ジャミル・ニート。
それは当然フリーデンの艦長をしているジャミルの名前だ。
……改めてその名前を聞くと、ニートという家名はどうかと思うが。
X世界にはニートという意味……学生でもないのに仕事をしていない、いわゆる無職の者という言葉はないのかもしれないな。
その件に関しては、今はいいか。
ただ、もしジャミルが他の世界の相手に自己紹介をする時は気を付けた方がいいが。
ともあれ、カトックはジャミルに会いたいと、そう主張してきた。
そうすれば、自分の知ってる情報を話すと。
「そういう訳なんだが、どうする?」
『会おう』
テンザン級のブリッジから通信を送ったところ、ジャミルはあっさりとそう言ってくる。
寧ろ、そうしてあっさりと受け入れたことに驚きすらした。
「提案した俺が言うのもなんだが、いいのか?」
『構わん。私が会う事によって捕虜が情報を話すと言うのなら、こちらとしては断るつもりはない』
『艦長、ですが危険です!』
映像モニタの向こうで、サラがジャミルにそう言う声が聞こえてくる。
サラにしてみれば、ジャミルがこうもあっさりカトックと会うというのは予想外だったのだろう。
『心配するな。何か武器の類は持っていないのは間違いないし、会う時は護衛もいる。だろう?』
ジャミルの最後の言葉は、俺に向けての質問だ。
当然だが、カトックとジャミルが会う時は量産型Wを護衛としてつける。
俺が直接護衛についてもいいかもしれないが、ジャミルとカトックがそれを望むかどうかは別の話だろう。
「ああ、ジャミルの身の安全に関しては俺が保証する。もしカトックが何か企んでいても、ジャミルの身の安全は問題ない」
そう言うと、俺の声が聞こえたのだろう。
それ以上サラが横から口を挟む事はない。
これは、俺がサラからその強さは信頼出来ると思われているのだろう。
『では、話は決まったな。私はすぐにテンザン級に行く』
そういう事になるのだった。
「悪いな」
「いや、気にしないで欲しい。私に用事があるという事だったが、私もカトックだったか。その男とは少し話したいと思っていたのでな」
「そうなのか? ジャミルがそれでいいのなら構わない。さっき通信でも言ったように、ジャミルの護衛として量産型Wをつける。あるいはジャミルが希望するのなら、俺が直接護衛をしてもいいけど、どうする? もっとも、俺が護衛をするとカトックとの話を俺も聞く事になるが」
テンザン級の格納庫で、フリーデンからやって来たジャミルと会話を交わす。
ジャミルはやる気満々……とまではいかないだろうが、それでもカトックとしっかりと話すつもりなのは間違いない。
だが、その場に俺がいるというのは……
「いや、恐らくここでの話は個人的な事になる筈だ。アクセルにも、あまり聞かせたくはない」
「分かった」
ジャミルの言葉に素直に従っておく。
もっとも、ジャミルとカトックの話の場には量産型Wがいる訳で、そういう意味では2人の話の内容を聞こうと思えば出来るんだが。
ジャミルはその辺を理解していないのか、それとも理解した上でそのように言っているのか。
話は決まり、ジャミルが格納庫から出ようとしたところで、不意にルチルが姿を現す。
「ジャミル!」
「ルチル……」
ルチルの姿を見たジャミルは、複雑な表情を浮かべる。
ジャミルにしてみれば、ルチルもある意味で戦争の被害者だ。
そうである以上、出来れば今この状況でルチルには出て来て欲しくなかったのだろう。
そんなジャミルに対し、ルチルはルチルでジャミルに思うところがあるのも事実。
ルチルにとって、15年前の戦争は本来ならジャミルの上司だった自分が矢面に立つ必要があった。
だが、戦争の途中でルチルは精神崩壊してしまい、ジャミルを庇う事が出来なかった。
その結果として、ジャミルは旧連邦軍の象徴的な存在として扱われ、最終的にはコロニー落としの引き金を引いてしまった。
もし、たら、れば。
そういうのが意味はないと知っているが、それでもルチルにしてみれば、自分が精神崩壊せずにいたらジャミルをそのような目に遭わせなかったかもしれないと、そんな風に思ってしまうのだろう。
「すまない、ルチル。私は行かなければ」
「でも……いいの? もしこのまま会えば、きっとジャミルも辛い思いをするかもしれないのに」
「構わん。私はそのようにされるだけの事をしてしまったのだから」
短く言葉を交わし、立ち去るジャミル。
ルチルはそんなジャミルを黙って見送る事しか出来なかった。
「心配するな。カトックが何かをしようとしても、ジャミルに危害は加えられない」
「でも……それは肉体的にでしょう?」
「そうだな。精神的……具体的には言葉で責めるといったようなことをした場合には、対処出来ないと思う。ただ、これはあくまでも俺の勘なんだが、カトックはそういう真似はしないと思うんだよな。勿論、これは全く責めるといったような真似をしない訳ではなく、必要以上に責めないという意味になるが」
そう言っても、ルチルは完全に納得した様子はない。
本人にしてみれば、やはりジャミルの件で色々と思うところがあるのは間違いないのだろう。
それこそジャミルがああいう態度を取らなければ、自分も一緒に行くとか言ってもおかしくはない。
「そう。なら……今回の件はジャミルがしっかりと自分で受け止める必要があるのかもしれないわね。他にも色々と思うところはあるけど……私が出しゃばらない方がいいのなら、引っ込んでおくわ。この身体にもまだ慣れていないし」
ルチルの身体が持つ潜在能力は、それこそ普通の人間とは比べものにならない程に高い。
生まれた時からその身体を使っているとかなら問題はないのだろうが、生憎とルチルは特殊な経緯で今の身体に入っている。
それでもそれなりに訓練をする事によって、今の身体を十分に使いこなせるようになってはいたのだろうが……感情が高ぶってしまった場合、力加減に失敗する可能性がある。
幾ら何でも力加減にミスってガンドを撃つとかそんな真似はしないだろうが。
「カトックの性格の全てを知ってる訳じゃないが、取りあえず心配はいらないと思う。繰り返すようで悪いけどな」
「いいわよ。……ありがとう。さて、私はこの身体をしっかりと使いこなせるように頑張ってくるわ。今回みたいな時に失敗したら大変だもの」
そう言うと、ルチルは笑みを浮かべて格納庫から出ていく。
ルチルも現在の自分の状況には、色々と思うところはあるのだろう。
しかし、それでもそれを表に出さない辺り、さすがジャミルの上司だった女といったところか。
さて、ルチルもいなくなったし、ジャミルとカトックの話が終わるまでは特にやるべき事もない。
そうなると、どうやって時間を潰すか……そう考えていると、不意に漁船が目に入る。
カトック達が使っていた漁船。
その漁船を、量産型Wやエルフ達が調べていた。
カトック達が使っていた以上、もしかしたら何らかのトラップの類があってもおかしくはない。
あるいは実はまだ誰かが隠れていて、人がいなくなったら動き出すといった真似をするか。
はたまた、そのような罠の類はなくても、盗聴器が設置されていて、それがゾンダーエプタに届いている……といった可能性は否定出来なかった。
現状において、このX世界で長距離の通信というのは難しい。
難しいのだが、政府再建委員会は旧連邦軍の後継組織と言ってもよく、そうである以上はもう一般的ではなくなった遠距離の通信技術の類があってもおかしくはない。
「何かあったか?」
「アクセルさん、お疲れ様です。……いえ、まだ大雑把に調べてみただけですが、特に何かこれといって怪しいようなのはありませんね」
俺の問いに答えたのは、エルフの1人だ。
エルフは俺を神と崇めているものの、そういう扱いは俺の好みではないからという事で、普通に接して貰っている。
「そうか。盗聴器とかそういうのがあるのかもしれないと思ったんだがな」
「はい、こっちでもそういう予想はしてました。ただ、あくまでもまだ大雑把な調査だけですから。もっと本格的に調査をすれば、もしかしたら見つかるかもしれません。取りあえず時限爆弾の類がないのは確認しています」
「そうか。……分かった。一応危険だし、この漁船は俺が預かっておく。空間倉庫の中に収納しておけば、この漁船にどんな罠があっても意味はないし」
それこそ時限爆弾の類が見つからないように設置されていても、空間倉庫に入っていれば時間が流れないので爆発の心配はない。
あるいは何らかのスイッチで爆発するんだとしても、空間倉庫に入れておけば信号が届くといった事はない。
そういう意味で、罠があるかもしれないのなら、空間倉庫に収納しておくのが一番手っ取り早く、そして確実だった。
「お願い出来ますか?」
エルフにとっても、それが最善の選択だというのは分かっているのか、俺の言葉に素直にそう言ってくる。
ここで俺を煩わせたくないからと、無理に自分達だけで調査をするといった選択をしないのは褒めてもいい。
空間倉庫に収納するのに、そんなに手間が必要な訳でもないし。
「ああ、もっとも、この漁船はもう使い道はないだろうがな」
オルクに攻撃をされたという風に装う為に、漁船は結構なダメージを受けている。
ましてや、漁船に乗っていた連中は既に捕虜となっている以上、この漁船をまた使うといったような事にはならないと思う。
「あはは。そうかもしれませんね。ですが、あればあったで、後で何か使い道があるのでは?」
エルフの言葉に、そうか? と疑問を抱きつつも、空間倉庫に収納する。
この漁船の使い道か。
すぐに思いつくのは、ホワイトスターにあるキブツに入れて資源とする事だろう。
他には……そうだな。俺が空を飛んで上空から漁船を落とすとか。
それなりの重量がある以上、相手がMSであっても相応のダメージを与ええられる可能性が高い。
とはいえ、キブツの件にしろ、武器にするにしろ、代替品は他に幾らでもある。
別に無理にこの漁船を使う必要はない。
これが漁船ではなくMS……いや、そこまでいかずとも軍艦とかそういうのなら、X世界の状況を調べる事が出来るんだろうが、結局はただの漁船だしな。
「取りあえずないよりはいい。使う機会がなかったら、空間倉庫の中に収納しておけばいいだけだし」
空間倉庫に収納出来る限界は決まっていない。
あるいは限界はあるのかもしれないが、生憎とその限界を実際に体験した事はなかった。
何しろホワイトスターを入れても全く問題なかったし。
そういう意味では、本当に無限に入るのではないかと思ってしまう。
「取りあえずこの漁船は俺が預かっておく。カトック達がこれからどうなるのか分からないが、もし解放されるような事になって漁船を返して欲しいと言ってくれば返してもいい」
もっとも、壊れた漁船を返されてもどうしろといったような事になるような気がするが。
「その辺はお任せします。じゃあ、私は仕事の方に戻りますね。アクセルさんのヴァサーゴの整備を手伝ってきます」
「ああ、任せる」
整備とはいえ、万全の状態でカトック達のいた場所まで移動して、漁船を持ってきただけだ。
そういう意味では、別にヴァサーゴの整備をそこまで必死にやる必要はないのだが。
だが、そのような状況であっても、エルフ達にしてみれば俺が乗るMSというだけで、幾ら整備してもしたりないといったところか。
……MSの状態が最善になるのなら、俺としては不満はないのだが。
漁船の件も片付いたので、今度はどこに行くべきかと考え、適当にテンザン級の中を歩き回る。
だが、テンザン級は基本的に人が少ない。
いや、純粋な数という事なら、量産型Wやコバッタがいるので結構な人数がいるのは間違いないのだが、そういう連中を数に入れるのは間違いだろう。
そういう訳で、テンザン級はフリーデンと比べても、圧倒的に人数が少ない。
「うん? どうしたんだ、アクセル。こんな場所で」
通路を歩いていると、向こう側からガイアがやって来てそう声を掛けてくる。
「そっちこそ、マッシュと一緒にいないのは珍しいな」
オルテガは恋人のマリオンといる事が多いので、ガイアと一緒にいないのはそうおかしな話ではない。
しかし、ガイアの場合は大抵がマッシュと一緒にいたのだ。
元々テンザン級には男は少ない。
そんな中で、ガイア達は黒い三連星という事でマッシュと一緒にいるのはよく見るのだが、今日は何故かガイアだけだ。
だが、ガイアは俺に向かって呆れの視線を向けてくる。
「俺達はチームだが、別に常に一緒という訳じゃない。時にはこうして1人で行動する事もある。……それより、アクセルはこうしてここにいてもいいのか? 尋問の方はどうなった?」
「尋問は、現在ジャミルがカトックと話しているよ。それがカトックが情報を話す条件だったらしいし」
そう告げる俺の言葉に、ガイアは少しだけ興味深そうな表情を浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1965
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1761