「アクセル代表、少しよろしいでしょうか?」
「悪いが、シャドウミラーとの取引の件は、このパーティで話したりはしないぞ」
パーティ会場において、俺に向かって声を掛けてきた相手にそう告げる。
パーティが始まって既に2時間程。
色々と挨拶とかも終わり、現在は自由時間となっていたのだが、俺に声を掛けてくる奴は多く、その相手が既に面倒になっていた。
ちなみに会場に入るのは結局クスコの案が採用され、ジャミル達が最初に入り、十分に落ち着いたところで俺達もパーティ会場に入った。
すると当然のように、美人2人と左右両腕で腕を組み、他にも同様に美人4人を引き連れた俺は多くの者の視線を受ける事になった。
その視線には嫉妬が多かったが、それでも俺が当初予想していたよりも嫉妬の視線は少ない。
勿論それは、マリュー達のような美人を連れているのを羨ましがられていないという訳ではなく、それ以上に重要な事があったからだろう。
それこそが、こうして自由時間になると何人もに声を掛けられている理由だった。
考えてみれば当然なのだが、このパーティに……そして建国式典に参加している者の多くは、村なり街なりの代表として来ている者達だ。
そのような者達にしてみれば、俺が何人もの美人を連れているのには色々と思うところがあるものの、それ以上にまずは自分達の住んでいる場所にどうやってシャドウミラーから利益を引っ張ってくるのかといったことを気にしているのだろう。
……勿論全員が全員、そんな真面目に考えている訳でもない。
中には自分達の村や街の事よりも、マリュー達のような美人を引き連れているのを羨ましく思って嫉妬の視線を向けてくる者もいるが。
ただ、このパーティ会場にいるのは当然ながら、あの建国式典に参加していた者達で、俺が魔法使いである事や、グリフィンドラゴンを召喚するといった真似が出来るのを知っている。
そんな状況で俺に絡んだ場合、一体どうなるか。
それを理解出来るからこそ、嫉妬の視線は向けてくるものの、実際に絡んでくる事はないのだろう。
「アクセル、すまないな」
もう何人目か忘れたが、恐らくは貿易の件で話し掛けてきた人物を断ったところで、ジャミルが話し掛けてくる。
その隣にはサラの姿もあった。
最初はこのようなパーティの場でジャミルの隣にいるのが慣れない様子だったが、今はもう大分慣れたのか……あるいは知り合いの俺達の側にいるからなのか、かなりリラックスした表情をしてモニクと話していた。
サラとモニク……どちらも生真面目な性格をしているだけに、話が合うのかもしれないな。
自分と似たような性格の相手には同族嫌悪とかを感じてもおかしくはないんだが、その辺は取りあえず問題ないらしい。
「気にするな。シャドウミラーとしてアルカディアが北米連邦に所属すると決めた時から、こういう風になるというのは分かっていたしな。それに、貿易についての話とかそういうのは政治班に丸投げするし。もしくはノモアか」
ノモアは色々と問題のある人物ではあったが、優秀な人物であるのは間違いない。
何もない場所にフォートセバーンを建設し、あそこまで発展させた手際を見れば明らかだろう。
そんなノモアがアルカディアを運営している以上、発展するのは間違いない。
政治班の方からも色々とアドバイスをしているという話だし。
「アクセルは代表なのだろう? なのに、その辺の判断を人に任せるだけでいいのか?」
「政治の事は基本的に政治班に任せているしな。……勿論、シャドウミラーの在り方が色々な意味で特殊だというのは、十分に理解している。だが、国というのはどういう統治方法なのかは、それこそ人によるだろう。俺達にしてみれば、それが最善だと思っているだけだ」
少数の、しかも絶対に信頼出来る人物がいるからこその話なのだが。
……某キノコ頭のように、鵬法璽を使っている者がいる事も否定は出来ないけど。
それに政治班に任せているのは事実だが、本当に全てを完全に任せているという訳ではない。
個人的にはそれでもいいと思うんだが、政治班の方からそれは駄目だと却下されている。
そして結果として、俺がホワイトスターに戻った時は重要な……本当に重要な書類だけはチェックするように言われていた。
それでも俺がいない時は政治班だけでその書類を処理したりも出来るんだが。
「こうして聞くと、シャドウミラーというのは……本当に特殊な場所なのだな」
「それは否定しない。けど、そもそも世界の狭間に存在するような国が普通の国だと思うか?」
「それは……」
言葉に詰まるジャミル。
実際に普通に考えた場合、それが普通の状況だとはとうてい思えない。
だからこそ、ジャミルも不意に納得してしまったのだろう。
とはいえ、実はシャドウミラーという国を作ったのは半ば成り行きに近い状態だったのだが。
「失礼します、ジャミル代表。少しよろしいでしょうか?」
そう言って声を掛けてきたのは、カリス。
ジャミルと近しい存在だからこそ、この状況で口を挟めたのだろう。
「カリス? どうした?」
「いい報告……と言っていいのかどうかは分かりませんが、報告しておくべき事がありまして」
「何があった?」
カリスの様子と言葉から、その内容が北米連邦にとって不利益な内容でないというのは理解したのだろう。
ジャミルが話を促す。
するとカリスは、その幼いながらも鋭い知性を感じさせる顔に笑みを浮かべつつ、口を開く。
「実は南米の方からこちらに接触してきた相手がいます」
「……もうか? 早いな」
北米連邦の建国式典を行ったのが数時間前。
その数時間で、もう南米から人がやって来たというのは、素直に驚きだった。
ジャミルもその件については驚いたからこそ、こうした様子なのだろう。
けど……そう言えば、南米がどうなっているのかは今まで分からなかったな。
フリーのMS乗りとしても、そしてテンザン級を手に入れたからも、基本的に行動は北米だった。
セインズアイランドとゾンダーエプタを経由して南アジアに行ってしまったから、南米の方にちょっかいを出す機会はなかったんだよな。
「ええ。どうやら向こうもこちらに色々と思うところがある様子です。……まさか、航空機を有しているとは思いませんでしたが」
「航空機か。それならこんなに早くこっちに接触してきたのにも納得出来るな」
移動する上で、一番速いのは空を飛ぶというものだ。
地上を移動する場合、陸上戦艦等で移動するにしても、盗賊のバルチャーに襲撃される可能性もあるし。
……まぁ、本当の意味で最も速いのは俺の転移なのだが、それは例外だろう。
海という手段もあるが、そっちもそっちでオルクに襲撃される可能性がある。
それに比べると、空を移動する上で襲撃される心配は基本的にはない筈だ。
新連邦がちょっかいを出す可能性はあるのだが。
だが、そこまで便利な航空機だが、空を飛ぶ機械だけに使い続けるには常に整備をする必要がある。
つまり、南米からこっちに接触してきた勢力はそれが可能なだけの力を持っているのだろう。
「そうなりますね。自称ですが、南米の中でもかなり大きな勢力らしいです。……言ってる事は恐らくそんなに間違ってはいないかと」
カリスも俺と同じように考えているのか、同意するように言う。
他の面々も異論を口にする様子はない。
「それで、その勢力の目的は?」
「表向きは新連邦に対抗する僕達と友好的な関係を築いておきたいという事でしたが、本音はMSを売って欲しいというものでしたね」
MSを売って欲しいか。
新品のMSを入手出来るのだから、相応の規模の勢力にしてみれば北米連邦というのは放って置く手はないと思っているのだろう。
とはいえ、その勢力がどのような勢力なのか分からない以上、そう簡単にMSを売るといった真似は出来ない。
何も考えず目先の利益だけを求めてMSを売った結果、新連邦との戦いが終わっても盗賊のバルチャーとか、場合によっては新連邦以上に危険な勢力とかが残っており、それらがアルカディアで生産されたMSを使っていたりした場合、それは最悪となる。
だからこそ、俺としては北米連邦にはそのような真似をして欲しくない。
「心配するな。MSを売って欲しいと言ってきたところで、すぐにMSを売るような真似はしない」
ジャミルは俺の態度から何かを察したらしく、そんな風に言ってくる。
そうだな。ジャミルが北米連邦の代表をしている以上、好き勝手は出来ないか。
とはいえ、それで完全に安心出来るという訳ではない。
北米連邦に所属した者達の中には、自分の利益を第一に考える者もいるだろう。
そのような者達にとって、MSを拾って修理するのではなく、ゼロから作る事が出来るという能力を持つアルカディアは、格好の金の成る木だ。
現状において、俺が知ってる限りMSをゼロから作る事が出来るのは、北米連邦と新連邦だけだ。
勿論バルチャー……そしてシーバルチャーの中にはハンドメイドでMSやMAを作るといった者達もいるが、それはあくまでも自分達で集めたMSやMAの部品を使ってのものだ。
ましてや、新連邦は当然だが自分達で作ったMSを他の勢力に売るといった真似はしていない。
新連邦は自分達がこの世界を支配する事を望んでいるのだから、敵にMSを渡すといった真似はしないだろう。
あるいは強力な国……それこそ北米連邦をどうにかしようと思った時、その勢力圏内にいる盗賊のバルチャーとかにMSを融通して暴れさせ、内部で混乱を起こすといったような手段を使ってもおかしくはないが。
「そうか。ジャミルがそう言うのなら信じよう。……何かおかしな事があれば、量産型Wやコバッタがこっちに報告してくるだろうし」
北米連邦に所属するメリットは多数あるが、その中の1つに量産型Wやコバッタを貸し出すというものがある。
量産型Wやコバッタはこの世界最大の問題……人口が少ない事によるマンパワーを解消するという意味では、かなりの成果を期待されている。
だが、貸出先で何か妙な事……具体的には北米連邦に不利益な行動をしていると考えれば、それが報告される事になっていた。
そういう意味では、恐らく大丈夫だろうとは思うのだが。
「キャプ……いえ、ジャミル代表。いつまでもアクセルさん達と話している訳にもいきません。このパーティの趣旨を考えると、他の参加者達とも話す必要があります」
サラがジャミルに向かってそう言う。
キャプテンではなくジャミル代表と口にしたのは、今のジャミルの立場を考えてのものか。
「アクセル、他の人と話した方がいいのは私達もよ。さっきからこっちの様子を窺ってる人も多いし」
サラに合わせたかのように、モニクがそう言ってくる。
モニクはギレン直轄の部下だったし、ルナ・ジオンにおいても役人として働いていた。
それだけに、こういう場所でどういう風に行動すればいいのか、十分に理解しているのだろう。
ちなみに俺もシャドウミラーの代表である以上、何だかんだとこういうパーティに出る事は多いので、その辺りについてはそれなりに理解しており、モニクの言葉に反論も出来ない。
「そうだな。じゃあ、取りあえずこの辺で」
ジャミルとカリスにそう言うと、その場から離れる。
ジャミル達が離れるのを待っていてもよかったのだが、このパーティの主役はあくまでもジャミルだ。
なら、ジャミルをその場に残して俺が離れた方がいいと判断したのだ。
すると……
「アクセル代表、お美しい方達を大勢引き連れていて、羨ましいですね」
ジャミルと離れたのを見ると、早速といった具合に1人の男が声を掛けてくる。
ジャミルとかじゃなくて、俺に声を掛けてくるとは。
いやまぁ、俺という異世界の存在と接触するチャンスを逃す訳にはいかないと、そんな風に思っての事なのだろうが。
「そうだろう? シャドウミラーは一夫多妻制が認められている国だからな」
「それは羨ましい。可能なら、是非私もシャドウミラーの本拠地……ホワイトスターでしたか? そこに行ってみたいものです」
「おや、その話は私も興味がありますね。是非聞かせて貰いたい」
1人がホワイトスターに行きたいと言うと、機を窺っていた他の参加者達は自分も負けていられないと俺の方に集まってきた。
珍しく、マリュー達の美貌に目を奪われてはいない。
いやまぁ、一瞬目を奪われたりはするのだが、今はそれよりもホワイトスターに行けるようにするのが最優先といったところか。
さて、どう対応するべきか。
そうして迷っていると……
「おいおい、アクセル。久しぶりに見たと思ったら、随分と面白そうな状況になってるな」
不意にそんな声が聞こえてくる。
上品な他の参加者達とは違う、粗野な口調。
だが、その口調の主を俺は知っている。
「久しぶりって程じゃないと思うけどな。……それよりも、俺はお前がパーティに参加してるのが驚きだよ、ロッソ」
バルチャーに大きな影響力を持つロッソに、俺はそう声を返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:2005
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1768