「うわぁっ!」
ウイリスが悲鳴を上げながら影のゲートから出る。
それ以外にも、ルクス、リー、グラントといった面々が姿を現すが、驚きはしたものの、ウイリス程に悲鳴を上げている様子はない。
影のゲートは影に沈む感覚に慣れない者もいるのだが、どうやらエスタルドの中でウイリスだけはそんな感じだったらしい。
エスタルドの面々の中では、ウイリスが最初に北米に行くと決断したんだが、そのウイリスが影のゲートに慣れないタイプだったとは……ちょっと残念だったな。
とはいえ、影のゲートに慣れない者も何度も使えば最終的にはそれなりに慣れるようになる。
シャドウミラーに所属する者達の中にも、最初は影のゲートに慣れなかったのだが、今となっては特に問題ない者もいる。
また、当然ながら最初から全く何の問題もなく使える者もおり、そういう意味では……
「うわぁ、マジかよ。南アジアから一瞬で北米に戻ってきやがった」
「いや、凄いね本当。影のゲートだっけ? 俺も使えるようになったら、凄く便利そうなんだけど」
ウィッツとロアビィがそれぞれそんな風に会話してるのが聞こえてくる。
この2人のような奴もいた。
「ロアビィ、もし本当に魔法を習得したいのなら、それなりに便宜を図ってもいいぞ。ただし、ロアビィがどの呪文に適性があるのかは分からないし、もし影の魔法に適性があっても影のゲートはかなり高位の魔法。習得するには結構な才能とそれにプラスして修行時間が必要になるけどな」
「あ、やっぱやーめた」
即座に諦めるロアビィ。
おい、と突っ込みたくなるものの、実際にロアビィが影のゲートを習得出来るかとなると……正直難しいだろう。
そういう意味では、こうしてあっさりと諦めたのは悪い話ではない。
「アクセル殿……ここが、北米だと?」
俺がロアビィと話をしている間に、周囲を見回していたエスタルド勢の中でリーが俺にそう聞いてくる。
その目にあるのは、動揺と驚き、そして俺が嘘を言ってないか見抜こうとしている厳しい視線か。
他の面々はまだここがどこなのかといった事に実感がないのか、周囲を見回していた。
ルクスはまだ少し気持ち悪そうにしているウイリスの背中を撫でていたが。
そんな中で真っ先に俺にこうして尋ねてきたリーはさすがと言うべきだろう。
「そうだ。ここが北米における俺達シャドウミラーの拠点、アルカディアだ」
実際にはアルカディア以外にもゾンダーエプタという拠点があるのだが、それについては別に言わなくてもいいだろう。
エスタルドと手を結びたいとは思っているが、だからといってこちらの全てを見せつける必要はないのだから。
「ここが……凄まじい賑わいですな」
アルカディアの様子を見て、しみじみとリーが呟く。
実際、その言葉は決して間違ってはいない。
俺から見ても、アルカディアは以前来た時と比べて明らかに賑わっていた。
俺達が出て来たのは基地の施設のすぐ側。
以前は基地の側にはバルチャーの陸上戦艦が多数存在してはいたが、基本的には特に何もない、広場というか、荒れ地というか……そんな感じだった。
だが、今の俺達の視線の先には複数の建物が存在している。
建物があるのは、あくまでも基地の側だけだ。
また、その建物もしっかりとした建物という訳ではなく、いかにも適当に作った……というか、とにかく素早く作ったといった建物だ。
そのような建物がない場所には以前見たように、多くの陸上戦艦が並んでいる。
一体このアルカディアにどれだけの人数が集まっているのか。
考えるまでもないだろう。
「な……ル、ルクス。あれは一体……」
ようやく落ち着いたウイリスの驚く声が聞こえてくる。
ウイリスに視線を向けると、そこでは歩いているコバッタを見て驚いているらしい。
当然か。戦前ならまだしも、戦後に……しかも数万人規模の小国でAIを持ったロボットを見るような事はないだろうし。
そもそも、この世界においてAI制御の機械というのは、そこまで発展していないっぽいし。
勿論全く発展していない訳ではないのだろうが。
ただ、フラッシュシステムを使ったビットMSの件を考えると……いやまぁ、あれは特殊な例か。
「アクセル殿、あれは一体?」
ルクスがウイリスに代わって尋ねてくる。
もっとも、その表情には特に驚きの色はない。
コバッタがどのような存在なのかは十分に理解しているのだろう。
だが、それでも俺に聞いてくるのは……俺達が異世界の存在だというのを見せられたので、もしかしたら見掛けとは違うような何かではないかと、そう思ったからか。
「コバッタ。簡単に言えば無人の作業機だな。AIが制御して、色々な雑用をやっている」
実際、コバッタという存在はシャドウミラーにとって非常に大きい。
有能差という意味では量産型Wの方が圧倒的に上だが、コスト的に考えると明らかにコバッタの方が上なのだ。
無人機という事なら、メギロートもいる。
しかし、メギロートは無人機ではあるが、コバッタに比べると圧倒的に巨大だ。
人が通れるような通路の中を移動するといった真似は……無理をすれば出来ない事もないかもしれないが、通路とかを傷付けてしまうのは間違いない。
土木工事とかそういう外でやる大きな作業なら、コバッタよりもメギロートの方が上なのだが。
「雑用を……それは羨ましいですね」
そう呟くルクスだが、それが本心なのか、それともお世辞なのか。
無表情なだけに、生憎と俺には判断出来ない。
「それより、アクセル殿。アクセル殿の言葉を疑う訳ではないのですが、ここは本当に北米なのですか?」
グラントが周囲の様子を見ながら尋ねてくる。
「勿論、アクセル殿が影のゲートでしたか? 一瞬で移動出来るような能力を持っているのは解りました。ですが、その移動距離が……その……」
最後は言葉を濁しているものの、グラントが何を言いたいのかは理解出来る。
本当に南アジアから北米まで転移してきたのかと、そう聞きたいのだろう。
……実際、これだけの長距離の転移は、コロニー落としの影響で自然が少なく、魔法を使う際の消費魔力が極端に大きいこのX世界ではかなり負担なのは事実だ。
エヴァやフェイトのように、俺以外にも転移魔法を使える者達はいるが、それでもこのX世界で南アジアから北米への転移が出来るかと言われれば……やってやれない事はないかもしれないが、その消耗はかなり大きいだろう。
俺の場合は時間が経過すると魔力が回復するスキルがあるし、何よりもPPを大量に消費する事によってとんでもない量の魔力を持つようになった。
そのおかげで、現在の状況でもこうしてそれなりに余裕がある。
「なら、聞いてくればいい。ほら、結構人がいるのは分かるだろう?」
グラントに対し、そう告げる。
アルカディアの基地周辺には、何人もバルチャーと思しき者達、あるいは商人とかそういう連中もいるのが分かる。
そのような連中に色々と聞いてみれば、ここがどこなのかというのはすぐに分かるだろう。
もっとも、俺が転移してきた場所である以上、そこにいる者達も全員が俺の用意した者達で口裏を合わせていると言われれば、ちょっと困るが。
ただ、話の流れからそのような真似をする余裕はなかった……と、そんな風に向こうが思ってくれると助かる。
「……では」
グラントはそう言うと、少し離れた場所で会話をしている数人のバルチャー達に話し掛ける。
これがもしアルカディアでなければ、グラントのように明らかに身なりのいい者が話し掛けてきた場合、疑われるだろう。
いや、疑われるだけならまだいい方で、バルチャーによっては身ぐるみを剥ぐとかしてもおかしくはない。
だが、ここはアルカディアだ。
ここでそのような真似をすれば、それこそすぐにでも量産型Wやコバッタによって捕まってしまう。
そういう意味では、このアルカディアは商談に向いている場所なのは間違いない。
ノモアもその辺については考えてアルカディアを運営してるんだろうし。
「それにしても、こうして見るとかなりのものだな。私が連邦国の代表となるにしても、その場合は首都をここにした方がいいのか?」
ジャミルが俺に近付いてきそう言ってくる。
ジャミルにしてみれば、連邦国の代表になるというのは承知したものの、自覚がまだあまりないのだろう
無理もないか。
ジャミルが連邦国の代表となると決めたのはいいものの、建国について動いてるのはノモアを始めとした面々だ。
これでセインズアイランドで活動をしていれば、ジャミルも連邦国についての建国についてもう少し実感があったのかもしれないが……俺達はそれとは関係なくゾンダーエプタやエスタルドに移動したしな。
「首都をどこにするのかというのは重要な話だな。だが、それでもアルカディアは……ちょっと難しいと思うぞ。山の中だし」
「むぅ、そういうものか」
俺の言葉にジャミルが唸る。
ホワイトスターに繋がるゲートがあるという点で、シャドウミラーとの繋がりを他の者達……具体的には、新連邦とかに示すには悪くないのかもしれない。
だが、連邦国家の首都として考えると、アルカディアはどうしても狭い。
場合によっては北米の……いや、それ以外からも人が集まってくる場所になるというのを考えると、やはり山の中にあるアルカディアではなく、平地がお勧めだ。
「いっそ最初から作るというのもありかもしれないな。俺達の無人機を使えば、首都を新たに作るというのはそんなに難しくないと思うし」
人がこれから大量に流れ込むとなれば、計画的な都市開発というのは必須となる。
行き当たりばったりで都市を建設したり、あるいは戦前から残っている街を利用したりするよりは。
勿論、そうなるとコスト的にはかなり必要となるだろう。
それを出すのは……連邦国に所属する者達から金を集めるか、それが難しいようならシャドウミラーが建築物資の類を用意してもいい。
キブツを使えば、特にコストらしいコストは必要ないし。
とはいえ、そのような真似をすれば連邦国でのシャドウミラーの地位は不必要に上がってしまう。
連邦国という名前ではあるが、実質的にはシャドウミラーが率いる他の勢力といった感じになってもおかしくはない。
そうなると、後々ちょっと問題になる可能性が高そうなんだよな。
「ガロード、見てくれ。MSが空を飛んでいるぞ!」
「いや、そりゃあMSなんだから空を飛んでもおかしくはないだろ」
空を飛ぶオクト・エイプを見て興奮したようなウイリスの言葉にガロードがそう答える。
にしても、ガロードはいつの間にこんなにウイリスと仲良くなったんだ?
ガロードとウイリスが接する機会とかは、今までなかった筈だ。
だとすればアルカディアに転移してからの短い時間で仲良くなったんだと思うが……ウイリスからガロードに話し掛けたのか、それとも逆か。
「アクセル殿、少しよろしいか?」
ウイリスとガロードの様子を見ていた俺に、先程までバルチャーと話をしていたリーが声を掛けてきた。
真剣なその表情に、何かあると判断する。
リーにしてみれば、このアルカディアには色々と興味深いのは間違いないだろうし、それに関してか?
「何だ?」
「先程話していたバルチャーから話を聞いたのだが、このアルカディアにおいてはMSを……それも壊れているMSを修理するといったような中古のMSではなく、新品のMSを購入出来るというのは本当ですかな?」
軍の司令官としては、やっぱりその辺は気になるのか。
真剣な……そうであって欲しいという思いが込められた視線に頷く。
「そうだ。それは間違いない。この拠点では、基地に元々あったMS生産施設を改良して、旧連邦軍のMSだけではなく、新連邦軍のMS……更には、宇宙革命軍のMSも生産して売っている。ただ、言うまでもなく中古ではなく新品である以上、普通にバルチャーからMSを購入するよりも高くなる。その分、性能については保証するが」
「おお……それでは、エスタルドがMSを購入する事も?」
「可能だな。問題なのは、どうやって運ぶかだろうけど」
普通にバルチャーや商人、あるいは自分の村や街を守る為にMSを購入する時は、自分の陸上戦艦に積むなり、あるいはMSに乗って自分の村や街に戻るなりといった真似をすればいい。
だが、リーが……というか、エスタルドが購入しようとした場合は、そうはいかない。
具体的には、北米から南アジアまでどうやって運ぶかといった事になる。
バルチャーやシーバルチャーを雇って運んで貰うという方法もあるが、そのような真似をする場合、報酬がかなり高額になるだろう。
また、途中で盗賊のバルチャーやオルクといった相手に襲撃されたないとも限らない。
最悪の場合は、新連邦に遭遇するとかか。
南アジアと北米で、距離が離れすぎているのがこの場合は問題だった。
とはいえ……
「もしエスタルドが友好国になったら、全てとは言わないが、何度かは俺が運んでもいいけどな」
「それは……転移とやらで?」
「そんな感じだ」
実際には転移だけではなく空間倉庫も使うのだが、説明が面倒なので取りあえず黙っておく。
俺の言葉を聞いたリーは、急いでウイリスに向かって歩いていくのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1995
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1767