南アジアに向かっていたテンザン級とフリーデン。
ゾンダーエプタを出発してから数日が経ち……トラブルを引き寄せる俺がいる割にはオルクに襲撃されたりといったような事もなく、もうそろそろ南アジアに到着するのではないかと考えていたところ……
『あの、忌まわしき戦争から15年。ついに、今日という日が訪れた。混沌たる戦後は幕を閉じ、今、我らの前にあるのは輝かしき未来である。しかし、世界は未だに1つではなく、多くの混乱が人々の苦しみの原因となっている。だが、その苦しみも今日という日を境に新たな局面を迎えるだろう。我々は死んでいった多くの同胞に約束しよう。あの忌まわしき戦争を二度と起こさないと。生き残った我々は決してあやまちを繰り返さない。新たな秩序が輝かしき未来をもたらすだろう。私は今ここに新連邦政府の樹立を宣言する!』
映像モニタでは、初老の男が映し出されてそう言っていた。
この映像は、恐らく地球中に放映されている。
基本的にこのX世界においては長距離の通信とか映像の配信とかは出来ないようになっているのだが……それでもこのような事が出来るのは、腐っても旧連邦の後継組織といったところか。
「いよいよね」
食堂で俺と一緒のテーブルでお茶をしていたクリスが、映像を見てそう告げる。
その表情が微妙に不愉快そうに思えるのは、ギレンの演説を思い出したからか、それとも新連邦という存在が面白くないのか。
「そうだな。まさかゾンダーエプタを失った状況でここまで堂々と新連邦政府の樹立を宣言するとは思わなかったが」
「寧ろ、ゾンダーエプタを失ったからだと思うけど」
クリスの隣で紅茶を飲みながら映像を見ていたモニクが、そう呟く。
そんなモニクの言葉には納得出来るところがあった。
「つまり、新連邦内部でゾンダーエプタが……諜報部の拠点が壊滅した事によって士気が落ちる前に新連邦の樹立を宣言して士気を上げる事にしたと?」
「そうなるわね。もし私の予想が当たっていれば、ゾンダーエプタが落ちたのは新連邦にとってかなり痛かったみたいよ」
「それはそうでしょう。新連邦という組織にとって、情報がどれだけ重要なのかは……言うまでもないでしょう?」
「クリスの言う通りよ。もっとも、こうして大々的に新連邦の樹立を宣言するというのは、メリットも大きいけど、デメリットも大きいわ」
「モニクの言うデメリットは何だと思う?」
紅茶を飲んでから、そう尋ねる。
ギレン直属の部下だったモニクにとって、この辺について予想するのは難しい話でもないのだろう。
実際、特に迷う様子もなくその気の強そうな美貌を俺に向けながら口を開く。
「新連邦の存在を公にした事でしょうね。連邦国を建国する予定の北米もそうだけど、現時点で新連邦が直接支配下に置いてない地域の者達にしてみれば、いきなり何を言ってる? と不満を抱くでしょうね」
「それは……まぁ、そうだろうな」
盗賊のバルチャーに襲われて対処出来ないような村や街なら、あるいは喜んで新連邦を迎えるかもしれない。
だが、そうでない場所……それこそ自分達だけでこの15年の間それなりにやって来た者達にしてみれば、今更新連邦だといったところで、ふざけるなと思う者が多いだろう。
これが今ではなく、戦後数年だったら喜んで受け入れた者達はもっと多かった気がするが。
「他の地域にしてみれば、新連邦はそれこそ大規模な盗賊団といったような認識を持つ者も多いでしょうね」
「正解よ、クリス。勿論、新連邦はそう名乗るだけの組織力がある。……そうでしょう?」
モニクの視線に素直に頷く。
ゾンダーエプタを任せた中佐やカトック、何よりもハッキングして入手したデータから、新連邦はかなりの規模だというのは既に判明していた。
勿論かなりの規模というのは、あくまでも人口の99%が死んだこのX世界から見ての規模だが。
これがもっと他の……それこそクリスやモニクのいるUC世界の規模で考えると、恐らく新連邦はそこそこの組織といった感じになるだろう。
「この世界では、だけどな」
「そうね。で、当然だけどそんな新連邦に素直に従う者ばかりじゃないわ。……それこそ今回の件を切っ掛けとして世界中で戦いが起こるでしょうね」
「もう二度と戦いを起こさないとか演説してたんだけどな」
そもそも、フロスト兄弟との一件を見れば分かるように、今の時点で既に新連邦が理由となる大きな戦いは複数起きている。
それを隠して綺麗事を言ったところで、そう簡単に信じる奴は多くないだろう。
「それに……実際、新連邦は南アジアで色々と動いてるんでしょう? だから私達も向かう事になった訳だし」
クリスの言葉に頷く。
俺達が南アジアに来たのは、あくまでもゾンダーエプタで入手したデータから、ここに新連邦がちょっかいを掛けているというのを知ったからだ。
とはいえ、新連邦がこうして組織の樹立を宣言した以上、こっちもしっかりと連邦国の建国を宣言した方がいいのかもしれないな。
幸い、影のゲートがあればジャミルを北米まで連れていくのはそう難しい話ではない。
後は新連邦のように世界中に連邦国の建国を宣言する必要があるんだが……その装置についてはシャドウミラーで用意するしかないだろう。
とはいえ、まだ国の名前も決まってないのはちょっと問題だよな。
国とする為の話し合いについては、ジャミル達がいない状況ではあるが、北米に残してきた者達が行っている。
とはいえ、発言力のある者達はそう多くはない。
フォートセバーン、サン・アンジェロ市、セインズアイランド、セントランジェ……そして俺達シャドウミラーの拠点のアルカディア。
この中でフォートセバーンはカリスが市長をしてるので俺達に友好的だし、サン・アンジェロ市の方でも俺がソロでMS乗りをやっていた時に知り合った連中や、あるいはアルカディアとの取引で儲けている連中がいるので、完全にではないにしろ、それなりに俺達の味方となる。
セインズアイランドは……うーん、どうだろうな。
都市国家としてかなり復興してるだけに、自分達が主導権を握りたいと主張する可能性はある。
セントランジェはそれなりにでかい街だが、生憎と俺はそっちに行った事はないんだよな。
そして忘れてはならないのはバルチャー。
北米において大きな勢力を持ってる勢力。
とはいえ、基本的に勢力として纏まっている訳ではなく、それぞれが好き勝手に行動しているが。
だが、そんなバルチャーの中にもカリスマ的な存在がいる。
俺が親しいロッソや、アルタネイティブ社の時に一緒に戦ったグリーツやローザ。
特にグリーツは俺達と同じテンザン級を使っているし、MSも地上用に改修したとはいえ、15年前の戦争において高性能量産MSとして名高いオクト・エイプだ。
ローザは突出した能力を持たないが、女のバルチャーという事で相応の人気がある。
この3人だけではなく、他にも影響力のあるバルチャーは何人もいるだろう。
俺がフリーのMS乗りをしていた時に知り合ったバルチャー達も引き込めるだろうし、エニルもまた同様だろう。
そういう意味では今頃北米でどういう風になってるのか、ちょっと気にならないかと言われれば、それは否だ。
「とにかく、今の放送によってこのX世界は大きく動く事になるだろうな」
「間違いなくそうなるでしょうね。個人的にはあまり歓迎出来ないんだけど」
そう言い、モニクは息を吐く。
クリスもそれに同意するように頷いていた。
この2人も、これからこの世界がどういう風になるのか……それを何となく理解しているのだろう。
戦後15年……再びこの地球に戦いの時が訪れようとしているのは間違いなかった。
新連邦の宣言を樹立した、あの男……フィクス・ブラッドマンだったか。
あの男の様子を見る限りは確実に。
「とにかく、今は……」
『ブリッジから各員へ。ブリッジから各員へ。本艦は南アジアへと上陸します。MS隊はすぐに対応出来るよう、準備をお願いします』
不意に食堂にマリューからの声が響く。
いや、これは別に食堂だけではなく、テンザン級全体に放たれた言葉だろう。
南アジアでは新連邦が小国にちょっかいを出していると、ゾンダーエプタからの情報にあった。
だとすれば、俺達が上陸してこの地の国家に接触するというのは、新連邦にとって非常に面白くないことだろう。
つまり、そうなる前にちょっかいを出してくる可能性は十分にあった。
ちょっかいを出してきてくれれば、こっちもそれに対応すればいいだけなので、何の問題もないのだが。
MSを鹵獲してこっちの戦力としてもいいし、あるいは捕虜となった敵のパイロットから情報を聞き出してもいい。
ただ、敵の指揮官とかならともかく、ただのMSパイロットが重要な情報を持っているとは思えないが。
「アクセル、格納庫に行きましょう。いつ新連邦が襲ってくるか分からないわ」
クリスの言葉に頷き、俺とモニクは格納庫に向かうのだった。
「おや、3人でデートをしていたのかい? 羨ましいねぇ」
格納庫にやって来た俺達を見て、シーマがそう言う。
その口調は言葉でこそ羨ましいと言ってるように思えるが、目は笑っている。
どちらかというと、俺達をからかうつもりなのだろう。
クリスはともかく、モニクは生真面目な性格をしている。
そんなシーマに向かい、早速言い返していた。
けど……生真面目か。
本当に今更の話だけど、そんな生真面目な性格をしているモニクが、よく俺に告白をしてきたよな。
多数の恋人と同棲をしている俺とモニクだと……いやまぁ、ある意味生真面目なモニクだからこそ、自分とは正反対とも言える俺を好きになったのかもしれないが。
あるいは、生真面目だからこそ駄目な男を好きになったとか?
世の中には美人で仕事も出来るような女が、何故か駄目な男を好きになる事があると聞いている。
そう考えると、もしかしたらモニクもそういうタイプなのかもしれないな。
ただ、それを直接モニクに言ったりした場合、間違いなく騒動になるだろうが。
「ほら、2人とも。その辺にしておきなさい。もうここは南アジアなんだから。いつ新連邦が襲ってきてもおかしくないのよ」
言い争いというか、シーマがモニクをからかっている光景を見て、クリスがそうやって注意する。
クリスの言葉に、シーマとモニクが矛を収める。
2人にとっても、別に本気で言い争いをしていた訳ではない。
あくまでも気軽なやり取り……つまり、一種のレクリエーションとでも呼ぶべきものだ。
そんな様子を見つつ、俺は2人を止めたクリスに視線を向ける。
「そう言えば、何かあったら俺達の方でも出撃するとは思うんだが、フリーデンの方もだよな? ガロードにしてみれば、DXの初陣か」
「そうなるでしょうね。もっとも、訓練はそれなりにしてたみたいだし、そこまで心配する必要はないと思うけど」
ゾンダーエプタから南アジアに到着するまで、特に騒動らしい騒動はなかった。
そのおかげで、DXの調整については順調に進んだのだ。
まさかここまスムーズにいくとは、少し予想外だったが。
俺達……もしくは俺にとっては、それこそ新連邦の部隊が襲ってきたりしてもおかしくはないと思っていたのだから。
ただし、ブラッドマンの新連邦樹立宣言を考えると、襲撃がなかった事にも納得出来る。
恐らくあの式典に労力を集中していたので、俺達に攻撃をする余裕はなかったのだろう。
とはいえ、南アジアもそうだが他の地域では新連邦もそれなりに活動していたのだ。
そういう意味では戦力的な余裕がなかった訳でもないだろう。
だとすれば、ガンダムが多数存在する俺達に攻撃をしても、自分達の被害が大きくなると判断したのかもしれないな。
とにかく、こちらにとっては悪くない事に、時間だけはたっぷりとあった。
その時間によって、DXの最終調整は終了して無事にDXはフリーデンに運び込まれる事になった訳だ。
とはいえ、ガロードもまだDXの訓練についてはそこまでやってないらしいが。
ただ、DXはGXの正統進化形とも呼ぶべき後継機だ。
操縦感覚では、GXに乗っていたガロードにしてみれば、そこまで気にする必要もないのだろう。
勿論、機体性能を完全に活かすという形で操縦するには、それなりに時間が必要となるののかもしれないが。
「ガロードはニュータイプではないけど、操縦センスという点でいうとかなり凄いね。それこそUC世界にもあのくらいの操縦技術を持つ者は……いない訳ではないだろうけど、そんなに多くはない筈だよ」
「そこまでか」
現時点でのガロードの操縦技術はそれなり高いが、そこまで突出したものではない。
だが、才能という点でシーマがそこまで褒め称えるのは……それなりにガロードと一緒に模擬戦をしていたのが大きいのだろう。
DXではなくGXに乗っていた時だが。
また、ガロードがこの世界の原作の主人公だからというのも影響しているのかもしれない。
そんな風に思いつつ、俺は話を切り上げてヴァサーゴのコックピットに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1995
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1767