「なら、それで手を打とう」
エスタルドとの交渉……というか、正確にはリーとの交渉はそれなりに早く纏まった。
その内容としては、MS10機……機種はオクト・エイプに統一されたそれを、エスタルドが購入するといったものだった。
この取引の内容そのものは、そこまでおかしなものではない。
売値に関しても国という事で。そして何よりもこれからの付き合いについて考えた結果、若干他のバルチャーよりも安く売る事になったが、十分に利益が出る金額だ。
何しろエスタルドは海底資源が豊富なだけに、小国ではあるが金に余裕はあるのだから。
ただ、取引が纏まってもそのMSをどうやってエスタルドに運ぶかという問題があるのだが……それに関しては、俺が空間倉庫と影のゲートを使う事になった。
勿論だが、そのような真似を無料でする訳がない。
その代金として俺が入手したのは、エスタルドが独自開発したMS。
もっとも、そのMS……エスタルドスというのは、エスタルドがノーザンベルやガスタールと共に開発したMSなのだが。
にしても、エスタルドスって完全にエスタルドの名前だよな?
よくこれで他の2ヶ国が納得したものだ。
あるいはエスタルドスというのはエスタルドだけの名前で、ノーザンベルやガスタールではまた別の名称なのかもしれないが。
とにかく、このエスタルドスは旧連邦、宇宙革命軍、新連邦のいずれのMSでもない、独自のMSだ。
そしてこのエスタルドスをベースに開発したパイロン。
こちらは現在のエスタルド……だけではなく、ノーザンベルやガスタールも使っている現役の主力MSだ。
分かりやすく言えば、エスタルドスがザクⅠで、パイロンがザクⅡ的な存在だと言えば納得しやすいと思う。
当然だが、このパイロンもまた旧連邦、新連邦、宇宙革命軍が所持していないMSなので、シャドウミラー的にはありがたい。
とはいえ、エスタルドスもパイロンも、希少ではあっても性能は決して高くない。
何しろ空も普通に飛べないという時点で、このX世界MSとしては満足出来ない性能となる。
つまり、あくまでそれらを欲するのはコレクション的な意味合いが強い。
「うむ、感謝する。……今回の一件を考えると、僥倖と言うべきであろうな」
取引の結果に満足そうに言うリー。
実際、リーのその言葉は決して間違ってはいない。
もしこのX世界が今のような状況……それこそ新連邦にエスタルドを含めた南アジアが狙われているような状態でなければ、MS10機の購入を即決で購入するといった真似は出来なかっただろう。
それこそMSを購入したいと打診し、どのようなMSがあるのかを聞いてから、それを検討してどの機種にするのかを決めて、値引きやオプションについて諸々の交渉をして……といった具合で、場合によっては数ヶ月掛かってもおかしくはない。
だが、現在進行形で新連邦と戦いになっているエスタルドには、当然ながらそんな余裕はない。
非常事態という事で、リーはMSを即決で購入する事に決めたのだ。
もっとも、リーとしては出来ればもっとMSは欲しかったのだろう。
それが出来なかったのは、さすがに軍を率いる立場のリーであっても自由に出来る資金はそこまで多くなかったからだ。
ハト派のグラントが反対しなければ、もう少し数は増えたかもしれないが。
あるいはそれでも10機も購入出来たのは、ハト派のグラントにしても新連邦に一方的に負けている状態では和平も何も出来ないと判断したからか。
「さて、MSの取引についてはこれでいいとして、これからどうするかだな。俺としてはそろそろエスタルドに戻った方がいいと思うんだが」
その言葉に、アルカディアの中にある会議室にいた他の面々も同意する。
ウイリスは少し残念そうな表情を浮かべていたものの、エスタルドにしてみれば上層部の者達が纏めて消えてしまったのだ。
向こうに残してきたエスタルドの役人達は事情を理解しているものの、だからといってそれを他人に説明出来るかというのは別の話だろう。
何しろ、魔法だ。
それを実物で見たのなら納得も出来るかもしれないが、俺の魔法を見ていないのに、魔法で俺達が転移したと言われて……それで信じろという方が無理だろう。
「ウイリス様」
「……そうだね。残念だけど、戻るとしよう」
ルクスに言われ、ウイリスは残念そうに言う。
「あー……いや、もう20分くらいは自由時間にするか。オクト・エイプも用意しないといけないし」
少し……本当に少しだけウイリスの残念そうな様子に同情し、そう告げる。
いやまぁ、実際にMSを用意する必要があると思っていたのも事実なので、必ずしも同情からの言葉だけじゃないんだが。
それでもウイリスは俺の言葉に嬉しそうな様子を見せるのだった。
「さて、色々と……本当に色々と信じられないことばかり起こったが、話を進めるとしよう」
アルカディアでの諸々を終えて、エスタルドに戻ってきた俺達は再び会議室に集まっていた。
なお、実際にはエスタルドに転移で戻ってきてから1時間程経過していたりする。
その1時間の間に、魔法を初めて経験したエスタルド側の面々は気分を落ち着かせたりし、俺はアルカディアから持ってきたオクト・エイプを軍の倉庫で出して、エスタルドスとパイロン、そしてMSを売った分の料金を受け取るといった事を終わらせている。
ちなみにエスタルドスとパイロンを少し操縦させて貰ったが、やはり旧式のMS……ノーマルのジェニスやドートレスより少し上といった感じの性能だった。
旧式のエスタルドはともかく、新型のパイロンでも新連邦のMSとやり合うのは……不可能ではないにしろ、かなり厳しいと思う。
MSの操縦訓練をしている連中の動きを見たが、その技量は悪くはないが、凄腕とも呼べる程ではない。
平均か、あるいはそれより少し下といったところか。
もっとも、自軍の件についてはリーも理解してるのだろう。
だからこそ、俺達に協力を要請しているのだ。
「それで、新連邦に対する共同作戦についてだが……どうですかな?」
「受け入れましょう」
予想外にあっさりとジャミルは決断した。
てっきりもう少し様子を見るなりなんなりするかと思ったのだが。
もっとも、ジャミルはこの南アジアで新連邦が動いているのを承知の上でやって来たのだ。
そうである以上、新連邦と戦いになるというのは十分承知の上だったのだろう。
「ふぅん」
そんなジャミルの様子に、ロアビィが小さく……だが納得は出来ていないといった様子でそう言うのが聞こえてくる。
ロアビィにしてみれば、ジャミルのこの判断は納得出来ないものだったらしい。
ロアビィの性格を考えれば、そんなにおかしな話でもないか。
もしかしたら、ロアビィはフリーデンを降りるといったような事になるかもしれないな。
「おお、助かる。ジャミル殿のように決断力のある代表を持つ国というのは幸せですな」
「正直なところ、まだあまり実感がないのですがね」
困った様子のジャミル。
実際、建国の準備はしていないので、そんな風に思ってもおかしくはないだろう。
ただ、アルカディアに行った時にノモアに確認してみたんだが、建国の準備が着々と進んでいるのは間違いない。
また、それとは別にホワイトスターの方に大規模な通信設備……それこそX世界の全世界に映像を流せる通信設備を用意するように言っておいた。
新連邦が地球全土に映像を流して自分達の存在をアピールしたのは、かなり効果的だった。
だが、新連邦がそのような真似をしたのは、それが出来るのが自分達だけだからという思いがあるのも間違いないだろう。
そんな中で、北米に建国されたばかりの連邦国が自分達と同じような真似をしたらどうなるか。
ましてや、その演説でシャドウミラーの存在を公にした場合、どう思うか。
普通に考えれば、こっちの話を素直に信じるといったような事はないだろう。
ましてや、このX世界で魔法などと言われて素直に信じる方がおかしい。
おかしいのだが、同時に疑問には思う筈だ。
何故そのような誰にでも分かる嘘を口にするのか、と。
また、そのような嘘を言ってるのは間違いないが、新連邦に匹敵する技術……少なくても全世界に映像を発信出来るだけの施設を持ってるのは間違いない。
そうなれば、新連邦はどう出るか。
友好的に接してくる?
いや、エスタルドへの対応や、ゾンダーエプタで入手した世界各国に対する態度を考えれば、友好的に接してくるという事はまずないだろう。
新連邦のやり口からすると、攻撃一択だ。
新連邦にしてみれば、北米の連邦国を倒せば大きな利益となるのだから。
あるいは自分達が苦戦するだけの戦力を持ってると知れば、一応戦い以外の選択肢を選ぶ可能性もあるが……それも一度は戦って勝つ必要があるのは間違いない。
「今はそうかもしれませんが、国として活動をしていればそのうち国を率いる者として、十分に自覚が出てくると思いますよ。ウイリス様のように」
「将軍……」
リーの言葉にウイリスは何かを言おうとする。
嬉しそう……という訳ではないのか?
ただ、だからといってウイリスがリーを嫌っている訳でもないらしい。
この辺、エスタルドの人間関係が複雑なのが見て取れるな。
「それでは、まずは……」
「大変です!」
リーの言葉を遮るように、兵士が会議室に飛び込んでくる。
考えるまでもなく、普通なら到底有り得ないことだ。
何しろ俺達は、エスタルドにとって非常に重要な客人だ。
それはオクト・エイプを10機を購入しようとしたエスタルドに、すぐにそれを引き渡した事からもそれは明らかだろう。
そんな俺達との面談……というか、既にどうやって新連邦を撃退するかの相談だな。その相談を行っている場に、無造作に兵士が飛び込んできたのだ。
普通に考えれば、とてもではないが許されることではない。
エスタルドの面々はもそれは分かっているのか、何人かがその兵士に厳しい視線を向ける。
だが、そのような者達が何かを言うよりも前に、リーが口を開く。
「何事だ。今は重要な時。それが分かっていての行動か?」
「はい、リー将軍! 現在、エスタルドに向かって新連邦の爆撃機が多数向かっている模様。恐らくここを絨毯爆撃しようとしているのかと!」
その言葉に、会議室の中は一瞬静寂に包まれる。
最初、そして次の瞬間にはその言葉の意味を理解し、何人もが一体何故そのような事になるのかといったように驚きの声を上げる。
だが、それは俺にとって悪い話ではない。
具体的には、俺達シャドウミラーの実力を見せつけるという意味で。
「俺達が出よう。エスタルドの面々には、俺達が具体的にどのような力を持ってるのかそれを確認して貰う必要があるしな。手を組むにしても、相手がどれだけの実力を持っているのか分からないと難しいだろう?」
「何? だが、それは……」
いきなりの俺の提案に、リーは言葉に詰まる。
そして数秒迷った様子で考え、やがてウイリスに視線を向ける。
「ウイリス様。儂はアクセル殿の言葉に頼ってもいいと思います」
「え? いや、でも……」
ウイリスはまさかここで自分に視線を向けられるとは思っていなかったのか、戸惑った様子で周囲を見る。
「いけません、ウイリス様。まだ正式に国交を結んだ訳でもない相手に頼るような事になった場合、面倒な事になりかねませんぞ。それよりも、まずは新連邦に抗議をするべきです」
グラントの方はグラントで、ウイリスにそんな風に言う。
グラントの判断は甘すぎると思うのだが……その辺はハト派、新連邦との間に和平を結ぼうとしている派閥を率いる身なんだし、仕方がないのか?
ただ、力を示さずにそのような事をしようとしても、それは和平ではなく従属になるように思えるが。
「それは……だが……」
リーの意見だけではなく、グラントからもそのように言われたウイリスは、戸惑うように周囲を見る。
「ご自分でお決めになられるべきです」
最終的に視線を向けられたルクスは、ウイリスに向かってそう言う。
恐らくだが、今までは何かあったらルクスが指示を出していたのだろう。
だが、今回に限ってはルクスが決めるのではなく、ウイリス本人に決めさせようとしている。
その理由は、部外者の俺達がここにこうしているからなのか、それともガロードを含めた者達との接触でウイリスが成長したと判断したからか。
その辺りについての詳細は分からないが、それでもウイリスが決断を求められているのは間違いない事実。
そうなると、後の問題は一体どうなるか……という事だが。
俺達は口出しをするような真似はせず、ウイリスの言葉を待つ。
俺達だけではなく、エスタルドの面々も同様だった。
そうして十分に視線が向けられ、ウイリスも自分で決めないといけないと判断したのだろう。
何度も唾を飲み込み、何かを言おうとしては止め……やがて1分程経過したところで、ようやく声を出す。
「シャ、シャドウミラーの協力を求めたい!」
緊張からか、妙に高音で発せられたその声に、俺達は頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1995
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1767