「おお、君達のおかげで街が絨毯爆撃の被害に遭わずにすんだのだ! よくやってくれた!」
嬉しそうなリーの言葉が周囲に響く。
エスタルドに戻ってきた俺達は、すぐにまた呼び出された。
とはいえ、爆撃機の件があった以上、前回と同じ人数で行くのも何かがあった時に動きが鈍くなるので、俺とジャミルの2人だけだったが。
ただし、俺はシャドウミラーの、ジャミルは北米の連邦国の代表である以上、人数は少ないものの問題はない。
「てっきり、MSが護衛についてるかと思ったんだが、どうやらそういう事はなく、爆撃機だけだったから、倒すのは難しくなかったけどな」
「うむ、エスタルドの民間人に被害が出なかったのは何よりだ」
そう言う俺とジャミルの言葉に、リーだけではなくウイリス、ルクス、グラントといった他の面々も嬉しそうな様子を見せる。
主義主張は色々とあるのだろうが、そんな中でもやはりエスタルドという自分の故国が無事だったのは、全員が同じだったのだろう。
これで実は裏で新連邦と繋がってる奴がいたとか、そういう事になったりしたら、この件で素直に喜ぶといった真似はしないだろう。
今までの俺の経験からすると、もし新連邦と繋がっている可能性があるとすれば……ウイリスの側近として強い影響力を持ち、半ばコントロールしているように思えるルクスか、あるいは新連邦との和平派のトップのグラントといったところだろう。
ウイリスは、そもそも新連邦と接触するといった事を考えても、それを実行出来る能力がない。
リーはエスタルドに強い忠誠心を抱いており、新連邦と繋がるといった考えは一切ないだろう。
……もっとも、これはあくまでも今までの経験からの予想であって、実際にはルクスもグラントも新連邦と繋がっている可能性はそんなに高くないと思えるのだが。
「それで、これからどうする? エスタルドとしては、新連邦に攻撃を受けて……それも民間人が被害を受けていた可能性があるのに、そのままにしておくといった事は出来ないんじゃないか?」
「つまり、新連邦を攻めろと?」
「そうなるな。それも、出来れば俺達とエスタルドだけじゃなくて、他の2ヶ国も一緒に行動した方がいい」
そう言った瞬間、リーの表情が一瞬不愉快そうに歪む。
「ノーザンベルはともかく、ガスタールも……必要ですかな?」
ああ、そう言えばエスタルドとガスタールは長年敵対していたんだったか。
それが新連邦という共通の敵が現れたから、仕方なく同盟を結ぶ事になったとか。
この2ヶ国が同盟を結んでいるのは、ノーザンベルという仲介役がいるかららしい。
もしノーザンベルという国がなければ、新連邦という共通の敵がいてもエスタルドとガスタールが同盟を結ぶ事はなかった可能性が高い。
その辺の状況を考えると、この同盟の中で一番重要なのはやはりノーザンベルなのだろう。
もし俺が新連邦の人間で、この南アジアにある3つの小国の関係について詳しく知っていれば、まず真っ先にノーザンベルを落とすだろう。
それこそ新連邦軍側の戦力の損耗を無視しても、ノーザンベルを落としてしまえばそれで最大の目標は達成したも同然だ。
後は特に何もしなくても、エスタルドとガスタールは長年の敵対関係から同盟を維持出来なくなる。
そうなれば、どちらから潰してもいい。
あるいは、エスタルドかガスタールのどちらかと接触して有利な条件で従属するようにしてしまえば、従属した方に味方をしてもう片方を滅ぼしてしまえばいい。
その辺の諸々を考えると、新連邦に手を出させないようにする為にはこちらも素早く動いた方がいいだろう。
ここで下手に新連邦側に時間を与えると、それこそ余計な行動をしかねないのだから。
「純粋に戦力的な意味で必要かと言われれば、それは否だ。だが、今回必要なのは、あくまでも3ヶ国……いや、俺達も協力するのを考えると、4ヶ国が共に行動をするというのを新連邦に見せつける意味もある。それと、出来れば……」
そこで一旦言葉を止めて、ジャミルを見る。
ジャミルはそこで何故自分に視線を向けられているのかが分からないのか、こちらに顔を向けているだけだ。
「アクセル? どうした?」
「出来ればブラッドマンが新連邦の樹立を地球全土に宣言したように、ジャミルにも北米の連邦国家の建国を宣言して欲しいところなんだが……さすがにちょっと難しいか」
「それは難しいだろう。それに、もし準備が整ったとして、私達には全世界に映像を送る方法を持たない」
「ああ、そっちについては問題ない。俺達の方で準備はしてあるから。この場合間に合わないというのは、純粋に建国の件で話を纏める事だ」
ノモアや有力な街がそれぞれ話を進めてはいるものの、だからといってそれでも建国……それも1つの国ではなく、連邦国家という形になると、話を纏めるにも相応の時間が掛かる。
具体的には利害関係とか、そういうのか。
連邦国家に所属しました。しかし、その結果として税金とかそういうので、以前と比べて貧乏になり、餓死する人が出て来ました。
そんな風になったら、目も当てられない。
だからこそ、自分達が連邦国家に所属してもいいのかどうか……その辺について、細かい相談が必要になってもおかしくはなかった。
その辺が終わってしまえば、建国宣言をしてもいいんだろうが。
あるいは、最初に中心となる大きな街だけで連邦国家を作り、後々他の村や街を引き入れるといった形にしても、それはそれでおかしくはないと思う。
「とにかく、エスタルドを含めても小国が3つだけで新連邦に対抗するのは難しい。南アジアから完全に新連邦を追い出すには、ジャミルが代表となる連邦国家の力が必要となる。……それがどういう形になるのか、そして敵を倒すのに俺達がどういう風に協力するのか。その辺はジャミルに掛かっているのは忘れるなよ」
「……むぅ」
俺の言葉にジャミルが唸る。
本来なら、ジャミルもこの件に関しては色々と言いたい事はあるのだろう。
だが、今のこの状況で一体何をどうすればいいのか……それについては、生憎と何も言えないらしい。
ここで安請け合いしないのは、俺から見ても悪くないと思うんだが。
「アクセルさん、ジャミルさん。1つ聞きたいのですが、構いませんか?」
俺とジャミルの会話を聞いていたルクスが、不意にそう尋ねてくる。
基本的にいつも冷静で、初めてアルカディアを見た時も驚きはしたものの、他の者達のように驚きを露わにするようなことがなかったルクスだ。
そんなルクスがいきなり聞きたい事があると言ってきたのだから、少しだけ驚く。
「何だ? 俺達に答えられる事なら答えてもいいけど」
「ありがとうございます。では、仮に……これは本当に仮にの話ですが、もし私達エスタルドが、ジャミルさんが代表を務める連邦国家に所属したいといった場合、どうなりますか?」
「ルクス、貴様一体何を!」
ルクスの口から出た言葉に、リーが鋭く叫ぶ。
グラントもまた、驚きの視線をルクスに向けていた。
まぁ、双方共にそういう態度になってるのは無理もないだろう。
軍や政治を司っている2人と違い、ルクスの立場はあくまでもウイリスの補佐だ。
距離的にはウイリスと一番近いのだが、公の立場という点ではリーやグラントよりも劣ってしまう。
そんなルクスがいきなり連邦国に所属するとしたら……などと言ったのだ。
リーが激怒するのも分からないではない。
「落ち着いて下さい。リー将軍。これはあくまでも質問です。別にエスタルドが北米の連邦国に所属するといったようにすると考えている訳ではありません」
「ふんっ、その考えがどこまで本当なのやら」
そう言いつつも、リーはこれ以上ルクスに言い募る様子はない。
あるいはウイリスが反対の立場を取れば、ここで退くような事もなかったかもしれないが。
しかし、ウイリスはルクスを止める様子はない。
もしかして、ルクスはウイリスの考えを理解して尋ねてきたのか?
ふとそんな風に思ったが、そうであるという証拠はない。
ただ、北米の連邦国にエスタルドが入れるかどうかという質問には……
「難しいだろう」
ジャミルが短くそう言う。
その言葉に、ルクスは少しだけ残念そうな様子を見せる。
とはいえ、ジャミルの返事がこうなるのは、俺も理解出来た。
そもそもの話、ジャミルが代表を務めるのはあくまでも北米の連邦国家なのだ。
これがハワイとか、南米とかその辺りにある国家なら、もしかしたら連邦国に入るといった真似が出来た可能性もある。
だが、今のこの世界において、南アジアというのは……さすがに北米とは距離が開きすぎていた。
「だろうな。北米の連邦国は基本的に北米やその周辺にある街や村が集まる予定だ。エスタルドは遠すぎる。ただ……」
「ただ? 何でしょう?」
ジャミルに続いた俺の言葉に、ルクスはそう聞いてくる。
ルクスにしてみれば、何かエスタルドの利益になるのなら……と、そういうつもりなのだろう。
「言っておくが、これは連邦国でもシャドウミラーの者としての意見でもない。ただ、何となく……本当に思いつきでの言葉だ。もしこの言葉にそっちが興味を持っても、それが実現するかは分からない。それを承知の上で聞いてくれ」
そう言うと、ルクスが……そして他の面々も頷いたのを見て、俺は改めて口を開く。
「連邦国に所属するのは無理でも、国と国として同盟を結ぶ事は可能かもしれない」
その言葉に、ルクスは珍しく驚きの表情を浮かべる。
ノーザンベルやガスタールと軍事同盟を結んでいる以上、北米の連邦国と同盟を結ぶというのは、そんなにおかしな話ではないと思うんだが。
もっともこのX世界で普通に考えた場合、同じ大陸ならまだしも、他の大陸との間で同盟を結ぶというのはそう簡単な話ではない。
基本的に遠距離の間で通信を行う技術がない以上、もし敵に襲われて援軍を送って欲しくても、そう簡単に援軍の要請は出来ないのだから。
そうなると、それこそバルチャーに頼むなり、あるいは援軍が欲しいという連絡を直接相手のいる場所まで知らせに行く必要がある。
普通に考えれば、そんな真似をしている間に自国が敵に滅ぼされる可能性は十分にあった。
いや、可能性は十分にあるといったようなことではなく、ほぼ間違いなくそうなってしまうだろう。
そういう意味で、普通なら南アジアと北米での同盟というのは論外だ。
……ただし、これはあくまでも普通ならの話だ。
ルクス達が経験したように、俺達の場合……というか、俺の場合は影のゲートがあり、空間倉庫がある。
そういう意味では、それこそ一瞬で援軍に来る事が出来るのだ。
また、連絡手段についても、先程の俺の話を聞いていれば分かったと思うが、シャドウミラーの技術があれば、普通に北米と連絡が出来るだろう。
「本当ですか?」
「あくまでも可能か不可能かで言った場合は可能だというだけだけどな。そもそも連邦国である以上、代表のジャミルがそうしたいと決めたからといって、それが全て通る訳じゃない。他の有力者とかにも、しっかりと話を通す必要がある」
連邦国の代表という立場は強い影響力を持つ。
それは間違いない。
だが同時に、それは絶対的な権力を持つ訳でないのも事実。
もしここでジャミルが同盟を結ぶという風に答えた場合、連邦国を形成する他の者達から何故そんな勝手な事をしたと言われるだろう。
あるいはある程度なら受け入れられるかもしれないが、実際にそれをやった場合は他の者達に借りを作るというような事にもなりかねない。
「結局のところ、実際に連邦国を建国してからの話となるだろうけどな」
幸いなのは、連邦国という形をとっていても、その主力は俺達という事だろう。
もし連邦国を形成している他の村や街から戦力を引き抜いて軍を結成するといった事になれば、それこそ自分達の村や街を守る為の戦力を奪われるという事で強く反対する筈だった。
もっとも、バルチャーを引き入れるという話だったし、ロッソの件もある。
その辺の状況を考えると、最終的にはそれなりの軍隊にはなると思うが。
今は俺達が主力となっているが、フリーデンはともかくテンザン級のクルーの多くはこの世界での騒動……具体的には新連邦との騒動が解決したら、自分の世界に戻る。
俺もまた、この世界の件が終わったら、また別の世界に……あ、いや。でもその前にアルカディアの名前を決めた美鶴の要望で、俺とゆかりと美鶴の3人で旅行に行くんだったな。
「分かりました。では、その辺については改めてそちらの国が出来てから話を持っていくとしましょう」
「そうして貰えると助かる。……こちらも友好的な勢力は多ければ多い程にいい。今は難しいかもしれないが、出来るだけ力になるというのは約束しよう」
ジャミルがそう言い、ルクスはそれに感謝の言葉を口にするのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768