「じゃあ、明日の夜に迎えに来るから。それでいいんだよな?」
「うむ。頼む」
アルカディアにおいて、ジャミルはそう言って俺に向かって頭を下げてきたサラと共に去っていく。
南アジアにおける、連邦軍の基地をDXのサテライトキャノンを使って壊滅させた翌日。俺の姿は現在アルカディアにあった。
その理由は、今も見た通りジャミルとサラを送ってくる事。
北米の連邦国についての話し合いをする必要があるので、ジャミルとサラを連れてきたのだ。
……既に国についての話し合いはかなり進んでいるのだが、そのような状況で国の代表がまだそこにあまり加わっていないというのは、普通ならちょっとおかしい。
だが、このX世界は色々な意味で特殊だ。
そういう意味では、この状況もそうおかしなことではないのだろう。
中には、ジャミルを……フリーデンの艦長というだけではなく、俺達の意思決定をしている人物を2日もエスタルドから移動させるのはどうかという意見もない訳ではなかった。
だが、現状一番の脅威である空爆を行う為に爆撃機が集まってきた基地は消滅した以上、新連邦もすぐに次の動きをするといった真似は出来ないだろう。
勿論、南アジアには他にも新連邦の基地はあるだろうから、完全に安心だという訳でもない。
だが、間違いなくガロードが操縦するDXのツインサテライトキャノンによって消滅させられた基地が南アジアに攻撃してきている新連邦の基地の中では一番大きかったのは事実。
その基地を破壊された以上、新連邦側の被害はかなり大きい筈だ。
なら、新連邦の隙を突くようにこちらから攻撃に移ってはどうか。
そういう意見もあったが、だからといってエスタルド側もそこまですぐに攻撃に移る真似は出来ない。
エスタルドとしても、オクト・エイプのパイロットの技量を上げたいだろうし。
また、こちらとしてもエアマスターの改修についてはそう簡単に終わる訳ではない。
どうしてもある程度の日数は必要となる。
……もっとも、エルフや量産型W、コバッタといた面々が手伝うし、資材の方はエスタルド側で用意してくれるので、改修の責任者のキッドにしてみればかなり楽なのは間違いないだろう。
また、ノーザンベルやガスタールにしても、この前の基地の攻略においてエスタルドに俺達が協力しているのを見た以上、エスタルドと色々と打ち合わせをしたりする必要がある。
新連邦が色々とちょっかいを出しているのは間違いないし。
そして見たところ、エスタルドに新連邦の手は伸びていない。
そうなると、残るのはノーザンベルとガスタールのどちらかになる訳だが、そんな中で怪しいのは当然ガスタールとなる。
エスタルドの潜在的な敵国である以上、新連邦にしてみればその辺りを突いて同盟を裏切らせ、自分達につくように言うのは難しくはないだろう。
だからこそ、エスタルドの上層部もその辺についてはしっかりと考えているんだろうが……
「まぁ、俺にはその辺は関係ないけどな」
「アクセル? どうしたの?」
俺と腕を組んでいるクスコが、不思議そうに尋ねてくる。
「いや、何でもない。ジャミル達がアルカディアで上手くやってるかと思ってな」
「こういう場合、私と一緒にいるのに他の女の事を考えてなかったと喜べばいいのかしら? それとも、私と一緒にいるのに他の女どころか男の事を考えてると怒ればいいのかしら?」
「出来れば怒らない方向で頼む。せっかくのデートなんだから、楽しい時間にしたいだろう?」
ジャミルとサラをアルカディアに送った俺が何をしているのか……それはクスコとのデートだった。
理由としては、あの新連邦の新型機……ゾンダーエプタから得たデータをマリューに調べて貰ったところ、ガディールとかいう新型MAの映像データの報酬という形だ。
……報酬とかを抜きにしても、クスコのような美人とデートをするというのは寧ろ俺にとってメリットしかないように思うんだが。
ちなみにガディールはゾンダーエプタのデータによると、やっぱり戦闘機ではなくMAという扱いらしい。
エアマスターの戦闘機状態も形式上はMA形態という事になってるのを考えれば、そんなに不思議ではないのかもしれないが。
ただし、このガディール、ゾンダーエプタにはなかったんだよな。
どうやら試作機か、もしくはそこまで量産されていない機体らしい。
ゾンダーエプタにあったのなら、間違いなくこっちで確保したものを。
生産数が少ないMA。
そう考えると、フリーデンが行った基地を破壊した作戦に俺も参加しておけばよかったな。
まさかここで新型機が投入されるとは思っていなかったので、今更の話だが。
ただし、他にもあるだろう南アジアの基地にはガディールがある可能性は高いので、絶対に入手してみせる。
ともあれ、その新型機についての映像データを入手した件で結局クスコの言い分が通り、こうしてデートをしていたのだ。
「あ、ほらアクセル。あそこで大道芸やってるみたいよ? ちょっと見ていきましょうよ」
「大道芸? また、珍しい」
エスタルドは人口数万人の小国だ。
それこそ一般的な認識では、国どころか県……いや市とかでも数万人はいると思う。
そんな小国で大道芸とかやっても、儲かるものなのか?
そんな疑問を抱いたが、やっている以上はせっかくなので見に行こうと、俺とクスコは腕を組んだまま大道芸をやっている方に向かう。
「結構客がいるな」
「そうね。……新連邦と戦争になってるんだもの。気分転換をしたい人が多いんでしょう」
「それに、遊ぶ方法とかそういうのも戦前と比べると随分と減ってるだろうしな」
そんな風に言葉を交わしながら、大道芸人を見る。
その大道芸人がやってるのは、大道芸としてはある意味で王道的な複数のボールをお手玉するというものだ。
ただし、そのボールの数が5個、6個、7個と次第に増えていくのを見ると、素直に凄いと思う。
いや、本当にこれは凄いな。
勿論、俺を含めてシャドウミラーの面々なら気や魔力で身体強化とかをすれば、恐らく同じような真似は出来る。
だが、この大道芸人はそういうのもなく、普通に素の能力で行っているのだ。
「これは凄いな」
「ええ。人気が出るのも分かるわね」
俺とクスコは少し離れた場所で大道芸を見ているが、大道芸人の目の前にいる客……見た感じ、やっぱり子供達が多いようだが、その子供達は恐らく驚きの視線を向けているのだろう。
「取りあえず」
大道芸人の周囲にいる観客達の近くに行き、地面に置かれている入れ物に少し多めの金を入れる。
その金額に、大道芸人がボールの動きを一瞬乱す。
どうやら大道芸人にとっても、その金額は予想外だったらしい。
とはいえ……ぶっちゃけ、この金は俺がフリーのMS乗りをやっていた時に稼いだ金だ。
当然だがX世界以外では今のところ使い道がない。
正式にX世界が異世界間貿易の条約を結べば、ホワイトスターでも使えるようになるとは思うが……両替する時はかなり安くなると思う。
何しろX世界はまだ戦後から抜け出していないし、人口もかなり少ない。
技術的にはそれなりに見るべきところはあるが、全体的に見た場合はどうしても魅力的な世界ではないのだ。
当然だが、そんな世界で使われている金の価値は低くなる。
この先、X世界が無事に復興していけば、将来的には為替レートも改善していくと思うが。
そんな世界の金なので、ソロでフリーのMS乗りをして稼いでいた時はともかく、今のように自由にホワイトスターと行き来出来るようになってしまうと、あまり使い道がないんだよな。
だからこそ、大道芸人に少し多めのおひねりを渡しても問題はない。
「じゃあ、他の場所を見に行くか。次はどこに行く?」
驚きつつも、大道芸人はボール投げ……こういうのもジャグリングと呼ぶんだったか? とにかく、それを失敗するようなことはなかったので、感心しつつもクスコに尋ねる。
「そうね。じゃあ、ちょっと服を見ていきましょう。エスタルドでどういう服が流行ってるのか、ちょっと興味があるし」
「服か。……そうだな。じゃあ行くか」
正直なところ、個人的には女の買い物、しかも服とかの買い物にはあまり付き合いたくない。
どれだけ時間を使うのか分からないからだ。
とはいえ、今日はクスコとのデートである以上、その頼みを断る訳にもいかない。
そんな訳で、俺は服を売ってる店に入るのだった。
疲れた。
体力的にはそうでもないんだが、精神的にはかなり疲労した自覚がある。
それでもそれなりに服を購入したクスコが満足そうなので、それだけが救いか。
「予想していたよりもいい服があったわね。アクセルの気に入る服も選んで貰ったし……後で自慢しようかしら」
「出来ればそれは止めて欲しいんだが」
クスコが服を自慢すると、当然他の面々も自分に服を買って欲しいと思うだろう。
服を買うのはいい。
フリーのMS乗りだった時に稼いだ金は、ちょっとした財産くらいはあるし。
何しろ盗賊のバルチャー達を見つけるとその武器とか機体とか、場合によっては陸上戦艦とかも売りに出していたしな。
そんな訳で服を買うくらいは問題ないのだが、その服を選ぶ作業がかなり精神力を消耗してしまう。
「でも……そうね。これも私達が新連邦の爆撃機を撃退して、この街を守ったからこその光景なのよね」
街並みを見ながら、クスコがしみじみと呟く。
もしあの時、俺達が爆撃機を迎撃していなかったら、恐らくはこの街並みは廃墟になってた場所は多かっただろう。
完全に廃墟になるといった事はなかったと思うが、それでも街の一部が廃墟となれば、今のように住民達が明るく笑って大道芸を見たり、普通に服を売ったりといった真似は出来なかったのは間違いない。
そういう意味では、この街を守ったというのは決して間違いではないのだろう。
「そうなるな。もっとも、これで向こうが諦めた訳じゃないのは間違いないだろうが」
この世界の原作において、フリーデンがエスタルドにやって来ていたのかは分からない。
あるいは、このエスタルドという国は原作だと全く出て来ない場所、もしくは出て来ても少し名前が出て来るといった可能性も高い。
何しろ、北米が主な活動範囲であるのに対し、ここは南アジアだ。
普通に考えれば、ニュータイプの存在をティファが感じ取りでもしない限り、フリーデンが南アジアに来るとは思えなかった。
とはいえ、ガディールの件やエアマスターの強化の件を考えると……
「ねぇ、ちょっと。アクセル。ほら、あそこを見て? ケバブを売ってるみたいよ? ちょっと食べていかない?」
「ケバブ? ……ここで?」
クスコの視線を追うと、確かにそこにはケバブ……いわゆる巨大な肉を回しながら焼いて、その肉を削って、薄く焼いたパンっぽいのに野菜と一緒に挟んで食べる屋台があった。
ドネルケバブはトルコ料理なのに、何故ここで?
一瞬そう思ったが、考えてみれば15年前以前のX世界は普通に発展している世界だったのだ。
そうである以上、トルコの料理のレシピとかそういうのがエスタルドに残っていてもおかしくはない。
いや、きちんとああやって肉を焼く設備があるという事は、多分戦前にここでドネルケバブを焼いている者がいたのだろう。
……クレープ、それもゴーヤクレープではないだけマシだったと考えておいた方がいいのか。
「ええ。結構美味しそうだけど……どうする? ちょっと買っていかない?」
その言葉に異論はないので、屋台に並んでドネルケバブを購入する。
ちなみに屋台は派手なパフォーマンスもあってそれなりに客はいたが、それでもあまり並ぶことなく食べることが出来た。
「ソースはどうします? ヨーグルト、チリ、ガーリックの3種類がありますが」
店主の言葉に少し考え、ヨーグルトソースを掛けて貰う。
店主のお勧めはヨーグルトだったし、そう言えば以前バルトフェルドと話した時にケバブにはヨーグルトソースがベストだと言ってたから、多分間違いではないだろう。
コーヒー派なので、味覚の趣味的に俺と合わない可能性もあったのだが……
「うん、美味いな」
多少酸味のあるヨーグルトソースが、食欲を刺激する。
クスコもまた、ケバブに満足していた。
「このお店、当たりね。……他の人にも買っていってあげる?」
「土産か。……そうだな。店主、ケバブを20人分くれ。ソースは適当にして」
その言葉に驚く店主。
まぁ、無理もない。
屋台で売ってるが、材料費の問題もあってか少し高めの値段だ。
寧ろ、このX世界でよくケバブの材料を集められたなと感心すらする。
あるいは、このケバブももしかしたら本来の作り方とは微妙に違っているのかもしれないが……美味いからよし。
とにかくそういう強気の値段だっただけに、屋台の店主は驚く。
それでも俺が金を見せると、本気だと知って嬉しそうにケバブを作り始めてたが。
そうして出来上がったケバブは、特に隠す必要もないだろうと空間倉庫の中に入れていく。
クスコの購入した服も入ってるし、問題はない。
そうして空間倉庫に驚く店主や客をその場に残し、俺とクスコはデートを続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768