミナト? どうした?」
「フリーデンからの通信よ。ティファがちょっとこっちに来たいって」
「……ティファが?」
俺にとっても、その言葉は予想外だった。
ティファは俺に対して未だに慣れていない。
正確には一時は慣れたのだが、俺とマリュー、ミナトの夜の光景を読んでしまい、結果として俺を見ると恥ずかしさから顔を赤くして逃げるようになった。
普通なら15歳というのは性に強い興味を持つ時期で、ティファもその手の事に興味をもってもおかしくはないのだが。
ただ、ティファは内気というか、大人しい性格をしているので、刺激が強すぎたのだろう。
そんなティファだけに、俺のいるテンザン級に来たいというの、ちょっと理解出来ない。
「ええ、ティファが。どうする?」
「拒む理由はないだろ」
別に俺がティファを遠ざけていた訳ではなく、ティファが俺を避けていたのだ。
そのティファが俺のいるテンザン級に来たいと言うのなら、それを拒否したりはしない。
「とはいえ、ティファがこうして来るという事は、何か理由があっての事だと思うけど……」
「やっぱりカトック達の件じゃない?」
クスコの言葉に、俺を含めて話を聞いていた者達はだろうなと同意する。
カトック達が捕まったこの状況で、わざわざティファがテンザン級にやって来るのだ。
その理由として考えると、やはり最初に思い浮かべるのはカトック達となる。
しかし、その理由が分からない。
カトック達にどのような用件があるのか。
……その辺は、実際に話を聞いてみないと分からない、か。
「クリス、ティファを迎えにいってくれるか? 俺が行くとティファは挙動不審になるだろうし」
「私が? 別にいいけど」
クリスは少し疑問を抱きつつも、特に断る理由はないと判断したのだろう。
素直に俺の言葉に頷くと、早速格納庫に向かおうとした。
「ティファが来たとなると、その用事が終わるまでカトックの尋問は出来ないか。そうなると、部屋で時間を潰すか。モニクの方の尋問はどうする? ティファの用件が終わってからか? それとも、ティファの用事があるのはカトックだけだから、モニクは尋問を進めるか?」
「ティファが来た以上、私も少し待つわ。どうせなら尋問に対してアクセルと相談したいんだけど、構わない?」
「尋問について? 俺は別にいいけど、俺の尋問方法は魔法を使ってのものだから、モニクが聞いても参考にならないぞ?」
俺を含めてシャドウミラーに所属する者なら魔法を使う事が出来る。
だが、モニク達は魔法は使えない。
そうである以上、モニクが俺の話を聞いても、それが役に立つとは思えない。
「それでも構わないわ。あくまでも参考にしたいんだもの。アクセルがどういう風に尋問するのかは、私にとってもかなり興味深いし」
「ちょっと、それは狡いんじゃない?」
モニクの言葉に、そうクスコが割って入る。
だが、モニクはそんなクスコに対し、笑みすら浮かべて口を開く。
「あら、狡い? どこがかしら?」
その言葉に、クスコは一瞬沈黙し……やがて、気持ちを落ち着けるかのように桃色の髪を掻き上げる。
「それが狡くないなら……そう。なら、私にも考えがあるわ」
意味ありげな言葉を呟くクスコに、モニクが何かを言おうとし……
「はいはい、そこまで。今はそういう事をしているような時間じゃないんだから」
マリューの言葉が周囲に響く。
するとモニクもクスコも、そんなマリューの言葉に何も言えなくなる。
この場にいる中で一番の実力者がマリューだというのを、本能的に理解しているのだろう。
俺は……うん。まぁ、こう言うのは何だが、モニクもクスコも俺と一緒にいたくて言い争いをしてる訳だ。
何だろうな。こういうのって……いわゆる、『私の為に争わないで!』とか、そんな風にすればいいのか?
とはいえ、今のこの状況でそんな事を言ってしまえば、恐らく……いや、ほぼ間違いなく全員に白い目で見られそうな気がするので、言わないが。
「取りあえず、今はまずティファだ。クリス、ティファが一体何をしに来るのかは分からないが、捕虜……恐らくはカトックだろうが、その相手と話をさせる場合、護衛として一緒に行ってくれ。念の為に量産型Wを連れてな」
相手は武器を持っていないものの、男だ。
クリスは現役の軍人だが、シャドウミラーのメンバーという訳でもないので、魔力や気を使うといった事は出来ない。
これがシーマなら、カトックを相手にしてもどうにでもなりそうな気はするんだが。
もっとも、実際にシーマにそんな事を言えば、色々と問題になるだろうから言うつもりはないが。
クリスも俺の言いたい事は分かったのか、素直に頷く。
「ええ、その辺は任せてちょうだい。……ただ、私の勘だけど、カトックだったかしら。あの人がティファに何かをするようには思えないけど」
「それでも万が一がある。そうなった時、対処出来ないと不味い」
「……そうね。この世界だとそういう事があってもおかしくないかしら」
数秒考え、クリスがそう言ってくる。
クリスにしてみれば、恐らくはないだろうが、もし何かあったら……そう思っての言葉だろう。
ちなみに俺個人の意見としては、クリスに賛成だったりする。
あのカトックって奴は、どうにもこう……フロスト兄弟から感じるような悪意の類は感じないんだよな。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761